スタートアップ企業には高い自由度やスピード感があります。一緒に組織を成長させることや、新規のサービスを作り出すことなど、スタートアップ企業の環境に魅力を感じて実際に働きたいと考える人が多いのではないでしょうか。スタートアップ企業では様々なスタイルで働くことができます。その環境に適応して活躍する人もいますが、一方でスキルを十分に発揮できない人もいるようです。
今回はエンジニアを対象に、スタートアップ企業について詳しくご紹介したいと思います。エンジニアがスタートアップ企業で働く前に準備すべきことや、実際に働く際に注意が必要なことなどを、詳しく確認してみましょう。
スタートアップ企業とはどのような企業のことなのでしょうか?
スタートアップ企業という言葉は、アメリカのシリコンバレーで使われるようになったビジネス用語であり、スタートアップには「行動開始」という意味があります。日本においては「立ち上げたばかりの企業」が、スタートアップ企業と呼ばれています。
スタートアップ企業にはIT関連のイメージが強いのですが、実際にはビジネスを立ち上げたばかりで市場を開拓中なのであれば、業種を問わずスタートアップ企業に該当することになります。近年のスタートアップ企業においては、たとえば農業や教育関連であってもITは欠かせないものとなっていますので、スタートアップ企業におけるエンジニアの需要は高いといえるのです。
スタートアップ企業を定義するポイントとしては、「収益モデル」「ビジネスモデル」「組織構成」「存在意義」などがあげられます。世の中を改善するためのイノベーションを起こすことがスタートアップ企業の重要なミッションであり、スタートアップ企業が存在する大きな理由となっています。
スタートアップ企業は初期の段階では収益性が低いことが多く、最終的に大きな利益が獲得できる収益モデルの構築を目指します。さらに市場の開拓の可能性や成長の見込みなどを検討して、一般には存在しない新しいビジネスモデルを模索することになります。法人としての組織構成を満たしていなくても、開発を担当する人材、デザインを担当する人材、開発を担当する人材が集まれば、立派なスタートアップ企業だといえるでしょう。
スタートアップ企業によく似た形態の企業としては、ベンチャー企業の存在があげられます。投資を受けた企業という意味の和製英語がベンチャー企業です。ベンチャー企業は新たなビジネスを育てている企業で、将来的に大きなビジネスになる可能性があっても、現在は財政が厳しく、投資機関から援助を受けている企業です。 スタートアップ企業は、ベンチャー企業の中でも特に「新しいビジネスを短期間で成長させる」という意味合いが強いです。このように、スタートアップ企業とベンチャー企業は厳密には異なり、日本においては立ち上げ後間もないベンチャー企業もスタートアップ企業と呼ばれています。
スタートアップ企業の成否はメンバー次第です!
多くの社員により構成される大企業では、1人の社員の働きが会社の業績や方向性に大きな影響を与えることはありません。社員1人の頑張りで会社の業績が大きく伸びることや、社員1人がサボることで会社の業績が大きく落ち込むことはないのです。
一方のスタートアップ企業では、メンバーそれぞれの働きが会社の業績や方向性に大きな影響を与えることになります。スタートアップ企業を大きく成長させることができるか、あるいは事業が失敗してしまうのかは、いずれもメンバー次第となります。
身軽であることがスタートアップ企業のメリットです。ビジネスの世界においては常に様々な組織が参入を企て、新しいビジネスのスタイルを模索しています。成功は早い者勝ちとなりますので、フットワークの軽いスタートアップ企業は有利だといえるでしょう。ただし身軽さを活かしてトップシェアをいち早く獲得しても、それだけでは豊富な情報・人材・資金を持つ大手企業に抜かれてしまうかもしれません。
スタートアップ企業ではメンバーのそれぞれが、より幅広い守備範囲を持つことが必要とされます。例えばエンジニアにとって専門外であっても、スタートアップ企業が目指すビジネスモデルの構築に貢献する知識や経験が必要とされるのです。スタートアップ企業で活躍するためには、自ら問題の解決に動くことが欠かせません。一方で自分には関係ない、専門外だから分からないといった気持ちでは、スタートアップ企業で活躍することは難しいといえるでしょう。
スタートアップ企業で働くために準備が必要なことは?
スタートアップ企業では、情報・資金・人材などの様々な資源が不足しがちです。スタートアップ企業で働くためには、努力や熱意でこれらの不足を補うことが必要になります。自分が持っている知識やスキルなどを発揮することや、さらに自ら何かを生み出すことが、スタートアップ企業が掲げる目標を達成するためには欠かせないのです。
努力や熱意を持って働き続けるためには、スタートアップ企業のミッションに深く共感することが必要になります。ミッションに賛同できなければ、たとえあなたが十分な経験を有していたとしても、スタートアップ企業の厳しい環境には耐えられないかもしれません。
スタートアップ企業については、どのようなメンバーやCEOがリードしているのか、どのような目標に向かって進んでいるのか、どのようなミッションに取り組んでいるのかなどを、実際に働く前にしっかりと確認して理解しておくことが必要だといえるでしょう。
一方で何となく自由に働きたいという人や、自分が今持っている技術やスキルを活かして働きたいという人の場合には、スタートアップ企業で働くことは難しいかもしれません。スタートアップ企業で働くためにはエンジニアであっても、新しい知識やスキルの習得に積極的に取り組むことが必要とされます。
スタートアップ企業に向いている人のタイプは?
