アパレル店員の仕事は、来店したお客様に1番に似合う服装を自社ブランドの商品から提案し、その後商品を購入してもらうことだけではありません。以上の業務も大切な行のひとつですが。「服を売る」までの過程には、細かく振り分けられた担当別の仕事が存在しています。
小さいショップでは大きな括りで担当を任されますが、1店舗に何人もアパレル販売員が所属するような大きいショップでは、役割ごとに人員配置がなされています。
今回はアパレル販売員としての役割分担された仕事について、キャリアへの可能性など、ご紹介していきましょう。今からアパレル販売員に転職を考えているのであれば、アパレル販売員として、どのような仕事をやっていきたいと思うのか、考えることをおすすめいたします。
お客様の自分らしいオシャレを叶える “ セールス・販売員 ”
一般的にアパレル販売員という仕事は、セールスという役割が1番多くイメージされるのではないでしょうか。セールスの仕事は、文字どおりショップに置かれているアイテムをお客様に提案し、販売することです。アパレル販売員の全員がこの仕事を基本とし、それぞれの担当業務に役割分担されています。そこでコミュニケーション能力が人より長けている人、適正だと判断された人、前職が営業職だった人、などはこのセールスに特化した役割を任せられることが多くなります。
仕事の楽しさ、やりがいとしては、自分の提案したアイテムをお客様が喜んで買ってくださった時にあらわれるでしょう。一方で厳しさとしてはセールス中心になるので、他のアパレル販売員に比べると販売ノルマが高くなり、それをこなせなければ評価が低くなってしまうことです。
ショップで売れるアイテムを判断する “ MD ”
MDとは「マーチャンダイザー」の略語で、マーチャンダイジングという商品・販売・予算の管理を担当する業務になっております。
本部のMDとは別にショップMDという役割があり、アパレル販売員はショップMDという役割を担当することになります。業務内容としては、自分が働くショップのお客様層や売れている商品の傾向などを分析し、ブランドが発表した新しいアイテムの中から「このショップで売れる商品は、どれだろう?」を考え、仕入れの判断をする責任ある仕事です。
自分が選んで仕入れたアイテムがすぐに品薄になるほど売れた時は、大きなやりがいを感じることができます。一方で売れなければ在庫として残ってしまうので、セール時期にまとめて販売することになり、結果的に利益が確保できなかった時には厳しい評価をされてしまいます。
お客様の来店意欲を左右する “ VMD ”
VMDとは「ビジュアルマーチャンダイザー」の略語で、先ほど紹介したMDと少し似た名称ですが、業務内容は大きく違います。
どちらも同じマーケティングの業務になるのですが、MDは「自分が働くショップで売れる商品を分析する」ことが役割なのに対し、VDMは「お客様の来店意欲を刺激するディスプレイ作り」が役割となっております。一度はショップのディスプレイやマネキンのコーディネートが自分の好みに合っていたため、思わず入店してしまった経験はないでしょうか。それはVMDの担当者が、お客様の来店意欲をくすぐる配置を組めている証拠です。
仕事のやりがいやその厳しさについて
やりがいとしてはビジュアルという名が付く通り、視覚から来店意欲をくすぐることが求められるため、接客をした際に「ディスプレイが可愛くて…」という声をいただけるとやりがいを感じることができます。一方でセンスが非常に求められるため、結果を出せないとなるとセンスに問題があると判断されがちになり、アパレル業界ではそれがキャリアアップの致命傷になってしまうこともあります。
何度も来店したくなるショップを作る “ 顧客管理 ”
来店されるお客様は「新規のお客様」と「リピートのお客様」の2種類にわけられます。リピートになるお客様は、そのブランドやショップのファンなので、何度も来店してアイテムを購入してくれるため、セールスの側面から見るとこれほど楽ことはありません。しかしそうしたリピートのお客様は来店された中のたった数%にしかおらず、他のお客様はいわゆる「一見のお客様」で終わってしまいます。そうした一見のお客様にリピートしていただくために仕掛けを担当するのが顧客管理の仕事です。
具体的には、メンバーズカードを発行してお客様の自宅にセール情報と割引チケットが印刷されたDMを送る、ショップのアイテムを購入したことに対する感謝の気持ちを綴ったサンキューレターを送る、などが業務となります。
仕事のやりがいやその厳しさについて
自分が作成したDMを持って来店したり、サンキューレターが嬉しくて来店したという声を聞いた時は、それが大きなやりがいになります。しかしDMにはどこに何を記載するかなどセンスが必要で、セール時は統計をとることも多いため、反響があまりにも出なかった場合は評価が下がってしまうこともありえます。
お客様が安心して買い物ができる環境を作る “ 売場管理 ”
セールの時期は特にたくさんのお客様が来店され、手に取った服を広げて好みでなければ適当に丸めて売場に戻すことが多く見られます。そうるすことで売場が荒れてしまっている光景を見たことがある方も多いのではないでしょうか。このような状態で保管されたアイテムは皺が入ってしまうなどが原因で、お客様に魅力的に映らなくなってしまいます。そして荒れた売場を見るだけでも、お客様の購入意欲は削がれてしまうのです。
そうした事態を防ぐ役割が、この売場管理です。ディスプレイされているアイテムをたたみ直し、いつでも綺麗な売場を保っていくことで、お客様がショップの清潔感を感じて気持ちよく買い物をしてもらうことが業務内容となっております。
