英会話教室の先生からアメリカのクレジットカード事情は、かなり日本と違うと聞いたのですが本当ですか?
本当だよ。カード社会のアメリカでは、日本よりもクレヒスが厳しくみられているんだ!
詳しく教えてください!
世界でも有数のクレジットカード社会と言われるアメリカ。カード発祥国ということもあって、その普及率は日本の比ではありません。
「現地で恥ずかしい思いをしないためにも前もって勉強しておきたい」
そんな方も沢山いらっしゃるはずです。
そこで今回はアメリカのクレジットカード事情を中心に、私たちが渡米前に準備しておくべきこと、知っておくべきことを紹介していきましょう。
今回の記事を読んでおけば、アメリカに旅行や留学、出張で出かけたときも安心です。
この記事の目次
アメリカはカード社会!クレジットカードが必須!
冒頭で紹介したように、アメリカはクレジットカード社会と言われているほど広く活用されています。
日本は世界的に見ても『現金至上主義』が強く、普段からクレジットカードを持ち歩く人はあまり多くはありませんよね。
ですがアメリカに渡るとその状況は一変します。
まずはなぜアメリカがカード社会だと言われているのか、その背景や実態から見てみましょう。
現金をあまり持ち歩かないのが一般的!必要最低限だけ!
アメリカではあまり現金を持ち歩かないのが一般的です。
もちろん全くもっていかないわけではないのですが、本当にごく少量だけ、必要最低限だけを所持する文化が根づいています。
偽札防止、現金の盗難対策といった意味合いが含まれています。
世界の先進国であるアメリカもやはり少々物騒な部分があるなと実感させられますね。
そういった意味では、日本が世界でも有数の『安全な国』と評価されているのも少し納得がいく部分があるのではないでしょうか。
持ち歩くお金は
- 緊急時の電話代
- ホテルやタクシーの運転手などに支払うチップ
- カード払いに対応していないお店での少額買物
といった場面で使われます。
デビットカードも広く使われている
日本ではあまり普及していないデビットカード。これはデビットカードに関連づけられる銀行口座等から直接引き落として料金を支払うためのカードになります。
つまり登録した金融機関の口座残高の範囲内で買物をするためのカードですね。
クレジットカードの場合、審査が必要になるので誰でも必ず作れるわけではありません。
それは日本でもアメリカでも同じことですね。
それにクレジットカードは基本的に高校生を除く18歳以上でなければ申し込みができません。
しかしデビットカードは15~16歳以上から持てるものも多く、利用者の幅が広いのも選ばれている理由の1つとなります。
こういった事情もあり、アメリカではデビットカードも頻繁に使われています。
カードが身分証明代わりになっている
日本は運転免許証や保険証が一般的な身分証明証として用いられていますが、アメリカではこれらよりもクレジットカードの方が重要度の高い身分証として機能しています。
その理由は以下の2点が大きいです。
・支払いはカード会社が行ってくれる(支払い不能な事態を避けられる)
実際にアメリカのホテルに宿泊してみればわかるのですが、ほぼ決まってクレジットカードの提示を求められます。
どうしてなんですか?
宿泊時にデポジット(預り金)を基本的にカードで支払わなくてはならないからだよ。
カードではなく現金で支払う場合、デポジットの金額が跳ね上がる可能性が高いです。
しかもグレードの高いホテルほどその傾向が顕著。
つまり何が言いたいのかというと「アメリカに行くなら身分証明書の意味合いも込めてクレジットカードを持っていく必要がある」ということです。
アメリカのカードの基礎知識
ここからはアメリカのカードの基本についてみていきましょう。
日本のクレジットカードの使い方とは少々異なる部分もあります。
アメリカではリボ払いが基本
日本は一括払い、あっても2回払いくらいで済ませることが多いですが、アメリカはリボ払いが基本になっています。
リボ払いでは『ミニマムペイメント』という、毎月最低でも支払わなくてはならない額が決められています。
もちろん人それぞれ返済額は異なりますが、ミニマムペイメントの分しか支払わないアメリカ人も多いようです。
支払い期間が長くなればその分利子が発生。
さらにミニマムペイメント分しか支払っていないなら利息分しか返済できないケースも考えられます。
