最近はICチップの付いたクレジットカードが増えてきているね
ICチップってよく耳にしますね。でも今までのクレジットカードとどう違うんでしょう?
ICチップつきクレジットカードは従来のカードよりもセキュリティに優れているといわれているよ。ここで詳しく見ていこう
最近ICチップ付きクレジットカードが主流になりつつあるのをご存じでしょうか。
カードが普及するに伴い、スキミングによる不正利用などのカード犯罪が急増し後を絶ちません。そこで新しくICチップをクレジットカードに搭載することにより、よりセキュリティ性能を上げ安心してカードを利用できるようになりました。では、ICチップ付きクレジットカードとはどのようなものなのでしょうか。
この記事の目次
ICチップと磁気ストライプ
普及が遅れていたICチップですが、今では『Suica』や『ICOCA』など、クレジットカード以外の電子マネーカードにもICチップが利用されるようになり、個人情報の保護やセキュリティの部分では、磁気ストライプよりもはるかに強化されました。政府は2020年の東京オリンピックに向けてICチップつきクレジットカードの普及を目指しています。
70%の普及率を、2020年100%に
現在、国内のICカードの普及率は70%ですが、決済端末のIC対応が遅れています。これらを、2020年にどちらも100%とすることを目指しています。この目標に向けた具体的な実行計画を、クレジットカード会社、加盟店、セキュリティ事業者とともに立ち上げた「クレジット取引セキュリティ対策協議会」で決めました。引用元: そのカード、IC対応ですか?:経済産業省
が、残念ながら現状では普及率が100%とはいえません。まだまだICチップに対してよくわからないとする人も大勢います。
そこで、ICチップとはどういったものなのか、ICチップと磁気ストライプのメリット・デメリットを含め、比べてみたいと思います。
ICチップカードとは
ICチップカードは『接触型』と『非接触型』に分かれ、約1cm四方の基板でできたチップが、カードについています。個人情報からカードの利用歴など、さまざまな情報がこの基板には入っていて、パソコンでいえばハードウェアの部分にあたります。基板の情報の引き出し方の方法が、『接触型』と『非接触型』の2つに分かれます。
- 接触型
- 非接触型
接触型は、クレジットカードをCAT(信用照会端末)などの専用端末へ差し込むなど、機械を通すことで通信を行うモジュール端子(模様が入った金色の部分)をもつタイプのICチップになります。直接機械に接触するので、『接触型』といわれています。
接触型とは違い、ICチップは内蔵されていますが、モジュール端末はありません。また、モジュール端末のかわりにカード内部には、アンテナのような役目をするコイルがあり、カードをかざすだけで無線通信を利用し、情報をひらくことができます。ICチップが内蔵されたSuicaなどの電子マネー、入室管理などのカードに活用されています。
また、非接触型はカードをかざし反応する距離によって、「密着型」「近接型」「近傍型」などに分類されます。
キャッシュカードやクレジットカードなど、よりセキュリティ面を求めるカードには、接触型のICチップが活用されています。しかし、近年では電子マネーを活用する人が増え、接触型と非接触型の2種類のICチップが内蔵された混合型のクレジットカードが普及し始めています。
セキュリティ面が強化されたICチップは、情報量の多さなどを含め磁気ストライプとの差は歴然です。
では、ICチップのメリット・デメリットはどこにあるのでしょうか。
メリット
- セキュリティに優れている
- 暗証番号で決済ができる(サインレス)
ICチップの一番のメリットはセキュリティ面が優れていることです。
「スキミング」という言葉を聞いたことはないでしょうか。従来型である磁気ストライプにある情報を、スキマーと呼ばれる機械によって読み取り、クローンカードを作成し不正利用してしまうという犯罪です。
スキマーにカードを1度通すだけで瞬時に情報を読み取られてしまうので、お会計の目を離したすきや、レストランなどで席についたままウェイターにクレジットカードを渡してお会計を済ませ、戻ってきたときにはスキミングをされている場合など、本人が気づかないうちに犯罪被害に合うケースがほとんどでした。
ICチップ型カードは、カードに記録されたメモリー(情報)に対するアクセスを、パソコンでいう“頭脳”にあたるCPUという部分で制御する仕組みになっています。そのため不正にアクセスし、情報の取り出しや改ざんなどが困難になりました。
