会社で働いているのに、給料が支払われなかった経験ありますか?
実は、労働の対価として、賃金は必ず労働者に支払わなければなりませんので、未払いは違法なのです。
ここでは、未払いの給料がある場合に、それを取り返す方法をご紹介します。
給料が払われずに困っている方は諦めずに、これを読んで未払いの賃金を取り戻しましょう。
目次
給与の未払いは違法行為
会社で働いていれば、給料が毎月支払われますよね。これは、労働を会社に提供した分、その対価としてお金をもらうということです。
これは、働いていれば当然のように感じますが、労働基準法第24条で、「労働者に賃金を全額支払わなければならない」と定められています。
そのため、会社の都合で「支払うお金がない」「支払いたくない」からなどという理由で、労働者に賃金を払わないのは労働基準法に違反するのです。
もし違反した場合には、労働基準法第120条によれば「30万円以下の罰金」が科せられます。
給与が未払いになる原因はなに?
会社の運営するにあたり、経営者は給与の支払いを最も優先しなければならないでしょう。会社の利益を生む根幹には「労働力」があるのです。だからこそ、賃金を支払わないことは、刑事罰の対象にもなっているのです。
しかし、それでも給与未払いは、実際の問題として起きています。その理由は何なのか、よくあるケースをご紹介します。
経営者サイドの支払いミス
給与は通常、従業員の銀行口座への振込みにより支払われます。この際に、なんらかの事務手続の誤りが生じることで、支払が遅れることがあります。
銀行には3営業日前にデータを送信しなくてはいけませんが、この際に不具合があると振込みが遅れる場合があります。これは事務手続上の問題ですから、一過性のものです。悪質なケースと一緒にはできません。
給与の支払が遅延したとしても最終的に支払っているなら大きな問題にはならないでしょう。
給与を支払うお金が会社にない
経営不振で会社に給料を支払う体力がなくなれば、給料の支払はやむなく二の次になってしまうのもしょうがない部分はあるかもしれません。
経営者も大変だなと思うかもしれませんが、生活していく生命線になるのは会社からもらう給料ですよね。
理由がなんであれ、会社に対して労働を提供したのなら、その対価としてきちんと賃金をもらうべきなのです。
給与の未払いが起きた時の対処法
給料の未払いは違法ですから、賃金を貰っていないならば理由がなんであれ、それを取り戻すべきです。それでは、実際に給料の未払いが発生したときに、それを取り戻したいと思ったら何をすべきか分かりますか?
ここでは、給料の未払いのトラブルが起きたときの対処方法をご紹介します。
給与未払い証明のための証拠を集める
最初にやるべきことは、賃金の未払いを証明するための証拠を手元に集めることです。では、どのような書類を準備しておくのがいいのかというと、
- タイムカード
- 勤怠表・シフト表
- 給与・賞与の明細
- 口座の取引履歴
- 業務日誌
- 雇用契約書
- 会社の就業規則・退職金規定
- 会社オリジナルの勤怠資料
などです。「会社に労働していた事実」「給料の単価・時間」「給料が未払いである」という2点を証明できるものが最低でも必要になってきます。
銀行口座の取引履歴は以外に思うかもしれませんが、今までの給料よりも金額が低いことが分かれば、その分の未払いを証明することもできますし、給料日に賃金が振り込まれていないということも分かるのです。
雇用契約書や会社の就業規則が手元にない場合は、入社時に手渡された書類でもいいでしょう。
未払分給与の請求書を作成し会社へ送付
口頭で会社に相談して給料の未払いが解決できるならば、それでOKですが、応じない場合には、第三者機関の利用や訴訟も視野に入れてアプローチをとることになります。
未払いを証明する書類を手元に集めたら、会社に請求をしましょう。ただ請求書を作って会社に送付してもダメです。「そんな請求書受け取っていないから見てません」なんてスタンスをとることも十分考えられます。
そこで、内容証明郵便を利用して会社に請求をするのです。内容証明郵便は、「いつ誰が誰に対して、どんな内容の手紙を送ったのか」を郵便局が記録してくれます。
つまり、郵便局が会社に請求したことを証明することができるので、請求書を送った後に、「そんな書類は受け取ってない」なんていう白を切った態度が取れなくなるのです。心理的なプレッシャーを相手に与えます。
しかし、請求書を遅れば給料の未払いが解決するわけではありません。あくまで会社に自分の意思を伝えただけであって、未払い分の給料を強制的に払わせることはできません。
労働基準監督署に申告
給料の未払いは、労働基準法に違反します。ですから、そんなときは「労働基準監督署」に相談することをオススメします。
