利息や金利について調べていくと、法定利息や法定金利といったものや約定利息、約定金利など違いがよく分からず困惑してしまいますよね。実際に混同されて使われるケースも多くて、その違いがよく分からない人も多いでしょう。
ここでは、法定金利・法定利息がどういったものかを、約定金利・約定利息との違いが分かるよう紹介していきます。
しっかりと法定と約定の違いを理解できれば、お金のトラブルに巻き込まれたり余計な利息を支払わなくて済むはずですので、きちんと理解したい人はぜひ参考にしてみてください。
目次
利息と利率
利息は、借りたお金を返すときにプラスαで支払うお金のことです。その利息を決めるのが利率です。利率は借りたお金(元本)に対する利息の割合を意味します。
例えば、10万円を借りて1年後に11万円で返す場合の利息、利率は以下の通りです。
- 利息は1万円 ※ 11万円-10万円
- 利率は10% ※ 1万円(利息)÷ 10万円(借りたお金)
しかし、実際の金融商品は、金利(利率)が何%かは確認すれば分かりますが、利息がいくらかはすぐには分かりません。それは、利息は融資金額と返済日数によって変わるので人によって違うからです。
利息額 = 借入残高(円) × 金利(%)÷ 365日 × 借入日数(日)
※ 金利14.6%で10万円を30日間借りたときの利息額
10万円 × 0.146 ÷ 365日 × 30日 = 1200円
以下記事に「利子」「利息」「金利」それぞれの違いをまとめて解説しています。
約定利率と約定利息
約定利率とは、当事者同士が契約によって決めた利率のことです。つまり、この利率でお互いOKだねと約束を交わし、合意している利率になります。約定利率に応じて決まる利息を約定利息というのです。
例えば、今現在預けている定期預金や普通預金があれば、その金利は約定利率になります。
法定利率と法定利息
法定利率とは、法律で定められた利率のことです。当事者の間で取り決めた約定利率がある場合には関係ありませんが、もし約定利率を設定していない金銭の貸借などにおいては法定利率を適用することができます。
この法定利率は民法で定められていますが、例外的に、商取引の場合の法定利率は商法で定義されています。
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。
商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする。
- 民法で5%と定義
- 商法で6%と定義
民法改正で法定利率が変わる
2017年6月に民法の一部を改正した新しい法律が公布されました。まだ施行されていませんが遅くとも2020年までには実施されます。
この民法改正によって法定利率の変更点をまとめます。
- 法定利率が5%から3%に引下げ。
- 法定利率は3年おきに利率を見直す変動制になる
- 商法の法定利率6%は廃止、法定利率は民法で統一することに
金銭の貸し借りに関わる約定利率には利息制限法の規制がかかる
約定利率は、債務者と債権者の間で原則自由に決めていいものでした。しかし、貸付金利の上限を定めた利息制限法という法律があります。
貸金業者はこの法律を守らなければなりませんので、約定利率は、利息制限法の範囲内で自由に決めていいということになるのです。
借入金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
貸金業者が個人にお金を貸すときに、この上限を超えた金利で貸し付けたら違法です。ぜひ覚えておきましょう!
各カードローン会社の約定金利
18%を超えないラインで利率が決められています。これは、きちんと利息制限法の範囲内の約定利率であることが分かりますね。
カードローン | 金利 |
---|---|
みずほ銀行カードローン | 2.0%~14.0% |
三井住友銀行カードローン | 年1.5%~14.5% |
三菱UFJ「バンクイック」 | 1.8%~14.6% |
オリックス銀行カードローン | 1.7%~17.8% |
プロミス | 4.5%~17.8% |
アコム | 3.0%~18.0% |
アイフル | 3.0%~18.0% |
SMBCモビット | 3.0%~18.0% |
遅延損害金も約定がなければ法定利率で請求可能
支払日に遅れると遅延損害金が発生します。遅延損害金も利息の1種で、利率によって示されています。約定利率が定められていない契約においては、法定利率が適用されますが、遅延損害金が契約に明示されていない場合はどうなのでしょうか?
