収入があまり多くない人は、家計のやりくりで苦しんでいるケースも多いかもしれませんね。特に給料日前は問題。手持ちのお金が無くなって、どうしようかと困った経験はありませんか?
このような場合に利用できるサービスがカードローン。近年ではフリーターやパートタイマーでも融資してくれるローンがありますね。でも仕事をしていても収入が少ないと、審査通過できない恐れも。
審査に落ちてもまだあきらめないでください。実は生活福祉資金という、公的支援制度があります。今回はこの公的支援制度について詳しく見ていきますので、いざという時のために是非、チェックしておいてください。
目次
生活福祉資金貸付制度とは?
消費者金融や銀行をはじめとして、個人向けのカードローンがいろいろとあります。しかし低所得者の場合審査に引っかかって、融資を受けられないこともあります。このようなカードローンの利用ができない人のための公的支援制度の一つが、生活福祉資金貸付制度。
生活福祉資金貸付制度を管轄しているのは、厚生労働省です。ただし実際に申請の窓口になっているのは、都道府県・市町村にある社会福祉協議会。申込む際には自分の街を管轄している社会福祉協議会がどこにあるか確認するといいでしょう、インターネットなどで手軽に確認できますよ。
ちなみにすべてがそうではないですが、社会福祉協議会は役所の中に設置されていることが多いです。収入の低い人が融資の対象です。このため、銀行や消費者金融のカードローンよりもかなり低い金利で借り入れ可能。中には無利息で借り入れできるケースもありますので、返済の負担を最小限に抑えられますよ。
どんな目的で利用ができる?
生活福祉資金貸付制度には大きく分けて4つの種類があります。その4種類とは、
- 総合支援資金
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
です。自分の場合、どれが当てはまるのか申請する前にチェックするといいでしょう。もしどれに該当するのか判断できないのであれば、社会福祉協議会で相談もできますよ。
以下でそれぞれの種類について、具体的に紹介しますね。
総合支援資金
総合支援資金は主に3つの用途の資金を融資してくれるものです。その3種類とは
- 生活支援費
- 住宅入居費
- 一時生活再建費
です。生活支援費とは生活再建するために必要な生活費の融資。住宅入居費は賃貸契約のための敷金・礼金などの初期費用が該当します。一時生活再建費は就職・転職のためにスキル獲得するにあたってのスクールや通信教育を受講する際の費用、資格試験の受験料などのための資金です。
総合支援資金の借入れ条件は以下の通りです。
- 生活支援費:2人以上世帯月20万円以内・1人世帯月15万円以内
- 生活入居費:40万円以内
- 一時生活再建費:60万円以内
- 金利:保証人なし年利1.5%・保証人あり無利息
- 返済期間:10年
福祉資金
生活福祉資金貸付制度の中の一つの福祉資金は文字通り、福祉にかかわる資金を融資する種類です。けがや病気になって療養する場合の必要経費がまず挙げられます。治療費のほかにも療養中収入が激減・ゼロになるでしょうから、その間の生活費も賄えます。また台風や地震など災害を受けた際に緊急で資金が必要になるでしょう。その際手持ちがなかった場合、福祉資金による融資も受けられるのです。
要介護・支援認定を受ければ、介護サービスが受けられます。介護保険も利用可能ですが、実費も生じるのでこの自己負担分をねん出できなかった場合、これも福祉資金で賄うことが可能。また介護サービスを受けている間に生じる生活費の融資も受けられます。
また福祉資金の中には緊急小口資金も含まれます。こちらは災害に遭ったときに少額ながら臨時で必要な場合に利用できますよ。
福祉資金の貸し付け条件は以下の通りです。
福祉費 | 580万円以内 |
---|---|
緊急小口資金 | 10万円以内 |
金利 |
福祉費 保証人あり無利息・保証人なし年利1.5% 緊急小口資金 保証人の有無関係なく無利息 |