労基署が会社の実態を調査し、賃金支払いの勧告が会社になされれば、給料を支払ってもらえるかもしれません。ただし、労基署は、労働基準法に違反した会社を取り締まることはできても、労働者の給料を必ず取り返せるわけではないのです。
弁護士など専門家に相談
経営者に刑事犯罪としての罰金を払わせることより、自分の給与を取り戻すほうがまず優先されるでしょう。実効性を持って支払を強制するためには、民事訴訟で勝たないとなりません。
自分で訴訟を提起するにはそれ相応の知識が必要になります。そこで、法律の専門家である「弁護士」に依頼するのがいいでしょう。
弁護士ならば、ご自身の手間や心理的な負担は軽減されるでしょう。コストが心配ならば、完全成功報酬型の弁護士に依頼すれば着手金や相談料はかかりません。
実際、給料未払いのケースは、民事訴訟はほとんど和解で解決します。全額を要求して当然とはいえ、経営者の資力によっては妥協が必要な場合もあります。
簡易裁判所に訴える
民事訴訟は、請求する金額によって管轄の裁判所が異なります。140万円までは簡易裁判所、それを超えると地方裁判所です。
債権者である従業員の住所管轄の裁判所に提起します。
会社が倒産してしまった場合
もしかしたら、給料の未払いを請求しようとした会社が既に倒産しているなんてこともありますよね。「倒産しているからもう無理かな…」と諦める人も多いのではないでしょうか。
しかし、倒産していても賃金の未払金を回収する手立てはあるのです。ここでは、会社が倒産したときの未払金給料の請求方法をご紹介します。
会社に残った財産をもらう
会社が倒産した場合、資産が残っているかどうかで未払金の支払方法が変わります。資産が残っていれば、その資産の範囲内で給料を支払うことができます。
賃金は他の債権よりも優先的に扱ってもらえますが、しかし、支払ってもらえるといっても全額もらえることを期待してはいけません。
政府が未払い金の一部を払ってくれる
倒産してしまえばむしろ回収しやすいというのは、国に「未払賃金立替制度」が存在するからです。会社の法的整理、または事実上の倒産でも、制度が利用できます。
それ以外に、請求する労働者は退職している必要があります。退職6か月前からの未払い給与について立替えの対象となります。ただし上限があります。まず、未払い賃金および退職金の8割までです。
さらに、以下のとおり年齢別に、上限額があります。8割や上限額を超える部分も、会社に対する債権としてはなお残りますし、一般債権よりもその支払は優先されます。ですが倒産している以上、回収するのは難かしいかもしれません。
~30歳 | 88万円 |
---|---|
30~45歳 | 176万円 |
45歳~ | 296万円 |
未払賃金立替払制度を利用するには?
未払賃金立替払の請求用紙は、労働基準監督署に置いてあります。法的整理による「倒産」(破産・特別清算・民事再生・会社更生を指す)と、「事実上の倒産」の場合で手続きが若干異なっています。
法的整理の場合は、倒産している事実が明らかですが、事実上の倒産の場合は、所轄の労働基準監督署で、「事業活動が停止して再開する見込みがなく、賃金支払能力がない」との認定を受ける必要があります。
ただ基本は一緒で、最終的には川崎市にある「労働者健康福祉機構」に提出します。
未払いになっている給与には消滅時効があるので注意
つまり、未払金は2年までなら遡れるが、それ以上古くなった賃金の未払金に関しては請求権がなくなってしまうということ。このように給料の未払い金はいつのものも請求できるわけではなく期間が設けられていることは知っておきましょう。
給与未払いで生活難になるならカードローンを利用
使いみちが自由で、限度額の範囲内で繰り返し借入れできるカードローンは、お金がないときの強い味方です。
収入の目途がないときに使い過ぎるのは気をつけたほうがいいでしょう。ただ、未払賃金立替払制度や、失業給付によりお金が入るまでのつなぎとしては、決して悪い方法ではありません。
大事なことですが、退職してしまうとカードローンを新規に申し込んでも必ず審査に落ちてしまいます。カードローンで借入れを計画している人は、在職中、くれぐれも早めに行動しましょう。
まとめ
未払いの賃金を取り戻す方法をご紹介しました。
給料が支払えないには、会社の資金繰りなどに問題を抱えているケースが多いでしょう。だからといって労働者に給料を支払わないは違法なのです。
いろいろ会社のことを考えて、自分の方から相談や請求がしづらくても、ご自身の生活のためにも、未払金の賃金があるならば、それを取り返す行動を起こすべきでしょう。
自分の力で取り返せないならば、
- 労基署に相談
- 弁護士に頼る
- 国の立替制度の利用
などいくつかの方法で給料の未払金を取り返す手段があります。現在、現在賃金の未払い金で困っている方は、ぜひ試してみてください。