「安定した収入」がクレジットカードの審査においてはとても重要ですよね。
生活保護を受けているとクレカをつくれないと聞いたのですが、本当ですか?
うん、本当だよ。実際には不正な申請をして作っている人もいるようだけどね。
不正な方法って、どんな方法ですか?
収入を過大申告したり、生活保護を受けていることを隠して申告したりすることだね。
もちろん絶対にやってはいけないよ!
そうなんですね。たとえば年金で暮らしている人や、生活保護を受けて暮らしている人などは審査に受からないんですかね?
クレジットカードがあれば現金の持ち合わせがなくてもすぐに欲しいものを手に入れることができますし、支払いを月末などに先延ばしすることができます。
さらに分割払いやリボ払いなどを活用すれば月々わずかな負担で大きな金額の買い物ができます。
そういった便利なアイテムであるクレジットカードですが、発行するには審査に受かる必要があります。
「生活保護を受けているけどクレジットカードが欲しい」
「生活保護を受けていたらクレジットカードは手に入らない?」
だからこそ中にはこういった悩みを抱える人もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は生活保護とクレジットカードの関係について詳しく確認してみたいと思います。
この記事を読めば生活保護とクレジットカードの悩みの解決に役立つかもしれません。
この記事の目次
そもそも生活保護とは??
生活保護は、働きたくても働くことができない人に対して、その程度に応じて国が生活を保障する制度のことです。
生活保護費は世帯(暮らしを共にしている人全員)の状況により、その収入と国で決められた基準額を比較して不足する分が支給されます。
生活保護を受けるためには、以下の2点が必要です。
- 能力の活用
- 各種法律や制度の活用
まず、前提の話ですが働くための努力はする必要があります。
そして、他の法律や制度に基づいて給付が受けられる年金や各種手当などは、すべて受給するようにしましょう。
さらに扶養義務者からの扶養が受けられる人は、生活保護を受ける前に親・子供・兄弟姉妹・親戚などに相談してください。
生活保護を受給する場合には福祉事務所からの指導や指示に従う必要があるよ!
ちなみに福祉事務所の担当者が家庭を訪問して生活状況を確認することになるよ。
さらに生活状況に変化(収入額の増減など)があった場合には、遅滞なく福祉事務所に届け出をしなくてはならないんだ。
生活保護を受給する場合には、日常生活を営むために必要とされる7種類の扶助を受けることができます。
具体的には、
- 生活扶助(毎日の暮らしに必要な食費や光熱水費などの費用)
- 住宅扶助(家賃や住宅の修理費などの費用)
- 教育扶助(義務教育に必要な学用品代や給食費などの費用)
- 医療扶助(病気やけがの治療に必要な費用)
- 介護扶助(介護サービスを受けるための費用)
- 出産扶助(出産をするための費用)
- 葬祭扶助(葬式などの費用)
が支給されます。
【結論】生活保護を受給している場合はクレジットカードを作ることができない!
結論から述べますと、生活保護を受けている方はクレジットカードを作ることができません。
仮にクレジットカードを利用しても、生活扶助の対象となる日用品などを購入したものとみなされるので、その分だけ生活保護費の支給が減額されることになります。
そもそも生活保護は日本国憲法第25条に規定された
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
という理念に基づく制度であり、その資金は私たちの税金により賄われています。
生活保護者への支給内容一覧
生活保護受給者に対する支給は、最低限の生活を維持するために必要なものに限られます。
それでは具体的には、どのような支給が行われるのでしょうか。
生活保護法では生活保護受給者に対する支給を「扶助」と呼んでいるのですが、現在の生活保護制度において行われる扶助の内容は以下の8種類となっています。
種類 | 扶助の内容 | 特記事項 |
---|---|---|
医療扶助 | 生活保護受給者は国民健康保険の適用対象外となるため、生活保護受給者に対しては医療扶助が適用され、自己負担なしで病院を受診することができる。 | 受診することができるのは自治体により医療扶助の指定を受けた病院に限られ、医療扶助の対象となるのは医療保険が適用される治療に限定される。 |
生活扶助 | 日常生活を営むために必要とされる生活費は、扶助の対象になる。 | 生活扶助については個人の経常的な需要を満たす目的の第1類と世帯の経常的な需要を満たす目的の第2類、障害者、高齢者等の事情により生じる経常的な需要を満たす目的の加算、入院患者・施設入所者の経常的な需要を満たす日用品費、その他一時的な需要を満たす目的の各種一時扶助などの種類がある |
教育扶助 | 生活保護受給者が児童に義務教育を受けさせるための費用は、扶助の対象になる。 | なし |
住宅扶助 | 賃貸住宅の家賃や地代の支払いや家屋の補修のための費用などは、扶助の対象になる。 | なし |
介護扶助 | 要介護の認定または要支援の認定を受けた人が必要とする費用は、扶助の対象になる。 | なし |
出産扶助 | 生活保護受給者の出産のための費用は、扶助の対象になる。 | 病院での出産に対しては児童福祉法が規定する入院助産制度が優先して適用されるので、出産扶助が実際に適用されるのは自宅での出産などに限られる。 |
葬祭扶助 | 生活保護受給者が葬祭を執り行うための費用は、扶助の対象になる。 | 実際には葬儀費用が扶助の対象とされることが多い。 |
