行事や日々の業務に追われ、いつだって保育士は忙しいもの。
そんな中、楽しいクラス運営について、じっくりと考えてみたことはありますか?
「改まって考えたことはないかも」そういう保育士は意外に多いのかもしれません。
やらなければいけない業務が沢山あると、クラスの在り方を考える余裕もなくなりますね。
今回は「楽しいクラス」をテーマに、保育士が心に留めておきたい配慮や工夫を考えてみました。
保育のアイディアや「クラス運営のコツ」も含めてご紹介します。
子どもが楽しいクラスってどんなクラス?子どもの立場で考えた5つの例
「楽しいクラス」といえばどんなイメージがありますか?
ここでは主なものを5つ挙げてみました。
みなさんのクラスはどんな雰囲気ですか?
1. おしゃべり、にぎやか
会話がにぎやかなクラスは、子どもの気持ちがリラックス&解放されています。
自分が見たこと・聞いたこと・考えたことを、友だちや保育士に話すことがとても楽しいのです。
「静かにしなさい!」と保育士がいつも怒っているようなクラスでは、自由に会話を楽しめません。
子どもたちも何となく元気がないし、保育士の顔色をうかがっていることもあります。
おしゃべりは「自己発揮」であり、言いたいことを話すことができれば「達成感」になります。
そんな経験を繰り返すことで自信につながり、話すことがますます楽しくなるのです。
2. 自由遊びの時間が長い
行事の練習や準備があると、自由遊びの時間を確保できないこともありますね。
やることが多すぎて、自由に遊べるのは朝と帰りのわずかな時間だけになってしまいます。
自由遊びの大切さを重視する保育士は、たとえ行事が控えていても何とか時間を確保しようとします。
子どもにとってメインなのは自由遊び!今日は何をして遊ぼうか、誰と一緒に遊ぼうか、それを楽しみに登園しているのです。
子どもの気持ちを大切にしているクラスはもちろん楽しいですね!
3. おとなしい子どもも笑っている
元気で積極的な子どもが笑っている様子はいつも見られますが、口数が少なくおとなしい子どもが笑っているクラスは「楽しいクラス」です。
にぎやかな子どもたちの輪の中にいなくても、クラスの雰囲気が楽しいから笑っているのです。
それは「緊張していない」ということ!
居心地が良い場所では、普段おとなしい子どもも沢山笑います。
4. 子どもたちがお互いを理解している
「お互いを知る機会」を多くつくることで、自分との共通点や、意外な個性や能力があることに気づきます。
相手の良さを発見すると、相手を「仲間」として受け入れるようになります。
いつも一緒に遊んでいる友だちばかりに関心をもつものですが、「今まで気にも留めなかった」または「できない人だと見下していた」相手に目を向ける機会はとても大切です。
それだけでクラスの雰囲気が柔らかくなっていきます。
5. 保育士がおもしろい
保育士のキャラクターによって「クラスの雰囲気」が左右されますね。
明朗快活な人柄の保育士は、そこにいるだけで場が明るくなります。
笑顔の多い保育士がいるクラスは「楽しいクラス」です。
そうは言っても、保育士みんなが「明朗快活」なキャラクターを持っているわけではありません。
保育士それぞれのおもしろさを知っているのは子どもたち!
話が面白かったり、変顔をしてくれたり、ちょっとしたことで「先生、おもしろい!」と喜びます。
楽しいクラスにするための保育の工夫とアイディア8つ
楽しいクラスをつくるための保育には、大事なポイントがあります。
下記5つのような機会を日常的に取り入れることで、お互いの良さを知り、クラスの中に「自分の居場所」を見つけることができます。
- みんなの前でお話をする「おはなし会」
- みんなで力を合わせて何かを作る「共同制作」
- みんなが大好きな「マスコット」の存在はクラスを楽しくする
- 「ふれあい遊び、ゲーム」で同じ遊びを楽しむ
- お互いに助け合う「グループ活動」
- 子供の想像力を刺激する「ごっこ遊び」
- 目標を持って取り組める「運動遊び」
- 感謝の気持ちを「ありがとうシール」で示す
次は、これらのポイントを意識した活動のアイディアとコツをご紹介しますね!