ただ、100%の確率で情報を守れるのかとなるとそれはやはり難しく、ICチップ内にある情報を暗号化するなどの対策はされていますが、100%とはいい切れないのが現状のようです。
しかし、ICチップ付きカードが普及した外国では、スキミングの犯罪被害が格段に減少したという結果もあるので、従来の磁気ストライプに比べセキュリティ面で優れているといえます。
磁気ストライプ型のカードでは、必ずカード利用レシートにサインが必要でした。しかし、ICチップ付きクレジットカードではサインの必要はなく、カード発行時に決めた暗証番号さえ入力すればサインレスで決済が完了します。
ただ、店舗側がICチップ対応の機械ではない場合、磁気ストライプでの決済になりサインが必要になります。
デメリット
- 導入コストが高い
- 暗証番号が重要
今まで磁気ストライプで決済を行ってきた店舗でも、ICチップに対応した機種を導入するにはコストがかかります。クレジットカード会社も磁気ストライプ型のカードに比べ、ICチップ型のカードを発行するほうがコストは高いので、日本でICチップカードが登場し始めたころは、カード会社も難色を示していたほどです。そのため、まだ日本では完全に普及したとはいえず、ICチップでの決済ができず磁気ストライプを利用した決済を行う店舗も数多くあります。
クレジットカードの種類に関わらず、付帯されている保険に盗難・紛失保険があるかと思います。
紛失・盗難に気づいて手続きをした日から、さかのぼって不正利用に対し補償してもらえるという保険ですが、暗証番号が漏えい、解りやすい番号(誕生日や電話番号など)にしている場合は、補償されない場合があります。
磁気ストライプ型はサインによる筆跡で本人かどうか判定できますが、基本サインレスで決済を行うICチップ型は、暗証番号を知っているのは本人だけという部分から、“暗証番号決済を行えた=本人である”という認識になるので、補償をしてもらうのは難しくなるのです。
また、暗証番号さえわかればキャッシングや限度額までの商品購入ができてしまうので、暗証番号はとても重要なものになります。
日本ではまだまだ完全にICチップへの移行はできていません。そのため磁気ストライプとICチップの両方が搭載されているクレジットカードが主流になっています。
では、磁気ストライプ型のメリットとデメリットはどこにあるのでしょうか。
磁気ストライプカードとは
磁気ストライプ型のカードには以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- コストが安い!
- 情報量が少ない
- 磁気不良になっても復活する場合がある
磁気ストライプの1番のメリットはコストが安いというところになります。
クレジットカード決済ができる店舗は、最初に決済専用の機械(レジや端末)を導入しなくてはいけません。その導入費用がICチップ対応の機械の方が高く、初期費用が高額になってしまいます。また、すでに機械を導入している店舗が、新しくICチップ対応型を導入する場合にはまたコストがかかります。
クレジットカード会社も初めてカードを発行する場合、カード発行手数料は“無料”としている会社が多く、カードにかかるコストはカード会社が負担することになります。
そしてカードの更新ごとにかかる発行費用は全てカード会社が負担することになるので、コストが高いICチップ型よりも磁気ストライプ型の方がメリットは大きくなります。
ICチップ型に比べ、磁気ストライプに入る情報の量は少なく、万が一不正に情報が洩れてしまっても漏れる情報の量は少なくてすみます。
磁気不良をおこし、クレジットカードが使えないということはよくあります。
ICチップの場合、なんらかの原因でICチップが利用できなくなると復活させるのは難しく、カードを再発行してもらうしかありませんが、磁気ストライプの場合は一時的にですが復活させることができる場合があります。
対処法としては、セロハンテープを磁気ストライプの上に貼る、磁気ストライプを拭く(摩擦によって一時的に磁気が復活する)などがありますが、一時しのぎなので再発行をしましょう。
ただ、店舗などで利用したい時に利用できない場合は困りますので、一時的にでも復活することがあるのは利点といえるでしょう。
デメリット
- セキュリティ面が弱い
- 磁気が弱くなり利用できなくなる
磁気ストライプのデメリットといえば、この1点になるかもしれません。
現在のスキミングによる不正利用の被害の多くは、磁気ストライプによるものがほとんどになります。
基本、専用の機械でなくては情報を読み取れないICチップ型カードに比べ、スキマーによって一瞬で情報を読み込まれてしまう磁気ストライプ型は、セキュリティ面ではデメリットとなってしまいます。
