クレジットカードって、どこの官庁が管轄しているんですか?
どうしたんだい、おもむろに。
クレジットカードには「キャッシング」と「ショッピング」機能がついていますよね?どこの官庁が管理しているのかちょっと気になって。
お金をカードで出す(支払う)といった面では二つの機能は似ているので、一つの官庁で管轄しているんでしょうか?
いいところに目を付けたね。それじゃ今回は、クレジットカードを監督する官庁について詳しく解説しようか。
今では、一人2枚以上クレジットカードを所有している方も多いといわれるクレジットカード。
しかし、その監督をしている官庁は実は2つあります。
その理由としては、クレジットカードに付帯される機能の違いがあるためです。そのため、1つの官庁では監督できないという事態が起きています。
そこで今回は、クレジットカードの仕組みからどうして2つの官庁で監督しているのかなど、詳しくご紹介します。
「クレジットカードはどこの管轄?」
「どうして2つの官庁で管轄しているのか知りたい!」
といった方は、ぜひこの記事を読み進めてくださいね。
クレジットカードの根底の仕組みについて、詳しく知ることができますよ。
この記事の目次
クレジットカードの2つの機能
クレジットカードを持っている人は多いですが、主に2つの機能のあることはご存知ですよね。
- ショッピング機能
- キャッシング機能
ショッピングの時にキャッシュレスで代金支払いが出来るショッピング機能と、現金が必要になった時に一時的に借り入れできるキャッシング機能です。
ところでこのショッピング機能とキャッシング機能を管轄している官庁が異なることをご存知ですか?
監督官庁が2つあるクレジットカード
- ショッピングは経済産業省
- キャッシングは金融庁
と監督官庁が2つ存在しているのです。
なぜこのようなことが起きるのか、以下で詳しく説明していきます。
ショッピング機能が管轄の経済産業省
クレジットカードのショッピング機能は、そもそも商品やサービスを購入するための手段として利用されます。
カード会社は消費者と販売店の間に立って、消費者が購入した商品の代金を一時的に立て替え、後日消費者に請求書を送付して、代金の支払いをしてもらうサービスです。
つまり売買取引のツールとして、クレジットカードが利用されていることになりますね。
となると消費生活を監督しているのは経済産業省になるので、ショッピング機能の管轄も経済産業省となるというわけです。
商品やサービスを提供することを「産業」、そして提供された商品やサービスをお金で購入する流れのことを「経済」というんだ。
なるほど!だからお金代わりにクレジットカードで提供された商品やサービスを購入するので、ショッピング機能は経済産業省なんですね!
キャッシング機能が管轄の金融庁
一方キャッシングはカードを使って、消費者が現金を借入れします。
そしてお金ができれば、利息をつけてカード会社に返済する形をとります。
これはいうなれば、消費者金融や銀行が提供しているカードローンサービスと似ているのではないでしょうか。
このような金融業務は基本的に、金融庁の管轄になります。
そのほかのノンバンクなどの金融機関は、ショッピングとキャッシングの両方のサービスを手掛けているので、異なる2つの監督官庁の監視や指導を受ける、珍しい構図が成り立ちます。
このようにクレジットカードの監督官庁は経済産業省と金融庁の2つがあります。
もっと具体的にみていくと、
- ショッピングサービスの監督は経済産業省内の取引信用課
- キャッシングの監督は金融庁の金融会社室
というところが担当しています。
ちなみにクレジット業務を行うにあたって、割賦販売法に基づく登録手続きを行う必要がありますが、この許認可権を握っているのは経済産業省になります。
なぜ2つの監督官庁が存在するのか?
なぜこのような2つの監督官庁が存在しているかですが、ノンバンク業界の特性がまず挙げられます。
ノンバンク業界を見てみると、すそ野が広がっていて、そのスピードは今も衰えを知りません。
国の組織というのはどうも硬直化しているところがあって、時代の流れにスムーズに対応できないところがあります。
ですから旧態依然とした2つの監督官庁がそのまま残ってしまっているのです。
じゃあ
「少しずつどちらかに統合していけばいいのではないか?」
と思う人もいるでしょう。
しかしこの統合をクリアするためには、さらに大きな障壁があります。
メディアで聞いたことのある人も多いかもしれませんが、「省益」の壁です。
審査や手続きが面倒な銀行系よりも、少額の借入であればキャッシングや消費者金融などノンバンク系を利用した方が利便性が高いという点もあるよ。
だから、ノンバンク業界は勢力を伸ばしているのですね!
