最近、電子マネーやApple Payなど、現金を持ち歩かなくてもお買い物ができるようになってきましたよね。
確かに、以前に比べて電子決済を身近に感じることが多くなったね。
でも、どうしてこんなに急激に電子決済が進んでいるのでしょうか。
じゃあ、今回は日本のキャッシュレスについて解説していくね!
東京オリンピックのある2020年には、キャッシュレス化率を40%へ上げる方針を政府が発表しました。
しかし、
「みんなは実際、現金で決済?それともキャシュレス決済が主流?」
など疑問に思う方もいますよね。
そこで今回は、日本のキャッシュレス化が遅れている要因や、実際の決済方法の現状、そして今後どうキャッシュレス化を進めるべきかなど、詳しくご紹介します。
これを読めば、キャッシュレス化が抱える問題点がわかるので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
世界のキャッシュレス率
日本では、やっと身近に感じてきたキャッシュレス化ですけど、世界的にはどうなんですか?
日本と比べると、驚くほどキャッシュレス化が進んでいるんだ。
日本に比べ、世界ではキャッシュレス化が進んでいます。
キャッシュレス決済率が高い国をランク付けしました。
ランク | 国 | キャッシュレス率 |
---|---|---|
1位 | 韓国 | 89.1% |
2位 | 中国 | 60% |
3位 | カナダ | 55.4% |
4位 | イギリス | 54.9% |
5位 | オーストラリア | 51.0% |
― | 日本 | 18.4% |
出典:キャッシュレス・ビジョン
1位である韓国、2位の中国は、どうしてキャッシュレス化が進んだのでしょうか。
まずは中国から見ていきましょう。
中国では、現金の偽造や脱税などといった問題が多くあり、それらを防ぐためにキャッシュレス化を促進したといわれています。
そのために、まずはキャッシュレスを浸透させるため、自国の決済システムである銀聯を設立しました。
今では、世界7大国際ブランドとして名を連ねていますね。
そしてスマホアプリを利用した「アリペイ」という決済アプリが、国民に浸透することによって、キャッシュレス化へ大きく前進したのです。
次に韓国を見ていきましょう。
韓国が80%ものキャッシュレス化に成功した要因としては、主に以下2つを掲げ、国を挙げてクレジットカードを促進してきたことが大きいです。
- 政府のクレジットカード利用促進
- 店舗でクレジットカードの取り扱いを義務化
政府では、クレジットカードの年間利用金額に対して20%の所得控除や、宝くじを与えるなど、カード決済に対して大きなメリットを付けたことによって、瞬く間にキャッシュレス社会が進んでいきました。
また、店舗に対してクレジット決済が可能になるよう義務付けたことも大きいです。
店舗がカードを利用できなければ、キャッシュレス化は進みません。
カードを利用できる店舗と利用者の増加が比例したことによって、キャッシュレス化が成功したといえるのです。
犯罪防止の上でも、キャッシュレス化は重要なんですね!
それには、政府やお店、そしてお客が一丸とならなければ浸透していかないこともわかりました。
日本のリアルなキャッシュレス事情をアンケートで徹底調査!
最近はクレジット利用者も増えたと思っていたんですけど、日本はまだまだなんですね。
そうだね。
なかなか思うようにキャッシュレス化へ進んではいないといえるね。
韓国などと比べ日本のキャッシュレス化率を考えると、まだ対応しきれていないのが現状です。
では、実際日本人はどのような決済方法をとっているのか、現金主義の方はキャッシュレスについてどう思っているのかなど、100人にアンケートで調査しました。
キャッシュレス決済と現金払いの割合
日本銀行の「キャッシュレス決済の現状」では、キャッシュレス決済方法として次の3つを合わせて、一人当たりの保有枚数が平均約8.5枚との結果を公表しています。
- クレジットカード
- デビットカード
- 電子マネー
しかし、先にお話ししたように日本のキャッシュレス化は進んではいるものの、数値的に言えばまだまだ他国に及ばないことがわかりますね。
そこで、実際にはどうなのか次のようなアンケートを実施しました。
Q.1あなたは次の2つのうち、どの支払方法を選ぶことが多いですか?
