ビジネスモデルの変化に対応できるか?
ノンバンクを取り巻く環境ですが、かなり変化しているといわれています。まずは貸金業法の改正によって、営業スタイルの変更を余儀なくされています。
貸金業法によって、グレーゾーン金利が事実上撤廃されました。
今までは出資法ぎりぎりの29.2%で利息を取っていましたが、利息制限法の上限金利の18~20%の金利に引き下げられました。そのほかにも改正貸金業法によって総量規制が導入され、融資額はその人の年収の1/3が上限となりました。
利息収入が減り、融資も無制限にできなくなったため、従来の方式では十分な収益が確保できなくなりました。
利息制限法を超え、出資法未満の利率設定にして利息を受け取ることをグレーゾーン金利といわれてきました。
利息制限法に違反しても、罰則規定のなかったことがグレーゾーン金利がまかり通ってきた背景にあります。
しかし利息制限法を超える利息部分は無効となり、債務者に返還する義務があると最高裁判所で判決が出ました。
このため、余計に利息を支払った過払い分を返還するよう求める訴訟が日本全国で発生してきています。この過払い返還分の資金もノンバンクは用意しなければなりません。
プラスして、アメリカのリーマンショックを発端として世界的な金融危機が発生しました。
その結果、世界中の金融マーケットが縮小を余儀なくされ、金融業者の経営環境が厳しくなったことも、ノンバンクの今までのビジネスモデルが通用しなくなったことに関係しています。
金融収益に代わるビジネスモデルの構築が重要
これまでのノンバンクは、キャッシングやローンでの利息収入に頼るところが大きかったです。しかし貸金業法が改正され、利息の徴収がより厳しく制限されるようになりました。
このため、今までのような収益を上げることは難しいです。
クレジットカード会社の中には、ショッピングの売り上げをアップさせることで収益源を確保しようという対策を進めてきました。新規加盟店を開拓するとか、手数料をアップさせることで利息収入のマイナス分をカバーしようというわけです。
ところがこのショッピングの売り上げで賄う方式も世界同時不況によって期待できなくなりました。日本ではデフレ経済がますます進んでしまって、消費者のお財布のひもも固くなってしまったからです。
そもそも金融収入やショッピング収益は市況の動きに大きく左右されます。そこで収益を安定させるためには、それに代わる収益源を模索する必要があるのです。
カード会社の中には、ゴールドカードの会員を増強する方針をとっているところも見られます。会費をアップさせることで、安定した収益源を拡大しようとしています。
そのほかには、IT関連のアウトソーシング事業を強化することで、新たな収益源を確保しようという動きも見られます。
クレジットカード事業では、決済関連で膨大なデータ処理を行う必要があります。そうなるとシステム開発にある程度のウエイトを置く必要があります。
しかしシステム開発・運用を自社で賄うとなると、お金も人手もかかってしまいます。そこで、このような業務を我部委託したいと思っているところも多いです。
カード会社の中には、自社のシステムのノウハウをほかに提供することで安定した利益を確保する動きも見られます。厳しいノンバンク業界の環境で生き残っていくためには、いかに安定した収益源を確保できるかがキーポイントとなってくるでしょう。
消費者金融は保証業務にシフト
消費者金融も現在、厳しい状況に立たされています。
金融庁では「貸金業関係資料集」という資料を作成しているのですが、消費者向け貸付残高は2013年度末で6兆2287億円になりました。
2003年度末の残高は19兆6550億円あったので、この10年間で貸付規模は1/3以下に縮小していることがわかります。
金融不況のほかにも、先ほど紹介した貸金業法の改正も消費者金融にとっては重しになっています。
貸付事業で収益を拡大することは、当面難しいだろうとみられています。
そこで消費者金融でも従来のビジネスモデルを見直して、新たな財源の確保を目指す動きを活発化させています。
その中で大手を中心として力を入れているのは、保証業務です。従来法人向けの融資業務を主力にしてきた銀行ですが、最近になって銀行カードローンといって個人向けの融資にも本腰を入れてきています。
この銀行カードローンの審査や補償を消費者金融が担当する動きが活発化しています。
消費者金融が銀行の保証会社として、カードローン申し込みがあった場合に審査を行います。
そして銀行カードローンが融資を行って、もし債務者が返済できなかった場合には保証会社たる消費者金融が代位弁済する方式です。債務者の借金の補償をする代わりに保証料を受け取ることで、消費者金融は利益が手に入ります。
大手の消費者金融は、この保証業務の事業拡大を進めています。たとえばアコムの2014年末時点の保証残高は7481億円・プロミスの名前で知られるSMBCコンシューマーファイナンスは2013年度末の時点で7525億円に達しています。
いずれも前年の同期と比較して、15%前後増加しています。このようにノンバンクは今までのビジネスモデルから脱却して、いかに新しい収益源を確保できるかどうかがポイントになりつつあります。