この間、初めて耳にしたんですけどプロパーカードっていう言葉。あんまり聞き慣れない言葉ですよね?
クレジットカードにこだわりがなければ深く知る必要はない言葉だけど、何かあったの?
同僚の一人が食事のお会計時にアメックスのゴールドカードを使っていて、周りの誰かが「オレも持ちたい!プロパーカード!」とか何とか言ってたんですよね。
プロパーカードねえ。確かにゴールドカードと聞くと高ステータスのイメージがあるよね。
けど、最近だと様々なカードが誕生した影響もあってか、いわゆるゴールドカードが以前より簡単に作れる傾向にあるよ!何で作りやすくなったのかというと、提携カードが一昔前よりも普及しているからね。
えっ、そうなんですか!それじゃあゴールドカードってすごくないって思われるじゃないですか!
それはカードによりけりだけど、今は各カード会社が色んなゴールドカードを発行しているからね。ゆいちゃんの言うとおり、プロパーカードなどの価値・ニーズが低下しているとここ数年言われているよ!
そもそもプロパーカードとは何のことなのでしょうか。提携カードの数が増えることでプロパーカードへはどのような影響が及ぼされるのでしょうか。
このページではプロパーカードについてあらゆる角度から徹底的に検証しています。メリットやデメリットを知ることで、
・「提携カードよりはプロパーカードのほうがいい」
・「プロパーカードよりも提携カードのほうがサービスがいいから私には合ってるかもしれない」
と分けて考えることができれば、私たちのカードの選択の幅が広がっていくでしょう。
この記事の目次
プロパーカードと提携カードの違いとは?
普段利用しているクレジットカードには
- プロパーカード
- 提携カード
の2種類のカードがあります。
この2種類のクレジットカードについて、利用する側が特に意識する必要はありませんが、「プロパーカードは何か」「提携カードとプロパーカードはどう違うのか」などの疑問の答えを知らないよりは知っておいたほうが、よりクレジットカードについての理解が深まりますよ。
そこでプロパーカードと提携カードの違いを下のように分類してみました。
プロパーカード | 提携カード |
---|---|
国際ブランドが直接発行しているカードのこと。クレジットカードを直接発行しているブランドはアメックス、ダイナース、JCBの3つ。 |
三井住友カードや楽天カード、セゾンカードといった各カード会社がブランドと提携して発行しているカードのこと。 |
◆メリット ・ステイタス性が高い ・誰の前でも堂々と使用できる ・サービス内容、各種補償も充実 ◆デメリット |
◆メリット ・年会費が安い ・ポイントが貯まりやすい ・自分の生活に最適な1枚を探せる ◆デメリット |
上のように私たち利用する側のメリットを考える上でもプロパーカードと提携カードの違いを理解しておいて損はありません。
プロパーカードはステータス性が高いとされていますが、その理由については、後述します。また、プロパーカードは近年、減少傾向にあるという気になる点について探りつつ、プロパーカードの価値が下がっているという点についても詳しく考察していきます。
そもそもプロパーカードとは何のこと?
国際的に通用するクレジットカードには、もれなく国際ブランドのロゴマークが付いています。
国際ブランドとは、クレジット決済システムをクレジットカード会社に提供する会社のことです。多くはこのクレジットカード会社が国際ブランドとライセンス契約をして、国際ブランドのロゴの付いたクレジットカードを発行しています。
その一方で国際ブランド自らが発行しているクレジットカードがあります。それがプロパーカードなのです。
そして、国際ブランドの一つである、JCBは自らクレジットカードを発行しているのでプロパーカード発行会社ということになるのですが、クレジットカード会社と提携して、その会社もJCBブランドのクレジットカードを発行しています。
また、クレジットカード会社が発行しているカードのことをプロパーカードと呼ぶときもあります。
このようにプロパーカードの意味も複雑になっているのですが、ここでは広義のプロパーカードと狭義のプロパーカードの意味について詳しく解説し、プロパーカードの存在意義についても考えていきます。そして同時に、提携カードとプロパーカードの違いについても述べていきたいと思います。
広義のプロパーカードと狭義のプロパーカード
国際ブランド自らが発行しているクレジットカードをプロパーカードと呼んでいます。
