常勤医の方がいい?それとも非常勤の方がいい?それぞれの違いやメリット・デメリットを解説

常勤医と非常勤医のメリット・デメリットを覚えよう

医師の働き方といえば”病院勤務”や”大学での研究”が知られています。そのほかは”産業医”や”健診医”として働くケースや”派遣医”としての働くケースもあるでしょう。

しかし、最近は”常勤”と”非常勤”をうまくこなす働き方が主流となっています。

メリットとデメリットなどをご紹介していきます。

常勤医と非常勤医の違いとは?

レジデントとして働く医師は常勤でしょうか?

それとも非常勤でしょうか?

もちろん答えは非常勤です。

インターン時は月30万円から40万円の月収、後期レジデントなら40万円か50万円ほどの月収なのはご承知おきでしょう。

大学の場合(医局)は年収300万円~600万円、民間病院でも600万円から800万円程度というのが実際のところ。

その多くは”常勤として働き”、”雇用保険に加入し”、”ボーナスを受け取る”といった待遇を受けます。

これに対し非常勤とは通常”常勤医”が休日にアルバイトとして他の医療機関で働くことを意味します。

特に、所属病院以外でスキルアップを図りたい、あるいは”人手がいないのでどうしてもお願い!”と頼まれて…といった理由などで非常勤をこなす医師が増えています。

常勤と非常勤の給与・収入の違い

常勤医の給与は、いったいどの位でしょうか?厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査」では、平均年齢40.0歳・年収1,098万円・勤続年数平均5.1年でした。

これに対して定期非常勤報酬は”時給約1万円”。

リクルートの調べでは東京圏が約1万円なのに対し、千葉や埼玉では約1.5万円と跳ね上がる地域もあります。

関西圏は0.9万円、中国四国は0.88万円と変動する理由は医師の充足率によります。

具体例を出してみますが、東京では平日日勤8時間で10万円(診療科目全般)が多く、月4回あれば40万円。

常勤と非常勤の仕事内容の違い

さて、常勤と非常勤の仕事の違いですが、まずは常勤ですが、中規模病院以上になると医師は週5日から6日働くもの。

外来・執刀・病棟管理・検査・宿直…と受け持つ部分は多く、特に研究論文作成といった常勤医も少なくありません。

また、カンファレンスは大事な行事で、常勤医や看護師の大きなスキルにもなりますが、これが昨今病院のレベルアップに一役買っています。

また、最近はインシデント対策やクレーム対策など常勤医の責任を問われる事柄が多く発生しています。

賠償責任保険の加入が必須なのは”病院”と”担当医”の両方の責任が問われる時代になっているからです。

病院側からみたときに常勤医を雇用すれば人件費は上がるという欠点はありますが、しっかりした仕事を責任感を持ってお願いする…ということでは、常勤医の方が人気と言えます。