1.みんなの前でお話をする「おはなし会」
朝の時間に「おはなし会」を設けましょう。
毎日1~2人ずつ、みんなの前で話します。
内容は本人の自由!話したいことを話す会です。
緊張しやすい子どもや、何を話したらいいか分からない子どもは、事前に打ち合わせを行い「いつでも助けてあげるよ」と一声かけておくことで安心できます。
お話をしたくない子どもには無理をさせず、話したくなるまで見守るようにします。
本人が話した内容について、聞きたいことがある子どもは自由に質問をします。
なるべく本人は自分の言葉で質問に答えていきます。
本人と同じ経験をした子どもにも話を聞くなど、話の内容を広げていくのも楽しいですね!
2.みんなで力を合わせて何かを作る「共同制作」
作品展などで共同制作を行うことは多いですが、行事に関係なく取り入れるのも楽しいですよ。
部屋の装飾や、みんなで使うもの、大型の手作りおもちゃなど、いろんな共同制作に挑戦してみましょう。
そのほかにも、壁面装飾では保育士が背景だけを貼り、あとは子どものイマジネーションに任せてみるのもよいです。
人・動物・生き物などを自由に描いて、切り抜いたものを壁面にどんどん貼っていきます。
ロボットでも、おばけでもモンスターでも、正体不明のキャラクターでも「何でもあり」が楽しいのです。
保育士は介入しないのがコツ!子どもの想像力を楽しむためにも、見守ることに徹します。
子どもたちはお互いが作ったものを見て笑ったり、刺激を受けたり。
ひとりひとりの想像力が活かされた楽しい世界ができあがりますね!
3.みんなが大好きな「マスコット」の存在はクラスを楽しくする
子どもが好きなパペットを使いましょう。
集中させたい時や、朝や帰りなど、折にふれてパペットを登場させましょう。
子どもたちは夢中で見ています。
パペットに慣れ親しむと愛情がわいてきます。
その気持ちは他の子どもも同じ!
クラスみんなが同じものを愛し大切にしようとすることで、連帯感が出てきます。
4.「ふれあい遊び、ゲーム」で同じ遊びを楽しむ
親子で行うような「ふれあい遊び」や「わらべ歌」を子ども同士でも楽しみましょう。
事前に「今日は何にしようか?」と子どもに決めてもらってもいいですね!
次々に相手をチェンジして、友だち全員と関わることができるようにしても面白いですよ。
いろんなゲームを行いながら、子どもたちにとってどのゲームが楽しいのかを試してみます。
クラスみんなが喜んだゲームは何度も取り入れて、保育士がいなくても自分たちで楽しめるようにしていきましょう。
5.お互いに助け合う「グループ活動」
大きいクラスの子どもは、グループで行動することによって仲間意識をもつようになります。
クラスの人数にもよりますが、4~5人のグループを作って活動する機会を作りましょう。
当番をグループ制にしてもいいですね。
仕事の分担は子ども同士で決めると責任感が出てきます。
グループとしての責任を全うすると、それぞれが達成感を味わうことができるでしょう。
お片づけもグループごとに違う場所を担当してもらえば、いつもより早く終わるかもしれませんね。
6.子供の想像力を刺激する「ごっこ遊び」
成長に合わせて進化していく「ごっこ遊び」は、イマジネーションの共有をすることでますます楽しくなっていきます。
子どもたちがのびのびと「ごっこ遊び」を満喫できるクラスは「楽しいクラス」と言えるでしょう。
クラスの中には一緒に遊びたくても仲間に入れない子どももいます。
そんな時は保育士も一緒に「先生と○○ちゃんも入れて!」と遊びに加わることで、子どもの緊張や不安が楽になります。
7.目標を持って取り組める「運動遊び」
玉入れのような団体競技をもっと簡単なものにアレンジして、全員またはグループで取り組むようにします。
異年齢のクラスも一緒に行うとますます楽しくなります。
なわとびなど個人で行う運動は、「誰が一番上手」という視点ではなく、子どもそれぞれが目標をもって取り組みます。
目標数がどうであれ、達成した人にはみんなで拍手を贈るようにしたいですね。
8.感謝の気持ちを「ありがとうシール」で示す
「助けてもらった」など感謝の気持ちを示す「ありがとうシール」を、相手のロッカーや道具箱などに貼ります。
シールははがせるタイプのものを使うと便利です。
シールの数を競うものではないので、表のように掲示するのではなく、相手がわかる所に貼るようなイメージです。
誰でもいつでも貼っていいので、本人が気づかないうちにシールが増えています。
「このシール、誰が貼ったの?」という一言から、新たな関わりが広がっていくかもしれませんね!
