福祉レクリエーション・ワーカー“とは、どのような資格なのでしょうか?
福祉レクリエーション・ワーカーは、公益財団法人 日本レクリエーション協会が認定している民間資格です。
レクリエーション指導者としてのプロフェッショナルであり、高齢者施設に留まらず、地域社会など活動の範囲を広めています。
介護士として働いている人は、介護福祉士国家資格を取得するのと同様に、福祉レクリエーション・ワーカーの取得を目指す人も多いのです。
介護の世界に入ると、高齢者が笑顔に楽しめるようなレクリエーションをどのようにすればいいのか?コミュニケーションをどのように図ったらいいのか?など悩むことがありますよね。
ここでは、福祉レクリエーション・ワーカーとはどんな資格?レクリエーション・ワーカーの活動内容・活動場面、資格を取得するのに必要な講習や試験はあるのか?など、詳しくお伝えします。
福祉レクリエーション・ワーカーってどんな資格なの?
障がいのある人や高齢者などを対象としたものであり、身体を動かす・歌を唄うなどのレクリエーション活動を通じて、喜びや生きがいを感じてもらえるようにお手伝いし、レクリエーションの企画・立案を行います。
活動拠点は、福祉施設を対象としたレクリエーションの指導・企画や立案だけにとどまらず、施設外の地域活動にも貢献できる資格であるため、レクリエーションの資格の中では人気資格のひとつです。
どんな人が向いているの?
福祉レクリエーション・ワーカーは、福祉の仕事の中で、最もコミュニケーション能力が求められる仕事だと言えます。
人の前に立ち、レクリエーションの指導を通じて人を楽しませたり、人とのコミュニケーションが好きな人、施設内だけでなく地域社会に奉仕できる人が向いているでしょう。
向き・不向きだけでなく、コミュニケーション法の知識を身につけるために資格取得を目指す人もいます。
活動場所や内容を教えて
では、どのような活動が行われるのでしょうか?施設や地域別にご紹介しましょう。
特別養護老人ホームなどの介護老人保健施設
集団生活の中でのレクリエーションは、利用者にとって一つの光となり、とても楽しみな活動の一つです。利用者が日々の生活に対して活力となるように、集団への指導の中でも一人一人に働きかけ、必要であれば個別にアドバイスや指導を行います。
理学療法士などのリハビリ専門職との連携が大切で、利用者の心身の変化を共有しあいながら支援します。
入居者の状況によって、利用者の介護度のレベルに差があるため、身体を動かせる人のプログラムと寝たきりの方のプログラムが同じにならないように、双方に配慮することが大切です。
通所介護・通所リハ
自宅から通ってくる利用者にとって、レクリエーションの内容は通所介護・通所リハの目玉でもあります。いつまでも自宅での生活を送っていただけるように個人個人の機能に働きかけると同時に、1日楽しかったと言っていただけるような楽しいレクリエーションを企画します。
老人ホームと同様に、理学療法士などのリハビリ専門職やその他専門職との連携を図り、利用者の心身の変化を共有しています。
訪問介護
利用者と1対1で向き合う訪問介護の仕事は、コミュニケーション能力が問われる仕事です。そのため、利用者との信頼関係を築くことが大切です。
訪問介護はレクリエーションを提供する場ではありませんが、利用者に喜びや生きがいを感じていただけるように、ただ身体介護・生活介護を提供するだけでなく、会話の中で話を盛り上げ楽しく過ごしてもらえるように努めます。
幼稚園や保育園
レクリエーションで培ったコミュニケーション能力を活かし、子どもたちの成長を見守ります。子供たちと一緒に目標を設定しながら、集団生活の大切さや集団でやり遂げたことへの達成感を学ぶための指導や企画・立案を行います。
障がい者施設
障がい者が抱える障がいと向き合い、能力を最大限に活かせるためのレクリエーション指導や企画・立案を行い、施設職員や専門職と連携し、情報を共有しながら、自立した生活をしていくための支援を行います。
地域活動
地域のイベント(お祭り・バザーなど)に出向いて、福祉施設と地域社会が繋がりをもてるようなイベントを企画し、ボランティアスタッフの育成なども行っています。
介護予防・認知症ケアの地域活動にも貢献でき、体操教室などに通われる人たちの個々のアセスメントをしながら、輪の中に溶け込めるように声かけを行うなどの支援に役立っています。
給料面や就活のメリットはあるの?
