IT企業と言うと、インターネットが携わってくる業界です。また私たちの生活にインターネットは欠かせないものとなっています。しかしITやインターネットなど、実際にどういったものなのか分からないまま使用している人も多いのではないでしょうか。
一部ではIT=インターネットのように扱われているケースもありますが、ITはインターネットを指す言葉ではありません。またインターネットに関係する言葉に「ウェブ」という単語がありますが、これもインターネットとウェブが混同しているケースもあります。
そこで今回は、ITとは何か、インターネットとは何か、またウェブとインターネットはどう違うのか、などについて詳しくご説明していきましょう。
インターネットだけではない!IT(情報技術)とは何か?
まずITとは「information technology(情報技術)」の略称であり、インターネットのことではありません。そしてIT革命という言葉が2000年の新語・流行語大賞にも選ばれ、国内ではこの前後から一般用語になった言葉です。
ここでいう情報とは主にコンピュータを取り扱うもので、ITと言えばコンピュータ技術といっても過言ではないでしょう。さらに通信(communication)を含めてICT(information and communication technology、情報通信技術)と呼ばれることもあります。ITもしくはICTは、コンピュータやデータ通信(インターネットや携帯電話など)の関連技術を総称した言葉として使われています。
またアメリカ情報工学協会では、「コンピュータをベースとした情報システム、特にアプリケーションソフトウェアやコンピュータのハードウェアなどの研究、設計、開発、実装、保守、管理」と定義されています。そのためITはコンピュータのハードウェアとその上で動くOSやアプリケーションなどのソフトウェアから成り立っており、これらの研究開発を行うのがIT企業と言えるでしょう。
有名なIT企業というとマイクロソフト、アップル、グーグルなどがあるでしょう。
しかし一口にIT企業と言っても上記のようにOSなどのソフト開発、端末の販売、インターネットサービスの提供など、さまざまな仕事があります。その理由としてコンピュータはハードウェアやソフトウェアだけあっても意味がありません。
さらにハードウェアとソフトウェアを揃えていても、その上でどんなサービスを提供するかが重要になります。そのためIT企業は上記のように多岐にわたる業界となっているのです。
そもそもインターネットとは何か?
インターネットとは世界中にあるコンピュータなどの情報機器を接続するネットワークのことを指します。現在ではアメリカのARPANETを前進として、世界規模のネットワークサービスのことを言います。
インターネットが普及する前は、コンピュータネット(パソコン通信)が主流でした。これはひとつのサーバーに各端末がアクセスするものです。一方、インターネットでは複数のネットワークが相互に接続されているため、一つのサーバーで管理されているわけではありません。そのため企業や公共機関、個人など、無数のネットワークが相互接続して情報共有を行うことが可能になっています。
インターネットが誕生した歴史
そもそもインターネットの構想が産まれたのは1960年代と古く、前進となるARPANETは1960年代後半にアメリカで始動しました。1984年には慶応大学、東工大学、東京大学がはじめてインターネットに接続をし、1988年にはアメリカで商用インターネットが始まりました。その後1990年にウェブたが誕生し、1995年にはWindows95が販売されました。このWindows95にはインターネット通信必要なTCP/IP機能が標準搭載されていたため、一般に広く普及しました。
また世界でのインターネット利用率が年々上昇しており、2016年では人口当たり普及率が役47%に昇っています。日本での普及率は約92%にも及び、世界で第17位となっています。
インターネット上のサービスはウェブだけじゃない!
またインターネット上では、いわゆるホームページであるウェブや電子メール、ファイル転送、音声通信など、多岐にわたるサービスの通信が行われています。そのためインターネット=ウェブではなく、その他にある多くのサービスを含めたものがインターネットサービスになります。
ウェブ(Web)はインターネットとは違うの?
前述したとおりウェブはインターネットサービスの一つです。正式にはWorld Wide Webと言い、WWWと略されています。ホームページのURL冒頭につく「WWW」が付いているのは、正式名所の頭文字を3つとったものとなります。
ウェブは分かりやすく説明すると、ホームページを閲覧するサービスです。しかしウェブで閲覧するものすべてをホームページと呼ぶのは間違いであり、正式にはウェブページと呼ぶのが適切です。しかしホームページは既に一般的な用法になっています。
ハイパーテキストとは?