生活保護法が定める扶助の種類は上記のとおりです。
生活保護受給者は扶助として支給された現金で必要なものを購入することが原則とされていますので、クレジットカードの利用は認められていません。
また、生活保護を受給していることを隠して審査を受けることも絶対にやめましょう。
クレジットカードを作れば厳しいペナルティを受けます
生活保護を受給している方の不正なクレジットカード利用が発覚した場合、厳しいペナルティが与えられます。
生活保護の停止と廃止について見ていきましょう。
生活保護の停止の場合には生活保護費の支給が一時的に止められますが、今後の状況によっては支給が再開されることもあります。
一方の生活保護の廃止の場合には生活保護の認定そのものが廃止されますので、その後支給が再開されることはありません。
生活保護が廃止になれば、改めて生活保護の受給を申請し、再度生活保護の認定を受けることが必要になります。
そもそも生活保護は生活困窮者を救済するための制度であり、生活困窮者の自立を支援することを目的としています。
例えば生活保護受給者が働き始めて給料がもらえるようになったのであれば、生活保護を支給する必要はなくなったといえるでしょう。
その他には生活保護受給者に一時的な収入があった場合などにも、生活保護の停止が行われるよ。
生活保護の廃止については、福祉事務所の指導に従わない生活保護受給者や、悪質な生活保護受給者などに対するペナルティとして行われることが多いようだね。
生活保護の受給者は福祉事務所の指導に従うことが必要であり、これに従わない場合には最終的に生活保護の支給が止められてしまうことになるんだ。
まずは生活保護の停止が行われることが一般的なんだけど、悪質だと判断された場合には生活保護の廃止が行われる可能性があるし、不正受給などが判明した場合にも生活保護の廃止が行われるよ。
- 生活保護を受給するための規準を超える収入があった場合
- 生活保護受給者が別の市町村に転居した場合
- 生活保護受給者が死亡した場合
などにも、生活保護の廃止が行われることになります。
生活保護を停止とするか廃止とするかについては、福祉事務所の判断に任せられていることが多いようです。
生活保護とクレジットカード
生活保護を受給している方はカードを作ることができないと先ほど述べました。しかし中には
「職業や年収を偽って申し込みすれば作れるんじゃない?」
「申し込めば審査を通してくれるかもしれないじゃないか」
と疑問を持つ方がいらっしゃるかもしれません。
けれどもクレジットカード各社は「十分な支払い能力を有する人」をクレジットカードの発行条件としています。
さらに虚偽申告も当然審査落ちになりますのでカードを作ることは不可能でしょう。
学生やバイトの方でも受かるカードがあるなら生活保護の人でも大丈夫じゃないですかね?
確かに正社員に比べれば定職に就いているわけではないし、支払い能力は低いかもしれないね。
けれど一定の収入を得ていたり、もしも支払いに窮しても配偶者が立て替えてくれる信頼があったりするんだ。
そういった意味でも生活保護を受給している方は厳しい状況に置かれていると言えるね。
だから悲しいけれどカード会社も生活保護の人を審査には通さないだろうね。
生活保護を受給していれば審査に通過することはできませんし、既にカードを利用している人が生活保護を受給することになった場合には、契約が解除されてしまう可能性が非常に高いです。
なぜ生活保護を受けているとクレジットカードを作れない??
クレジットカードに申し込むためには、「十分な支払い能力を有する人」という条件を満たすことが必要になると先ほど述べました。
何故なら、支払いを月末などに繰り延べることができるクレジットカードは、広い意味における借金に該当するからです。
お金を支払う時になって「払えません!」ということがないように、厳しい審査を行って、確実な支払いが期待できる人にクレジットカードを発行しているというわけだね。
それでもクレジットカードを作る人はいる
生活保護の受給者はカード会社からクレジットカードの利用条件を満たさないと判断されることになります。
しかし生活保護受給者の中には、生活保護を受給していることを隠してカードを申し込む人もいます。
これは不正な申し込みになり、生活保護受給者であることがバレた場合にはクレジットカードの契約は解約されることになって、様々なペナルティを受ける可能性があります。
いくらカードが利用したいとはいえ、絶対にやめましょう。
カードを作ったら・・・
「不正な手段」でクレジットカードを取得した場合、不正が発覚した段階で然るべき処置を受けることになります。
まず契約は即時に解約され、利用額全額の即時一括返済が請求されることになります。
さらに不正な手段でカードを取得したことはカード会社のデータベースに登録されますので、そのカード会社やグループ会社が発行するクレジットカードについては、半永久的に利用することができなくなります。
またクレジットカードの取得自体が贅沢であり生活保護の受給要件を満たさないと判断される場合などもあり、クレジットカードを取得したことが発覚するといずれにしても不都合が生じることになります。
カード会社からはペナルティを受けることになり、その後のクレジットカードの利用を制限されることにより社会生活上様々な不利益を被ることになるでしょう。
また、クレジットカードの利用を隠して生活保護を不正に受給した場合には、悪質だと判断されると詐欺罪が適用される可能性などもありますので、絶対にやめておきましょう。
さらに他人名義のクレジットカードを不正に取得した場合には詐欺罪が成立する可能性が非常に高いです。
審査がないデビットカードなら利用可能!