このプロパーカードには狭義の意味と広義の意味があります。
まずは狭義のプロパーカードについて説明します。狭義の意味では、7つの国際ブランドの中で、3社の国際ブランドが発行するクレジットカードを狭義のプロパーカードと呼んでいます。
一つ目はJCBが発行するクレジットカードです。
JCBは、日本で唯一の国際ブランドです。
JCBが独自に発行するクレジットカードは、国内でステータス性が高く人気のあるクレジットカードです。JCBオリジナルシリーズやJCB EITカードなどがJCB発行のプロパーカードです。
二つ目は、American Expressカードです。
通称アメックスカードと呼ばれているクレジットカードで、これもアメックスが独自に発行しているプロパーカードです。
三つ目はダイナーズクラブカードです。
ダイナーズクラブが独自に発行しているクレジットカードです。
以上のように、決済システムを提供している国際ブランド自らが発行しているクレジットカードを狭義のプロパーカードと呼んでいるのです。
そして、狭義プロパーカードがある一方で、広義のプロパーカードが存在します。
プロパーカードの定義については「国際ブランドが自ら発行しているクレジットカード」と上述しました。これは狭義のプロパーカードなのですが、もう一つ、広義のプロパーカードについて説明をします。
それは「国際ブランドは持っていないけれども、自社で発行しているクレジットカード」です。
これは、具体例を挙げるとわかりやすいのですが、日本で代表的なクレジットカード発行会社に三井住友カード株式会社がありますよね。この三井住友カード自体は、独自の国際ブランドを持っていません。一方、国際ブランドであるVISAは世界中のありとあらゆる場所で使える決済システムの提供者です。
そこで三井住友カードがVISAが保有している決済システムの使用権の供与を受けて「三井住友VISAカード」を顧客に発行しているのです。
三井住友VISAクラシックカードはVISAブランドのクレジットカードとして国内では、圧倒的な知名度があります。
「国際ブランドが発行しているクレジットカードではないからプロパーカードではないのでは?」という意見もありますが、知名度の高さ、さらにはクレジットカード会社としての規模を考え、それが「広義」という意味でプロパーカードと呼ばれるケースもあるのです。
三井住友カードの他にも、イオンカードあるいはセゾンカード、楽天カードなどもプロパーカードと考えることができます。
もちろんこれらのクレジットカードも自社で国際ブランドのライセンスを保有していないクレジットカード会社です。
これらは国際ブランドと提携(ライセンス契約)をしていて、提携カードだと言えるのですが、イオンやセゾンなどのクレジットカード会社が発行するクレジットカードも広義の意味でプロパーカードと呼ばれたりします。
一般的に国際ブランド自ら発行する狭義のプロパーカードはステータス性が高いとされているのですが、国内においては銀行系の三井住友カードが発行する広義のプロパーカードも負けず劣らずステータス性の高いプロパーカードとなっているのです。
プロパーカードの存在意義
プロパーカードと提携カード、クレジットカードは発行元によって呼び名が変わります。
広義の意味で多くのクレジットカードがプロパーカードと呼ばれることで、プロパーカード自体の定義が曖昧になってしまいがちです。
一般的に広義のプロパーカードは、三井住友カードなど歴史のあるクレジットカード会社が発行しているものを指すことが多くなっています。
プロパーカードが必要とされるわけ
ただ利用するだけでしたら、プロパーカードか提携カードかということは問題ないように思えます。では、プロパーカードでなくてはならないという意義はどういったものがあるのでしょうか。
まず、プロパーカードの大きな特徴ですが、それはステータスの高さです。世界に7つしかない国際ブランドが自ら発行するクレジットカードと考えれば、そのステータス性はかなり高いことが窺い知れます。
ステータス性の高さは、審査に通りにくいクレジットカードであることを意味しています。
つまり、プロパーカードを持つということは、そのプロパーカードを持っている人のステータスも同時に表します。プロパーカードを店頭で差し出すときに、優越感に浸ることができるのもプロパーカードを持つ人のメリットと言うことができるでしょう。
ビジネスマンなら尚更ですが、プロパーカードは自分の身分証明書という役割を持たせてくれるのです。