使用頻度が多く経年劣化などにより磁気が弱くなってしまい、ある日突然利用できなくなることもよくあります。
メリットの部分で紹介したように、一時的に復活することもありますが今後また利用できなくなる可能性は高いので再発行が必要になり、カード会社によって違いますが再発行の手数料がかかる場合が多いです。
スキミング対策のためのICチップ
近年では、ATMのカード挿入口にスキマーなどスキミングができる機械が知らぬ間に取り付けられていたり、隠しカメラを設置して暗証番号を盗撮したりと、スキミングの手口が巧妙になっていて素人では気づかない場合が多いです。
また海外で利用する場合は特に気を付けなくてはいけません。
お会計に何気なく渡したクレジットカードをスキミングされていたというケースは多くあります。
スキミング被害に合わないためにも、ICチップへの切り替えは大切です。
磁気ストライプ型のカードとは違い、ICチップ型のカードは決済に暗証番号が必要なので、万が一クローンカードを作成されたとしても、ICチップでの決済は暗証番号が知られない限りできません。
また、ICチップがもつ情報量が豊富で、スキミングの特徴である瞬時に情報を読み込むということができないので、スキミングをすること自体が難しくなりました。
そしてCPUによって、不正アクセスなどの改ざんが難しくなったので、磁気ストライプにくらべセキュリティレベルが格段にあがります。
そういったセキュリティ面を重視したICチップ型クレジットカードへの切り替えが、スキミング対策に大きく役立つのです。
- ICチップカードは『接触型』と『非接触型』の2種類
- 磁気ストライプに比べ情報量が多いからスキミングされにくい
- 暗証番号が非常に重要
- コストがかかるため完全導入には時間がかかる
クレジットカードが使えなくなった!原因は?
今まで使えていたクレジットカードがある日突然使えなくなった経験はないでしょうか。限度額にも達していないのに、「ご利用できないようです。」と店員さんにいわれると、とてもびっくりして焦ってしまいますよね。カードを1枚しか所有していなく、現金も持ち合わせも少なかったのでその商品をあきらめるという経験をした人も意外と多いのではないでしょうか。
クレジットカードの外見上なんの問題もなく、なぜ使えなくなったのか分からない場合、原因としては『ICチップの不良』か『磁気不良』が考えられます。現在のクレジットカードは、磁気ストライプ型とICチップ型の両方を採用しているカードがほとんどですので、どちらが不良になっているのか判断しにくいですよね。
見分ける方法としては次のような方法があります。
ICチップ対応の店舗で利用できなかった場合
今はまだICチップ型と磁気ストライプ型が混合している状態ですので、ICチップでの決済が可能であるお店であれば磁気ストライプでの決済も可能というお店が多いです。両方の決済が可能な店舗で、ICチップでの決済ができなければ、磁気ストライプでの決済を頼んでみましょう。
もし磁気ストライプでの決済が可能であれば、カード自体に問題があるわけではなく、ICチップに問題があることになります。
磁気ストライプのみ対応の店舗で利用できなった場合
この場合は、この店舗だけで磁気ストライプにのみ問題があるのかどうか確定はできません。ICチップにも問題がある可能性もあるので、ICチップ対応の店舗で確認する必要があります。
もちろん、店舗の機械不良という場合もありますので100%判断できますとはいえませんが、判断材料の1つとして考えましょう。
この他に、クレジットカードが使えなくなる理由としては以下のようなことがあります。
- クレジットカードの破損
- カードの汚れ
- 磁気によるデータ破損
- 経年劣化
- 高温になる場所での保管
では、これらのいずれかに当てはまる場合、どのように対処したらいいのでしょうか。
ICチップが汚れたら
汚れた手でわざわざクレジットカードをさわるようなことをする人は、少ないかと思います。しかし長くカードを利用していると、どうしてもついてしまう汚れというものはあります。お財布の中に入れているだけなのにどうして汚れるのかわからないと思う人もいるかもしれませんね。
クレジットカードは、利用するとき必ずカードを手でさわりますし、受け取る店員も手でさわります。その多くは素手で扱う場合は多いです。いくら清潔にしていても、手には油分も汗もありますので汚れがついてしまうのは仕方がないことです。
ただ、その汚れが蓄積しICチップが汚れた場合、データの読込ができない場合があります。
