費用も抑えられるから、検討してみてはどうだろう?
借金をしたが返済がどうしても難しいといった場合、任意整理を考える方は大勢います。
しかし、中には
「借金が返せないのに、弁護士費用まで出せない」
「身内が借金をしていて、お金をかけずになんとかしたい」
といった方もいます。
そこで、弁護士などへの依頼費を出すのも難しいといった方のために作られた「特定調停」という方法があります。
今回は、特定調停の概要からメリットやデメリット、そして費用など詳しくご紹介します。
これを読めば、きっと返済への光が見えるはずです。
ぜひ読み進めてくださいね。
目次
特定調停は簡易裁判所が債務者と債権者との間に入って利害関係を調整してくれる
借り入れが多額になって返済不能になってしまった場合には、法的手段によって解決をすることが必要になります。
特定調停は債務者の借金を整理して生活を立て直すことを目的とした制度です。
引き直し計算などを行って金利を上限金利の範囲内に調整することにより、返済条件を変更して返済の負担を軽減します。
また特定調停の場合、金融機関は一定の資金を回収することができるので、利用者だけでなく金融機関にとってもメリットがある。
特定調停を利用できる人はどのような人?
実際に特定調停を利用するための条件を見ていきましょう。
- 3年以内に特定調停で減額した借金を確実に完済できる見込みがあること
- 本人に返済の意思と継続収入があること
これらの条件を満たす場合は、特定調停を利用することができます。
詳細は簡易裁判所ごとに異なりますので、詳しくは最寄の簡易裁判所などで確認してみてください。
また過払い金の請求は、特定調停とは別の扱いになるため、特定調停の和解手続を行ったあとでも過払い金の返還請求を行うことができるので、安心してください。
かかる費用はどのくらい?
お金がなくて借金をしているので、あまり費用を捻出するには難しいです。
けれど、特定調停の場合はその心配は全然いらないんだ。
返済できなくて困っているので、弁護士費用を出すことができないといった方は大勢います。
だからといって、自分で任意整理の手続きをとるのは大変難しく、債権者からも法律家を通すよう促されるため、ほぼできないでしょう。
特定調停の場合にかかる費用は、借入先1社に対し500円と破格です。
郵便切手代やなどを合わせても、2,000円程度で収まってしまいます。
通常弁護士へ依頼すると、着手金だけも数万円かかることがあり、その差は歴然ではないでしょうか。
ただし、過払い請求をできるのは任意整理のみになるので、もし過払いが発生しているのであれば任意整理で返済をする方法がいいでしょう。
特定調停のメリットやデメリットについて
もしかして、裏があるとか後で言わないでくださいね?
任意整理に比べて費用がかからない分、特定調停の場合は自分でも手続き可能です。
簡単な流れとしては以下のようになります。
- 特定調停の申し立て簡易裁判所へする
- 必要な書類が裁判所より送られてくる
- 決まった期日に簡易裁判所に行き調停する
自分で書類の管理や記入などすべて行うので、費用は弁護士に依頼するのに加え、大変安価に抑えられます。
しかしその分、デメリットも存在します。
そこでここでは、特定調停のメリットとデメリットをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
5つのメリット
まずはメリットから見ていきましょう。
主なメリットとしては、以下の5つになります。
- 任意整理に比べて安い
- 借金の使い道を聞かれない
- 調停委員が主導で交渉してくれる
- 強制執行を止められる場合もある
- 財産を一部残すことができる
それぞれについて解説していきます。
任意整理に比べて安い
やはり債務者にとって、費用を安く抑えられるというのは、なによりも利点が大きいのではないでしょうか。
任意整理にかかる弁護士費用は、基準がありません。
自由に弁護士が設定することができます。
着手金だけでも2万円程度はかかるといわれていて、それに加え報酬金なども発生するのです。
それに比べ、特定調停ではかかる費用として2,000円程度、任意整理の着手金の10分の1で行うことができます。
借金の使い道を聞かれない