ほっこり温かいクラスを目指す3つのコツ
お互いを思いやるクラスにするために保育士はどんな配慮が必要でしょうか?
保育士が日頃から気をつけたいことを考えてみましょう。
1. 子どもを人前で叱らないこと
子どもを叱る必要がある時は、できれば別室に移動して行うようにしましょう。
他の子が見ている前で叱ると、子どもはプライドが傷つき、素直に認めることができなくなります。
人前で叱られたというショックの方が大きくなり、保育士が伝えたかった「叱られた理由」が心に響かなくなります。
保育士への信頼が揺らいでしまうことも!
他の子どもにとっても、誰かが叱られる場面は緊張感があります。
「自分も叱られたらどうしよう」と不安になる子どももいるのです。
2. 「大好き」と「ありがとう」を伝える
保育士自らが率先して「大好き」という気持ちを伝えましょう!
他にも「○○ちゃんは大事な人」「会えてよかった」など、保育士が心に思ったことを言葉にしていきます。
子どもに何かしてもらったら「ありがとう」と言うのを忘れずに!
保育士は感謝の言葉を必ず伝えます。
「こういう時はありがとうって言わなきゃいけないの!」と繰り返し指導するよりも、先生が「ありがとう」と言っている姿を見る方が伝わるかもしれません。
「愛されている安心感」や「感謝される喜び」は、子どもたちの心を和ませクラスの雰囲気が温かくなりますね。
3. 子どもの状態を把握する
子どもたちにとって楽しいクラスであるためには、保育士が常に子どもの状態を把握していることが大切です。
たとえば「今日はトラブルが多い」など、いつもと違う様子が見られる場合は特に気を配る必要があります。
子どもだって「笑っていられない時」もありますね。
家庭で何かトラブルがあって、悲しい気持ちを引きずって登園してくる子どももいます。
保育士は本人の気持ちを受けとめ、スキンシップをはかり、再び子ども同士の世界に戻っていけるよう心が安定するまで見守ります。
担任保育士はクラスのキーマン
子どもが主役だけどキーマンは「せんせい」です。
そのため、保育士によってクラスが変わります。
どんなクラスになるかは「保育士次第」と言っても過言ではありません。
担任の保育士が「どんな先生か」で、クラスの雰囲気ががらりと変わることもあるのです。
怒ってばかりいる先生のクラスは、子どもが大人の顔色をうかがっています。
ため息ばかりついている先生のクラスは、子どもの気持ちもバラバラです。
やはり担任保育士はクラスのキーマンとなる重要な存在です。
仕事をしていて「今日はイライラする」「今日はゆううつ」など、気分の変化というものを感じる時はありませんか。
保育士の中には「自分は気分が変わりやすい」と自覚している人もいます。
保育士とはいえ人間ですから、平常心でいることが難しい時もあります。
ただ、プロであればスイッチを切り替えるということも大切なこと。
自分が今どういう状態なのかを自覚し、それに合ったストレス対処法を実践することが必要です。
保育士のストレスマネジメントは「楽しいクラス」をつくるための大事なポイントでしょう。
担任保育士が目指すもの
子どもにとって楽しいクラス。
それは「どの子もみんな居心地がいいクラス」だと言えるでしょう。
一部の子どもだけじゃない、積極的な子も、引っ込み思案の子も、みんな居心地がいい。
それが本当の「楽しいクラス」かもしれません。
「みんなが居心地のいいクラス」にするために、保育士はどんなことができるでしょうか。
子どもたちが活き活きと毎日を送れるよう、保育のコツに愛情をプラスして努力を重ねたいですね。
まとめ
今回はクラスの雰囲気やクラスを楽しくする方法を紹介しました。
最後にもう一度、楽しいクラスを運営するコツをおさらいすると
- 子供がお互いに楽しめる仕組みを日常的に取り入れる
- 人前で叱ることは極力排除する
- 感謝の気持を普段から伝える
の3つが挙げられます。
「クラスが楽しくまとまるコツを知りたい」
そんな保育士の方は、ぜひこの記事を参考に楽しいクラスづくりをしてみてくださいね。