- キャッシュレス決済
- 現金払い
※キャッシュレス決済には、クレジットカード、デビットカード/プリペイドカード、電子マネーを含む
▼キャッシュレス決済:47人
▼現金払い:53人
約50%もの方が、キャッシュレスで決済をしているということになりますね。
この結果を見て、「あれ、日本も意外とキャッシュレス化に対応しているのでは?」と思う方も多いでしょう。
しかし、経済産業省の「キャッシュレスの現状と推進」によると、2016年の段階で民間全体の消費支出に対して、キャッシュレス決済の消費割合は20%しかありません。
どうして結果に差があるのでしょうか。
どのキャッシュレス決済が多く使われているのか
キャッシュレス決済の利用割合と、消費割合に大きく差があるため、次のようなアンケートをとりました。
Q2.キャッシュレス決済と答えた方に質問です。以下3つのうち、どの支払方法をよく使いますか?
- クレジットカード
- デビットカード/プリペイドカード
- 電子マネー
▼クレジットカード:30人
▼デビットカード/プリペイドカード:2人
▼電子マネー:15人
キャッシュレス決済をする場合、デビットカード/プリペイドカードを利用する方は少なく、約4.2%しかいません。
海外ではデビットカードでの決済は、キャッシュレス決済の要の一つです。
キャッシュレス化率60%を超える中国の銀聯カードは、デビットカードが主流になります。
また、利用率30%を超える電子マネーは、少額決済に対応したものです。
決済できる最高金額が、数万円程度と大きい買い物には適していないという面も、利用率と消費支出率に差がある要因でしょう。
現金主義の方はキャッシュレス決済の利用を検討しているのか
やはり、生活全般でキャッシュレス化に対応していかないと、キャッシュレス化率は上がらないということですね。
そうなんだよ。
キャッシュレス決済方法はいくつも持っているのに、少額でしか使わないという人が多いと、キャッシュレス化は進まないよね。
でも、主に現金で支払うという方は、キャッシュレス化についてどう思っているんでしょうか。
次は、主に現金を利用すると答えた方に注目しましょう。
今後キャッシュレス化を促進させようと、国としても動きだしていますが、現金主義の方はどう思っているのでしょうか。
Q3.現金払いと答えた方に質問です。今後、キャッシュレス決済をメインにしたいと考えていますか?
- はい
- いいえ
▼はい:15人
▼いいえ:38人
やはり、現金主義と考えている方の多くは、このままキャッシュレス化に進むことに対して抵抗があるようです。
どうしてキャッシュレス決済に抵抗があるのか、聞いてみました。
Q.4いいえと答えた方に質問です。現金にこだわる理由を以下3つの中から近いものを選んでください。
- 災害時に使えなくなるのが怖い
- キャッシュレス決済がよく分からない
- 現金の方がなんとなく安心
▼災害時に使えなくなるのが怖い:16人
▼キャッシュレス決済がよく分からない:4人
▼現金の方がなんとなく安心:33人
■性別:男性 職業:会社員 年齢層:30代
東日本大震災の大規模停電の際にキャッシュレスでは何も出来なかった経験があり、現金で払えることの重要さを痛感した。
現金をメインにし、キャッシュレスは補助的に使うのがベストでしょう。
■性別:女性 職業:学生 年齢層:20代
キャッシュレスにするとどのくらいの金額を使っているのか分からなくなりそう。
■性別:女性 職業:専業主婦 年齢層:40代
個人情報の漏洩やどんなものを買っているかわかってしまうのが心配だし何だか嫌だから。
キャッシュレス決済は、すべて電気が使えないと利用できません。
そのため、地震大国ともいわれる日本では、停電時に全く利用できなくなるキャッシュレス決済に不安を感じる方も多くいます。
また、お金を使いすぎてしまうことなどが心配だという方も多いです。
やはり、現金主義という方のほとんどは、主に以下2つのような考えがあるようですね。
- 目に見えない決済方法は、お金を使ったという実感を持ちにくく不安
- 手元に現金がないと、もしもの時に困る
キャッシュレス普及が日本で遅れている3つの理由
キャッシュレス決済の普及が進まないのは、不安要素も大きいんですね。
不正利用など、犯罪も怖いという方も多いよ。
でも、そういった不安はどこの国も一緒だと思うんですよね。
なのにどうして、日本が遅れているのか不思議です。
