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歯茎のできもの、フィステルかも!?症状や原因などをわかりやすく説明します
「ときどき歯茎にできものができる…でも、放っておくと消えてしまう」
「歯茎のできものに痛みは無いけれど、何だかイヤな臭いがする…」
そんな悩みに心当たりがある方へ!そのできものはフィステルかもしれません。あまり耳馴染みのないキーワードですが、放っておくとお口の中に取り返しのつかないダメージを与えてしまうリスクを孕んだ存在です。ここではフィステルについて説明します。「まあイイか」と放置せずに、ぜひ口腔環境を守る第一歩としてご一読ください。
歯茎にできたできもの「フィステル」の正体は
フィステルは「瘻孔(ろうこう)」とも言い、なんらかの理由から歯茎の中(歯根の先端部分)に溜まった膿が流れ出る出口です。見た目は歯茎にできた「できもの」で、中からは白っぽい色の膿が排出されます。
歯の先端部分に膿が溜まる“なんらかの理由”は様々ですが、例えば虫歯が歯の神経にまで達し歯髄が壊死してしまった場合、神経が通る管(根管)の中へ細菌が侵入・増殖してしまいます。次第に根管の中は細菌でイッパイになり、根管の先にある歯根先端部分の出口を出た細菌が歯根の先に炎症を引き起こします。炎症が起こる場所には袋状に膿が溜まり、その膿を外へ出すためにフィステルが発生する仕組みです。
症状について
上記でも触れた通り、フィステルのわかりやすい症状は歯茎にできものができるというポイントです。そのためお口の中に違和感が生じる事もありますが、痛みを感じる事はほとんどありません。また、フィステルから排出される膿の臭いを感じるケースもあります。口臭がキツくなる、というのも症状の一つだと言えるでしょう。
フィステルに似た症状の病気も…
歯茎に起こるトラブルはフィステルだけではありません。似た症状を持つ病気との違いを理解して、お口の状態を正確に察知できるようになりたいところですね。以下に、フィステルと間違えやすい症状と見分け方を紹介します。
身近な歯茎のトラブルといえば、口内炎が挙げられます。フィステル同様「できもの」のような見た目をしているため、口内炎なのかフィステルなのかがわからない!と困ってしまう方も多いでしょう。フィステルとの見分け方は、ズバリ痛みと色です、口内炎には痛みを伴いますが、フィステルにはほとんど痛みがありません。また白っぽい色をしている口内炎に対し、フィステルは赤色をしています。
歯茎に起こる骨隆起も、フィステルに似ています。骨隆起とは、歯ぎしりなどの理由から骨が変形し歯茎に生じるコブのこと。したがってコブの正体は骨で、触れると硬いというのが特徴です。フィステルとの見分け方は、硬さを確認することがポイントとなります。
フィステルの原因は?
上記でもお話しした通り、歯の先端部分に膿が溜まる“なんらかの理由”は様々です。以下に、フィステルの原因となる病気やトラブルについて説明します。
虫歯や過去の虫歯治療
虫歯や過去の虫歯治療によって神経がダメージを負い、その後壊死してしまうことがフィステルの原因になるケースです。とくに歯医者さんで行われる治療では、長い目で歯の寿命を延ばすために可能な限り神経を残そうとするケアが選択されがちです。ところが残された神経にだメージが残り、そのまま壊死してしまうことも起こりえます。
歯周病
「歯茎から膿」という症状は歯周病でも引き起こされます。多くの場合、歯周病では歯と歯茎の間から膿が出るのですが、重度の歯周病で歯と歯茎の間が塞がってしまった時には、歯茎にフィステルが発生しそこから膿が排出されることも。歯周病が原因となるフィステルは痛みを感じたり出血が起こるケースもあります。
外傷によって神経が切れてしまった
事故やスポーツなどの外傷によって歯の神経が切れて死んでしまうケースです。
過去に受けた根の治療
過去に行った根管治療が不十分で会った場合や、きちんとケアされていたとしても何らかの原因から再発が起こってしまうケースがあります。
歯の根に入ったヒビ
神経を失った歯はもろく、かけたりヒビが入ったりしやすくなります。歯の根にヒビが入っていた場合、そこから細菌が侵入し炎症→フィステルに…となることも。虫歯治療だけでなく、歯ぎしりや歯をくいしばるクセがヒビの原因になることもあります。
フィステルの治し方!
歯茎の中に膿…と聞くと、「一刻も早く無くなって欲しい!」と思わずに入られませんね。以下では、歯茎にできたフィステルの治療についてをお話しします。
そもそも、放置しておいてもOKなの?
フィステルにはほとんど痛みがなく、放置している間に消えてしまうケースさえあります。そのため「気になってたけど、まあイイか」と治療に踏み切らない方も珍しくありません。しかし、できものが引いたからといってフィステルが完治したというわけではないのです。根本的な原因を改善しない限り再発を繰り返すようになるでしょう。
根本的な原因が治療されない…という事は、フィステルとは別に原因となる病気の進行が進んで行く事を意味します。虫歯が原因となる場合、歯は自然治癒される事はありませんので虫歯はどんどん悪化していくでしょう。
また適切なケアをせずにそのままにしておくと、歯茎の下では膿を孕んだ袋が次第に大きくなり範囲が広がります。初期の段階であれば歯の先端部分のみで済む治療も、進行が進むにつれ大掛かりな手術が必要になってしまう事も。膿の袋が大きくなり歯を支える骨まで吸収してしまった場合は、歯がグラつきはじめる事もあります。また膿が含む細菌が血中に侵入した場合は、心臓やアレルギーなど全身の健康にも関わってくるリスクが考えられます。
治療は歯医者さんで!
フィステルは自己流のケアで治すことができません。また放置しておいて治ることもありえないので、ぜひ進行が進む前に歯医者さんで適切な治療を受けてください。
歯の神経が死んでいるフィステルの治療では、中の神経を取り除き消毒をした後に、神経があった場所を詰め物で埋める「感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)」が行なわれます。場合によって感染根管治療が行えない場合もありますが、そんな時には歯茎を切り開き膿の袋を摘出する「歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)」という治療が行われることも。
ケースバイケースで治療方法が異なりますので、まずは歯医者さんで相談をしてみましょう。
放置厳禁!どんな原因であれ、フィステルは歯医者さんで治しましょう
痛みもなく、放っておくと消えてしまう…というフィステル。一見すればそれほど深刻ではない症状に感じられますが、治さず放っておくと大切な歯を失いかねないリスクがあります。原因は様々ですが、どんな原因であれ歯医者さんで治療を受けないことには改善することはありません。「まあ、イイか」と放置せず、ぜひ歯医者さんで適切な治療をスタートさせてください。
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