返済期間 |
福祉費 20年 緊急小口資金 12ヶ月 |
教育支援資金
教育支援資金は文字通り、教育資金を融資する生活福祉資金貸付制度の種類。低所得世帯だと、子供を高校や大学、高専に通わせる費用を捻出できないケースも出てきます。その際の教育費の融資が受けられます。
また学校入学するためには初期費用が掛かります。教育支援資金の中には就学支度費といって、この初期費用の借入れも可能となっているのです。
教育支援資金の貸付け条件は以下の通りです。
- 教育支援費:高校月3万5000円・高専月6万円・短大月6万円・大学月6万5000円を上限とする(事情によっては限度額の1.5倍まで貸し付けの認められるケースも)
- 就学支度費:50万円以内
- 金利:いずれも無利息
- 返済期間:いずれも20年
不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金は、自宅など自分の所有する不動産を担保にして借入れできる資金です。不動産担保型生活資金の中には
- 不動産担保型生活資金
- 要保護世帯向け不動産担保型生活資金
の2種類があります。前者は高齢者世帯で低所得のため、生活資金を賄えない場合に利用できます。後者は生活保護受給している高齢者世帯が生活資金を借入れるための種類です。
不動産担保型生活資金の貸付け条件は以下の通りです。
- 不動産担保型生活資金:土地の評価額の70%で月30万円以内
- 要保護世帯向け不動産担保型生活資金:土地および建物の評価額の70%で生活保護費の1.5倍以内(マンションの場合評価額の50%)
- 金利:年利3%もしくは長期プライムレートのいずれか低い利率
- 返済期間:契約終了してから3ヶ月以内
生活福祉資金貸付制度を利用するための条件
低所得者でカードローンの利用も難しい方でも借入できるのが、生活福祉資金貸付制度です。ただし誰でも借入できるわけではなく、利用条件が4つ程あります。
そのポイントを以下で紹介しますので、申込む前にこの4つの基準をクリアしているかどうか、確かめるのがいいでしょう。
生活福祉資金を申込む都道府県に住んでいること
生活福祉資金を借入れできるのは、住んでいるところを管轄している都道府県のみです。より詳しく言うと、住民票のある都道府県に住んでいないと借入れは不可。
例えば「現在は福岡県に住んでいるけれども転入手続きをしていないので、前にいた東京都に住民票がある」という場合、福岡県でも東京都でも生活福祉資金は使えません。この場合、まず東京から福岡に住民票を移します。それから生活福祉資金の申込みをすれば、受理してもらえます。
他の人の生活福祉資金貸付制度の保証人になっていない
生活福祉資金貸付制度では、保証人をつけることも可能です。もしほかの人の生活福祉資金貸付制度の連帯保証人になっていると、自分の福祉貸付の申請ができなくなるので注意が必要。保証人についてより詳しく見ていくと、申込不可は第三者保証人となっている場合。つまり別世帯の人の福祉貸付の保証人になっていないことが条件です。
他の公的支援制度が受けられない
公的支援制度は生活福祉資金貸付制度のほかにもいろいろとあります。代表的なのは生活保護です。そのほかに失業者に一時金を支給する失業保険、病気やけがで休業する場合の手当金が受給できる疾病手当金、失業者のための家賃補助制度である住宅支援給付などがあります。
このようなほかの公的支援制度のいずれも利用できなかった場合に、初めて生活福祉資金貸付制度の申請が可能なのです。
所得の低い世帯であること
生活福祉資金貸付制度は低所得者向けの制度であると、すでに紹介しました。では「低所得者」とは具体的にどの程度の収入か気になりますね。低所得世帯の規定は具体的に決まっています。世帯人員別にそれぞれ月収
- 1人世帯:19万1000円
- 2人世帯:27万2000円
- 3人世帯:33万5000円
- 4人世帯:38万5000円
- 5人世帯:42万5000円