それじゃ次は、キャッシュレス化が遅れている理由について話そうか。
ここでは、日本のキャッシュレス化が進まない理由を見ていきましょう。
日本の治安や利便性が大きく関わっています。
現金を持ち歩いていても安全
イギリスの経済平和研究所が発表によると、世界の国の中で日本の治安ランキングは2014年の時点で8位になります。
落とした財布がそのまま帰ってくる、置き忘れたカバンも置かれたままになっているなど、外国人にとっては考えられないようなことが起こるほど、日本の治安については定評があります。
スリや置き引きなどといった犯罪被害も少ないのが大きな原因の一つなのです。
また、偽札などが出回っていないという点も注目しましょう。
中国がキャッシュレス化へ踏み出した理由として、偽札が横行しているなど犯罪を抑制するためというのがあります。
日本では偽札の流通は極めて少なく、店舗としてもお客が出す現金を信用して受け取ることが可能です。
気軽に現金を持ち歩き、利用できるからこそ、現金の方が安心だと思う方が多い一つの要因になっています。
ATMの普及率が高い
現金の管理方法として、金融機関を利用している方がほとんどでしょう。
現金を引き出す時には、金融機関の窓口やATMを利用しますよね。
本来であれば、銀行やATMの設置場所を探す必要があり、すぐに現金を引き出せないことが現金決済においてのデメリットでもありました。
しかし、今はコンビニやスーパーにATMを設置するなど、簡単にATMが見つかるようになったのです。
こうしたATMの普及率が高いのも、キャッシュレス化の歯止めるかける原因になっています。
現金払いのみのお店が多い
何よりも、クレジットカードが使えない店舗が多いという面は、キャッシュレス化にとっては大きな痛手でもあります。
クレジットカードで決済したいのに、対応していないお店が多いと、現金を持ち歩くしかありません。
キャッシュレス決済をしたくてもできないので、キャッシュレス化率が上がらないのです。
しかし、キャッシュレスに対応していない店舗を責めることもできません。
キャッシュレス決済サービスを導入するには、当然コストもかかり、決済手数料も支払う必要があります。
だからといって、手数料をカバーすべく販売価格を上げると、お客さんは購入してくれないという悪循環が生まれ、店舗側の負担が大きいのです。
キャッシュレス決済と現金払いの共存がベスト
現金が消えた国と言われるスウェーデンでは、キャッシュレス化を進めるために、以下2つの強硬策ともいえる方法をとりました。
- 公共交通機関での現金の取り扱いを中止
- 多くの金融機関で現金を取り扱わない
そのため、街には「現金お断り」という張り紙をする店舗が多くあります。
しかし、キャッシュレス化を進めるうちに、弊害が出てきているのも事実です。
高齢者などキャッシュレスに対応しきれず、次の4つのような問題が起きています。
- 現金を取り扱う金融機関が見つかりづらい
- カードなどの利用の仕方がわからない
- スマホを持っていない
- サイバーテロが起こった場合の懸念
スウェーデンのキャッシュレス化は「スウィッシュ」という、スマホアプリの決済サービスが大きく影響しています。
その利用者は、全体の60%にもなるといわれ、キャッシュレス決済には欠かせないアプリとして定着しています。
その一方で高齢者はスマホを持っていない、クレジットカードを持つことができないなどといった問題もあるのです。
日本も今後ますます少子高齢化社会になっていきます。
キャッシュレス決済は利便性が高く、犯罪抑制に繋がるというメリットもあります。
ただ、停電になった場合には利用できない、高齢者などが対応しきれないといったデメリットもあり、現状では完全なキャッシュレス化は難しいと言えるでしょう。
現金とキャッシュレスの共存こそが、一番の方法と言えますね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、世界中が目標とするキャッシュレス化に向けて、どうして日本は遅れているのか、日本の現状など詳しくご紹介しました。
重要なポイントとしては、次の3つがあります。
- 日本のキャッシュレス化率は18%程度しかない
- キャッシュレス化は、犯罪抑制にもつながる
- キャッシュレス決済に不安や懸念を抱く人が多いため、普及が進まない
「できれば現金主義で行きたい」
といった方は、この記事を参考にもう一度キャッシュレス化について考えてみてはいかがでしょうか?