プロパー融資とは一体何か、またはプロパー融資の利用方法がよくわからず、困っていませんか?
この記事ではプロパー融資の特徴やメリット・デメリット、そして審査を受けて利用するにあたり知っておきたいポイントについて解説します。
プロパー融資の内容を知り、活用したいと考えている方は、最後まで読み終えればすべてを理解し、活用できるようになります。ぜひ参考にしてください。
目次
プロパー融資とは?
銀行が行う法人向けの事業性融資は、以下の2種類あります。
- 信用保証協会の保証付き融資
- プロパー融資
保証付き融資は、万が一融資を受けた側が返済不能になった場合に、信用保証協会が債務者の代わりに返済を立て替えてくれます。信用保証協会が、保証人のような役割をしているのです。
それに対し、プロパー融資とは、保証をつけずに直接銀行から融資を受けるサービスです。一般的に、銀行に資金調達の相談をすると、資金回収のリスクが小さい「保証付き融資」を進められるのが基本です。
- 保証付き融資は、返済不能のリスクを信用保証協会が負う
- プロパー融資は、返済不能のリスクを融資した金融機関が負う
保証付き融資と比較!プロパー融資の特徴
事業用の資金調達ですから安い金額にはなりません。
ここでは、保証付き融資と比較しながら、プロパー融資の特徴を詳しく解説します。
保証料がかからない
プロパー融資は銀行が直接融資をするしくみなので、信用協会の保証付き融資と違い「信用保証料」がかかりません。一方、保証付き融資は、信用保証協会に保証料金を支払わなければなりません。
つまり、保証料がかからない分、プロパー融資の方が低コストで融資を受けられることが可能なのです。
融資限度額の上限がない
プロパー融資は融資限度額に上限がありません。
信用協会の保証付き融資だと、無担保保証なら8,000万円、有担保保証なら2億8000万円以上の融資は受けられないので、大きな額の融資を受けたい場合はプロパー融資の方が有利です。
例えば、立ち上げた会社が創業時よりも大きくなったら費用が大きくかかり、保証付き融資だと融資額が足りなくなってしまうこともあるでしょう。
プロパー融資なら大きな額を借りることもできるので、大きな会社が利用するのに都合が良い融資方法です。
金利が低く設定される傾向にある
プロパー融資は、保証付き融資に比べて金利が低く設定されるのも見逃せない特徴です。
金利が低いと返済額を少なく抑えられるため、利用者としてはとても嬉しいメリットと言えるでしょう。
銀行側からすれば返済リスクが高いにもかかわらず金利が低い、デメリットが多い商品でもあるため、プロパー融資は大きな信用がなければ利用できません。
審査が厳しい
プロパー融資は、債務者が返済不能に陥ったときに資金が回収できないリスクが大きくなります。その点保証付き融資なら、信用保証協会が立て替えて銀行に債務を支払ってくれるため、銀行側は安心できるでしょう。
このように返済保証のないプロパー融資は、銀行側にとって貸し倒れのリスクが高くなるので、保証付き融資に比べると慎重で厳しい審査になるのです。
信用情報に問題がなく、確実に返済を正しく行ってもらえる確信が得られるような人でなければ、プロパー融資を行いたくないのは当然でしょう。
返済期間が短い
プロパー融資は保証付き融資に比べて返済期間が短くなる傾向にあります。金利が低く信用協会の保証もないので、早めに回収したいのは銀行側からすれば当然でしょう。
会社等を運営していくにあたり返済期間が短いと困る場合は、プロパー融資に比べて返済期間が長く設定されている信用協会の保証付き融資を利用しましょう。
担保が必要な場合がある
プロパー融資には信用協会の保証がないため、銀行側がリスクを抑えるために、融資を受ける代わりに担保が必要になるケースがあります。
利用者側からすると厳しい条件に思えますが、プロパー融資は銀行側にもリスクが大きい商品であるためやむを得ないでしょう。
例えば、土地や物件などを持っているなら、プロパー融資を利用する代わりに担保にする必要が生じる可能性があることも覚えておきましょう。
プロパー融資の審査のポイント
プロパー融資を利用するにあたり、審査に通るかどうかは心配でしょう。ここまで解説したとおり、プロパー融資の審査は厳しめです。
ここからは、プロパー融資の審査を受けるにあたって知っておきたいポイントを解説します。
何より銀行からの信用が必要
プロパー融資を受けるために最も大事なのは、銀行からの信用があることです。これはプロパー融資に限らずローン全般にいえることです。
信用を得る方法は、例えば以下の3つが挙げられます。
- 定期的に銀行に顔を出し、担当者などと話をする
- セミナー参加の依頼や必要書類の提出などは積極的に協力、早めに対応する
- プロパー融資を受けたい銀行だけを積極的に活用する
審査をするのは銀行の担当者です。銀行にとって良い顧客でなければプロパー融資は受けられません。
言い換えれば良好な関係を築いていれば、審査に通る可能性は高くなります。普段から銀行側に自分が信用に値する人物(企業)であると印象づけるように、取り組みましょう。
創業時は難しい。3期以上の黒字決算が望ましい
創業後すぐに融資をしたところで赤字になって返済が滞ってしまう危険性があるため、創業後いきなりプロパー融資を受けるのは困難です。
返済してもらえる保証がないので、創業後間もない状況でプロパー融資を利用させたくないのは当然でしょう。
融資を受けられる可能性を上げたい場合は、少なくとも3期以上黒字決算ができている状態にまで整えたうえで申し込みましょう。
安定していると判断され、審査に通る可能性が上がります。
銀行の格付け評価の高さ
銀行では、会社に対して10段階程度の格付け評価が行われます。プロパー融資を受けたいなら、格付け評価が高い状態でなければいけません。
格付けは各銀行によって違いますが、取引先を評価するために設けたランキングです。例えば、以下のような10段階の格付け評価があります。
- リスクなし
- ほぼリスクなし
- ややリスクあり
- リスクを含む・良好
- リスクを含む・平均
- リスクが高い・許容範囲
- リスクが高い・管理が必要
- 警戒先
- 延滞先
- 事故先
プロパー融資を行う可能性を上げるためには、一番上の「リスクなし」や「ほぼリスクなし」と判断されることが重要です。
銀行からの信用を得られていて、黒字決算も続いていれば、格付け評価が高くなることにも期待できます。
自己資本比率は最も重視される!目安は30%以上
プロパー融資を受けるために最も重要なのは、自己資本比率が高いことです。目安は30%以上となっています。
自己資本比率は「返済不要の自己資本が全体の資本の中にどれくらいあるか」を意味していて、自己資本比率が高ければ高いほど会社は安定しています。
プロパー融資を受けたい場合は、まず自己資本比率を上げるところから始めましょう。そもそも安定していなければ、融資を受けても返済が難しくなってしまいます。
まとめ
この記事では、プロパー融資の特徴や信用協会の保証付き融資と比べてのメリット・デメリット、そして審査を受けるために知っておきたいことを解説しました。
記事の内容をまとめると、以下の4点が重要です。
- プロパー融資は金利が低く高額な融資を受けられる
- プロパー融資は銀行側からすると、リスクが大きい
- プロパー融資の審査難易度は高く、銀行から信用を得られていなければ利用できない
- プロパー融資を受けるには、まず自己資本比率を高めることが重要
プロパー融資を将来的に活用していきたい方は、この記事を参考にプロパー融資の特徴を知り、今後に役立ててください。