大きな変化の中で生き抜く力が強い人が、スタートアップ企業に向いています。具体的には以下のようなタイプが、スタートアップ企業に向いているといえるでしょう。
新しい知識や情報を積極的にキャッチするタイプ
スタートアップ企業では他社に先んじて動くことが必要とされますので、アンテナをしっかりと張り巡らせて、新しい知識や情報を積極的にキャッチすることが欠かせません。企業間における競争は日々激化していますので、情報を知らないことは他社に先を越されて、ビジネスチャンスを失ってしまう原因になります。ライバルより先に情報を得ることが、成功のための大きな鍵となるのです。
さらに情報に基づいて適切な判断を下すことも、スタートアップ企業には欠かせないポイントだといえるでしょう。人員が限られるスタートアップ企業では、基本的に1人で計画・行動・振り返りのサイクルをこなしていくことになります。今何が必要とされているのかを考え、情報のインプットや未来の予測、判断や実行や検証、さらに結果のインプットをスムーズに実践することが必要とされます。
自分自身の判断で世の中を動かしていく仕組みが作れることが、スタートアップ企業の魅力だといえるでしょう。スタートアップ企業を存続させるための情報を仕入れて、企業を成長させる組織作りに取り組み、世の中に対して自分たちが提供するサービスが影響を与えることは、スタートアップ企業で働くことのやりがいにつながるはずです。自分自身を「好奇心が旺盛なタイプ」だと思う人は、スタートアップ企業で働くことを積極的に検討してみてください。
強い覚悟や志を持つタイプ
スタートアップ企業で働く場合には、新しい目標に躊躇なくチャレンジすることが必要とされます。企業が掲げる目標を信じて疑わない、強い覚悟が欠かせないのです。スタートアップ企業が行う事業では、提供するサービスそのものが自分たちの志をダイレクトに表すことになります。
現代はSNSの発達により、情報が人から人へあっという間に伝わる時代です。覚悟や熱意は多くの人たちからの共感を集めます。「意志あるところに道は開ける」という言葉がありますが、覚悟や志を持って取り組めば思いが周囲に伝わり、協力してくれる人が増えることになります。応援してくれる人がきっかけとなり、サービスはより多くの人たちへと広がっていくのです。
強い覚悟や志を持って行動することは、より良いモノを作り出すための原動力だといえるでしょう。臆することなく腹を決めて、チーム一丸となって突き進む状況を作り出す人は、スタートアップ企業の成長速度を大きく加速させることになります。熱意は企業を成長させるためのエンジンなのです。スタートアップ企業に共感できるかどうか、その理念や事業方針などを事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
逆境を好むタイプ
スタートアップ企業は事業を立ち上げたばかりであり、世の中における認知度は低いものになります。安定した売り上げを獲得するまでには様々なトラブルが発生して、ピンチの連続だといえるでしょう。失敗する度に落ち込んでいては前には進めません。あえて逆風に立ち向かい、プレッシャーを乗り越えることが必要とされるのです。
「この意味のあるサービスを世の中に広めよう!」「転んでもただでは起きない!」「失敗は成功のもとだ!」「ここ乗り越えれば楽しいことが待っている!」と前向きに考えることができる、逆境を好む人はスタートアップ企業に向いているといえるでしょう。企業の成長を自分の成長だと感じられる人は、やりがいを持って仕事を楽しめるはずです。
物事を人とは違う視点で捉えるタイプ
スタートアップ企業ではオールマイティーな人材が評価されるという印象が強いのですが、実際にはそうとも限らないようです。スタートアップ企業では強い意思を持った人や、独自の強みを持った人も高く評価されます。規模が小さいスタートアップ企業では基本的な能力はもちろんですが、さらに個人の個性が重視されるのです。
ニッチなモノに興味を持つ人や独創的な人は、スタートアップ企業への適性が高いといえるでしょう。このようなタイプの人は物事を人とは違う視点で捉えることで、独自の創造性を発揮します。一見して無関係だと思われるモノ同士を点と点が線としてつながり、様々な工夫によりオリジナルなやり方でモノを作り出そうとするのです。
人とは違う視点で物事をとらえるタイプの人にとって、スタートアップ企業の風土は魅力的なものだといえるでしょう。思考の癖やパターンは自分自身ではわかりにくいかもしれませんが、まずは自分のこれまでの経験を棚卸して整理してみると、スタートアップ企業の面接に臨む際の強力な武器になるかもしれません。
スタートアップ企業で新たな常識を作り出しましょう!
スタートアップ企業は将来の可能性が未知数の企業であり、あなたの頑張りが企業を育てることになります。新しい知識や情報を積極的にキャッチするタイプの人、強い覚悟や志を持つタイプの人、逆境を好むタイプの人、物事を人と違う視線で捉えるタイプの人などは、スタートアップ企業で働くことを検討してみてください。世に残る仕事をして新たな常識を作り出すのは、あなた自身かもしれません。