たしかクレジットカードの審査はその人の信用情報を参照して行われているんでしたよね!
そうだね。
そう考えると膨大な量のデータがクレジットカード会社にあるわけですけど、どうやって管理しているんでしょう??
それは個人信用情報機関が信用情報を保管しているんだ!
クレジットカードやカードローンの審査は『信用情報』を参照して行われます。
信用情報とは「本当にこの人にお金を貸しても大丈夫か、カードを発行しても大丈夫か」を知るための過去の実績のことです。
例えば、以前借金をしていて一度踏み倒した経歴があれば、クレジットカード会社が「この人はまた踏み倒すのではないか」と考えるのは当然です。
そこで『信用情報』として申し込み情報や利用履歴などをまとめ『信用情報機関』が集積・管理。加入するクレジット会社や消費者金融がいつでも参照できるようになっています。
今回はそんな信用情報機関について説明していきます。
個人信用情報機関とは、様々な情報を共有し合うための機関
個人信用情報機関は実に様々な情報が集まっています。詳しくは後述しますが、代表的なものを挙げると
- 個人を特定するための情報(氏名、生年月日、住所、電話番号など)
- 申し込み情報(どのクレジット会社のどんなサービスにいつ申し込んだか、など)
- 利用情報(どれくらいの利用があり、きちんと支払いできているのか、など)
が主になってきます。
またいわゆる『ブラックリスト』についてもやはり個人信用情報機関に登録されています。
・代位弁済(保証会社が代わりに支払うなど)
・債務整理(自己破産、任意整理など)
これらの履歴がある場合はブラックリスト扱いになり、新規クレジットカードを作るのが難しい状態と判断されてしまいます。
個人信用情報機関は「CIC」「JICC」「全銀協・KSC・JBA」の3種類
上記した個人情報を取り扱う重要な機関なので国に認められた会社のみ運営が認められています。現在日本で認められているのが
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人情報センター(全銀協・KSC・JBA)
の3つになります。それぞれを大まかに説明すると以下の通りです。
▼CIC
クレジット会社が共同出資して設立された個人信用情報機関。
クレジット会社の大半はCICに加盟しています。
信販系クレジット会社はもちろん、銀行系や流通系、消費者金融系などあらゆるクレジット会社が加盟していると考えて良いでしょう。
▼JICC
主に消費者金融系クレジット会社が加盟しているのが特徴です。
カードローン情報なども取り扱っています。
▼KSC
銀行のみ加盟可能な個人信用情報機関です。
主に銀行系クレジットカードの情報を集め、共有しています。
個人信用情報機関の仕組みを知る!どんな風に情報を集めているのか
いったいどうやって個人信用情報機関は情報を集めているんですかね?
私たちが自分から情報を提供しているわけではないですし、国や政府が勝手に登録しているわけでもなさそうですよね・・・
実は各クレジット会社は個人信用情報機関の3つのいずれか、あるいは複数に加盟しているんだ!
クレジットカード会社はクレジットカードの申し込みがあったときに加盟している機関に信用情報を登録します。
そしてそれを各機関に加盟しているほかのクレジット会社が参照できる…という仕組みです。
流れとしては
- クレジット会社が機関に加盟
- 消費者から申し込みがあった
- 申し込み情報を加盟した機関に登録
- 発行したカードの種類や利用歴、返済歴は随時更新しながら登録
- 他の加盟しているクレジット会社はこれらの情報をいつでも参照できる
といった具合です。
例えば短期間のうちに複数のクレジット会社に申し込むと『申し込みブラック』と言われる状態に陥ってしまうことがあります。
これは申し込まれたカード会社が審査の際にCICやJICCに参照することで「他社にも申し込んでいるから多重債務のリスクがある。審査を通すわけにはいかない」と判断している状態です。
このように個人信用情報機関は複数のクレジット会社から情報を集め、それを第三者機関としてまとめ、共有することでクレジット業界の健全化を目指している、というわけです。
個人信用情報機関が存在する理由は健全なクレジット社会を目指すため
個人信用情報機関が生まれた背景に『多重債務』があります。
以前までは年収に応じてお金を借りられ、場合によっては容易に支払い能力以上のお金を手にすることができたんだ。
しかしそれは借金を返せないため新しく借金し、それを返済に充てて…と多重債務の悪循環を生み出していたんだよ!
