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錠剤の粉砕をしっかり行うために覚えておきたいこと

錠剤の粉砕が不慣れな方や、なかなか思うように砕けなくて困っている方に、粉砕について解説

みなさんは錠剤の粉砕をしたことがありますか?

錠剤の粉砕が必要なパターンとして、

「嚥下困難があり錠剤の形では服用困難な高齢者などへの処方」
「錠剤しか剤型が無い製剤の小児への投与」

が挙げられます。

しかし、服用のしやすさや薬学的な問題があり、錠剤という剤型を取っている医薬品は多いです。

そのため粉砕を行うことで、服用上・保管上で注意をしなければならないものもあります。

錠剤を粉砕調剤する場合、その錠剤は本当に粉砕しても問題ないのか、服用時に患者さんがどう気を付けたら良いのかをしっかり確認してから調剤を行いましょう。

粉砕専用の文献以外にもメーカーに問い合わせたり、前例を調べたりすることも役に立ちます。

今回は錠剤の粉砕時に注意することや、また粉砕調剤に慣れていない方のために粉砕時のコツを紹介させていただきます。

必要なもの・あったほうがいいもの

粉砕には大きく分けて2つやり方があります。

1つ目は乳鉢と乳棒でつぶす方法
2つ目はミルミキサーなどで粉砕する方法

です。

前者と後者では後者の方が力を使わず素早く粉砕することが出来ます。

しかし、後者の方がミキサーに薬効成分が残ってしまうなどのロスが多い手法ではあります。

「乳鉢と乳棒でつぶす方法」では乳鉢と乳棒、「ミルミキサーなどで粉砕する方法」ではミルミキサーが必要になります。

それに加え、どちらの場合でも

  • 茶こしなどの不純物を取り除くもの
  • 収率を概算するためのはかり
  • 賦形(ふけい=形を整えること)のための乳糖やでんぷん
  • 混合などで用いる器

をいくつか並べておきましょう。

粉砕自体があまり無い施設でも、一通りの粉砕用の道具は用意しておいたほうが良いです。

まとめて戸棚にしまっておくと便利ですよ。

粉砕するとき注意したほうが良いこと

錠剤は裸錠もありますが、コーティングされているものも多いです。

粉砕するとその殻が混入してしまいますので、粉砕後は必ず茶こしなどで漉しとりましょう。

錠剤の表面には刻印などが印字されていることが多く、その部分が混ざってしまうとまるで不純物のように見えたようで、患者さんから問い合わせを受けたことがあります。

コーティング部分には薬効は有りませんので、できる限りきれいに取り除くことをお勧めします。

また粉砕調剤を行うとどうしてもロスが出やすくなります。

ミルミキサーを用いると顕著です。

ミルミキサーの内側には細かい粒子が付着しやすいので、漉しとる際に必ずスパーテルなどでこびりついた成分を取りましょう。

これを行うだけで収率がだいぶ変わります。

少しでもロスを抑えたり、毎回の服薬量を均一にしたりするため、粉砕を行った後はだいたい何グラムなのか秤量しながら行いましょう。

以前より明らかに少ない場合は漉しとった不純物の中やミキサーの中に主薬がまだ残っている可能性が高いです。

また、慢性の患者さんの場合毎回何グラムだったかというのを薬歴などに記録しておくといいかもしれません。

誰が調剤するかで飲める薬の量が違うのは少し問題がありますよね。

秤量は目分量でなくきちんと記録しておいたほうが良いですよ。

小児への粉砕調剤

子供に服用させる場合の粉砕は、錠剤ではその子の体重当たりの用量より多かったり、そもそも錠剤が飲める年齢ではなかったりするパターンがほとんどです。

錠剤を粉砕して分包すると飲みにくいような少量になる場合も多いため、飲みやすいように賦形してあげることが重要です。

主薬が苦い、または悪臭がある場合、毎日服用するのを嫌がる患者さんもいます。

それを薬局側でカバーするのは困難なため、保護者や本人とどうやれば毎日続けられるか相談して、対策を提案してあげることがコンプライアンスの確保に繋がります。

粉砕後の食事やジュースなどとの混合などについてもメーカーに問い合わせておくと、患者さんとの会話がスムーズになるかもしれませんね。

市販の袋オブラートやゼリーオブラートなども活用して、お子さんがしっかり薬を継続できるようアプローチしていきましょう。

私の薬局では0.2g以下になる場合は0.2gになるように乳糖で賦形します。

ただ、乳糖にアレルギーのある患児さんもいたので、そこもきちんと患児家族さんに確認しましょう。

まとめ

今回は粉砕調剤についていくつかポイントを紹介いたしました。

粉砕調剤に慣れていない薬剤師のみなさんに、少しでも粉砕調剤をイメージしていただけたら幸いです。

粉砕調剤は慣れるまで大変時間がかかりますし、慣れてもロスを少なく作ることは難しいです。

いつ粉砕指示が来ても対応できるよう、施設のみなさんで道具や主義を今一度確認してみてください。

冒頭で述べた通り、粉砕調剤は錠剤での服用ができないパターンでやむを得ず行うものです。

錠剤のコーティングは湿度を防いだり、苦かったり味に問題のある主薬を飲みやすくするなどの役割があります。

粉砕調剤するということは、それらのメリットを放棄することになります。

私たち薬剤師は、そのデメリット把握し、患者さんがより服薬しやすくなるよう適切な指導ができるように努力していきたいですね。