指紋や、なにかの汚れなどがICチップの部分に付着していると、読み取りエラーとなることは多いです。その場合は、乾いた布や眼鏡ふきのような柔らかい布で優しく拭きとりましょう。それでも落ちない場合は、濡れたタオルを固く絞ってから拭く、アルコール除菌を布につけて拭いてみましょう。
クレジットカードの金色のICチップが、まるで黒くサビているかのように汚れてはないでしょうか。実は、サビたように見えるこの汚れも通常であればとれるものですが、中には拭きとれない汚れもあります。
カードにある金色の部分が、金メッキできたモジュール端子になり、その下にICチップがあります。金メッキ自体はとてもさびにくいものではありますが、傷つきやすい金属でもあります。表面にキズができるとそこから湿気や水が入ることによって、下の金属部分がサビてしまい、表面上に浮き出ることがあります。その浮き出た部分がサビているように見える場合があり、布で拭きとっても意味がなく、このサビが原因で読みとりができなくなっている場合もあります。
その場合は、カード自体に最初から不備があった可能性が高いので、「ICチップの不良で使えない」とカード会社へ連絡すれば、ほとんどのケースでは無償で再発行をしてもらえることがあります。
ただ、再発行や公共料金の支払い登録の変更などが面倒な場合、ICチップ付きクレジットカードでも、サインでの支払であれば支払が可能なので再発行はせず、次の更新まで待つ人も多いようです。
強い衝撃、曲げを与えたら
基本、クレジットカードはちょっとやそっとのことでは破損しないような造りになっています。しかし、素材はプラスチックなので強い衝撃をあたえられると、カードの一部が欠けてしまうなどの破損や、強い負荷がかかり曲がってしまう(湾曲してしまう)ということはよくあります。
お財布をズボンのお尻のポケットに入れて、持ち歩いている人も多いかと思います。長時間座ったときなどに曲がってしまうということはよくあります。また、ポケットに入れたままだったことを忘れて洗濯してしまう人も少なくありません。
磁気ストライプ型は、衝撃や変形に対しては強く、黒い磁気ストライプの部分が破損しない限りは利用できることが多いです。それと比べ、ICチップは小さくて薄いですが精密機械と同様、強い衝撃や変形に対して弱く、エラーを起こす可能性が高いという特徴があります。
カードの外見上は全く問題なくとも実は湾曲していたり、衝撃を与えてしまい磁気不良を起こしていたりする場合やカード自体が欠けてしまうことがあります。この場合は、再発行をしてもらう必要があります。
もしクレジットカードの再発行をしてもらわず、テープなどで破損個所を直して利用した場合、ATMや店舗の専用端末から出てこなくなってしまうことがあります。その場合、ATMの業者を呼んで取り出してもらわなくてはいけませんので、業者の到着からカードを受け取りまで時間を取られることになります。また、機械の修理費を請求される場合も多くありますので、補修したカードは利用しないようにしましょう。
また磁気ストライプでの決済をしても、ストライプを通すときに湾曲してしまっていては、うまく読み取れず利用できないということもよくあります。カードの破損や変形に関しては基本的に直せないので早めに再発行の手続きをしましょう。
再発行してもらっても再度同じ保管の方法をとっていては、また破損や湾曲してしまう可能性が大きいので、保管場所を改める必要があります。
擦り傷、摩耗がついたら
手が滑ってカードを落としてしまった!ということは誰にでもあることですよね。アスファルトなどに落としてしまい、キズがついてしまった経験がある人もいるのではないでしょうか。
擦れや摩耗に対しての耐久性は、ICチップ型カードも磁気ストライプ型カードも、弱い傾向にあります。もちろん、磁気ストライプはカードの表面にコーティングがされているので、多少の擦り傷や摩耗であれば問題ない場合が多いです。しかし、ICチップは多少のキズであれば問題なく利用できますが、保護の役目もする金メッキが傷ついて剥げてしまった場合、下の金属の部分がサビてしまい利用できなくなることがあります。
また、擦り傷といっても深くキズついた状態のカードはICチップ型・磁気ストライプ型に関わらず利用できずにエラーがでる場合が多いです。
ICチップがさびてしまい利用できなくなると、再発行しか手立てはありません。磁気ストライプの場合は、黒いストライプの部分が剥げて白くなってしまっていなければ、セロハンテープなどで補強すると利用できる場合があるのでためしてみるのもいいでしょう。
しかしあくまで一時しのぎにしかならず、先にお話ししましたが補強した状態のクレジットカードを、ATMなどの機械に利用をするのはやめましょう。