一方の非常勤ですが”定期非常勤”と”スポット非常勤”の2つが知られています。

例えば外科での当直、内科系の外来・当直、訪問医療(オンコールあり)などが定期非常勤案件のトップ。

スポット非常勤案件では定期健診が知られています。

常勤医が別の病院の当直を頼まれるケースは一向に減らないのでしょう。

常勤医と非常勤の大きな違いは「社会保険」

さて、常勤がよいのか、それとも常勤にこだわらずフリーランスとして生きる道がよいのか、社会保険の観点から比較してみます。

常勤勤務医と非常勤医で年収2,000万円を想定してみます。

常勤医の手取り額は1,250万円になる

常勤医の場合、

  • 健康保険
  • 年金保険
  • 労災保険
  • 失業保険

が報酬から差し引かれます(公務員の場合は失業保険はありません)。

社会保険料は年収の14.22%で284万円、所得税319万円・住民税144万円で手取り額は1,250万円です(配偶者控除などは除外しています)。

非常勤医の手取り額は1,341万円になるが…

一方の非常勤医ですが、同じ2,000万円の年収をアルバイトだけで稼ぐとします。

この際の手取り額は1,341万円程度(国民健康保険料73万円・住民税172万円・所得税413万円、配偶者控除などは除外しています)。

大ざっぱに言えば、手取り額では非常勤医の方が年間90万円ほど多いことになります。

しかしここには大きな落とし穴が待っています。

まず、社会保険には「労災年金」「失業保険」「年金保険」などが含まれていること。

将来にわたっての年金額ですが、仮にケガや病気で働けなくなった場合は障害者年金となります。

一方の非常勤医師である“フリーランス医師”は国民年金に加入しなければなりません。

年金の計算は非常に難しいのですが、大事なのは非常勤だけの収入の場合は自己資金を積み立てて老後に備える必要がある、ということです。

常勤医師のメリット・デメリット

同じ医師でも常勤医師と非常勤医師では、勤務形態や待遇に大きな差があります。

常勤医師を目指す方、迷っている方のために、常勤医師のメリット・デメリットを紹介します。

常勤医師3つのメリット

最初に常勤医に関する3つのメリットについて解説していきます。

1. 福利厚生が手厚い

常勤医師は病院の正社員ですから、社会保険の一部または全額を負担してもらえます。

これは法律で決まっているものです。

法定外の福利厚生として、退職金や、学会への参加費補助などを受けることができる場合もあります。

2. 給料や税金、社保・雇用保険等の計算は病院が行ってくれる

常勤医師の税金は源泉徴収となっていますから、最初から控除された額を受け取ることになります。

収入や費用をまとめ、ややこしい税金の計算をする必要も、支払いに行く必要もありません。

課税される収入が多く、忙しい医師にとって、これは大きなメリットと言えるでしょう。

3. 社会的な信用が高い

医師の中でも同じ病院へ正規雇用されて勤続を続けている常勤の医師となれば、社会的な信用はかなり高いもの。

多くの職業の中でも特に責任感と社会的地位のある、優秀な人であると評価されます。

非常勤医師の場合、医師として尊敬されることは間違いありませんが、常勤の医師と比べて社会的な信用は低くなり、自営業者に近いポジションとなります。

常勤医師3つのデメリット

それでは、常勤医師のデメリットとは何なのでしょうか?