その通り!その現実に国はまだ対応しきれていないがために、2つの官庁で監督しているんだよ。しかし、そのせいで、省益の壁が生まれているんだ。
省益ってなに?
省益というものは、本来であればありません。
各省庁は、国や国民の利益を一番に考え物事を判断するものだからです。
しかし残念ながら各省庁は、自分の権利とそれに伴う利益を優先する傾向があります。
権利や利益があればあるほど、官庁の中では力があると判断されるためです。
でも、省益ってそもそもなんですか?省庁に利益なんてもの、ないと思うんですけど。
それが残念ながらあるんだよ。
極端な話、国の利益よりも官庁の権益を優先事項として行動することを「省益」といいます。
経済産業省も金融庁も、許認可業務をはじめとした既得権益をみすみす離すわけにはいきません。
そのため、なかなか統合が進まないのです。
金融庁はもともと大蔵省の一部でしたが、大蔵省は財政と金融という国家運営で欠かせない部分を担っています。
ですから省庁の中でも別格とされ、「省庁の中の省庁」と呼ばれることもあります。
経済産業省もなかなか口を出せないところがあるようです。
このことを象徴する事例が、1993年にありました。
銀行系クレジットカードにリボ払いを認めるかどうかという問題がありました。
当時の大蔵省と通産省との間でかなり熾烈なつばぜり合いがあったようですが、銀行系クレジットカードにリボ払い機能を認める代わりに、信販会社のクレジットカードなども銀行のATMを利用できるように妥協がなされたと言われています。
2つの監督官庁のデメリット
この2つの監督官庁があることは、クレジットカード会社のほかにも消費者にとってもデメリットがあります。
たとえばキャッシングの上限金利を見てみると、ノンバンクであれば、ほとんどが18%前後に設定されて横並びの状態になっていますよね。
これは、ある意味きちんとした競争原理の働いていない状態にあるといえます。
また個人信用情報の共有化についても、金融庁と経産省の縄張り争いのためになかなか先に進まないといわれています。
ノンバンクの抱える問題を解決するにあたって、この縦割り行政がネックになっていて消費者が恩恵を受けられないデメリットも発生しています。
もしどちらかに統合できないのであれば、少なくても現在ノンバンクの抱えている問題を解決するために経産省と金融庁がタッグを組む姿勢を見せることが求められるでしょう。
ノンバンクの利息がバンク系よりもはるかに高いのは、2つの官庁で管轄しているからなんですね!
そうなんだ。しかも審査には信用情報を確認するんだけど、バンク系が確認する信用情報と、ノンバンク系が確認する信用情報は違うんだよ。
銀行からの借入が貸金業法に該当しないのも、縄張り争いのせいでもあるね。
お金を“貸す”という行為は同じなのに、不思議ですね。
ノンバンク対策をしている部署はどこ?
経済産業省では、消費行動のトラブルに関する対策に力を入れています。
特にその中でも訪問販売や、通信販売におけるトラブルの件数が多いといわれています。
訪問販売は高齢者で判断能力の落ちた人をターゲットに高額な商品を売りつけるトラブルはしばしばメディアでも取り上げられています。
このような問題に関して、特定商品取引法に基づく取締りの強化を進めています。
一方キャッシングサービスを展開するにあたって、貸金業登録をする必要がでてきます。
そこで必要な貸金業免許を交付するのは金融庁になります。
このようにクレジットカードサービスを展開するためには、2つの官庁に登録手続きを行わないといけません。
ある意味非効率的なシステムと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、クレジットカードの管轄や、どうして機能によって監督官庁が違うのかなどお話しました。
要点としては、4つあります。
- ショッピング機能は経済産業省、キャッシング機能は金融庁が監督している
- 省益の壁によって、2つの監督の統合はむずかしい
- 2つの官庁で監督しているため、キャッシングの金利が高い
- 2つの官庁へ登録しなければ、クレジットカードの提供ができない
経済産業省や金融庁の2つの官庁で監督するのは、キャッシングの金利が高いなど私たち消費者にとってはデメリットが多いのが現状です。
「どうして、銀行ローンとキャッシングでは金利が大きく違うのか知りたい」
「監督官庁を統合すればいいのに」
などといった方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
クレジットカードにも、各官庁の事情が関係していることがわかりますよ。
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