そこで政府は『総量規制』を始めとした貸金業法を改正することで対策することになります。
総量規制などの対策が始まり、各消費者金融やクレジット会社は他社借入状況を把握する必要が出てきました。
そのために信用情報を各クレジット会社、消費者金融が共有するために活用されるようになったのが個人信用情報機関というわけです。
従来ならまず実現できなかった他社同士の情報の共有によって総量規制のチェックが簡単になり、同時に金融事故などのいわゆるブラックリストの確認も簡単にできるようになりました。
『個人信用情報機関』と聞くと消費者にとって怖くてメリットの無い存在だと思っていましたけど、実際には健全なクレジット社会、カードローン社会を築き上げるために必要不可欠な存在なんですね!
個人信用情報機関の種類やそれぞれが取り扱う情報は?
それでは具体的に
- 『CIC』
- 『JICC』
- 『KSC』
それぞれが取り扱っている情報について紹介します。
▼CIC
信用情報の種類 | 主な情報 | 保有期間 |
---|---|---|
申込情報 | ●本人情報:氏名、生年月日、郵便番号、電話番号 ●申込内容情報:商品名、契約予定額、支払予定回数、照会会社名 |
6か月間 |
クレジット情報 | ●本人情報:氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、勤務先名、勤務先電話番号、公的資料番号 ●契約内容情報:契約日、契約の種類、商品名、支払回数、契約額(極度額)、契約終了予定日、登録会社名 ●支払い状況:残債額、請求額、入金額、入金履歴、異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日、終了状況 ●割賦販売法対象商品情報:割賦残債額、年間請求予定額、遅延有無 ●貸金業法対象商品情報:確定日、貸付日、出金額、残高、遅延の有無 |
契約期間中・契約終了後5年 |
利用記録 | ●本人情報:氏名、生年月日、郵便番号、電話番号 ●利用事実に関する情報:利用日、利用目的、利用会社名 |
6か月間 |
CICが独自に収集する情報
情報の種類 | 主な情報 | 保有期間 |
---|---|---|
本人申告情報 | ■本人を識別するための情報 氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、勤務先名、勤務先電話番号等 ■申告した内容に関する情報 情報登録日、申告したコメント等 |
登録日より5年以内 ※本人からの申し出により、期間内であっても削除可能 |
貸金業協会依頼情報 | ■本人を識別するための情報 氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、勤務先名、勤務先電話番号等 ■依頼した内容に関する情報 登録日、依頼内容の種類(貸付自粛) |
登録日より5年以内 |
電話帳掲載情報 | 電話帳に掲載された氏名、電話番号、郵便番号、住所 | 最終の記録年月より2.5年以内 |
▼JICC
情報の種類 | 内容 | 登録期間 |
---|---|---|
本人を特定するための情報 | 氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先、勤務先電話番号、運転免許証等の記号番号等 | 契約内容に関する情報等が登録されている期間 |
契約内容に関する情報 | 登録会員名、契約の種類、契約日、貸付日、契約金額、貸付金額、保証額等 | 契約継続中及び完済日から5年を超えない期間 |
返済状況に関する情報 | 入金日、入金予定日、残高金額、完済日、延滞等 | 契約継続中及び完済日から5年を超えない期間(ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間) |
取引事実に関する情報 | 債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等 | 当該事実の発生日から5年を超えない期間(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間) |
申込みに関する情報 | 本人を特定する情報(氏名、生年月日、電話番号及び運転免許証等の記号番号等)、並びに申込日及び申込商品種別等 | 申込日から6ヵ月を超えない期間 |
JICCが独自に収集する情報
情報の種類 | 主な情報 | 保有期間 |
---|---|---|
電話帳に記載された情報 | 電話帳に記載された氏名、電話番号等の情報 | 電話帳に掲載されている期間 |
本人申告コメント情報 | 本人から申告された本人確認書類の紛失・盗難等の情報 | 登録日から5年を超えない期間 ※本人から削除依頼があった場合はその時点まで |
