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「心を育てる」育児を実現したい!役立つ資格「育児セラピスト」

アタッチメント理論に学ぶ、心を育てる育児が求められるワケとは

多くの保護者は愛する我が子には豊かな愛情をもって、正しい育児で向き合いたいと考えていることでしょう。しかし自分が行っている育児が「本当に正しいのだろうか…?」と疑問をもち、育児に自信のもてない保護者は決して珍しくありません。

疑問や不安を持ちながら育児をしていると、ふとしたことが大きなストレスとなり、親と子の距離が離れてしまうことがあります。そのような状況を改善すべく、保護者の不安やストレスを取り除き、専門的なアドバイスをするのが「育児セラピスト」です。

発達心理学を中心に、育児に関する専門性の高い知識や技術を学べる育児セラピストは、有名人が取得したことなどが話題となり、ここ数年で一気に注目を集めています。とはいえ、どのような資格で何ができるのか、意外と知らないことが多い資格でもあります。

今回は保育現場で子どもたちのへの保育にとどまらず、保護者や同僚保育士も育てる「育児セラピスト」を紹介します。

育児セラピストってどういう資格なの?

育児セラピストは、発達心理学に基づいた幅広い育児知識をもつ「育児の専門家」です。育児に悩む保護者に適切な育児知識をを伝えたり、仕事や子育てなどで溜まった保護者のストレスを癒したりしています。

育児を取り巻く環境の変化は、育児を行っている世代に大きな心理的負担となっています。相談者や協力者がなく孤立する母親、日々の仕事に忙殺されて育児をストレスに感じる父親などは、子どもの健やかな成長を促す育児環境をつくれないことが少なくありません。

育児セラピストの役割

上記で述べた親も本当は「愛情をこめて育児したい」と思っているものです。うまくできない親に対して、育児への心理的な負担を減らし、具体的なエピソードなどを交えながら、前向きな育児ができるように助言します。

保育士は「保育の専門家」ですが、育児そのものを専門的に学ぶ育児セラピストの資格を取得することで、より実践的かつ深い知識に裏付けされた保育を行うことができます。保育士としてのスキルアップのために、多くの知識を学ぶことができるでしょう。

  
日本では、育児セラピストは国家資格ではありません。「日本アタッチメント育児協会」が認定する講座を受講し、試験に合格すると「認定資格」として取得することができます。基礎的な「前期課程」、専門的な「後期課程」、さらに上級の「シニアマスター」があります。

育児セラピストが保育現場で役立つ場面は?

育児セラピストの資格取得をとおして、発達心理学に裏付けされた深い知識による保育を行うことができます。発達心理学というと少し難しくて、理屈っぽい印象を持つ方がいるかもしれません。しかし、すべて実践を通して学べるので、すぐに保育現場で活用できます。

保育士のキャリアップとして、育児セラピスト以外にも数多くの資格があり、それらを学んでいる方も多いことでしょう。育児セラピストを学ぶことによって、それらの資格や得た知識を体系的にまとめ直し、さらに効果的な活かし方を工夫することができるようになります。

なかでも育児セラピストで得た知識を、子育てに悩む保護者のよき理解者になるために活かしましょう。不安や悩みに対して真摯に耳を傾け、すぐにできるアドバイスができる保育士がいたら、保護者も厚い信頼をもって子どもを預けてくれるはずです。

また子どもとの関係づくりや保護者との関係づくりに悩む同僚保育士や保護者などに対して、育児セラピストで学んだ知識や技術を伝える講習会を開くこともできます。自身のキャリアップだけでなく、園全体の保育の質を高める役割も期待されます。

育児セラピストは保育現場以外でも役立つの?

育児セラピストは、保育に限らず家庭や地域も含めた「育児の専門家」ですから、保育現場以外にも活躍の場があります。ただ、育児セラピストの資格だけで活動できる機会は増えてきていますが、保育士やベビーセラピストなどの資格と合わせて活動するケースが多いです。

1.保育士のキャリアアップ講座

保育士資格があれば、発達心理学に基づいた知識と現場での経験を踏まえて、保育士のキャリアアップ向けの講座を開くことができます。「保育の専門家」が抱える悩みに助言し、子どもや保護者との関係づくりなどに対するスキルアップをサポートしていきます。

2.家庭での育児で活かせる

ベビーセラピストなど、保育に関連する資格で活動している方であれば、現在の活動に大きな付加価値をつけることができます。とくに、育児に関する相談をしたい保護者のニーズは非常に高いこともあり、専門的なアドバイスは家庭での育児に活かされます。

  
育児に関する多くの活動ができるからこそ、育児セラピストを取得したら「何をしたいのか」という自分なりの意思が重要です。自分のキャリアプランを思い描いたうえで、この資格を取得すると、やりがいのある仕事ができるはずです。

子どもの健やかな成長のために、育児セラピストの役割は重要カモ!