3つあるので詳しく紹介していきます。

1. 長時間労働を強いられる場合がある

常勤医師の長時間労働は、先端医療であるほど、優秀であるほど、当たり前に行われています。

他にかわるものがいないとなれば、医師も断るに断れない状況なのです。

どんなに熱意に燃えていても、人間の体には限界があります。

理想だけでは続けられない現実があるようです。

2. 職責を求められる

大前提として常勤医は医師として職責を求められます。

大学でも病院でも、産業としてもそれは同じです。

そして、地域社会でも「どこの医療機関に所属している医師か」が信用の裏付けにもなることがあります。

病院の看板を背負って人の命を預かるという仕事ですから責任はついて回るわけです。

最大限の努力をしても、納得できない患者側に訴えられることがしばしばあるのです。

非常勤医師であればバイト・手伝いとしてみなされる場合でも、常勤医師であれば病院全体の信頼のために強い責任を担うことを余儀なくされます。

3. オンコール(待機時間)がある

常勤医の中には同僚の急な休診で代診しなければならなかったり、オンコール(待機時間)で当直翌日も休めなかったり…ということもあります。

しかもオンコールは、労働時間にみなされない場合が多いです。

待機しているだけであっても、やはり精神的には開放されず、休憩時間と考えるのは難しいでしょう。

多くの医師がオンコールを苦痛に感じているという実情があります。

非常勤医師のメリット・デメリット

医師の働き方にも多様性が広がっています。

非常勤医師として働くことで、プラスになる面も不安点もあります。

納得してから選ぶとマイナス面をカバーできます。

しかし、トータルで見るとメリットが多いので、非常勤医師として働く医師が増えています。

非常勤医師の4つのメリット

それでは非常勤医師に関するメリットを4つほど紹介していきます。

非常勤医師として働こうか考えている方は、ぜひチェックしましょう。

1. 仕事とプライベートを両立させやすい

勤務医だとシフトがタイトで、急な事案も発生が多いです。

ですからプライベートの用事を組むことも難しいです。

さらに夜勤などもありますので、周囲の仲間や家族と予定を合わせにくく、せっかくの休みの日もひとりということも多いです。

非常勤医師だと自分で働く頻度や時間をコントロールしやすいです。ですからオンオフを切り替えやすいメリットがあります。

自分の時間をしっかりと確保できたり、趣味の時間を持てたり、プライベートで勉強の時間も取れるので、逆に成長しやすい環境とも言えます。

2. オンコール(待機時間)がない

勤務医の労働で一番非効率なのが待機時間、オンコールの時間帯です。

診療以外の時間が長いと、仕事ではないのに拘束されるので時間も非効率ですし、体力的にも厳しいです。

また問題となっているのがオンコールなどは勤務時間にカウントされないという労働条件です。

最近は改善されてきていますが、まだ古い勤務環境の職場もあります。

非常勤ならこうした病院の都合から逃れることができ、勤務時間を選べたりして自分の生活に合わせた仕事が可能になります。

夜勤などでオンコールに対応する勤務もありますが、労働時間にしっかりとカウントされますので気持ちもラクです。

3. 頑張り次第で常勤医師より給料が良くなる

常勤の勤務医だと激務で働いても、プラスでつく手当は残業代や役職手当程度です。

仕事量と手当でバランスが悪いと感じるでしょう。

一方で非常勤の場合は働いた時間だけ収入がアップします。

自分で頑張るほど収入に結びつく実感が持てるので、やりがいにも繋がります。

また、本業の常勤で比較的時間の余裕がある場合は、副業として非常勤で掛け持ちする医師もいます。

これなら基盤の常勤の収入に加えて、プラスアルファの収入を得られます。

収入をアップさせたい場合にはおすすめです。

場合によっては、トータルの収入で常勤よりも高収入になります。

4. 場数を踏めるのでキャリアアップにつながる

いろいろな現場を経験することで、さまざまな仕事の進め方や治療方法を知ることができます。

経験や知識が広がるので自分のスキルアップにもなりますし、さらに選択肢を多く持つことができます。

今まで働きて来た現場では扱わなかった器具や薬を試せたり、チームとして治療に取り組んだりして、さまざまなことにトライできます。

またスキルアップだけではなく、人脈を広げることも将来にはプラスになります。

非常勤でも医師としていろいろな人に関わりますから、そこから得た人脈は今後の長い医師人生で役立つでしょう。

非常勤での勤務はスキルだけではなく、プラスアルファを得られるチャンスでもあります。

非常勤医師の4つのデメリット

一方で非常勤医師には4つのデメリットがあります。

具体的に解説するので見ていきましょう。

1. 収入が不安定になる

常勤よりも非常勤は流動的な立場なので、収入面で不安定になるリスクがあります。

もし、常勤医師が増えれば、その分を非常勤の勤務が減らされます。

また、病院の経営状態によっても勤務を減らされたり、待遇が悪くなる可能性もあります。