日本貸金業協会情報 | 日本貸金業協会に貸付自粛依頼を申入れたことを表す情報 | 登録日から5年を超えない期間 ※本人から削除依頼があった場合はその時点まで |
▼KSC
情報の種類 | 内容 | 登録期間 |
---|---|---|
本人情報 | 氏名、生年月日、性別、住所(本人への郵便不着の有無等を含む)、電話番号、勤務先等 | 下記の情報のいずれかが登録されている期間 |
取引情報 | ローンやクレジットカード等の借入金額、借入日、最終返済日等の契約の内容およびその返済状況(延滞、代位弁済、強制回収手続、解約、完済等の事実を含む) | 契約期間中および契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年を超えない期間 |
照会記録情報 | センターの会員がセンターを利用した日およびローンやクレジットカード等の契約またはその申込みの内容等 | 当該利用日から1年を超えない期間 |
不渡情報 | - | 第1回目不渡は不渡発生日から6か月を超えない期間、取引停止処分は取引停止処分日から5年を超えない期間 |
官報情報 | - | 破産手続開始決定等を受けた日から10年を超えない期間 |
苦情受付コード | 登録情報に関する苦情を受け、調査中である旨 | 当該調査中の期間 |
本人申告情報 | 本人確認資料の紛失・盗難、同姓同名別人の情報がセンターに登録されており自分と間違えられるおそれがある旨等の本人からの申告内容 | 本人から申告のあった日から5年を超えない期間 |
それぞれのざっくりとした取り扱い情報をまとめると
・契約した内容に関する情報
・支払いが適切に行われているかの情報
ということになります。各機関によって取り扱い情報の内容に若干違いがありますし、保有期間もバラバラですが、ひとまずは上記3点が記録されていることを意識していれば十分です。
クレジットカード会社と個人信用情報機関はどんな関係にある?
クレジットカードを申し込んだとき、クレジットカード会社は審査のために信用情報を個人信用情報機関から参照しています。
内容はいわゆる『クレジットヒストリー(クレヒス)』と呼ばれるもので、過去の使い方がクリーンか、あるいはブラックなのかを判断しています。
現在日本で認められている信用情報機関は次の3機関です。
JICC(日本信用情報機構):主に消費者金融、信販会社が利用
KSC(全国銀行個人信用情報センター):主に銀行が利用
多くのクレジット会社はCICを利用し、次いでJICCが利用されています。
それぞれのクレジット会社は申し込みがあったときに個人信用情報機関に情報を登録すると同時に、他社が登録した情報を参照することで審査に役立てる…という仕組みです。
クレジットカード会社は個人信用情報機関をどのように利用している?
クレジットカード会社個人信用情報機関の情報を審査の際に金融事故を起こしていないか、そして他社借入状況はどのようになっているのかをチェックするために活用しています。
例えば他クレジット会社で借金の踏み倒しや債務整理を行っていたり、借金が返済できなくて自己破産していたりすると「この人はうちでも同じことをやるのではないか」と考えて審査を落としたりします。
クレジットカードは信用供与で成り立つサービスだよ。つまり保証人や担保がなくても利用できるんだ。
銀行が提供している住宅ローンや自動車ローンは購入した物件や車を担保としますし、別途保証人が必要なケースが大半ですよね。
そうだね。それらは万が一返済できなかったときの保証があって初めて契約できる仕組みだけど、クレジットカードはこれらを適用させられないんだ。
そうなると重要視されるのはクレヒスですかね・・・?
その通りだよ!
例えば年収が高い人でもしょっちゅう延滞を繰り返していたり、複数社から借入がある…いわゆるクレヒスが良くない人は「信用できない」とみられても仕方がないよね。
一方で年収が低くても適度に使い、毎回きちんと支払っていれば「クリーンなクレヒスの持ち主」として高く評価されることになるんだ。
クレジット会社は審査に信用情報をどのように活用する?
まず最初にチェックするのが「申し込み情報と信用情報にズレがないか」です。
氏名や生年月日、住所、電話番号などの個人を特定する情報の確認は当然行われます。
次に「どのような契約をしているのか」です。
総量規制の問題、あるいは貸しすぎ問題からクレジット会社は複数の借り入れがある申込者を断る傾向が強いよ。
そして金融事故の履歴です。
延滞を繰り返す、自己破産や任意整理などの債務整理、借金の踏み倒しなどなどクレジット会社にとって不利益をもたらす人物か否か…はかなり重要視されるポイントです。
これらはいずれも信用情報をみれば分かることばかりです。
個人信用情報機関が直接審査・評価するわけではない!