つまり、いつまでたってもクレジットカードの支払いが終わらない状況が懸念されますね。
後述するクレジットカード債務者が増えている原因の1つと言えます。
生活費を複数枚のカードで支払うのが一般的
アメリカ人の大半が複数枚のクレジットカードを所持していて、複数枚のカードで生活費の支払いを済ませるのがごくごく一般的です。
複数枚のカードがあれば、食費、生活費、衣料費などをそれぞれで支払えます。
先述したようにアメリカではリボ払いが基本となっています。
カードごとにそれぞれリボ払いで済ませる…つまり毎月の支払い額を最小限に抑える生活を送っている方が多いです。
もちろんリボ払いによる利子が発生するため生活はどんどん苦しくなってしまいます。
しかし複数枚のカードを使い分ければ収入以上の生活水準を送れるのも事実です。
自動引落ができないため、自分で振り込む
日本の場合、カード引落口座を設定して、毎月決められた日に自動引落されます。
しかしアメリカは自動引落ではなく、小切手をカード会社に郵送する決済方法が一般的です。
いちいち自分で振り込む形になるので少々不便ですし、引落日を間違えると延滞料金が発生するなどのトラブルも起こります。
多額の借金を抱えているケースが多い
ここまでに紹介した
- リボ払いが基本
- 複数枚のカード所持
- 自動引落ではない
といった要素が絡み合って、アメリカでは多額の借金を抱えている、クレジットカード負債者が大勢います。
適切にクレジットカードを使えていない場合、後述するクレジットヒストリー、クレジットスコアに悪影響を及ぼします。
日本以上に重要視されるクレジットヒストリーとクレジットスコア
カード社会のアメリカは日本以上にクレジットヒストリーやクレジットスコアが重要視されています。
クレジットヒストリーやクレジットスコアを解説しつつ、アメリカの状況も併せて見てみましょう。
クレジットヒストリー
一言で表すなら「個人のクレジットカード利用歴」です。
クレジットヒストリーには、
- どんなクレジットカードを所持しているのか
- 何枚持っているのか
- きちんと支払いができているのか
といったクレジットカードに関する情報がまとめられています。
日本でも同じシステムが採用されていますね。
どうしてクレジットヒストリーが重要視されるんですか?
簡単に言うと、それはクレジットカードの性質によるんだ。
カード会社は「この人にお金を貸しても大丈夫か」を基準にカードを発行しています。
銀行などとは違い、担保や保証人を必要としないため信頼できる個人にしかカードを発行していません。
その基準となっているのがクレジットヒストリーというわけです。
カード社会のアメリカだからこそ、みんながクレジットカードを必要としています。
その分よりクレジットヒストリーが重要視される、という仕組みになっているんですね。
クレジットスコア
クレジットスコアはクレジットヒストリーをベースに信用度合を数値化したものになります。
アメリカには
- FICO
- VantageScore
の2種類のクレジットスコアがあり、両社とも300~850点で採点します。
点数が高いほど良いクレジットカードの使い方ができていると評価されます。どちらも平均すると大体700くらいに落ち着くことが多いです。
このクレジットスコアはクレジットカードの発行に用いられているだけでなく、次のシーンでもチェックされます。
・アパート、家の入居審査
・各種ローン(住宅、車、学生ローンなど)
・就職や結婚など
想像以上に重要視されていることが分かりますね。
日本だと就職でクレジットヒストリーやクレジットスコアが影響することはほとんどありませんが、アメリカでは一般的なことです。
また結婚する前にお互いのクレジットスコアを確認するケースもアメリカではよくあることです。
スコアが低くなってしまう理由には次の3つが挙げられます。
- 複数枚のクレジットカードを所持
- クレジットカードの解約
- 債務整理や差し押さえ、滞納などの金融事故
クレジットスコアを高めるためには次の4つが有効です。
・期日を守って適切に支払う
・クレジット利用率は30%以下が望ましい
・クレジット限度額を高める
シンプルにクレジットカードを長期間にわたって正しく使い続けていればクレジットスコアが高くなっていきます。
アメリカのクレジットカードってどうすれば作れるの?