機械から出てこなくなる恐れがあるほか、もし万が一機械が不正カードとしてエラーを出してしまった場合、今後そのカードは利用できなくなってしまいます。
ただ、傷ができた部分がICチップや磁気ストライプとは限らず、変形や破損もなくカード自体にのみ傷がつき、機能的には何も問題がなく利用できる場合があります。クレジットカード会社によりますが、機能的に問題がないのであれば現状のまま使ってくださいといわれる可能性もあります。
機械に差し込む形で決済することが多く、心配だという人は再発行も可能ですのでカード会社に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
高温の場所に放置したら
「あまり持ち歩きたくない」
「ちょっとした用事だから・・・」
「ETCカードと一体型だから」
と車内にクレジットカードを放置したままにしている人はいないでしょうか。間違って洗濯をしてしまったあと、そのまま乾燥機にかけてしまたり、水にぬれたからといってドライヤーで乾かしたりとしていないでしょうか。
そういったことをしていると、クレジットカードの特性上、熱に弱いので利用できなくなる可能性が高いのです。
ICチップは50℃から60℃と耐熱温度としては低く、真夏では50℃以上にもなる車内に置いたままにしておくと利用できなくなることが多いです。また、同じ車内でもダッシュボードの上や、台の上などは70℃以上になることも多く、カードを置いておく場所によっては利用できなくなってしまいます。
多湿もカードには天敵になります。
カードを利用する以上は必ず細かいキズはつきます。その傷がICチップの部分にある場合、そこから湿気が入り込み、中の基板のサビの原因になることもあります。
また磁気ストライプの特性上、ICチップよりも熱に弱く磁気不良をおこします。真夏に限らず、高温多湿になる場所には保管しないことが大切です。
そして先に少しお話しましたが、クレジットカードはプラスチックでできています。
素材としてはPVC(ポリ塩化ビニル)というものを使用しているカードが多いのですが、PVCが熱で変形してしまうまでの温度が65℃~85℃程度とされています。用途やメーカーによって多少違うようですが、耐熱温度としては低いです。
また、燃えにくい素材ではありますが高温になると軟化しやすい性質をもっています。そのためICチップと磁気ストライプと共に、高温状況で保管していると変形してしまう可能性が高いのです。
一度高温で変形してしまったり、磁気不良をおこし破損してしまったりしたクレジットカードを復活させることはできません。再発行にも時間がかかるので、早急に再発行の手続きをとりましょう。
静電気を与えたら
クレジットカードが読み込みエラーになり、何度も再発行している人はいないでしょうか。これといった原因もわからず、突然使えなくなり不思議に思っている人も少なくないはずです。
実はそういった磁気不良によって使用不可になる原因の1つに『静電気』があります。
冬の乾燥する季節や、ただ物を取ろうと思って手を伸ばしたとき、車のドアを開けるときなど、突然やってくる電流の痛みに驚きますよね。人には帯電しやすいタイプと、そうではないタイプがいます。体質なので仕方がないのですが、時には10,000ボルト以上もの電圧がある静電気は、私達に痛みや驚きを与えるだけではなく、クレジットカードにも悪さをします。
磁気ストライプは静電気による耐久性がとても高く、ほぼ影響がないといえますが、ICチップは静電気にとても弱いです。一時的にでも、ICチップに静電気によって電流が流れると中の集積回路が破損してしまいます。そのため気がつかないうちに、ICチップが破損し使用できないということがおこるのです。
そして静電気など電流が関係してICチップが壊れた場合、素人では修復は不可能です。再発行を依頼するしかありません。帯電しやすい体質など仕方がないこともありますが、中には「何度も再発行をしているヒマはない」とうんざりしてしまう人もいます。
そこで、磁気不良を頻繁におこす人はカードの磁気を守るために、予防策として磁気シールドカードや磁気防止のカードケースなどに入れて持ちあるくことをおすすめします。
他の磁気不良の原因としては、他の磁気カードやICチップと一緒に重ねて保管していた場合や、家電製品などと一緒に保管していた場合、最近ではスマートフォンや携帯電話と一緒に保管していた場合も磁気不良をおこすことがあるとわかっています。磁気不良を起こさないためには、クレジットカードの保管の仕方も気をつける必要があります。
カードの再発行が必要な時は?またその費用は?