勘違いされがちなのが「個人信用情報機関に良くないクレヒスが記載されて、ブラック扱いになったから審査に落ちた」というものがあります。
確かに事実だけ見ればその通りなのですが、個人信用情報機関はあくまでも第三者機関として信用情報を記録しているだけにとどまります。
つまり記録された情報を評価するのはあくまでも審査するクレジット会社側だということ。
ネットの口コミや体験談を見ると「どのクレジット会社に申し込んでも断られていたのに、A社はなぜかカードを発行してもらえた!」といったものが見受けられるよ!
その背景として「過去に延滞歴があるけれど、適度に利用しているし、収入も十分あるから限度額を低めにしてカードを発行してみよう」といったクレジットカード会社側の判断・評価があったと考えられるね。
もちろんブラックリスト扱いになってしまえばカードを発行しづらいのは事実なのですが、個人信用情報機関が内容を評価しているわけではないことは理解しておきましょう。
個人信用情報機関に登録されるブラックリストって何だろう?
先ほどから何度も出ている『ブラックリスト』というワード。
早い話がクレジットカードやカードローンの使い方に問題がある要注意人物のことです。
具体的には
- 延滞
- 債務整理
- 多重申込み
- 多重債務
これらが該当します。
共通しているのは「借りたお金、使ったお金をちゃんと返していない、あるいは返せる見込みがない人」だということ。これがブラックリストの正体です。
中でも多いのは『延滞』によるブラックリスト。
引落口座にお金を入れ忘れた…といったケースはほんとうによくあります。しかし1~2日程度では延滞扱いにはならず、多めに見てもらえることが多いです。
「61日以上の延滞、または3回目の支払い日を超える延滞」があるとブラックとして信用情報が記録されてしまいます。
ブラックリストはCRIN(クリン)で共有される!
例えばCICに加盟しているA社で延滞を繰り返してしまい、ブラックリストになり、強制解約させられたとします。
こうなると当然CICにブラックリストとして記録されていることになるため、CIC加盟クレジット会社は利用できません。
それならCICではなくJICCに加盟しているクレジット会社でカードを発行すれば良いのでは!?
それは意味がないよ!
実は、CIC、JICC、KSCは『CRIN(クリン)』という情報共有ネットワークを構築し、それぞれがブラックリストの情報を共有しているんだ。
どれかひとつの個人信用情報機関にブラックリストとして登録されるとすべての機関に情報がいきわたってしまうことになります。
ブラックリストを解除するにはどうすれば良い?どういった情報がどれくらい残る?
結論から言えば、ブラックリストから情報を消す方法はありません。
個人信用情報機関に記録されている情報は有効期限が設けられていて、その期日を超えない限り不可能です。
条件 | CIC | JICC | KSC |
---|---|---|---|
61日以上の延滞 | 5年 | 1年 | 5年 |
3か月以上の連続延滞 | 5年 | 5年 | 5年 |
強制解約 | - | 5年 | 5年 |
自己破産以外の債務整理 | 5年 | 5年 | 5年 |
自己破産 | 7年 | 5年 | 10年 |
代位弁済 | - | 5年 | 5年 |
上の表を見てもらえばわかりますが、延滞記録は最高で5年間、自己破産すると10年間も記録され続けることが分かります。
しかもこれらは情報が更新されればリセットされるため、延滞し続けている人は完済するか、クレジット会社が支払い不能と認めて情報更新をやめるまでカウントされません。
つまり正しく利用できていなければ、ブラックリストは原則消えることはないことになります。
まとめ
ということで今回は個人信用情報機関について紹介してきました。
これまでに正しくクレジットカードやカードローンを使っていたのなら特に心配することはありません。
ですが思い当たる節が無いのになかなか審査に通らない…という方はもしかするとブラックリストとして記載されてしまっている可能性もあります。
なお個人信用情報機関に登録されている信用情報は本人から開示請求することができます。気になる方は一度開示請求してみると良いかもしれません。
ポイントをまとめると次のようになります。
- CIC、JICC、KSCの3機関が国に認められている
- 各個人信用情報機関にクレジット会社や消費者金融、銀行が加盟している
- 加盟した信用情報機関の信用情報はいつでも参照できる
- クレジットカード審査で必ず信用情報が参照される
- CRINによって各信用情報機関同士が情報を共有している(ブラック情報などネガティブなものは特に)