加えて、プロパーカードは保有する人の所有欲を満たせてくれるような様々な優待サービスがあります。空港の高級ラウンジを無料で利用できるのがその大きな例と言ってもいいでしょう。
また、プロパーカードを利用する際のデメリットとして年会費の高さが挙げられます。実際にAmerican Expressカードやダイナーズクラブカードなどは年会費が1万円あるいは2万円を超えています。
一方で、高額な年会費を負担できる金銭的に余裕のある人がプロパーカードを利用することでさらなるステータス性を高めているという面もあるのです。
一般的に言われていることですが、プロパーカードは他のクレジットカードと比べて内容について特に違いはありません。申込み方法や、利用するにあたっての限度額なども変わりはありません。違う点は国際ブランドが発行しているかどうかという一点になります。そこにステータス性を求めている人がいて、それがプロパーカードの存在意義となっているのです。
プロパーカードと提携カードのメリット・デメリットを比較しよう
プロパーカード
プロパーカードは国際ブランドあるいはカード会社が自ら発行しているクレジットカードです。スタータス性の高さはもちろんですが、付帯サービスも総合的に考えてとても充実したものとなっています。
付帯サービスの一例
- 国内・海外旅行傷害保険
- ショッピング保険
- 不正利用保険
- ポイントサービス
など
保険関係については補償額が高くなっているので、あらゆるシーンにおいて安心感が違うと言ってもいいでしょう。あらゆる付帯サービスが付いているので日常のシーンの中でお得になることは間違いありません。
その一方で当然のことながら自分からこれらのサービスを利用しないとそのサービスの恩恵を受けることができないのは言うまでもありません。
一般的にプロパーカードは審査が厳しいという意見もあります。
また、ステータスはクレジットヒストリーで自ら積み上げていくものです。
もっとも、プロパーカードの中でもAmerican Expressカードやダイナーズクラブカードは富裕層の顧客をターゲットにしているので、審査基準も厳しいものとなっています。
そのため、American Expressやダイナーズクラブカードの一般的なカードでもステータス性が飛び抜けて高いカードとなっているのです。
プロパーカードは付帯するサービスが総合的に安定しています。もちろんこれらは利用しなければ意味がないのですが、充実した付帯サービスを利用したいという人にとっては、使い勝手のあるクレジットカードであることは間違いありません。
プロパーカードの年会費の高さをデメリットとしてあげる人もいますが、利用の仕方によっては無料にすることができますし、年会費についてはクレジットカードのグレードによって様々です。
プロパーカードのメリット
- カードのスペックが高い。各種付帯サービスが充実している
- 敷居の高い場所でも堂々と使える。
プロパーカードのデメリット
- 年会費が高い
- ポイント還元率が良いカードが少ない
- キャンペーンやポイント還元特典が少ない
提携クレジットカード
提携クレジットカードの特徴は、発行する企業に特化したサービスを受けることができることです。
その他の特徴としてはポイントの還元率です。広い意味ではプロパーカードと呼んでもいい楽天カードなどは、自らもつ楽天市場の加盟店での買い物などでポイント還元率がかなり高くすることができます。
このポイント還元率は0.5%が普通とされている中で5%あるいは6%にもなります。ポイントを集めるには、楽天カードのようなクレジットカードのほうがもっともメリットが高いと考えていいでしょう。
楽天カードを例にあげましたが、イオンカードやセゾンカードなど流通系のクレジットカードは自社製品についてポイントを付けやすく、商品の販促の意味でもとても使い勝手の良いクレジットカードとなっています。自分自身の生活環境の中でイオン系列のお店が多いのでしたら、イオンカードがお得となるでしょう。
どのクレジットカードにしようか迷ったときは、プロパーカードという名をとるのか、生活に特化できる提携カードを取るのかという二つの選択肢があるということになります。
提携カードのメリット
- 年会費が安い
- ポイント還元率が高くてお得
- 頻繁に使うお店のカードなど自分の利用シーンに適した1枚を見つけやすい
提携カードのデメリット
- デザイン性、ステイタス性に欠ける
- 付帯保険などサービスの充実度はプロパーカードには及ばない
プロパーカードの価値が低下している?
