こんにちは。
IT業界の転職コラムを担当する須田です。
ITコンサルタントから社内SEへ転職後、2年目でようやく周囲に指示できるようになりました。
私の経歴をざっとまとめると下記のようになります。
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ITコンサルタント就職(大卒)
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ネットワークエンジニアに転職(20代終わり/現在5年目)
まず、IT業界についての現状や今後の動向、転職を成功させるポイント、やりがいなどを紹介していこうと思います。
IT業界の現状と未来
2000年のIT革命に始まり、IT企業がマスメディアで取り上げられたことによって人気の出たIT業界。
この業界での転職に成功するためのポイントはあるのでしょうか。
転職をおこなうには業界の動向を知らないと始まりません。
現在のIT業界はどのような状況にあるのかを把握しておくことが重要です。
多様化していくIT業界
そういえば、以前に比べて「IT企業」という言葉を聞かなくなってきたと感じていませんか?
「IT業界の盛り上がりも終わってしまい、求人が減っているんじゃないか?」と思っている人もいるかもしれませんが、その点は安心していいでしょう。
その年ごとに差はありますが、現在でもIT業界の求人は上昇傾向にあります。
ところで、”IT業界”といわれて、皆さんはどんな職種をイメージされますか?
通常は「パソコンを使ってみんなが使えるようなWEBサービスの開発や運営をおこなう」というのが一番にイメージされるかもしれません。
たしかに、IT企業の中にはWEBサービスを主体としている企業も多く存在します。
しかし、WEBサービスを提供するためには、
- WEBサイトのデザイナー
- フロントエンドエンジニア
- バックエンドエンジニア
といったイメージされやすい職種だけでなく、
- ・企画や立案をおこなう「ディレクター」
- ・ユーザーからの問い合わせに対応する「カスタマーサポート」
- ・提供サービスの新規顧客を見つけるための「セールスマン」
も必要になります。
自社が提供しているサービスの優れているポイントを説明し、企業向けサービスであれば導入してくれる企業、通販サイトであれば出店してくれるお店を集めないことにはサービスの運営を継続出来ませんよね?
業界が立ち上がったばかりの頃は、人材も少なくWEBデザインとフロントエンドの実装を兼任することもよくありました。
ただ、規模が大きくなるに連れて職種が細分化され、より専門的な知識が必要になるのです。
また、スマートフォンのような新しい機器の台頭や、ビッグデータ、AIのように新しい分野の登場によって、新しい知識やスキルが求められるようになっています。
そのため、一口に”IT業界”と言っても、簡単に説明することが出来ないくらい多様化していると言えるでしょう。
業種によっては成長鈍化という課題も
以前と比べれば、業界規模の上昇率は緩やかになっているとはいえ、成熟と言うほどかは難しいところです。
では、成熟と言われるのはなぜでしょうか。
多様化によって今までになかった職種が生まれている
そう言われる理由の1つとして、すでに紹介した多様化によって新たな職種が生まれていることが挙げられるかもしれません。
例えば、新しいサービスやシステムの開発をおこなおうとする企業に対して、そのノウハウや進め方をアドバイスする”IT関係を専門に扱うコンサルタント”といった職種も存在するようになりました。
もともと、他の業界と同様に経営コンサルタントがおこなうことが多かったのですが、専門的な知識が必要になるため、IT関係に特化しておこなうコンサルタントが出てきたのです。
そういった職種をIT業界として扱うかどうかは判断が別れるところでしょう。
成長鈍化懸念がある職種も
また、もう1つの理由は、職種によっては成長の止まるものもあるということです。
担当する区分が細分化されたり、新たな職種が生まれていく中で”ある特定の職種”に絞って見れば、成長どころか減少しているものもあるでしょう。
たしかに、WEBサービス等の開発を請け負った場合、完成したサービスだけでなく、設計に関するドキュメントなどの納品も必要になります。
当然、ドキュメントを作成するのにも工数がかかるし、自動で生成できるなら、そっちの方が効率いいですよね。
もちろん、「設計ドキュメントを作成する」ことだけを仕事としている人は少ないでしょうから極端な例かもしれませんが、ツールの進歩やAIなどによって、需要が減っていく職種や業務があるのは仕方のないことだと言えるでしょう。
今後、業界の規模は?