またウェブはハイパーテキストシステムと呼ばれています。ハイパーテキストとはハイパーリンクにより、複数のテキストを行き来できるものです。ホームページのリンクをクリックすると別のページに飛べる、あるいはファイル内から他の画像や音声ファイルを呼び出して埋め込み表示される、などの動作がハイパーテキストになります。
このハイパーテキスト辞退は、インターネット通信がなくても実装可能です。たとえばwordやExcelなど、同じパソコン上(ローカル)でファイルにリンクを貼ることができます。しかしこれはローカル上のファイルしか見ることができません。
そこでインターネットにハイパーテキストシステムを導入することにより、さまざまなコンピュータ上にアップロードされた文章同士を自由に閲覧できるようになりました。あるウェブページのリンクから別のページに飛べることや、別のサーバー上にある画像ファイルを自分のホームページに表示させるなど、以上の動作が行えるのがウェブです。
ウェブブラウザについて
そしてウェブページを閲覧するためのソフトをウェブブラウザと言います。そのブラウザでは、ブログやSNSなどもウェブサービスの一環です。またJavaScriptやFlashといったウェブ上で動くプログラムや、ウェブ上で動作するゲームやオフィスソフトなどもあります。電子メールはウェブとは違う仕組みですが、ウェブ上から電子メールを見られるサービスも一般的になりました。
なおウェブを構成する3つの規格が、URIというアドレスを指定する仕組み、HTTPというブラウザとサーバーの通信手順のルール(プロトコル)、そしてHTMLというハイパーテキストを記述するためのルールです。
ウェブを構成する3つの規格について
ウェブの構成要素についてもう少し詳しく説明しましょう。
URIはリソースを示すのに使われる
URI(Uniform Resource Identifier)は、ファイルなどリソースを識別するためのルールで、インターネットアドレスと呼ばれる場所を示した「URL」と名前を示す「URN」から成り立っています。
たとえばYahoo!Japanのトップページであれば、http://www.yahoo.co.jp/がURLです。
さらにURLの標記を詳しく説明すると、以下のように示しています。
- http 通信プロトコル
- www.yahoo.co.jp コンピュータの指名
そしてファイル名をコンピュータ名のあとに「/」で区切って指定していますが、省略するとサーバーで設定されたトップページが表示されるのが一般的です。
通信プロトコルHTTPとは?
通信プロトコルであるHTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、HTMLなどのウェブページの送受信に使われるプロトコルです。通信プロトコルというのは、コンピュータ同士が通信する手順を定めたものです。HTTPに従って手元の端末からサーバーにリクエストを送信し、サーバーがこれに答えてウェブページなどのデータを送り返します。
なおインターネットで使われる通信プロトコルとしてTCP/IPというのも聞きますが、これは正確にはTCP(Transmission Control Protocol)とIP(Internet Protocol)の組み合わせです。通信プロトコルはいくつかの層から成り立っていて、HTTPはTCPの上で使われます。
コンピュータ名とIPアドレスについて
コンピュータ名として使われるものには、ドメイン名とIPアドレスの2種類があります。0から255の数をピリオドで区切り、4つ組み合わせたものがIPアドレスで、TCP/IPで通信するコンピュータはこれで識別されます。しかし数字の羅列は人間には分かりにくいものです。
そこでドメイン名といって、英文字を使った分かりやすい名前も使われます。DNS(ドメインネームシステム)により、IPアドレスとドメイン名が変換されます。
HTMLはウェブページを記述する言語
HTML(HyperText Markup Language )はウェブページを記述する際に使われる言語です。マークアップ言語の一種で、テキストをタグで区切り見出しや本文、ハイパーリンクなどの要素を構築していきます。ウェブブラウザでソースを見ることで確認でき、ホームページを作成した経験のある人にはおなじみでしょう。
インターネットとウェブは適切に使い分けよう
長くなってしまいましたが、IT、インターネット、ウェブといった混同しがちな用語について説明しました。会話の上ではウェブのことをインターネットと言うなど、インターネット関連業務を指してIT関連と言うことも良くありますが、就職活動の場などでは正確に使うようにしましょう。