ドラッグストアーやスーパーなどで手軽に入手出来るサプリメントや健康食品は、身近で便利な反面、次々と登場する新商品への戸惑いや、自分の体との相性に不安や疑問を抱く方も珍しくありません。
そんなシーンで必要性が高まっているのが、サプリメントアドバイザーとして活躍する薬剤師の存在です。
ここでは、最適なサプリメント利用をサポートする専門家として活躍する「サプリメントアドバイザー」について、仕事内容や職場、年収、また認定資格の難易度などをわかりやすく紹介します。
時代のニーズにマッチした薬剤師を目指すヒントをお話ししますので、今後の目標を設定するための参考にぜひご一読ください。
サプリメントアドバイザーの仕事内容について
サプリメントアドバイザーとは、その名の通りサプリメントや健康食品について助言をする存在です。
主な就職先は、ドラッグストアーや薬局など、サプリメント・健康食品を取り扱う職場となるでしょう。患者さんのコンディションや食生活などを見定めて、一人一人に最適なサプリメントや健康食品の種類、利用などにまつわるアドバイスを行うことが仕事内容です。
サプリメントアドバイザーの需要は、今後増加していくの?
健康保険制度が確立されていないアメリカでは、高額な医療費の削減を目的に、多くの方が予防的観点から健康を考える「セルフメディケーション」に取り組むケースが一般的になっています。
そのスタイルは、近年、急速な高齢化が進む日本でも注目を集めています。健康維持を目的とした高齢の方はもちろん、健康意識や美容美容の高い若い方の間でも、サプリメントや健康食品を習慣的に利用するケースが多く見受けられるようになりました。
平成24年に公開された内閣府消費者委員会の調査結果によると、約60%もの方々が何らかの健康食品を習慣にしていて、50代以上では「ほとんど毎日健康食品を利用している」と答えた方が約30%も存在していると分かっています。
多様な健康食品が登場している昨今、消費者の方の中には「どれを選べばいいのか分からない…」、「自分にマッチしたサプリメントを知りたい!」という需要が膨らんでいるのです。
また、症状や年齢などに合っていない不適切な健康食品の利用によって、逆に健康を損ねてしまうリスクも懸念されるでしょう。
自身のケースやコンディションに沿ったサプリメント選びでは、健康食品についての豊富な知識とともに、常用薬との飲み合わせや、症状に基づいた適切なアドバイスを行える専門家の存在が不可欠だと言っても過言ではありません。
OTC薬やサプリメントによる個人レベルの健康サポート(セルフメディケーション)を、政府が国民に訴えている時代です。サプリメントアドバイザーは、今後の日本になくてはならない、薬剤師の新たな選択肢となるのではないでしょうか。
サプリメントアドバイザーの年収、やりがいは!?
薬剤師以外でも、看護師や管理栄養士などの専門家が、それぞれの専門性を活かしサプリメントアドバイザーとして活躍するケースが存在します。それだけ、人気や将来性の高い資格であるという事カモ。
資格の注目度の高さから、「収入にも良い影響があるのでは…?」と期待している方も多いのではないでしょう。年収アップは、資格取得までのモチベーションにも大きく関わる要素ですね。
ところが、サプリメントアドバイザーの資格を持っていることが、ダイレクトに年収アップへつながることは少ないのが現状です。所属する企業や会社によっては資格手当がプラスされる事もある様子ですが、必ず手当があると断言する事はできません。
上記(『サプリメントアドバイザーの仕事内容について』)でもお話しした通り、サプリメントアドバイザーとして活躍する薬剤師の主な職場は、ドラッグストアーや薬局などがほとんどです。収入については、それぞれの職場で働く薬剤師の年収相場をイメージしてください。
- ドラッグストアーの薬剤師の年収相場は、450万円〜750万円
- 調剤薬局の薬剤師の年収相場は、450万円〜700万円
したがって、資格取得を目指す際に「収入アップ!」を目標として設定することはオススメできないでしょう。
サプリメントアドバイザーとして働くことのメリットでは、収入面よりも、患者さんやお客さんへの対応を、より的確で中身の濃い内容にできる「やりがい面」が大きい様子です。
薬剤師として持っている医学的・薬学的なノウハウをベースに、サプリメントや健康食品に関する幅広い知識を持つ…ということは、患者さん一人ひとりの症状や悩みを改善させるための、より的確なサポート力につながります。地域の方々のセルフメディケーションに貢献する、大きなやりがいやを得ることができるでしょう。
サプリメントアドバイザーに必要なスキル・求められるものについて