IT業界を語る上で”多様化”という言葉は外せません。
単純に業界規模が拡大しているというよりも、範囲が広がっていくために結果として規模も拡大しているというほうが適切かもしれません。
「何かの技術を持った人の需要が増え続けている」というよりも、
「新しい知識や技術」
「今までIT業界と関係なかった知識や技術」
の需要が出てきているために、全体の需要も増加していると言えるでしょう。
とはいえ、業界として需要が増えていることには変わりありませんので、転職を考えるときに不安視する必要はないでしょう。
IT業界における人手不足。3つの原因とは?
業界規模はまだ拡大していると言っても、以前のように急激な需要増加があるわけではないのに…なんで人手不足なんでしょうか?
転職を考える人にとっては、プラス材料に感じますが、その3つの理由についてしっかりと理解しておいた方がいいでしょう。
1.EBやIT技術の変化への対応
どの業界であっても、技術や仕事の進め方は変化していきます。
その変化が特に早いのが、WEBやITに関する技術だと言えます。
インターネットやスマートフォンは仕事の中でも大いに活用されており、IT業界以外の仕事の進め方にも大きな変化を与えています。
例えば、「5年ほど活躍した人が2年ほどブランクの後に復帰する」ことを考えた場合、過去の経験を活かしやすい業界や職種もあるでしょう。
医師・看護師、介護職員、経理、営業職やタクシーの運転手…etcがそれにあたるかもしれせん。
しかし、IT業界の場合はどうでしょうか。
開発ツールにしても、システムにしても大きく変わっていて、以前の経験だけですぐに復帰するのは難しいのは予想できますよね。
これは、ブランクがある場合だけの話ではありません。
その業界で仕事を続けていても、当然事業環境の変化に対応する必要があります。
その業界にいるので、新しい情報は得やすいはずですが、今持っている知識や技術でこなせる仕事だけをやって、変化への準備を怠った場合は、もちろん付いていけなくなります。
2.ハードワークでの体力消耗
IT業界というと残業が多いイメージかありますよね。
「徹夜で不具合対応した!」なんていう話は業界あるあるではないでしょうか。
仕事量が見込みづらい点と、緊急での対応が必要なことが多い事が原因の1つだと考えられます。
例えば、製造業であれば「売れすぎて生産が追いつかない」といった嬉しい誤算がない限りは、季節によって需要が変化する製品の製造であっても、事前に仕事量を見込むことが出来るので「シフトや工場の稼働時間」を調整することで対応出来ますよね。
一方でIT業界のWEBサービスの場合はどうでしょうか。
サービスの開発自体は、要求仕様から工数を見積もるわけですが、途中でクライアントから変更が入ることは多々あります。
さらにサービスを開始してからでも、不具合が発生すれば対応する必要がありますし、そういう場合、殆ど至急の対応が求められることになります。
仕様変更やサービス開始後の不具合対応工数をあらかじめ見込むには限界があります。
しかし、会社としてはクライアントの要望は、できるだけ早く対応したい。
そうすると、どうしても残業での対応になってしまいます。
年齢が高くなるにつれて、どうしても体力的にきつくなってしまいます。
体力的に問題がなくても、家族が出来た場合など、ワークライフバランスを意識して働き方を変えたいと考え、業界を離れる人もいるんですよね。
3.社内IT需要増加による人材不足
人材不足の大きな原因と言えるのが、社内でのIT業務を行える人材の需要が増加したことです。
仕事でインターネットやツールを使用する時、当然それらの使い方を知らなくてはいけません。
しかし、若い新入社員からベテランの社員まで、全員が自分で使い方を調べたり、問題を解決できたりするわけがありません。
そこで、会社や部署の中で、IT系の知識に強い人が必要となります。
自社のホームページや商品紹介のWEBページを作るには、デザイナー、エンジニアが必要ですし、マーケティングも行う必要があります。
さらにインターネットを使うということは、外部からの攻撃などに備えてセキュリティ対策も行う必要があります。
このようにIT企業でなくても、IT関係の業務を担当する人材が必要になっています。
IT業界の規模と同じように、就職希望者が増えていたとしても、他業界の社内IT業務に進む人も考慮すれば、人材不足というのは頷けます。
また、この状況は転職にもプラスに働きます。
もし、IT業界の残業の多さが転職理由である場合、違う業界への転職を考える人が多いかもしれません。
しかし、社内IT業務であれば、今までと同じ”ITに関連した職種”の需要があります。
これはとても嬉しい事ですよね。
IT業界での転職が成功しやすい人材とは?