福祉レクリエーション・ワーカーとしての給料・待遇、就活へのメリットはあるのでしょうか?
福祉レクリエーション・ワーカーの資格を取得していれば、働く職種によっては優遇される場合もありますが、基本的には介護福祉士・看護師などの資格保持者が、レクリエーションの知識を学ぶために補足的な資格として取得するケースが多いため、給料に反映している事業所は少ないと言えます。
また就活の面でも、福祉レクリエーション・ワーカーの資格を有していることはプラス要件の一つとなりえますが、介護福祉士や看護師のように“役職”として募集していることは少ないです。
ただし、この資格を得ることで、施設内や地域社会で必要とされることが多くなります。仕事へのやりがいや会社の評価につながるメリットになることは間違いないでしょう。
福祉レクリエーション・ワーカーの受験資格を教えて
福祉レクリエーション・ワーカーの活躍内容が理解できたところで、受験をしてみたい場合どうすればいいのでしょうか?
受験資格は次の通りになっています。これらの条件をクリアしなければ受験することができませんので、確認しておきましょう。
- レクリエーション・インストラクター講座などで、レクリエーション・インストラクター資格取得のために定められた学習時間50時間を修了している者
- 財団法人日本レクリエーション協会が認定する、レクリエーション・インストラクター・レクリエーション・コーディネーター、グループ・レクリエーションなどの資格を所有している者
- 同協会が認定する、大学・短大・専門学校を卒業した者
- 18歳以上の者
福祉レクリエーション・ワーカーの講座内容は?
福祉レクリエーション・ワーカーになるためには、指定の講座を受講する必要があります。
指定の講座では、
レクリエーションに関する基本的知識や支援技術(51時間)、社会福祉・隣接領域に関する基本的知識や援助技術(50時間)、福祉レクリエーションに関する専門的な知識と援助技術(70時間)、福祉レクリエーション総合学習(30時間)として、福祉施設などで現場実習
を行います。
講座のテキストに従ってレポート提出が課題となっており、合否が決まります。不合格でも再提出することで合格することが可能です。
介護福祉士・社会福祉士・保育士・看護師・保健師の資格を持っている場合や、福祉系大学・短大・専門学校を卒業している場合は、レポート課題が一部免除できる科目があります。
これらの課題をクリアして、福祉レクリエーション・ワーカーの試験を受けることができます。
講習時期や費用、試験内容を教えて
受験資格をクリアしたら試験です。福祉レクリエーション・インストラクターの講習時期や費用、試験内容をお伝えします。
講習時期や期間は、前期受付が4~5月、受講開始が6月、後期受付が10~11月で、受講開始が12月となっています。
費用は、受講費用が7万円、受験料5142円、公認料は10285円、登録料は2年ごとの更新で16458円となっています。(2015年7月)
試験は筆記試験と実技試験が行われます。講習内容に沿った試験となっているため、講習課題をこなしていれば合格できるレベルです。
福祉の視野を広げたいときはぜひ挑戦してみよう
福祉レクリエーション・ワーカーの仕事は、ただレクリエーションを立案するだけではなく、福祉施設の利用者への自立支援や地域福祉への活動などに貢献できます。利用者が安心できるようなコミュニケーション能力を取得し、人の役に立ちたい!と思ったらこの資格がピッタリです。
受講で学んだことを生かせば、支援に対する視野が広がり、レクリエーションに対す
る考え方が変わります。
利用者全体を見渡し、その日によって最善のレクリエーション法を判断できるようになるので、準備に追われて大変だったレクリエーションが楽しくなるはずです。また、利用者との心の距離を縮め、信頼関係を得てより良い関係を築くことができます。
知識を得てスキルアップしたい、福祉の視野を広げたい人は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。