生活保護受給者の大半は年収が0円であるため、クレジットカードに申し込んだ場合には審査に落ちてしまうことになります。
しかしカードを利用したい。そんな時は審査不要のデビットカードを利用を検討してみてはいかがでしょうか。
デビットカードはクレジットカードと同様にキャッシュレスで商品の購入などができるカードですが、クレジットカードとデビットカードには大きな違いがあります。
クレジットカードでは利用料金の支払いは月末などに先延ばしされるため、クレジットカードを提供するカード会社では返済不能などによる貸し倒れに備えることが必要になるよ。
そのためカード会社では申込者に対して厳しい審査を行って、確実な返済が期待できる利用者に限ってカードの発行を認めているんだ。
一方のデビットカードの利用はあくまでも銀行口座の残高の範囲内に限られるから、理論上返済不能や貸し倒れなどは発生しないことになるよ。
カード会社はクレジットカードのような返済不能によるリスクに備える必要がなくなるから、デビットカードであれば生活保護の受給者であっても保有が認められることになるんだ。
ここでは以下の3つの観点からおすすめのデビットカードをまとめてみました。
- ポイント還元率が高い
- 使いやすさ
- 信頼できる発行会社
クレジットカードを作ることができなくて困っている方はぜひ参考にしてみてください。
【SMBCデビット】
三井住友銀行からは、「SMBCデビット」が発行されています。
このカードは非常に優れており、次のメリットがあります。
- 年会費無料
- カードデザインが4種類選べる
- 電子マネー「iD」または「Visa payWave」対応の店舗では、カードリーダー端末への「タッチ」で支払が可能
- 国際ブランドはVISA
タッチで支払ができるデビットカードはまだ多くはありません。
もちろん、VISA加盟店では、クレジットカードと同様の支払も可能です。
デメリットがあるとすれば、キャッシュカード一体型ではないので、カードが一枚増えることです。
海外キャッシングの手数料は一回108円だよ。
デメリットとしては、ポイント還元率が0.25%と低めなことかな。
ちなみに共通ポイントではなく、キャッシュバック方式だから注意しよう!
【楽天銀行デビットカードJCB】
楽天銀行のデビットカードはJCBとVISAの2種類発行されています。
両方出している銀行は楽天銀行だけです。
「楽天銀行デビットカードJCB」のメリットは以下のとおりです。
- 1.0%の高還元率で、楽天スーパーポイントがたまる
- 楽天市場でポイント2倍
- 年会費無料
- パンダデザインも選べる
楽天スーパーポイントは、汎用性の高いポイントカードで、さまざまな分野でたまります。
クレジットカードでなくともポイントがたまるのは大きなメリットです。
デメリットとしては、申し込める年齢が15歳でなく16歳以上となっていることかな。
海外キャッシングの手数料は一回216円だよ。
生活保護受給に頼らず自立できてからのおすすめのカード
生活保護の受給が終了して自立した生活を始めれば、その後は一般の人と同じように自由にクレジットカードに申し込むことができます。
これまでに生活保護を受給していた人はクレジットカードのブランドなどにはこだわらずに、比較的審査に通過しやすいとされているカードを選ぶことをおすすめします。
実際にクレジットカードを利用して確実な返済を続ければ、優良なクレジットヒストリーを作成することができますし、その後は本命のクレジットカードの審査にも通過することができるかもしれません。
まとめ
今回は生活保護とクレジットカードの関係について確認しましたが、いかがだったでしょうか。
クレジットカードの利用条件は「十分な支払い能力を有すること」ですから、生活保護受給者がクレジットカードに申し込んでも審査に通過することはできません。
クレジットカードを不正な方法で取得したことがカード会社にバレてしまうと、カードの契約は解約されて利用額全額の即時一括返済が請求されますし、その後のクレジットカードの利用は半永久的に制限されることになります。
そもそも生活保護は生活困窮者の自立を支援するための制度であり、そのための資金は私たちの税金でまかなわれています。
やむを得ない事情で生活保護を受給することになった場合にはクレジットカードへの申し込みを検討する前に、まずは現在の状況を改善することを優先してください。
どうしてもクレジットカードが必要な場合には、生活保護受給者でも保有が認められるデビットカードへの申し込みを検討しましょう。