「一度は手にしたいプロパーカード」かつてはそう呼ばれていた時代もありました。もちろん現在もステータス性の高いクレジットカードの誉れが高いのですが、そのプロパーカードの価値が低下傾向にあるのでは、といった声もあります。
プロパーカードにいったい何が起こっているのでしょうか。
一昔前では、American Expressカード、さらにはダイナーズクラブカードを持っている人を見ると、
「さすがセレブは違う」と思う人が少なくありませんでした。
しかし現在だと、
「見飽きた、あるいは見てもたいして何も思わない」という人が現われてきました。
これはクレジットカードのブランドよりも実用性を求める時代の証左なのかもしれません。
一体プロパーカードに何が起こっているのかを紐解いていきます。
競合他社などの増加で利用者のカード選択肢が広がっている
世の中にはたくさんのクレジットカードが存在しています。その多くが提携カードと呼ばれているクレジットカードです。
提携クレジットカードには、発行するクレジットカード会社のサービスの他に、提携する企業の特典やサービスなどを受けることが大きなメリットとなっています。
そうなるとプロパーカードの魅力はどこにあるのでしょうか。
提携のクレジットカードと比較してもポイント還元率が高いわけではありません。そして、年会費がかかることが多く、現在の年会費無料のクレジットカードに多くの人が関心を寄せている時代に逆行しているとも言えます。
プロパーカードの価値が相対的に低くなっている理由は次のようなことが考えられます。
- 年会費無料カードに多くの人が興味を持っている
- 一昔前より多くのクレジットカードが発行されている
- 付帯保険の金額が大きく、旅行時のサービスも手厚い。
- 様々なクレジットカード会社が多彩な特典やサービスなどを展開している
- 提携カードは属性にこだわらず、よりたくさんのカード会員を募っている
プロパーカードの様々なサービス、例えば付帯保険などが充実していて、海外旅行に強いとされているのですが、海外旅行に行かなければ充実した付帯サービスも絵に描いた餅でしかありません。
そのような中で、プロパーカードは旧態依然としたクレジットカードの発行を行っているだけでは、提携クレジットカード会社の一人でも多くのカード会員を募ろうという姿勢に負けてしまうのも仕方がないと言えます。
また、プロパーカードの中でもグレードの高いゴールドカードなどの価値の低下が言われています。それは簡単に言うと、「誰でも持てるクレジットカード」に成り下がったのが最大の要因と言えそうです。
ゴールドカードはプロパーカードだけのものではありません。提携クレジットカード会社からもたくさんのゴールドカードが「乱発」されているのです。それ故にゴールドカードは誰でも持てるというイメージを抱かれてしまっているのです。
当り前の話なんだけど、ゆいちゃんは誰でも購入することのできるバッグに高級感やステータスを感じる?
感じないですね。
だよね。こういったことがカードの世界でも現在起きているんだ!
とはいってもアメックスやダイナースなど歴史あるカードはまだまだステータス性が高いけどね。
プロパーカードのほうが相対的に提携クレジットカードよりもステータス性は高いとされているのですが、それも実際にクレジットカードを利用している人にとって、大きな意味を持たないのも事実です。
利用しやすいクレジットカードが最上と考える人が多くなればなるほど、プロパーカードの価値というのは相対的に下がっていくのは間違いありません。
もちろん審査に通らなければゴールドカードを持つことはできないのですが、ゴールドカードを持つ垣根というのは確実に低くなっているのは間違いありません。
誰でも持てるというのは少々言い過ぎかもしれませんが、「持ちやすくなった」のは事実であり、それがプロパーカードの価値の低下を招いているのは間違いないと言えるでしょう。
プロパーカードのニーズが低くなるのは社会全体の流れ
日本国内のクレジットカードの保有枚数は、一人当たり3枚程度となっています。これは世界的に見ても決して低い数字ではありません。
しかし、クレジットカードの保有率はともかく利用率となると、世界的に見ても後進国となっているのが日本のクレジット業界の現状です。クレジットカードの保有率の高さは今に始まったことではなく、この何年も前から、クレジットカードの保有率の高さは指摘されてきました。
これは、比較的誰でもクレジットカードが持てるということも関係していることでしょう。
- 保有率は高い。一人当たり3枚程度
- 先進国の中でもクレジットカード利用率は低い
- クレジットカードを持っていてもあまり使わない人が多い
- 属性に関係なく誰でも持てるもの
クレジットカードは、安定した収入がでなければ持てないとされているのですが、その審査基準は曖昧で、フリーターでも持てる、あるいは無職でも持てるクレジットカードが現に存在しています。