では、クレジットカードの再発行が早急に必要な場合や、後に再発行をした方がいい場合は、どのようなときなのでしょうか。
早々の手続きが必要な場合
- クレジットカード本体の破損や変形した場合
- 磁気不良
- ICチップや磁気ストライプの破損
- 紛失・盗難にあった場合
ATMや専用機械へ挿入し利用する場合は、機械への損害も考え再発行が必要になります。
磁気不良をおこしたクレジットカードは、補修によって一時的に回復をすることもありますが基本再発行してもらう以外に解決策はありません。
ICチップや磁気ストライプが破損してしまうと、クレジットカードとしての機能は果たせないので、再発行の手続きが必要になります。
所定の手続きを踏み、再発行の手続きが必要になります。
追々の手続きが必要な場合
- 楽天Edyなど、再発行カードへ移行できない電子マネーの残高がある場合
- 一部の磁気不良などが復活した場合
- ネットや公共料金の引き落としのみの利用
楽天Edy機能付きのカードの多くは、新しいカードへの残高移行はできません。再発行手続きをとってしまった時点で問題のあるカードは、利用できなくなり同時に電子マネーも利用できないので、もし電子マネー決済ができるようであれば、残高を使いきるまで再発行の手続きはしないほうがいいでしょう。
セロテープなどで補修し、一時的に問題なく利用できている場合は今すぐにでも再発行の手続きをとる必要はありませんが、いずれは再発行をする必要があります。
ネットショッピングにのみ利用している場合は、磁気やICチップの破損などは関係なく、カード番号と裏のセキュリティコードさえ明確であれば購入することは可能なので、急いで手続きをする必要はありません。
また、公共料金や電話代など決まった費用を支払うためだけに利用しているのであれば、カードが破損してもそのまま手続きは継続されるので、急いで再発行をしなくても問題はありません。
クレジットカードを再発行するためには、理由に関わらずカード会社へ連絡が必要になります。
一般的にカードの裏に記載されている番号への連絡をすれば問題はありませんが、楽天カードのように自社のWebサイトでの対応を受け付けているカード会社もあります。
そして再発行をするためには、『再発行手数料』が発生する場合が多いです。
三井住友VISAカード
ゴールドカード以上:無料(条件付き)
ライフカード
ゴールド会員:無料
参考: ライフカード公式ページ
楽天カード
口コミや経験談では無料で再発行をしてもらえる場合が多いようです。
参考: 楽天カード利用規約
JCBなどでは、再発行にかかる金額は公式サイトや利用規約にも明記されていませんが、「所定の手数料」がかかるとしているカード会社は多くあります。目安としては500円から1,000円程度の手数料がかかります。
そして再発行といっても、カード入会時と同様に審査をしてから再発行となるので、手元に届くまでに2週間前後と日数がかかります。
ここで注意しなければいけないのが、再発行の場合はカード番号等すべて新しいカードとして発行されるので、2週間程度カードが利用できないことと、公共料金などの支払の手続きの変更が必要になるということです。
タイミングによっては変更が間に合わず、一時的に振込む必要があります。
いずれにしても、再発行には時間がかかるので早めの手続きをしましょう。
まとめ
ICチップの導入で、クレジットカードのセキュリティ性能はぐんと上がりました。キャッシュレス化社会へ向けて大きく貢献した部分でもあります。欧米などではICチップの普及率も高く犯罪被害も激減したとされていますが、日本では犯罪被害は減少しているものの、ICチップの普及率といえばまだまだといえます。大きな理由としては、コストがかかりすぎる点にあります。
カード会社も導入する店舗も従来である磁気ストライプ型のカードを導入するよりもコストがかかり、新規カード会員のため・切り替えのカード会員のために無料でクレジットカードを発行するカード会社にとって、カード1枚にかかるコストが高いことは、頭を悩ませる原因になっています。
かかるコストは磁気ストライプ型カードに比べ高額ですが、それ以上に『セキュリティ面の強化』『犯罪の抑制』に大いに貢献しているICチップは、今後クレジット業界や電子マネー業界などでは主流になるでしょう。
政府は2020年の東京オリンピックに向けて、ICチップ対応の専用機械の導入に対して助成を行うなど、意欲的に動きだしました。今後はさらにICチップ対応店舗も増えるでしょう。