故人がクレジットカードを持っていた場合、これをどう扱って良いのか悩むところです。
「契約者が死亡していても年会費が発生するの?」
と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、クレジットカード所有者が死亡したときの対処方法や注意点などを紹介します。
この記事を読めば、故人のクレジットカードの取り扱い方法を知り、適切に対処できるようになるでしょう。
身内に不幸のあった方や、自分がいつ死亡しても大丈夫なように備えておきたい人は参考にしてください。
この記事の目次
クレジットカードの契約者が死亡したときの退会・解約手続きの基本事項
結論から言えば、クレジットカード契約者が死亡した場合、家族が解約手続きを行わなくてはなりません。
まずは、退会・解約手続きに関する基本事項から紹介していきます。ポイントは次の3点です。
- 退会手続きをしないと、カードは使える状態にある
- 退会・解約手続きは、カード裏面に記載されているカード会社に電話連絡すればOK
- 家族かどうかの確認のために、公的な証明書が必要な場合もある
それでは各ポイントの詳細をみていきましょう。
退会手続きをしないと、カードは使える状態にある
もし、退会・解約手続きを行わなかった場合、次の3つのリスクが発生する恐れがあります。
- 解約するまで年会費が発生し続ける
- 所有者不在につき、第三者による不正利用に気づきにくい
- リボ払いやキャッシングをしていた場合、利息がどんどん膨れ上がる
年会費やクレジットカードの支払いは契約者の口座から引き落としされるのが一般的ですが、契約者が死亡すると口座が凍結。
多くの場合、口座凍結のタイミングは、遺族が銀行へ亡くなったことを申告したときです。
口座が凍結すると、引落しができなくなります。
なるほど。
それで引き落としができなくて、カード会社が自宅に電話をかけたりするってことですね。
遺族が銀行だけでなくカード会社にも亡くなったことを申告すれば避けられるかもしれないね。
けど、中にはそんなカードを使っているとは知らなかったという場合も、実際はあるんだよ。
本人が亡くなったあともカードが有効なままだと、年会費やショッピングリボの残金、第三者の不正利用など遺族にとっては想定外の出費がかかることも。
このような事態を避けるためにも、退会手続きはできるだけ速やかに済ませるようにしなくてはなりません。
退会・解約手続きは、カード裏面に記載されているカード会社に電話連絡すればOK
退会・解約手続きはさほど難しいものではありません。
基本的には電話での解約で済みますが、契約しているカードの種類によっては電話だけでなく、用紙での解約手続きが必要になることも。
どのような解約方法にせよ、担当オペレーターから詳しい説明があるので、指示に従って進めていけば問題ありません。
家族かどうかの確認のために、公的な証明書が必要な場合もある
第三者による、悪意ある解約のリスクがあるため、電話でのクレジットカード解約で「本当に家族なのか」を確認するための公的な証明書の提出を求められる場合があります。
求められる公的な書類で主なものは次の3つです。
- 戸籍謄本
- 住民票
- 死亡診断書
解約手続き前に準備しておくとスムーズに進められるでしょう。
死亡後、カードの残高が残っていた場合、支払いはどうなるのか?