収入のない学生や主婦でも持てるのであれば、クレジットカードの保有に関してのハードルはとても低いと考えていいでしょう。
かつて、収入が無いとクレジットカードが持てないという時代があったことを考えると時代の流れを感じる人も少なくないのではないでしょうか。
そして、昨今では、ステータス性の高さに定評のあったプロパーカードの価値の低下が盛んに叫ばれるようになりました。
ダイナーズクラブカードやAmerican Expressカードなどは通常のカードでもステータス性が高いです。そしてこの2社と日本の国際ブランドであるJCBは自らクレジットカードを発行しているプロパーカードとしても有名です。
JCBの一般カードは通常の提携のクレジットカードよりも多少ステータス性が高いといったクレジットカードです。
その一方で、American Expressカード、ダイナーズクラブカードは一般のカードでもステータス性の高さには定評があります。年会費がAmerican Expressカードで1万円、ダイナーズクラブカードでは2万円を超えるのですからそのステータス性の高さは言うまでもありません。
各カードのスタンダードカードを比べてみれば一目瞭然です。
カード名 | 年会費 |
---|---|
American Expressカード(グリーン) | 13,200円(税込) |
ダイナーズクラブカード | 22,000円+税 |
JCB一般カード | 初年度無料、次年度以降1,250円+税 ※2つの条件を満たせば翌年の年会費も無料 ・MyJチェックへの登録 ・年間50万円(税込)以上の利用 |
アメックスカードとダイナースの2社は審査も厳しいという評判なのですが、現在では、審査が以前より厳しくなくなったという声が聞こえ始めています。
ステータス性が高さからこの2社のクレジットカードを持ちたいという人はまだ多くいますが、一般的に考えて、カードの保有がしやすくなればなるほどプロパーカードのステータス性は低下します。
また、アメックスやダイナースの2社についてはゴールドカードについてもステータス性の低下が指摘されています。
サイフの中にあるだけでも輝いていた時期もありますが、今ではクレジットカードにステータス性を求める人が少なくなっているのが現状といえます。
クレジットカード会社としては、プロパーカード、その中のゴールドカードの年会費が特に大きな収益源となります。よって日本のように保有率は高くても、利用率が極端に低い国については、年会費で会社の収益を保たなければなりません。
かつては、ゴールドカード、さらにはその上のプラチナカードを所持すれば、ハイソな世界の仲間入りをしたという優越感に浸ることができました。
しかし、クレジットカードの利用率が低く、いたずらに年会費だけを支払っていると感じるようになる人が増えれば、必然的にプロパーカードは減少していくことでしょう。
こういった動きは社会的な流れと言えるかもしれません。
申込資格の大幅緩和などの影響
国際ブランドが発行するクレジットカードということで、プロパーカードは一般的に審査が厳しいイメージがあります。
そのため、一定の年収が必要で、どのくらいの年収があればプロパーカードを持てるのかが気になるという人も少なくないでしょう。
プロパーカードは提携のクレジットカードと比較して、審査基準が高いのは事実です。もっとも、これについては過去形で表現したほうがいいかもしれません。最近では、プロパーカードは審査が通りやすくなっているのです。
ステータスカードを持っているだけで社会的信用が高くなるので、エリートビジネスマンなどはこぞってこれらのプロパーカードを保有していた時代がありました。
American Expressカード、ダイナーズクラブカードなどは年収制限があり、さらには勤務年数の下限が決まっているとされてきましたが、近年、公表されてはいませんが、これらの申込み資格が大きく緩和されていると言われています。
誰でもこれらのステータスカードを持つことができるというわけではありませんが、審査の基準が緩くなっていれば、以前審査に通らなかった人もカードを持つことができるようになります。
何故なら、こういったクレジットカード会社にとって年会費は収益の柱であるからです。
そのため、American Expressカードもダイナーズクラブカードも新規会員の獲得に躍起になっているのではないでしょうか。
もう一つのプロパーカードであるJCBカードは一般カードなら、審査基準もその他の提携のクレジットカードと変わりはありません。年会費はかかりますが、付帯するサービスの補償が厚くメインのクレジットカードとしての実力は間違いありません。
- 昔は審査基準が厳しく、ステイタス性を保っていた
- 提携カードとの競争が激化し、利益率が下がった?
