Plastcっていうカード知ってる?
いえ聞いた事ないです。
Plastcは複数のクレジットカード情報を1枚に集約できるスマートカードと呼ばれるものなんだよ。
ちなみにどんな風に使うのですか?
Plastcのカードの下半分はタッチパネルになっていて、そこに自分が持っているカードの情報が入っているから、支払い時にどのカードで支払うか選んで、クレジットカードと同じようにカードリーダーに通して支払い手続きをするだけ。簡単でしょ?
なるほどー、カードを何枚も持っている人にとってはメリットがありそうですね。
ただし、注目を集めていたPlastcというプロダクト、莫大な開発資金の調達に苦労して、最終的には開発元が破綻してしまったんだよ…。
えっ!?
クレジットカードは複数枚持っていると意外とかさばります。
お財布の中が混乱していて、いざというとき必要なカードが出てこないこともあるのではないでしょうか。
そんなニーズに応えるかのように、Apple Pay等、モバイルで使える電子マネーやポイントカードも登場してはいます。
ですがまだ完全にクレジットカードの現物を持ち歩かなくてよい状態にまではなっていません。
そんな状況を解消する、「Plastc」というサービスは非常に貴重なものだったと考えることもできるでしょう。
※しかし現在はもうなくなってしまっています。
この記事の目次
「Plastc」 とは??
Plastcはスマートカードと呼ばれるアイテムの一種です。
母音を補ってプラスティックと読みます。
スマートカードにおいては、複数のクレジットカードをたった一枚のカードに収められるというのが売り物です。
Plastcもその特徴を有しています。
日本円で2万円程度のPlastcを購入すると、20枚のクレジットカードがこの一枚に搭載できます。
ですが、運営会社Plastc.incが資金ショートにより破産しました。
Plastcはもうありませんが、その技術は、Plastcの資産を買い取ったEdgeモバイルが引き継ぐ模様です。
クレジットカード大国である米国では大変期待される存在でしたが、いずれまた新しいスマートカードが登場するかもしれません。
この形式のカード、日本でもいずれ流行するかもしれません。
クレジットカード好きの方なら、その存在を知っておきたいアイテムです。
「Plastc」その革新的な機能とは??
Plastcは、クレジットカードと同じサイズの、プラスチック製カードです。
カードの下半分、通常のクレジットカードなら会員番号や、カードブランドが記載されている部分がPlastcの肝です。
ここが、タッチパネルになっています。
スマートフォンのように、この部分を指でタッチしてスライドさせていきますと、登録したクレジットカードのブランドと会員番号が次々と出てきます。
探しているクレジットカードが表示されましたら、この状態で、表示されたカードとしてお店のカードリーダーを通ります。
つまり、お買い物の決済ができるんだ!
クレジットカードの現物を、コピーして使っているようなものだね。
クレジットカードの現物を使わない決済方法として、Apple Payなど日本でも流行っています。
ですが、Apple Payにクレジットカードを搭載しているように見えても、これは電子マネーとして決済しているだけです。
Plastcの場合、本当にクレジットカードとして決済ができます。
20枚ものカード情報を一括管理!
このように、Plastcに20枚のカードを登録することができます。
登録できるのはクレジットカードに限りません。
- キャッシュカード
- デビットカード
- 社員証等、
- ICチップ
- 磁気
- NFC
- QRコード
など様々な読み取り方式に対応しており、それらの方式のカードになら、ほぼすべて対応しています。
もっとも、クレジットカードでも日本のJCBカードは対象外となっていて、なんでも搭載できるわけではないんだ。
搭載するカードの管理は、登録・削除からすべて、スマートフォンでおこないます。利用履歴もスマートフォンで管理できます。
iPhoneアプリとの連携!!
iPhoneアプリだけではなくAndroid携帯でもそうですが、スマートフォンのPlastc Walletというアプリを使ってPlastcの管理をします。
スマートカードであるPlastcを、iPhoneの付属品のように使えます。設定次第で、Plastcから30メートル離れると通知が来るようにできます。
また、カード紛失時には、カード利用停止の手続きができます。
さらにPlastc Walletで、カード利用履歴やポイントも管理できるよ。
セキュリティ機能も万全!
Plastcの紛失や盗難に遭いますと、大きな被害が発生しかねません。
ですが、複数のセキュリティが備わっています。
まず、タッチパネルを操作する際に4桁の暗証番号を入力します。
ですから、クレジットカードの暗証番号と別番号を設定しておけば、他人が勝手に買い物をしてしまうリスクは低くなっています。
スマートフォンが近くにあるときには、アプリ機能により、暗証番号入力を解除することも可能です。
Plastcが盗難に遭った場合、自動的にロックされる機能が付いています。
普及のためには問題点も?