育児セラピストを取得するためには?

育児セラピストの資格を取得するためには、「日本アタッチメント育児協会」の講座を受講し、試験に合格する必要があります。合格率は非公開ですが、再試験制度などもあり、とくに「前期課程(2級)」の取得はそれほど難しくないことが考えられます。

育児セラピストの受講方法

指定された各過程の講座に通学して、資格の取得を目指します。「前期課程(2級)」では、1日(6時間)のスクーリングを終了すると、資格を取得できます。受講資格はとくにありませんが、子ども連れでの受講はできません(受講していない同伴者に預ければOK)。

受験資格を得るまでの流れ

「後期課程(1級)」では、2日(12時間)のスクーリング修了後、認定試験が実施されます。受験資格に「前期課程(2級)」とありますが、「前期課程(2級)」と「後期課程(1級)」を併願することも可能です。

さらに上級の資格である「シニアマスター」は、「後期課程(1級)」有資格者が対象となります。この資格の開発者自らが講義を担当し、1泊2日の合宿などもあるようです。

試験内容

試験内容には、各講座で学んだことが出題されます。「前期課程(2級)」では、アタッチメント理論」をもとに、0~6歳までの発達心理学、アタッチメントを育む具体的な営み、心理セラピーなど、基礎的な内容を中心に出題されるようです。

「後期課程(1級)」では、親世代とのコミュニケーション、発達心理学にくわえて医学や社会学などをもとに専門的なアドバイスを行うための幅広い知識などを問われるようです。

試験対策

試験対策のコツとしては、「後期課程(1級)」では2日目の講義終了後に試験が行われるため、集中して講義の内容を覚えましょう。質疑応答の時間もあるので、わからないことを質問して、その場で理解することが大切です。

育児セラピスト認定団体の問い合わせ先は?

気になる方、取得を検討している方に向けて、チャイルドマインダーを認定している「日本アタッチメント育児協会」の問い合わせ先を紹介します。

日本アタッチメント育児協会

日本アタッチメント育児協会では、育児セラピスト(2級、1級、シニアマスター)を取得できます。あわせて、アタッチメント理論に基づいた「アタッチメント・ヨガインストラクター」や「アタッチメント・食育インストラクター」などの資格も取得できます。

主な講座:育児セラピスト前期課程(2級)

受講期間 1日(6時間)
受講費用 50,000円(税別)
受講条件 特になし(子ども連れの方は同伴者に預ける)

主な講座:育児セラピスト後期課程(1級)

受講期間 2日(12時間)
受講費用 100,000円(税別、合格後に別途資格認定申請料として20,000円)
受講条件 前期課程(2級)修了者(前期課程との併願可)

育児セラピストを取得して「心豊かな育児」のサポートを

育児セラピストは、アタッチメント理論などに基づいた適切な育児知識を伝える育児のスペシャリストです。育児に悩む保護者の心を癒したり、不安に思うことに対して助言したりすることで、心豊かな育児ができるようにサポートしていきます。

保育現場では、自らのスキルアップだけでなく、園全体の保育の質を高める役割を果たすことができます。また、保育に関連する仕事で独立している方は、育児に対する専門的な相談や助言によって、現在提供しているサービスに高い付加価値をくわえることができます。

資格取得にかかる期間は、「後期課程(1級)」でも2日間と短期集中型で取得できます。ただ、講座の開催が各地方の主要都市に限定され、開催期間も限られています。そのため、子どもの預け先や宿泊先をあらかじめ検討する必要があります。

保育士としてのスキルアップにはもちろん、育児をする一人の親としても、育児セラピストから学ぶことは多くあります。子どもの預け先や宿泊先など、講座を受講するためのハードルをクリアできるのであれば、積極的に取得しておきたい重要な資格です。