将来の雇用と考えた時には、常勤よりも安定性は低くなってしまいます。

非常勤の仕事を探そうとなったときに、すぐに希望の条件の仕事が見つかるとは限りません。

探している間は収入が得られませんので、その点も不安定になる要因の1つです。

2. 確定申告や納税は自分で行わなければならない

常勤医師の場合、所謂会社員と同じで納税なども所属する病院やクリニックで行ってくれます。

しかし非常勤医師だとその組織に完全に所属しているわけではありません。

あくまでもフリーの立場でスポット的に務めていることになります。

なので確定申告も納税も、自分で行う必要があるのです。

別の見方をすれば、個人事業主と言っても過言ではないのが、非常勤医師です。

金銭的な管理も、自分でしっかりと行う必要があります。

社保・福利厚生はない

同じく福利厚生の面でも、非常勤医師はその勤め先での優遇はありません。

各種手当や社会保険に付いても同じことです。

保険は国民健康保険で、自分で保険料をしっかりと支払う必要があります。

あくまでも個人の仕事として扱われる、組織の保護は受けられないと言うことです。

その代わりと言ってはなんですが、非常勤医師の収入は常勤医師よりも高額になっているのです。

常勤医師よりも社会的信用を得にくい

医師という職業自体は非常に社会的な信用のある仕事です。

開業医でも、勤務医でも同じく信用度は非常に高いものです。

しかし非常勤医師の場合、あくまでもフリーの立場での勤務になりますので、何かあった場合にはすぐに勤務先を辞めることが出来ます。

そのために、社会的な評価は低くなってしまいます。

例えば、住宅購入時にローンを組もうとする際は、常勤医師と比べて頭金をたっぷり入れなければならなかったり、手元資金がない場合は、いくら年収があってもローンが組めないことさえあります。

何時でも辞められる状態というのは、逆を言えば根無し草と見られることもあるのですね。

ですから、完全な非常勤だけの医師は”派遣医師”として会社に属している形を取るケースがあります。

どんな職業でも、自由度の代償を払わなければならないのが日本社会なのかもしれないですね。

ただ現実的には、仕事がなくなるということはまずありません。

実績がありさえすれば、その腕で信用を勝ち取ることも出来るのです。

非常勤の医師って信用できるの?

非常勤と言っても、もちろんきちんと医師免許を取得している先生です。

患者さんからすれば

「いつもの慣れた先生に診てもらいたいのに…」
「状況をわかってもらうのに時間がかかる」

といった要望や不都合が生じてしまうことも考えられますが、医師としての腕については、“常勤だから良い”“非常勤だから悪い”とは言えません。

病院側としても常勤の医師だけで運営していくのは難しい側面があります。

非常勤の医師は医療施設で必要とされ、また、働く側の師も自由な時間が得られやすいということからも、非常勤で働く医師は多いのです。

非常勤の医師の収入は不安定そうだけど将来的には大丈夫?

雇用形態としてはバイトのようなものですから、不安定と言えます。

社会保障も病院からの負担がないわけですから、常勤医師より得られにくいでしょう。

ただ、医師という職業が極めて専門性の高いものであり、今も、これからも必要とされていくものです。

仕事はたくさんあり、多くの他の職業よりも高時給です。

場合によっては常勤の医師より高収入となるケースもあり、収入がたとえ不安定であっても、問題なく豊かな生活を送ることができるでしょう。

非常勤は女性医師に多い?

平成24年(2012年)の厚生労働省のデータでは、日本の医師の19.7%が女性医師。

そして、大学医学部の入学者3分の1は女子学生という時代です。

性別 医師数 割合
男性医師 243,627 80.3%
女性医師 59,641 19.7%

参照:平成24年(2012年)の厚生労働省のデータ

ただ、女性医師は結婚すると家庭に入ってしまうケースが多く、出産後に仕事復帰するにしても非常勤を選ぶケースが少なくありません。

そのため、病院によっては女性医師がいても週2日程度、午前のコマ数だけ…という話もよくあります。

医師が非常勤・アルバイトで働く理由

常勤医師には残業などの時間外労働がつきものです。

いくらお金を稼いでも使う暇がないなどという話も多く、高収入を得ながら時間の自由も得られる非常勤医師が、特に若い医師の間で選ばれるようになっています。

現代では非常勤医師の求人サイトなどもあり、容易に勤務先とのマッチングが行えます。

非常勤で働こうとする医師は、これからも増え続けるでしょう。

常勤医と非常勤医のまとめ

医師の働き方は常勤・非常勤に分かれています。

中でも非常勤は”定期非常勤”と”スポット非常勤”があり、多くの医師が頼まれて当直を引き受けたり、代診を行ったりする一方、副収入やスキルアップで非常勤を行うことがあります。

完全にフリーランス医師もいますが、メリットとデメリットがあることも覚えておきましょう。

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