渡米してからクレジットカードを取得したいと考えていらっしゃる方もいるでしょう。
そこでここからは日本人がアメリカでクレジットカードを作成するために必要なことを紹介していきます。
必要になる4つのもの
アメリカでクレジットカードを作成するためには次の4つが必要となります。
- アメリカの住所
- SSN
- アメリカの銀行口座
- クレジットヒストリー
それぞれの内容を詳しくみていきます。
住む場所を決める
見てもらえばわかるように、原則としてアメリカに居住しないとクレジットカードを作成することはできません。
これはアメリカだけに限った話ではなく、世界各国、もちろん日本も同様です。
居住する住所の確保はクレジットカード、SSN、銀行口座に必須。
まずはアメリカ生活の拠点となる自宅を見つけないことには話が進みません。
SSNを取得する
SSNとは「ソーシャルセキュリティ番号」のことで、国民年金制度に加入すると発行される番号です。
クレジットカードはSSNまたは納税者番号が必要となります。
これらを用意できなかった場合カードの申し込みすら不可です。
SSN、納税者番号ともにアメリカで仕事をしている必要があり、同時にアメリカのために働いている証拠でもあります。
アメリカの銀行口座を作る
アメリカの銀行口座を作るのも決して簡単ではありません。やはり現地に根づいた生活を送っていないと少々厳しめ。
準備しておくものは主に次の4点が挙げられます。
- 現住所を証明する書類(公共料金の請求書など)
- 身分証明書2種類
- 100ドルくらいの現金
- SSN
身分証明書は
・グリーンカード
・パスポート
・運転免許証
・学生証
など写真付きのものを提出すると良いでしょう。
また、ここでも再びSSNが登場します。
現金についてですが、日本でも口座を開設するときに現金が必要になることがありますよね。
それと同じ感覚でお金を用意しておきましょう。
クレジットヒストリー
上記したようにクレジットカードの審査ではクレジットヒストリーが重要視されています。
アメリカに移り住んだばかりだとクレジットヒストリーが全くない状態なので審査状況は厳しいものとなるでしょう。
クレジットヒストリーを積み上げるためには次に説明する『セキュアカード』の活用が最適です。
セキュアカードでクレヒスを積もう!
セキュアカードはいわゆる「デビットカード」のようなものです。
こちらは先に頭金(デポジット)を担保として預け、その金額がカードの利用限度額を決定します。
利用するセキュアカード会社によりますが、デポジットは300ドルから500ドルくらいが目安。
デビットカードとの違いは
- 連結した口座の残高を確認する
- 引き落としのタイミング
の2点です。
デビットカードは残高がなければ支払いに使えませんが、セキュアカードはクレジットカードと同様、月締めで利用金額が一括請求されます。
極端な話、口座に十分なお金がなかったとしても、引落日までに入金しておけば問題ありません。
もともとセキュアカードは
・クレジットカードを作れない人
・クレジットスコアが悪い人
のためのカードです。
セキュアカードを適切に使い続ければ自然とクレヒスが良くなっていきます。
良質なクレヒスを築ければ、だいたい1年くらいを目安にクレカを手に入れられるようになるでしょう。
渡米して間もない日本人のためのカード会社がいくつかあります。
まずはそちらでセキュアカードを入手し、クレヒスを積み重ねてクレジットカードにつなげていくのが王道です。
快適に過ごすために知っておくべきアメリカの一般常識
どの国も一般常識となるマナーがあります。そのマナーを知らないがためにトラブルが起こるのは嫌ですよね。
アメリカにも日本にはないマナーや一般常識があります。
事前に理解しておくことで、アメリカでの生活をより快適なものにしてくれるので、必ずチェックしておきましょう。
多くのシーンでチップを払う必要がある
アメリカ滞在中にどうしたら良いのか分からないトップが『チップ』ではないでしょうか。日本にはない風習なので戸惑ってしまいがちです。
チップは「ありがとう」という感謝の気持ちを込めて相手に代金を支払います。
アメリカのサービス業で働く人たちはチップが収入の1つとなっているため、それを前提とした給与が設定されていることも多々あります。
あとは「いつ」「誰に」「どれくらい」のチェックを支払えばよいのかを理解しておけば十分です。
また、チップは1ドル札で支払うのがマナーだということも覚えておきましょう。
チップは3種類ある!