以下(『試験の難易度などが違う!?各資格の特徴について』)でも紹介しますが、サプリメントアドバイザーの資格にはいくつかの種類があり、中には薬剤師でなくても取得を目指すことが可能なものも存在します。
とはいえ、薬剤師が就職・転職や現場で活かすことを目的に資格取得を志すのであれば、相応の難易度やステータスの高さのある資格をチョイスすべきだと言えるでしょう。したがって、専門的な知識を学ぼうという向上心の高さが問われます。
またサプリメントアドバイザーは、患者さんやお客さんと直接向き合う対面業務が主な活躍の場となります。そこでは、サプリメントや健康食品にまつわる会話だけではなく、薬に関する相談や質問、何気ない会話など、様々なコミュニケーションをとるシーンが多々あるでしょう。
患者さんとのコミュニケーションから円滑な関係を築き、地域の頼れる薬剤師・サプリメントアドバイザーとなるためには、対人スキルの高さはもちろん、経験から培われる薬剤師としての総合的な能力も重要です。
薬剤師としての総合的な能力、と聞くと、「なんだかスゴそう…」と身構えてしまいますが、「経験がないと、目指せない!」というわけではありません。
大切なのは日々の業務を丁寧にこなし、その経験からスキルを積み重ねようとする姿勢なのではないでしょうか。したがってこの要素は、向上心の高さが重要だというポイントにもつながります。
向いているタイプ
ここまででお話しした内容から、サプリメントアドバイザーは以下のようなタイプにオススメしたい選択肢だと言えそうです。
- 収入アップよりも、やりがいを重視するタイプ
- 「学び続けよう」という、高い向上心を持ったタイプ
- 対人スキル・コミュ力の高いタイプ
- 薬剤師としての豊富な経験を持ち、総合的な能力が高いタイプ
試験の難易度などが違う!?各資格の特徴について
日本には以下3つの資格が存在し、いずれも同じ「サプリメントアドバイザー」という認定ですが、特徴や受験資格、難易度などには違いがあります。
- NHPインターナショナル認定機構による「メディカルサプリメントアドバイザー」
- 日本サプリメントアドバイザー認定機構による「NR・サプリメントアドバイザー」
- 日本ニュートリション協会による「サプリメントアドバイザー」
※資格がない方など、どなたでも入会や受験ができます。
3つのうち最も難易度が高いのは、NHPインターナショナル認定機構による「メディカルサプリメントアドバイザー」です。国家資格を持つ医療従事者を対象としたハイレベルな資格なので、難易度も高いですが取得後のステータスも高くなるメリットがあります。
逆に最も難易度の低い資格は、日本ニュートリション協会による「サプリメントアドバイザー」です。受験資格が無く、誰でも取得を目指せるポイントから、子育て中の主婦など一般の方からも人気があります。
また、難易度的には上2つの間をとった形になる、日本サプリメントアドバイザー認定機構(日本臨床栄養協会)による「NR・サプリメントアドバイザー」は、5年ごとの更新が必須です。資格取得後は次回の更新に向けて、定められた研修単位を取得するために、セミナーや講座を受講したり、またレポートの提出などをしなくてはいけません。
「手間がかかる資格だ…」と感じる方も多いでしょうが、次々と登場する新たなサプリメントや健康食品に対して、常に最新の情報や知識を有する専門家を育成するための、フォローアップが整った認定資格だと受け取るべきでしょう。サプリメントのプロフェッショナルとして、多くの方へ的確なアドバイスを送るために不可欠なシステムなのです。
また「NR・サプリメントアドバイザー」は、薬剤師が取得する資格としてメジャーな選択肢でもあります。
サプリメントアドバイザーは、今後の薬剤師転職シーンできっと武器になるカモ!
高齢者の中には、持病を抱えた方や、常用薬のあるケースも珍しくはありません。また自分の栄養状態を考慮できていなかったり、「とにかく安価なものを!」とコストだけを重視するなど、不適切なサプリメントのチョイス・摂取を行う方もいらっしゃるでしょう。
このように、患者自身が自分の健康管理を行うセルフメディケーションでは、専門家によるアドバイスが重要となるシーンが多々存在しています。認定資格を持った薬剤師の需要は、今後もますます伸びていくと考えられるでしょう。
サプリメントアドバイザーの資格が収入に好影響を与えるケースは少ないと言われていますが、資格を持った薬剤師を「向上心のある人材」、「時代の需要にマッチした存在」だと評価する採用担当者は数多く存在します。
薬剤師としての価値を高めるために、また、患者さんやお客さんへの対応をより質の高いものにするためにも、サプリメントアドバイザーの資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。