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薬の仕入れって一体どんな方法で行っている?医薬品流通の仕組みを説明!

薬の仕入れ

薬局はおなじみの発注業務。現場で活躍しているとなかなか実感がわきませんが、製薬メーカーで製造された医薬品が薬局の薬剤師や患者さんまで行き届く過程について詳しくご存知でしょうか?

ここでは、薬の仕入れに焦点を当てつつ、医薬品物流の仕組みや、そこで活躍する薬剤師についてお話しします。

医薬品がどのようなルートで流通しているのか?そこで活躍する薬剤師の仕事にはどのようなものがあるのか?今後の選択肢を広げるヒントを紹介しますので、ぜひご一読ください。

医薬品流通の仕組み

多くの方がご存知の通り、医薬品の製造を行っているのは製薬メーカーと呼ばれる会社です。

しかし、医薬品を求める患者さんが直接製薬メーカーから薬を買い付けているわけではありませんね。

多くの場合、医療用の医薬品は病院・診療所などの医療機関や保険薬局で、また一般用医薬品の場合はドラッグストアーや保険薬局で薬を購入するはずです。

この流れをシンプルに考えれば、「製薬メーカー」→「薬局・店舗販売業者」→「患者さん」となるでしょう。実際にこの3ステップで流通が完了しているケースが存在します。

しかし他にも「製薬メーカー」と「薬局・店舗販売業者」との間に、「医薬品卸企業」が存在するパターンもあります。

しかもこのパターンは、医療用医薬品の場合は98%、一般用医薬品の場合は約半数にものぼるのです。

※ 日本医薬品卸売業連合会

したがって大半の医薬品は、「製薬メーカー」→「医薬品卸」→「薬局・店舗販売業者」→「患者さん」というステップを経て流通しているというわけです。

「医薬品」の性質から見る、医薬品物流の特徴とは

世の中には薬だけでなく、実に多様な品物が流通しています。そして、その品物の特質にあった取り扱いをしなくてはいけません。

医薬品には、以下のような特質があります。

  • ひとの生命に関わる(安全性や有効性、また品質確保が不可欠)
  • 社会性や公共性が高い
  • パッケージだけでは商品特性をはっきりと示すことが困難
  • 病気や治療方法の多様化や患者さんのニーズに応じて、多品種少量生産が求められている
  • ニーズの予測が見通しづらく、かつ使用の際には緊急性が高くなる

これらの特質から医薬品は、製造、物流、販売、使用のあらゆるシーンで、厳正な法的規制(薬事法など)の対象となっています。

加えて、医療保険制度の制約にも深く関わっていることもあり、医薬品物流は他では見られないほど特徴的な業界だと言えるでしょう。

医薬品物流に携わる医薬品卸企業は、上記であげた医薬品の適性や、それに伴う規制・制約、さらには医療現場での需要に応えるため、以下のポイントに注意して業務に取り組むことが求められています。

  • 商品のクオリティや安全性・有効性の確保
  • 安全に、安定した供給を進める
  • 病気や治療方法の多様化や、ニーズに応じた供給を進める
  • 医薬品や疾病、治療方法に関する専門的な知識やスキルを高める
  • スピーディーに的確な供給を進める
  • 経済的・効率的に供給を進める

医薬品の流通に深く関わる「医薬品卸」の仕事

「卸業者」とは、品物の製造業者から商品を仕入れ、品物を販売する業者へ卸す業態を指しています。ここで紹介する「医薬品卸企業」は、その名の通り医薬品を取り扱う卸業者のこと。

医薬品卸企業は、製薬メーカーから仕入れた多種多様な医薬品を、それぞれのニーズにマッチした薬局や医療機関に卸すことで、末端である現場や患者さんの元にまで幅広く医薬品を行き渡らせるための要となる存在です。

医薬品卸会社への転職は、基本的に薬剤師でなくても問題はありません。しかし薬事法により、医薬品卸業では各営業所に最低一人は「管理薬剤師」を配置しなくてはならないと義務付けられているため、薬剤師の存在は不可欠です。

医薬品卸企業において、薬のプロフェッショナルである薬剤師は重要なポストに位置しているのです。

以下では、医薬品流通の中核を担う医薬品卸業で活躍する薬剤師について分かりやすく紹介します。

仕事内容

医薬品卸企業で活躍する薬剤師の業務は、基本的に医療関係からの問い合わせ対応や、従業員への教育・指導などがメイン。

医薬品に対する専門性の高い知識はもちろん、薬事法や医療法、健康保険法などの法律にも精通した人材であること、また様々な立場の方と関わりを持つ仕事でもあるので、コミュニケーション能力の高さなどが求められるでしょう。

具体的な仕事内容には、以下のような業務が挙げられます。

薬事関連業務

薬事法などの法律や規制に関する業務で、免許や届出の際のチェックや管理を行います。

品質管理

GMP(医薬品の製造管理及び品質管理規制)という法令に則った製造管理や品質管理が行われているかを管理・監督します。

DI業務(医薬品情報業務)

資料や文献、また現場で活躍する医療従事者(医師や看護師)から、医薬品の使用方法、効能、相互作用、副作用などの情報を正しく収集・管理し、必要に応じて社内外からの問い合わせに対応します。

提供先となる方が求めている情報を的確にフォローできるよう、内容を編集・加工することもあります。

従業員の教育・指導

会社で活躍している従業員に対して、専門家の目線から教育や指導を施すことも企業薬剤師の重要な業務です。

医薬学にまつわる基礎的な知識や医薬品情報、また薬事に関わる知識のレクチャーや、品質管理に関係した指導をすることもあるでしょう。

医薬品卸業で働く薬剤師の年収や福利厚生について

企業薬剤師の場合、高収入が期待できるポイントは大きなメリットです。

年収の相場は650万円〜800万円ほどだと言われていて、福利厚生も手厚いので、キャリアアップとともに収入アップを叶えたい方にオススメの選択肢だと言えるでしょう。

また土日が休みである点や、長期休暇の取得が困難でないことも、医薬品卸企業で働くことの利点です。

医薬品の物流シーンにも、薬剤師需要アリ!転職先候補に加えてみては?

普段は転職先として注目されることの少ない選択肢ですが、医薬品の物流シーンにも薬剤師のニーズが多く存在していることが見えてきました。

医薬品卸企業は日本各地へ迅速に医薬品を送り届ける必要があるので、全国にいくつもの拠点が必要です。

そして上記(『医薬品の流通に深く関わる「医薬品卸」の仕事』)でもお話しした通り、各拠点には最低一人の管理薬剤師を配置しなくてはいけません。

もちろん、企業への転職が簡単であるとは紹介できません。近年では医薬品卸企業の吸収合併も多く、求人案件の数が減少傾向にあるとも言われています。

とはいえ、薬剤師としての知識やスキルの向上、また収入アップを目指すのであれば、これらの希望を叶える有効な選択肢であることも確かです。ぜひこの度の転職の選択肢に、医薬品卸企業を加えてみてはいかがでしょうか?