- プロパーカードも収益向上のために新規会員の獲得を増やしたい
- そのため審査緩和の動きがあったのかも
いずれにしてもプロパーカードは以前よりも格段に保有しやすくなっているのは間違いありません。
事故情報がなく、ある一定の収入があれば、誰でも持てると言ったら言い過ぎになるかもしれませんが、それほど現在のプロパーカードは保有しやすくなっているのです。
相対的にその価値を落としているプロパーカードですが、American Expressカードやダイナーズクラブカードの年会費は昔も今も高止まり状態となっています。
年会費が高いことがプロパーカードの生命線と考えるとそれも致し方ないのですが、誰もがクレジットカードを持つことができ、さらにその上のゴールドカードを持つことができるようになった昨今では、一般のプロパーカードが他社のゴールドカードに匹敵するというのも、過去の話になりつつあるのではないでしょうか。
海外のプロパーカード事情との比較
日本国内では、多くのクレジットカード会社が乱立しています。相対的にプロパーカードの発行枚数は減少し、そのステータス性は下がっているのが現状です。
それでは、海外のクレジットカードはどのようになっているのでしょうか。
クレジットカードの本質は、クレジットカード利用者の信用に基づいて発行される利用代金が後払いとなっているカードです。
クレジットカードの利用者は一定の条件(有効期限、利用限度額、会員規約など)の下で、クレジットカードを利用して、代金後払いで商品を購入し、さらにクレジットカード発行会社からのサービスを受けることができるのです。
これは、国内でも海外でも同じことが言えるのですが、国内にいるよりも海外のほうが、クレジットカードの恩恵を強く感じることができます。それほど海外ではクレジットカードを持つということがその人の信用性につながっているのです。
海外でのプロパーカードの位置付けですが、海外では日本発のJCBカードを除くと、American Expressカード、ダイナーズクラブカードの二つがプロパーカードということになります。これら二つのクレジットカードは、一般カードでも、他の国際ブランドと提携しているクレジットカードのゴールドカードに匹敵すると言ってもいいでしょう。
海外では、ゴールドカードはかなりステータスの高いクレジットカードとして認識されていて、ゴールドカードを持っているということが厳しい審査にパスした証として、それを所有している人は信頼してもよい人と判断される傾向があるね。
ゴールドカードは身分証明書に近いって聞いたことがあります。
日本では比較的ゴールドカードを持つことは難しいことではないよね。もちろん安定した収入や利用頻度の高いクレヒスなどが必要となるけど、カード会社によってはゴールドカードの審査はそれほど厳しいものでもないんだよ。
それが海外では国内とは事情が異なってくるのです。プロパーカードの中でもゴールドカードということになると、世界的にも知名度が高くなります。現在はゴールドカードでも写真付きのものが現われています。
海外では、日本よりもクレジットカードの利用率が高くなっています。もちろん誰もかれもがクレジットカードを使うというわけではありませんが、日本では考えられないような使い方、つまりは、100円の買い物でもクレジットカードが使われるのです。
クレジットシステム自体が日本とは違う場合があるので(手数料が利用者負担であるなど)一概には言えませんが、キャッシュレスでも十分に生活できる環境が整っている海外においては、クレジットカードのステータス性はかなり重視されるのは間違いありません。
まとめ
プロパーカードというのは定義が曖昧で、なかなか意味をつかみにくいかもしれません。
単に国際ブランドが自ら発行しているクレジットカードと考えれば話は簡単です。そうなるとJCBとAmerican Expressカード、そしてダイナーズクラブカードの3社になるからです。
しかし、広く考えると三井住友カードはクレジットカード発行会社ですが、国際ブランドのVISAと提携して自らクレジットカードを発行しているので、これもプロパーカードということになります。
純然たるプロパーカード(JCB、American Express、ダイナーズクラブ)はその発行数が減少傾向にあります。先述したように相対的なプロパーカードの価値の低下といった背景もあるのですが、クレジットカードを利用する側のクレジットカードに対する価値観の多様化などが大きいとされています。
価値観の多様化というのは、
- 家計の節約のためにポイントの還元率の高い1枚を選ぶ
- ステータス性よりも利便性を重視する
といった現実的なクレジットカードの使い方を優先するということです。
特に日本ではクレジットカードの利用率が低いので、年会費などが収益の大きな柱となっているのですが、年会費は無料のものがいいという考えが多く、そこにも、クレジットカード利用者と年会費を重視しているプロパーカードを発行する側との考え方の違いが大きくなっているのです。
プロパーカードはステータス性の高いカードとして所有欲を満たせてくれる時代もありましたが、そういった名前よりも身を取る現実的な考え方が増えているのもプロパーカードの減少に拍車をかけていると言えるのです。