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ポケットカードってどんな会社?
ファミマTカードを持っている人も多いでしょう。
コンビニのファミリーマートやレンタルショップのTSUTAYAを頻繁に利用している人の間で人気ですが、このカードを発行しているのはポケットカードというところです。
ニチイ・クレジット・サービスが母体
ポケットカードはもともと1982年に設立された、ニチイ・クレジット・サービスが母体になっています。
名前の通り、かつてスーパーマーケット事業を中心に展開していたニチイ傘下の信販会社として誕生しました。
ニチイはその後マイカルの傘下に入り、マイカルはその後経営破たんしてしまいます。
三洋信販へ売却→ポケットカードが誕生
しかしこのニチイ・クレジット・サービスはグループの中でも優良子会社の一つだったこともあって、2001年に三洋信販という準大手の消費者金融会社に売却されました。
そして現在のポケットカードという社名に変更されました。
「常にお客様に携帯され、気軽で親しみのあるカード会社になりたい」という思いが込められています。
三洋信販はその後、三井住友銀行の傘下に入ります。
2007年にはグループ企業である三洋信販とプロミスの再編が実施されました。
その結果、ポケットカードはプロミスの連結子会社となります。
2011年には三井住友銀行と伊藤忠商事、ファミリーマートの持ち分法適用関連会社という扱いになりました。
誕生当初は流通系クレジットカード、その後消費者金融系クレジットカードといった感じで、時代の変遷に伴い系統が変わるという珍しいカード会社とも言えます。
ポケットカードの特徴
ポケットカードではプロパーカードとして、P-oneカードを発行しています。
そのほかに提携カードとしてZOZOカードやコーナンカード・コーナンFLEXY、ファミマTカードなどを発行しています。
このうち、主力商品であるファミマTカードについては、ポケットカードの公式サイトトップには掲載されていません。
このクレジットカードの情報は、ファミリーマートの公式サイトおよび、そこからリンクする、ポケットカードのサイトにのみ掲載があります。
2022年2月末の時点でポケットカードの会員数は、約500万人といわれています。
ポケットカードの会員として入会しているほかにも、先ほど紹介した会社の沿革からも分かるようにもともと異なるカードの会員だったのが流れてきたというケースも見られます。
たとえばニチイがマイカルの傘下に入っていた時に、マイカルカードに入会していた人もいます。
マイカルカードの利用が終了したのち、P-oneカードに自動切り替えされた会員も見られます。
またファミリーマートでは、ファミマクレジットカードを発行していました。
その後ポケットカードがファミマTカードを発行するのですが、その前の段階のファミマクレジットカードからの流れで会員となっている人も見られます。
ポケットカードのクレジットカードのサービスを見てみると、ほかのカードとはだいぶ異なりユニークです。
このため、ポケットカードブランドのクレジットカードは業界でも独特の存在感を出しています。
たとえばP-oneカードを見てみると、いつでもカード払いをすると代金から1%割引になるとか、利用額1000円につき一括払いで1ポケットポイント・リボ・分割払いの場合2ポイントが付与される還元率の高さが挙げられます。
ポケットカードでは、P-oneカード<G>というゴールドカードを発行しています。
通常ゴールドカードといわれると年会費が高いイメージもあるでしょうが、こちらのゴールドカードは3000円ということで格安に設定されています。
ファミマTカードの特色と問題
ファミマTカードは、「リボ払い」専用カードです。
このことは、Webサイトをよく見ないと載っていません。
「リボ払い」は、仕組みをわかっていない人にも自動的に借金をさせる仕組みです。
したがって、リボ専用のカードには、一般のカード以上に詳しい説明が求められます。
「リボ払い専用カード」は世間で数多く発行されていますが、ここまでその表記をわかりにくくしている公式サイトも珍しいものです。
これでは、「リボ専用であることを隠した」という評価を受けても仕方ないでしょう。
「ファミマTカード」を入手した後、Web上の設定で「リボ払い」を回避することは可能です。
ただ、これはほとんどのリボ払い専用カードでも可能(しかも、一括払い設定のないカードでも事実上可能)なことであって、特筆すべきことではありません。
また、初期設定が変わっている点がもうひとつあります。初期設定では、カード代金の支払い方法が「店頭支払いコース」となっています。
ファミリーマートの店頭にある端末「ファミポート」を使って、レジで支払いをすることになります。
口座引落しも選べるのですが、サービスデスクに連絡する必要があります。
このカードを持つ人はほとんどファミリーマートユーザーでしょうから、このような特殊な方式でも困らないのでしょう。
ポケットカードも今後業界再編の影響を受ける可能性がある
ポケットカードの業績を見てみると、2022年2月期のデータをベースにすると年間取扱高は5,342億6,900万円に達します。
このポケットカードですが、今後業界再編の動きの中心になる可能性があります。
というのもコンビニ大手のファミリーマートとスーパーなどを展開しているユニーグループホールディングスが、経営統合の結果、「ユニー・ファミリーマートホールディングス」となったためです。
この結果、「ユニー」傘下であった「サークルK」「サンクス」の店舗も、次々「ファミリーマート」に転換されています。
これにより、「ファミリーマート」は業界2位のコンビニとなりました。
ファミリーマートとユニーの経営統合がポケットカードに与える影響ですが、UCSとの統合が考えられます。UCSとはユニーグループの傘下にあるカード会社のことです。
ファミリーマートの親会社は伊藤忠商事で、ポケットカードにとっては大株主にあたります。
そのようなこともあって、今回の経営統合とは全く無関係というわけにはいかないでしょう。
もし今後ポケットカードとUCSの経営統合が進められたとすると、ポケットカード、UCの両社が合わさると、1兆円規模にまで膨らみます。
以上のことは、統合前からごく普通に想像できたものですが、想像に反しこちらの統合はまったく進んでいないようです。
ポケットカード自体、「ユニー・ファミリーマートホールディングス」からみて持分法適用会社の関係にとどまる以上、コンビニが統合されたからといって、まったく問題の次元は異なるようです。
ポケットカードの筆頭株主である三井住友銀行の意向も無視できないでしょう。
ユーザー目線でみて現実に起こっていることは、コンビニブランドの一方的な統合にすぎません。
「サークルK」「サンクス」で使えたサービスが、「ファミリーマート」に転換されてしまうともう使えなくなるというだけです。
ユニーグループの電子マネー「UNIKO」もそうで、ファミリーマートでは使えません。
そもそも、「サンクス」「サークルK」でもっとも有益に使えたクレジットカードは、UCSのものではなく、グループ外の「楽天カード」でした。
数の多い楽天カードユーザーにとっては、ユニーグループの電子マネーの問題よりこちらのほうがずっと切実でしょう。
「ファミマTカード」の発行をストップし、「UCS」から新たなカードが発行される可能性も
先日、「ファミリーマート」が「Tポイント」から離脱するのではないかという憶測が流れました。
伊藤忠商事社長の発したコメントが原因でしたので、信憑性が高いと考えられたものです。
その後この動きは進んでいませんが、考え方としては、ファミリーマートが「ファミマTカード」を止めて、傘下となった「UCS」から新たなポイント付クレジットカードを発行することに変わったとしても、まったく不思議ではありません。