仕事のやりがいやその厳しさについて
「売場がいつも綺麗ですね」と言っていただけた時が、気にかけて売場を綺麗にしていてよかったと思える瞬間です。ただアパレルショップは本部のエリアマネージャーなどが不定期に来店することもあり、その時に売場が荒れてしまっていると仕事を疎かにしているという評価をつけられてしまうこともあります。そのため売り場管理については注意が必要です。
アパレル販売員のキャリアアップの可能性について
現場でセールスを中心に活躍するアパレル販売員から、次のキャリアステップにはいくつかあります。しかし順序として1番最初のキャリアは「チーフ・副店長」になるでしょう。
チーフ・副店長
「チーフ・副店長」はショップのNo.2という立場で、新人教育という役割を中心に担う役職になります。新人が一人前のアパレル販売員になるためにも、現場で結果を出してきた立場から教育することは大切なことです。また新人が結果を出すと、それがチーフ・副店長の評価に繋がります。
店長
新人教育の側面で結果を出し続けることができれば、次のキャリアステップは「店長」になります。店長は、ショップ運営にかかる全ての業務を管理する役割を担う必要があります。その業務内容とは、売り上げの管理からシフト管理、採用管理、ショップが入っているテナントの管理会社との折衝など、担うべき業務は多岐に渡ります。
ショップの売り上げのベースアップが常に求められる立場なので、そこで結果を出せば本社勤務も夢ではありません。ただしアパレル販売員がどんどん退職をしていく、売り上げが落ちる、などの状況が目立った時は管理不足として評価を下げられることがあります。
店長からのキャリアアップ
また店長からのキャリアアップは、人事や総務、経理、一般事務、バイヤー、MDなどの本社勤務から、デザイナーやパタンナーのような専門職、エリアマネージャーなどの地域管理業務などの道が用意されています。しかし本社勤務は、特に女性のアパレル販売員が「出産をしても、育児と両立しながら働きたい」という思いで希望することが多いため倍率が高く、本社勤務のキャリアアップは簡単ではありません。
デザイナーやパタンナーに関しても、PhotoshopやIllustratorなどのデザインソフトを使用できることや、デザインやパターンの専門知識が必要という条件があるため、店長からのキャリアアップという流れは相応の勉強が必要になります。
エリアマネージャーは店長からのキャリアアップの可能性として、1番スムーズに希望を申請することができます。エリアマネージャーは自分の担当するエリア内にあるショップ全ての売り上げベースアップ、管理が業務内容となっております。店長として培ってきた経験やノウハウを他のショップでも反映させ、エリア全体のベースアップを目指すことが、評価に繋がります。
アパレル販売員のキャリアアップの可能性を高める、大切な3つのスキル
自分に任された役割に限らず、アパレル販売員としてショップのアイテムを販売するスキルは誰しもが求められます。そこでセールス力を高め結果を出し、ショップの売り上げベースアップに貢献することで、本部からの評価も高くなります。セールスというのは数値で表せるため、貢献できているかどうかは一目でわかります。その分アピールがしやすいので、どんどん貢献し本部にアピールしましょう。
「お客様にアイテムを購入しもらう」という結果にたどり着くには、接客スキルも大切です。常日頃からお客様に気持ちのいい買い物をしてもらうためにも、押し売りをせずに適度な距離感を保ちながら納得して買い物をしてもらう関係性を築くことが大切でしょう。
売り上げをあげたいという一心でセールスばかりに力をいれてしまうと、お客様はその態度に嫌気がさしてしまい、結局アイテムを購入してくれないまま2度と来店してもらえなくなってしまうのです。
CSとは「customer satisfaction」の略語で、「顧客満足」の意味を持ちます。これはスキルというより、どちらかというと結果に寄り添ったものになります。先ほど紹介した「セールス」と「接客」のスキルが合わさり、納得いく買い物ができると顧客の満足度がグッとあがり、また来店してくれるようなリピートのお客様になっていくのです。
気持ちのいいセールスと接客を経験したお客様は、あなたに会いにショップを訪れてくれるようになるので、リピート率の高さ=CSの高さを表すものになります。
まとめ
アパレル販売員の役割分担からキャリアアップの可能性について、そしてキャリアアップの可能性を高めるために必要なスキル・要素のお話をお伝えさせていただきました。
あなたがアパレル販売員としてキャリアスタートさせてから、そのプランをイメージするにあたり、いつまでにどんな役職についていたいのか、そのためにはいつまでどのようなスキルを身につけておいたほうがいいのか、などを考えるきっかけとして是非参考にしてみてください。
ここで紹介した内容だけでは自分のキャリアプランを立てることができない、イメージできないということであれば、転職エージェントにキャリアプランについて相談することも検討してみるましょう。最終的にどういった仕事をしたいのかにより、最適なプランを一緒に考えてくれるほか、キャリアアップの可能性を早める最適な求人を紹介してくれることもあります。
せっかく憧れのアパレル業界で働くなら好きな仕事をいつまでも続けていくためにも、あなたの思い描くキャリアプランを叶えていきましょう。