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大人でも大丈夫!下顎前突の治療方法
外科的矯正治療の場合、保険が適用されることも
「下顎前突症」(かがくぜんとつしょう)とは、下顎が前に突き出ている状態で、一般的に「受け口」「しゃくれ」と呼ぶ場合もあります。見た目の問題もありますが、それ以上に噛み合わせの問題や、身体全体への影響が大きく、できれば早期の治療が望ましいです。
下顎前突症の症状や、原因、治療法について調べてみました。
下顎前突症とは?
下顎前突症とは、上顎に比べ下顎が前に突き出し、下の歯が上の歯よりも前に出ている噛み合わせのことです。「反対咬合」「受け口」「しゃくれ」と呼ばれることもあります。
「顎変形症(がくへんけいしょう)」の一種で、上顎骨または下顎骨の大きさや形、位置、傾きの異常で、噛み合わせの不具合である「不正咬合(ふせいこうごう)」を引き起こします。
顎骨は身長の伸びにほぼ比例して成長するので、下顎の突出やあごの歪みは、12歳から15歳頃の成長期に顕著となります。あごの変形は放置しても自然に治ることはありません。
下顎前突症は、見た目の審美的な問題もありますが、肩こりや頭痛、また腰痛といった全身の症状に発展する危険があり、早めに治療を行い改善していくことが重要です。重度の場合は外科手術が必要なこともあります。
下顎前突症の症状
下顎前突症には以下のような症状があります。
- 食べものをうまく噛み切ったり咬み砕くことができずに、咀嚼(そしゃく)障害や飲み込みにくい嚥下(えんげ)障害が起こります。それによって消化不良が生じ、胃腸に大きな負担がかかります
- 発音障害が起こり、特にサ行やタ行が発音しにくくなります
- 口を閉じていても、常に唇が半開きのような状態になります。口内が乾きやすく雑菌が繁殖しやすい状態となります
- 下の前歯が上の前歯を突き上げるなど、歯全体に負担がかかりやすく、骨が溶けてしまう原因になったり、虫歯や歯周病にもなりやすいです
- 口だけでなく顔回り、首や肩などの筋肉にも負担がかかり、肩こりや首のこり、頭痛、腰痛などの原因にもなります。老廃物がたまると顔のむくみの原因にも
下顎前突症の原因
先天的・遺伝的要素
下顎前突症には、家系や人種などの遺伝的要因が大きく関係しています。日本人を含むモンゴロイド人種には、元々下顎前突(かがくぜんとつ)が多いというデータがあります。欧米でも約1%の発症率で、ハプスブルク家ではそれが家柄の特徴でもあったそうです。「上の顎が小さい」といった顎の骨のサイズや形、歯の大きさなどの遺伝も関連しています。
あごの発育不良
子どもであごの発育不足があったり、上下のあごの成長バランスが悪いためにあごが変形して、下顎前突症を発症する場合があります。
幼少期の癖
幼少期からの指しゃぶりや唇をかむくせ、口呼吸の習慣が下顎前突症の原因になると言われています。また舌で歯を強く押す癖や、頬杖なども原因の1つとされています。
口呼吸
舌は通常、上顎の内側に接触しています。しかし鼻づまりなどで口呼吸をすると、舌が下顎の内側に張り付き、舌の力と頬の力がバランスを崩して、下顎前突症になりやすいとされています。
下顎前突症の治療方法
全て乳歯の場合
乳歯列では反対咬合の程度によって、治療を行う場合と、半年に1回程度の定期検診で経過観察を行う場合とがあります。原因を解明し指しゃぶりなどの習慣がある場合は、それをなるべく止めるよう誘導を行います。治療では取り外しの出来るマウスピースなどを半年自宅で装着して矯正を行います。
6歳~10歳の場合
永久歯が数本生えていて、すでに前歯が反対咬合になってしまっている場合、放置するとますます下顎前突がひどくなります。顔自体が変形する危険もあるので、原因を解明してそれに応じて治療を行います。
治療は下顎前突症になりやすい悪癖をやめるトレーニングを行い、バランスのとれたあごの発育を促しながら、必要に応じてマウスピースや部分的な固定装置などを活用して矯正していきます。治療期間は1年から1年半前が目安です。
この時期は骨もまだ成長中で、歯も動きやすいので矯正効果が出やすく、将来的な不正咬合を防ぐこともできます。
日本矯正歯科学会では7歳までに専門医の診断を受けることを推奨しています。
11歳~25歳未満/25歳以上の場合
永久歯列期の場合、まだ身体全体の成長が続いているかどうかでも治療内容は異なります。成長中なら、あごの骨の矯正を行いバランスを整えて行きます。成長が終わっている場合は歯を移動することで矯正します。
下顎前突症の度合いにもよりますが、全体的な歯並びや噛み合せを治療する方法と、気になる部分だけを治療する方法があります。
多くのケースでは矯正装置を使用します。重症だと永久歯の抜歯が必要になる場合や、外科的にあごの骨の手術を行う場合もあります。インプラントを併用する場合もあります。
25歳以上では基本的治療法は11歳~25歳未満と同じですが、歯周病が発症している場合、矯正によって悪化するリスクがあるので、歯周病治療を優先し終了後に矯正を行うことになります。
下顎前突症の治療費用の目安
下顎前突症の矯正では、更生医療指定機関で治療する場合のみ健康保険の適応を受けることができます。それ以外の医療機関では自費診療となるので注意してください。
個々人の状態、症状によって治療方法が異なるので、あくまで目安ではありますが、保険適用の場合、検査費用・調整料金を含む矯正費用は約25万円、外科手術を要する場合は入院費用も含めて約25万円~40万円です。
保険適用されない医療機関の場合は、矯正費用で約85万円~200万円、外科手術で約100万円~200万円です。自費治療では歯科医院によって治療費に大きな差があるので、あらかじめ見積もりをとってから治療をスタートしてください。
心身に影響が出る下顎前突症、できれば早めの治療を
下顎前突症は見た目だけでなく、消化不良や肩こり・腰痛の原因になったり、発音不良を起こしたり、精神的なストレスにもなります。
治療は歯やあごの部分治療、全体治療によって矯正器具を使い分けます。ただし重度になると外科処置を行う必要もあります。子どもの時には治療効果も高いので、なるべく早めの治療がお薦めです。
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