このように便利な、Plastcなどスマートカードですが、特に日本での普及には問題もありそうです。
日本におけるクレジットカードの平均所有枚数は2.5枚です。
多数を占める2枚持ちの人にとって、クレジットカードを20枚搭載できる高額のアイテムがどれだけ役に立つものでしょうか。
また店員のほうにしてみれば、カード現物ではない、スマートカードを提示されても困ってしまうのではないでしょうか
クレジットカードの現物と違い、裏には本人のサインもないわけです。
受け入れを拒否しても当然とも思えます。
従来のシステムだと、本人であることさえ確認していれば盗難カードであったとしても免責がなされるよね。
けれどスマートカードが他人のものだったとしたら、今まで通りに免責がされるか不安という声もあるんだ。
カード会社から代金を支払ってもらえないのはお店側としては非常に怖いですもんね。
客側でトラブルを避けようとするなら、結局カードの現物を持ち歩かねばならず、スリム化には貢献しないかもしれません。
「Plastc」以外にも実は・・・
クレジットカードを一枚にまとめるスマートカードは、Plastcだけでなく、他にも存在します。
「Coin」などこのジャンルの先駆けですが、すでに倒産して消滅しました。
こちらも、日本円で1万円以上するカードに、8枚のクレジットカード等を搭載できるものでした。
次に、まだ存在している「SWYP」です。
機能はCoinと似ていて、ボタンでカードを選択します。価格も同程度です。
こちらには、25枚までカードを搭載できます。
クレジットカードだけでなく、Plastcのようにデビットカードやキャッシュカードも搭載できるよ。
これらのカードと違う特性として、パネルで操作を可能とし、さらに磁気ストライプ以外のカード情報に対応できたのが、Plastcの強みでした。
- バーコード
- チップ&PIN
- 非接触IC
という新たな技術を搭載していました。
現在発行されているスマートカードでは「Stratos」というものもあります。
しかしPlastcが破産してしまいました・・・
画期的な発明であるスマートカードのPlastcですが、資金ショートにより2017年4月にあえなく破産となりました。
すでに払い込んだ代金が返ってこない被害者も数多く、日本にもいます。
会社の放漫経営として、問題は多数あったでしょう。
よく考えてみれば、技術の粋を集めたこのスマートなアイテムの消滅は、当然のことにも思えるよね。
例えばクレジットカードを利用した買い物は、Web通販など典型的だけど、現物を使わない方法が増えてきている。
確かにそういった点ではスマートカードの方向性は正しいのかもしれない。
けれど、2万円近い定価を出してわざわざ購入するほど、世に欠かせない必須の仕組みだとは断言できないよね。
クレジットカード大国アメリカでも20枚ものカードを一枚にまとめるという需要が、それほど大きなものなのか疑問が残るね。
また、日本において、スマートカードが今後重要なアイテムになる可能性はそれほど高くないように推測されます。
なぜなら現在、日本でもすでに、スマートフォンによって多くの電子マネーを実質的に併用して使えるようになっているからです。
電子マネーを併用することで、結果的にクレジットカードを持ち歩かず、複数使うことがすでにできています。
ひとつのスマートフォンにおいて、以下の電子マネーのすべてを使うことが現在可能です。
- iD
- QUICPay
- Suica
- Waon
- nanaco
- 楽天Edy
- Tマネー
この電子マネー用に、それぞれ別のクレジットカードを紐づけて使うことができます。
ポストペイ型の電子マネーなら、電子マネーの利用と同時にクレジットカードで決済することができますし、プリペイド式の電子マネーなら、クレジットカードからチャージをして使うことができます。
日本でもすでに、スマートフォンがあれば異なる7種類のクレジットカードを(持ち歩かず)利用した決済が可能だよね。
この数はさらに増えていくだろうね。
そして、これらの電子マネーはほぼ無料で利用できて、どれで決済するかの選択も一瞬です。
その中で、わざわざ大金を出して、クレジットカードをまとめるメリットが、いったいどれだけあるでしょうか。
まとめ
すぐれた技術を持つPlastc等のスマートカードですが、次々と破綻するところからしますと、開発の方向性が微妙に間違っているのでしょう。
スマートフォンを使う仕組みも画期的ですが、どうせスマートフォンを使って管理するのなら、それを使ってお買い物までできるほうが便利です。
Apple Payやモバイル決済が流行っているのは自然なことで、それと比べるとスマートカードは手数が多いものです。
恐らく、一枚のカードにクレジットカードをまとめようという発想自体が、最先端のもののようで、そうではないのでしょう。