自分のライフスタイルを優先し、スキルや経験を活かした仕事ができる派遣社員。ですが、正社員と比べると不安定な雇用形態であることは否めません。
契約期間が定められているのもその一つで、契約が更新されるか毎回ドキドキされている方も多いのではないでしょうか。そして一番怖いのは、契約期間中にクビ(解雇)を告げられること!そう、派遣社員もクビになることがあるのです!
今回は、派遣社員のクビ(解雇)に関するお話と、その対処方法をみていきたいと思います。
派遣社員でもクビになる?
「派遣切り」という言葉。経済が不景気になると、ニュースでよく耳にする言葉ですよね。
「派遣切り」とは、契約先との雇用契約期間終了前(契約期間中)に突然契約を打ち切られること、もしくは雇用契約の更新を拒否されることをいいます。いわゆる、クビ・解雇ですよね。
解雇(クビ)を言い渡される理由は様々ですが、大きく分けると以下の二つが挙げられます。
派遣先企業の都合によるもの
派遣先企業において、業績悪化や経営方針の変更を理由に人員削減を実行する必要が出てきたため。
派遣社員に問題がある場合
契約前に聞いていた派遣社員のスキルが求めていたものと著しく異なっていた場合、無断欠勤や遅刻など、勤務態度に問題がある場合、企業の利益や信頼を失うような重大な過失を犯した場合。
企業が派遣社員を採用する理由のひとつに「必要な労働力を必要な時だけ活用できる」というものがあります。
ですから、景気が悪くなったり業績が悪化したりして人員を減らす必要が出てきたときに、その対象に派遣社員が選ばれてしまうのです。
また、派遣社員には「契約期間」があることも正社員と比べて解雇(クビ)の対象となりやすい理由のひとつです。
労働契約法第16条でも説明していますが、つまり、労働者を解雇するには「客観的にみて、合理的で社会通念上相当な理由が必要」ということになります。
不景気になったから、業績が悪化したから・・・という企業側の一方的な都合は、正当な解雇理由として認められません。
以上のことから、人員削減が必要となったとき、解雇するのに面倒な手続きを取らなければならない正社員より、「契約期間がある派遣社員」が選ばれる理由が分かりますよね。
※参考1(労働契約法)
派遣先から解雇(クビ)を言い渡されたら・・・
まず思い出してほしいのが、「派遣社員は派遣元(派遣会社)と雇用契約を結んでいる」ということ。
ですから「派遣先」から派遣社員に直接解雇(クビ)を告げるのはルール違反ということになりますし、派遣先は派遣社員を解雇する権利も権限もありません。
もし派遣先から解雇(クビ)を言い渡されたら、すぐに派遣会社に報告しましょう。派遣会社と派遣先企業の間で話し合いが行われますので、その後の対応は派遣会社の指示に従うことになります。
話し合いの結果、派遣契約が終了、または途中解除となったとしても、それだけで派遣社員であるあなたが解雇されるとは限りません。
派遣会社との雇用契約は残っているので、新しい派遣先を紹介され、双方が同意すれば、新しい派遣先での勤務が始まります。
また、派遣先との契約解除に伴い、雇用契約期間が残っているにもかかわらず派遣社員を解雇する場合は、「解雇予告」が必要となります。
労基法第20条は、突然の解雇による労働者の生活困窮を緩和するために定められた法律です。
※参考2(労働基準法第20条)
クビになりやすい派遣社員
ここまで、主に「派遣先企業の都合による」解雇(クビ)についてみてきました。ここからは「派遣社員に問題がある場合」の解雇(クビ)通告についてみていきましょう。
派遣社員のメリットに「プライベートを優先して比較的自由な働き方ができる」というのがあります。確かに正社員と比べると派遣社員は自由な部分が多く、仕事も楽なイメージがありますよね。
しかし、派遣社員だからと言って、全く責任がないというわけではありません。当然ながら、与えられた仕事は責任を持って取り組まなければなりませんし、社会人としてのマナーを守って常識ある行動を取らなければなりません。
これらを怠ると、契約途中であっても解雇(クビ)を言い渡されたり、契約を更新してもらえなかったりすることに繋がります。
具体的には・・・
責任感がない
「どうせ派遣だから」という気持ちが強いと、仕事も手を抜きがちになり、一生懸命さが伝わらないものです。向上心がなく成長しようとする努力が見られないのも問題です。責任感がないことからミスが多くなり派遣先に迷惑をかけることも出てきますよね。
マナーが悪い
社会人として常識的な言葉遣いができない(敬語が使えない)と派遣先から嫌がられます。挨拶ができない、時間にルーズ、清潔感がない、などもマイナス評価されます。
欠勤や遅刻・早退が多い
たとえ”ずる休み”ではなくても、常識的な頻度を超える欠勤や遅刻、早退は、仕事の進捗やスケージュールに影響を及ぼします。責任感がない人とみなされても仕方がありません。
無断欠勤・連絡なしの遅刻
これは説明不要ですよね。社会人として、人間としての常識が問われる行動です。
当然ながら、派遣先から好意的にみてもらえない人、信用されない人が、解雇(クビ)の対象となりやすいことが分かります。どれも「社会人としての常識がない」行動ばかりですよね。派遣に限らずどの社会でも通用しない問題行動だと言えます。
まとめ
以上、派遣社員の解雇(クビ)についてみてきました。先行きが不透明な昨今の経済状況において、派遣社員という働き方を選んだのですから、常に解雇(クビ)や雇止めについて覚悟しておかなければなりません。
そのリスクが少しでも減るように、「派遣先に好かれる派遣社員」を目指したいものです。それは決して難しいことでも、派遣先に媚びを売るということでもありません。
社会人として当然のマナーを守り、まじめに責任感を持って仕事に取り組むということです。