業界規模が増加していて、人手不足であるなら転職は簡単な気がします。
たしかに、転職者にとって有利であることに変わりはありませんが、条件や環境のいい仕事の競争率が高くなってしまうのはどの業界でも同じことです。
例えば、下記のような希望する条件をクリアしたいのであれば、転職を成功しやすい人材になる方法を知っておくべきです。
- 突発的な残業が少ない
- 給料が高い
- 自宅勤務も可能
- 独立へのサポートがある
企業から求められやすい人材とはどんな人なのでしょうか?
見ていきましょう。
1.自ら進んで新しい技術や情報を調べる人
IT業界は技術の変化が早いと書きましたが、それにしっかり対応出来る人はそれだけで大きなアドバンテージと言えるかもしれません。
iOSがアップデートされることで、使用できるAPIなどが変更になることがあります。
その変更に対応する必要があるわけですが、そういった対応をいち早く行うのは簡単ではありません。
こういった対応方法についての情報は、下記のように広がっていきます。
- 公式に発表された変更を見て、試行錯誤をおこない対応策を見つける
- 対応策を、画面キャプチャ付きで詳しく解説をするブログ等が登場する
- 多くの人が簡単に対応策を見つけることが出来る状態になる
- 対応策を見つけた人が備忘録としてブログなどにアップする
上記の「1」「2」の状態で対応出来る人になれれば、あなたは企業から引く手あまたの状態になれます。
「3」「4」の状態にならないと対応出来ないという人は、第一線で生き残っていくのは難しいと言えます。
業務時間外でも、このような新しい技術や情報を調べることが楽しいと思える方なら、大きなストロングポイントになります。
2.第一人者になれるくらいの専門的スキルを持っている人
これは言うまでもないことかもしれませんが、同業の人と比べても抜きに出ている知識や技術があるのであれば、何の問題もないでしょう。
第一人者になれるくらいであれば、転職先が見つかるかというよりも、現職よりも好条件でのスカウトやヘッドハンティングを期待したくなりますよね。
また、変化の早いIT業界ですが、新しい開発ツールが登場したとしても全てが置き換わることはありません。
使いやすさが大幅に向上した為に、新しいツールを使用する人が増えたとしても、”細かい設定が可能”、”古いOSとの相性”などの理由で、古いツールの需要も残ります。
第一人者ほどであれば、その需要を勝ち取ることが可能になります。
3.幅広い関連分野の知識を有する人
IT業界全体的に業務が細分化されてはおりますが、それは全ての会社で統一された分類ではありません。
企業によって業務の担当範囲が異なるということはよくあります。
小さな企業ではより顕著で、複数の業務を兼務することもあるでしょう。
フロントエンドエンジニアとして転職した新しい転職先で仕事を頼まれたときに「それは前の職場ではフロントエンドエンジニアの仕事ではありませんでした」といって断るのもどうかと思います。
明らかに関係のない仕事ならともかく、企業によって分担が異なるような内容であれば、新しい企業のルールに従うのが筋です。
それに、業務範囲が同じ場合でも、他の業務を理解して仕事をおこなえることは大きなメリット。
次の担当に引き継ぐときにその業務を理解していれば、
「どういった点を詳しく説明すべきか」
「優先度の高いものはどれか」
が分かり、スムーズに業務を進められます。