契約者が死亡したあとも、クレジットカードの残高が残っていた場合、支払いはどのようになるのか気になるところです。
そこで、ここからはカード残高の取扱について説明していきます。ポイントは次の4点です。
- 遺産相続をした人に支払義務が移る
- 相続放棄をしたら、他の親族に相続の権利が移行する
- 相続放棄は、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内に手続きをしなくてはならない
- 死亡後に残ったカードの支払いを引き継ぎたくない場合は、相続放棄の検討を
それでは各内容の詳細をみてみましょう。
遺産相続をした人に支払義務が移る
クレジットカードの残高は「相続遺産」として取り扱われることになります。
遺産と聞くと、プラスのものをイメージしがちですが、借金などネガティブなものも相続対象となっており、クレジットカード残高もこれに該当。
そのため、故人の遺産相続を受ける人が残高の支払い義務を引き継ぐことになります。
もちろんクレジットカードのキャッシング機能を使って借金をしていた場合も同様です。
相続放棄をしたら、他の親族に相続の権利が移行する
プラスとなる相続が少なく、マイナスの相続が多いようなら「相続放棄」をすることで、クレジットカード残高の支払い義務を拒否できます。
その際は他の親族に相続の権利が移行することとなり、すでに放棄した本人は権利を持たなくなります。
相続放棄は、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内に手続きをしなくてはならない
相続放棄は、被相続人が亡くなった3ヶ月以内に手続きを済ませなくてはならず、これを過ぎてしまうと自動的に相続されてしまうので注意してください。
相続放棄は、どうやったらいいんですか?
放棄を希望する場合は家庭裁判所に申し立てを行んだよ。
でも、裁判所に行く必要は全くないよ。
裁判所の公式サイトから書式がPDFで配布されているので、そちらに必要事項を記入して郵送すればOKです。
なにか特別な理由がなければ、裁判所に足を運ぶ必要はありません。
心配なら、司法書士や弁護士に相談するのが良いでしょう。
死亡後に残ったカードの支払いを引き継ぎたくない場合は、相続放棄の検討を
相続放棄をすると、プラス・マイナスに関わらず、遺産を相続するすべての権利を放棄することになります。
カード残高など、多少マイナスの相続はあるものの、トータルでみればプラスになる!と判断できるなら相続した方が良い場合もあるので、判断は慎重に行いましょう。
「借金はごめんだ!」
という人は相続放棄を検討してください。
家族カードは使えなくなるのか?
本カード会員が死亡すると、それに付随する家族カードは使えなくなってしまいます。
家族カードは、クレジットカードのオプションで発行できる追加のカードのことですよ。
本会員の信用で発行されるカードなんです。
名義人は家族会員なので勘違いされがちですが、家族カードは使えなくなると覚えておきましょう。
もしクレジットカードが必要なら、新たに審査を受ける必要があります。
相続する前に、亡くなった家族の信用情報を取り寄せてカードの利用状況を確認しよう
クレジットカードの契約者が亡くなり、そのまま遺産を相続するのは注意が必要です。
その理由は次の2つが挙げられます。
- 知らない借金(消費者金融や銀行のカードローンなど)の可能性
- クレジットカードのリボ払いが残っている可能性
クレジットカードやカードローンは秘匿性が高く、家族を含め、周囲の人達にバレることなく利用できます。利用者からすれば心強いですが、相続人側からすると少々やっかい。
いざ相続したら「実は借金まみれだった!」ということになりかねません。
遺産相続後に思わぬカードの支払いで困ることがないよう、「信用情報の確認」を相続を決める前に行うのがベターです。
信用情報は、CIC、JICCなどの指定信用情報機関に記録されている、クレジットカード・カードローン・割賦払いなどの利用記録のこと。
通常は本人しか開示請求できませんが、亡くなっている場合は、法定相続人や親族なら開示請求を行えるようになっています。
多少の費用(手数料1,000円程度)がかかりますが、信用情報を確認すれば借金状況を把握でき、相続するべきか、放棄するべきかの判断材料として大いに役立ってくれるでしょう。
まとめ
今回はクレジットカード契約者が亡くなったときの対処方法や注意点などを紹介しました。ポイントをおさらいしましょう。
- 契約者が亡くなったら家族が解約手続きを行う
- カード裏面の記載されている電話番号に連絡すればOK。ただし関係を証明できる書類を提出する必要があることも
- カード残高は相続人が相続しなくてはならない。拒否するなら相続放棄の申し立てを行う
以上3点が本記事の要点となります。
「カード残高って誰が払うの?」
と気になる方は、この記事を参考に、まずはカードを解約して、残高などの相続をどうするのかを判断しましょう。