チップは大きく分けて3種類があります。
- Tip(チップ)
- Service Charge (サービスチャージ)
- Gratuity (グラチュイティ)
チップはサービスを提供してくれた従業員に直接お金を渡すものです。
しかしそれでは裏方で働いている、チップを受け取る機会のないスタッフとの格差が生まれてしまいます。
これを解決するために登場したのがサービスチャージです。
例えばレストランなら一度経営者がまとめてチップを集め、スタッフ全員の給料を上げることで還元します。
こうすることで不公平がなくなりますね。
ただサービスチャージを取りつつ、チップが必要なこともあるため、いわばチップの二重払いが発生してしまう複雑な事態も起こっています。
Gratuity (グラチュイティ)はサービスチャージと同じようなもので、グラチュイティ込みの料金が請求されます。
チップと同じ扱いなのでグラチュイティを要求された場合は基本的にチップを支払う必要はありません。
チップを渡す場面と相場
どのような場面で、いくらくらいの金額を渡せば良いのかを簡単にまとめてみました。
基本的に支払い代金をベースに、10%~20%くらいのチップを渡すのが一般的です。
チップで悩んでいる方は、参考にしてみてください。
- レストラン:15~20%
- ビュッフェ:10~15%
- デリバリー:10~15%
- カフェ:10~15%
- バー:飲み物1杯につき1~2ドル
- エステ、ヘアサロン:15~20%
- タクシー:15~20%
- ドライバー(ツアーバスなど):5~10ドル
- ツアーガイド:5~15ドル
- バレットパーキング:2~5ドル
- ドアマン:1~2ドル
- ポーター:1~2ドル
- ベルボーイ:1~2ドル
- ルームサービス:1~2ドル
- ハウスキーピング:1~2ドル
バレットパーキングとは、車を駐車場に入れてもらうサービスのことです。
日本と異なるタクシー事情
移動手段の1つであるタクシー。ここでも日本とアメリカで異なる点がいくつかあります。
タクシーの乗り方
日本だと運転手さんがドアを開けてくれますが、アメリカでは自分で開閉するのが普通です。
州によってはタクシーがほとんど走っていない
流しのタクシーが全くないわけではありませんが、大都会の街中くらいのものです。
州によってはほとんどタクシーが走っていないことも。
さらに言えば、日本でおなじみの手を挙げてタクシーを止める、という行為が「ナチス式敬礼」だと誤解されてしまうことがあります。
トラブルの原因になるので注意しておきましょう。
タクシー乗り場か店員に呼んでもらうのが安心
日本では「流しのタクシー」を捕まえるのが一般的ですが、アメリカではタクシー会社に電話して指定した場所まで迎えに来てもらうのが普通です。
より確実にタクシーに乗りたいなら呼んでもらった方が良いでしょう。
タクシー配車アプリ「Uber」を使う
アメリカで人気のタクシー配車アプリ「Uber」を活用しましょう。スマホで簡単にタクシーが呼べます。
あらかじめ登録したクレジットカードで決済されるため、
- 料金を支払う手間が減るので、よりスムーズ
- チップ込みの料金形態なので、気軽に使える
といったメリットがあります。
またドライバーを評価するシステムが採用されていて、変なドライバーや劣悪なサービスを避けられるのもおすすめするポイントの1つとなっています。
レストラン以外の公共の場でお酒を飲むのはNG
原則アルコールはレストランやバーなど決められた場所以外で飲むことを許されていません。
日本だとお花見、海水浴など公共の場でお酒を飲むこともありますが、アメリカではご法度。
店員さんを大声で呼んではいけない
日本では「すみませーん!」と店員さんを大声で呼ぶことがありますが、アメリカではマナー違反。
そもそもアメリカは各スタッフそれぞれに担当するテーブルが割り振られているので、呼ばなくても向こうから来てくれます。
これはチップ文化があるアメリカならではともいえますね。みんなが平等にチップをもらうための配慮ともいえます。
店員さんが来てくれないときは、
・目があった時に手を上げる
・「Excuse me」と声を掛ける
といった方法で対処しましょう。
マスクの着用には要注意
日本人は花粉症やインフルエンザ対策としてマスクを着用したまま外出することがありますが、アメリカではそういった習慣がありません。
マスクをするのは医療従事者、工事関係者、といったイメージが定着していて、普段からマスクをしている人はいないんです。
またマスクをしている人は
- 病気の人
- 強盗
とみられてしまう可能性が高いので、トラブルを招いてしまうことも。
予防の観点から見たマスクの着用、というイメージはまだまだ定着しそうにありません。
そのため日常的に活用している方は注意しておきましょう。
まとめ
ということで今回はアメリカのクレジットカード事情を中心に、向こうの文化や風習についても併せて紹介してきました。
簡単におさらいすると
・クレジットカードが身分証の代わりになっている
・アメリカでクレジットカードを作成するのはハードルが高い
の3つとなります。
日本でカードを作って持っていくのが安心かつ確実ですね。
「渡米前にアメリカのクレジットカード事情を知っておきたい」
「日本とアメリカでの違いを理解しておきたい」
そんな方は今回の記事を参考に、快適なアメリカ生活を送るための準備を進めてみてはいかがでしょうか。