どうして借金をしたのか、何に使ったのかなど人には言いたくないといった方も多いです。
特定調停の場合は、借金の利用道の制限などはありません。
どんな理由であっても、返済不能になりそうな方が対象になります。
調停委員が主導で交渉してくれる
通常、弁護士などを雇わなかった場合などは、自分で債権者と交渉をしなくてはいけません。
しかし特定調停は、債権者と債務者の間に調停委員が立ち、今後の返済金額や方法など話合われます。
直接債権者と交渉をせずに話をまとめることが可能です。
強制執行を止められる場合もある
強制執行によって、給料の差し押さえなどを受けているといった場合、特定調停をすることによって停止させることができます。
財産を残して、借金を整理することができる
複数の借り入れを行っている場合などには債権を選択して特定調停を行うことができるため、住宅ローンや自動車ローンなどの特定の債権はそのままにして、その他の債権を整理することもできます。
3つのデメリット
特定調停を利用すると決める前に、必ずデメリットの確認も必要です。
主なデメリットとしては、以下の3つがあります。
- 任意整理をしたときより、債務総額が増える
- 決定した内容を了承しない場合は強制執行となる
- 特定調停が不成立になることがある
それぞれについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
任意整理よりも債務総額が多くなってしまうことがある
任意整理は、基本的に未払金に対する利息や延滞金をなくし元金だけを確実に返済するという条件で、債権者と折り合いをつけることが多いです。
しかし、特定調停は
例えば…
- 調停成立時までの利息を付加して支払う
- 弁済が完了するまでの将来の利息を付加される
といった2つの理由で任意整理よりも、債務総額が多くなってしまうことがあります。
決まった内容に従って返済を行わない場合は強制執行も有り得る
特定調停では、3年間で完済する方向で返済計画を立て、月の支払い金額は、債務総額の3%程度を基準としてまずは話合われます。
調停が成立すると調停調書が作成されますが、調書の計画書通りに返済をしなかった場合は、債務者は強制執行を受けることもあります。
これは特定調停が裁判所を間に挟んで行われるためで、調停調書は確定判決と同じ効力を持つためです。
任意整理では強制執行が行われるなどの心配はありません。
特定調停が不成立になることもある
特定調停はあくまで、債権者と債務者の話し合いの場です。
そのため、不成立になることもあります。
以下の場合は不成立となる場合がある。
- 債権者が特定調停に応じない、裁判所に来ない
- 利息や遅延損害金の支払いを強く迫る
特定調停は、債権者に出廷や話合いに応じる義務ありません。
そのため債権者が話合いに応じなければ、当然不成立となってしまいます。
また、債権者がもともと特定調停に乗り気ではなく、利息や遅延損害金の支払いを求め、減額ができないケースもあります。
特定調停は弁護士や司法書士に依頼しましょう
特定調停は法的手段になりますので、一般の人が自力で行うことは難しく、やろうとしてもかなり煩雑です。
もし、申請するのであれば、法律の専門家である弁護士や司法書士などに依頼するようにしましょう。
金融機関に対してこれまでの取引履歴の開示を請求し、借り入れの最初の段階における引き直し計算をして過払い分を残額の支払いに充てることになります。
また特定調停の取り扱いは司法書士にも依頼することが可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
特定調停の概要や、メリット・デメリットなどについて詳しくご紹介しました。
今回の記事の重要ポイントとしては、
- 特定調停は任意整理よりも費用がかからない
- 自分で全て手続きをする必要がある
- 強制執行を止めることもできる
- 調停員が債権者との間に立ってくれる
- 不成立になることもある
「弁護士を雇う費用がないけど、返済をなんとかしたい」
「返済したいのに、強制執行を受けて困っている」
といった方は、ぜひこの記事を読んで特定調停を検討してみましょう。
法律関連は複雑なので、スムーズに事を進めるためにも法律家に頼むことが一番の近道ですよ!