実は、遅延損害金の利率も、約定がないなら法定利率が適用されます。
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
約定利率が法定利率より高い場合には、約定利率で遅延損害金の請求をかけられるのもポイントです。これは、返済が遅れたペナルティーとしての遅延損害金が、通常の利息よりも安くなってしまうと賠償の意味がなくなってしまいますよね。
遅延損害金も法律で上限が定められている
遅延損害金においても利息制限法によって20%を上限とするよう定められています。
営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
実際、各カードローン会社は20%を超えない範囲で遅延利率を設定しています。
カードローン | 遅延利率 |
---|---|
みずほ銀行カードローン | 19.90% |
三井住友銀行カードローン | 19.94% |
三菱UFJ「バンクイック」 | 借入利率 |
オリックス銀行カードローン | お借入残高に対して借入利率+2.1% |
プロミス | 20.00% |
アコム | 20.00% |
アイフル | 20.00% |
SMBCモビット | 20.00% |
正規の貸金業者のサービスを利用する分には、法定利率を気にする必要はないでしょう。例えば、個人間の貸し借りで借用書もしくは金銭貸借契約書を交わす場合には、契約書に約定利息がなければ法定利率が適用されるので知っておくとよいでしょう。
↓遅延損害金を含む返済遅れの悪影響について詳しく紹介↓
利息制限法は消費者保護の観点で制定されました
本来金銭の貸し借りにおいては、貸し手・借り手の2者間で利率を決めるのが原則です。
それなら、利息制限法でわざわざ金利を規制する必要はないように思いますよね?
お金の貸し借りは立場が同じではありません。お金を貸す側の方が強く、借りる側はどうしたって弱くなります。完全に貸し手・借り手の2者だけで自由に利率を決めさせてしまうと、利率をとんでもなく高く跳ね上げて契約してしまう恐れが出てきます。
従って、上限金利を〇〇%と定めておけば、利率の高い借金から消費者を守ることができるのです。
- 消費者が借金で苦しまないようにする規制
- 貸金業が高金利の貸付で暴走するのを防ぐ
実際に、2010年に利息制限法が改正される前、消費者金融の多くは当時の利息制限法の上限金利を超えた25~26%でお金を貸していました。これは、出資法上限(改正前29.2%)さえ超えなければ、利息制限法を超える利率で貸しても刑事罰がなかったためです。
違法とも合法ともいえないグレーな金利ということから、グレーゾーン金利と呼ばれています。
そして近年では、複数の消費者金融などに多額の借金を重ねる多重債務者の自殺、行方不明(いわゆる夜逃げ)、悪質な闇金業者の横行や、度を超した借金の取り立てなどが増加の一途をたどり、深刻な社会問題となっていったのです。
そして新たに貸金業者を規制する貸金業法がつくられました
そこで国は経済的弱者の地位にある債務者の保護を目的に、平成18年従来の法律を抜本的に改正し、新たに貸金業法をつくりました。
新たにつくられた貸金業法のポイントとしては
- 出資法上限金利の引き下げ
- 総量規制
- 貸金業者への規制強化
総量規制は借入総額が年収の3分の1を超える場合、新たに借り入れができなくなるという規制です(住宅ローンなどの長期・低金利のローンは除かれます)。これにより貸し過ぎ・借り過ぎを防ぎ、多重債務者を減らす目的があります。
まずは「自分の身は自分で守る」ことを心がけましょう
貸し手である金融業者よりも、借り手である消費者を守ろうと、色々な法律が作られてきたのです。
しかし総量規制ひとつ取っても、貸金業者とは見なされない銀行系カードローンは適用外となっていますし、いろいろな規制にも抜け道はあります。
自分で自分を厳しく律しなければ、相変わらず無計画にお金を借り過ぎてしまったり、何社からも借りてしまう多重債務に陥る可能性が十分にあります。
多重債務などの問題から自分の身を守るためには、まずは自分の返せる範囲で借入額を決めて、しっかりとした返済計画のもと、カードローンなどを利用するようにしましょう。
まとめ
法定利率・法定利息がどういったものかについて解説しました。
利率は法的に決められています。しかし、約定利率の有り無しが法定利率の存在を左右します。
- 当事者同士が約定利率を契約で決めなかった場合には、法定利率で利息を請求できる
- 民法改正で将来的に法定利率は5%から3%に引下げられ、固定ではなく変動制に変わる
- 遅延損害金の利率が定めていない場合、約定金利が法定金利より大きければ約定利率が適用可能
- 正規のカードローン会社は金利・遅延利率ともに利息制限法の範囲内で設定している
普段、法定利率を意識するケースは少ないでしょう。しかし、約定利率と法定利率は明確な違いがあり、返済負担に関わってくるのでしっかり把握しましょう。
カードローン金利のまとめ記事はこちらから。金利重視でカードローンを選びたい人はぜひどうぞ↓