以下の月収だった場合が該当します。ちなみに平均年収=世帯の所得-生活に必要な支出です。生活に必要な支出は以下が該当します。
- 食費
- 光熱費
- 電化製品の費用
- 医療費
- 住宅ローンや家賃などの住居費
- 子供がいる場合には仕送り費用
が該当します。この生活に必要な支出の控除を受けるためには、費用を証明するレシートを申請時に提出する必要があるので破棄せず保管しておきましょう。
ただしこの条件を満たしていても、
- 福祉資金
- 教育支援資金
に申込む場合、世帯収入がゼロだと断られます。世帯収入がない場合、総合支援資金であれば申込み可能ですからこちらに申請することです。
生活福祉資金貸付制度の申込み方法
具体的に生活福祉資金貸付制度を利用するにはどうすればいいか、大まかな流れについて紹介します。同じ生活福祉資金貸付制度でも
- 総合支援資金と緊急小口資金
- 福祉費や教育支援資金、不動産担保型生活資金
とでは手続きの流れが若干異なるので注意。以下で2つに分けて紹介します。
- 役所の福祉課・社会福祉協議会など自立支援事業の窓口で相談
- 自立相談支援機関から社会福祉協議会へつなぐ
- 自立相談支援機関と社会福祉協議会で情報共有
- 申請書類などの提出
- 市区町村の社会福祉協議会から都道府県の社会福祉協議会に送付され審査
- 審査結果の通知
- 融資可能の貸付決定通知書を受け取ったら借用書を提出
- 都道府県の社会福祉協議会が借用書を受理すると貸付金の交付
- 決められた条件で返済
- 社会福祉協議会に相談
- 申請書類の提出
- 社会福祉協議会から申請書類等の確認
- 市区町村から都道府県の社会福祉協議会に申請書類が送付され審査実施
- 貸付決定通知書を受け取ったら借用書の提出
- 借用書を都道府県社会福祉協議会が受理すると貸付金の交付
- 借りたお金を決められた条件で返済
生活福祉資金貸付制度の審査について
カードローン同様、生活福祉資金貸付制度でも融資が可能かどうか、審査が行われます。審査の結果、基準を満たしていないと判断された場合融資を断られる可能性があります。審査基準はどうなっているかですが、一律の決まりはありません。自治体によって貸付するかどうかの判断は独自に行っています。
ちなみに東京都の場合、審査基準として「生活保護では対応しきれないような用途で資金が必要になり、福祉事務所の許可を受ける」ことが条件と明記されています。ですから自分の住んでいる地域の基準をあらかじめ調べておくといいですよ。
こんな人は借りれない、生活福祉資金の貸付不可な人
生活福祉資金の貸付けが行われるかどうか、審査の結果次第です。自治体によって判断は異なりますが、まず審査落ちになるタイプがあります。主だったものは、
- 生活保護を受けている
- 多重債務者
- 住宅がない
パターンですね。このケースに該当しているのであれば、まずどこであろうと生活福祉資金制度は利用できないと思ったほうがいいでしょう。
生活保護、失業給付を受けている方
生活保護もしくは失業給付を受けている人は原則貸付不可としている社会福祉協議会が多いです。ただしこれは総合支援資金の場合で、福祉資金や教育支援資金を利用する場合、対象から外されないという基準を設けている社会福祉協議会もみられます。
また自治体によっては、生活保護や失業給付を受けている場合でも事情に応じて貸付を行っているケースもあります。ただし貸付額は返済できる範囲で実行されます。生活保護受給者の場合収入がさほど多くないので、貸付金額もおのずと少なくなります。
多重債務者の方
借金を抱えている場合でも、生活福祉資金貸付制度の利用は可能です。しかし多重債務に陥っている場合、融資を断られる可能性がありますので該当する人は注意。多重債務の場合、返済困難に陥っているケースが多いためです。貸付を行っても、債権を回収できる可能性は低いです。もし多重債務者が社会福祉協議会に相談すると、債務整理を勧められることがほとんどです。
債務整理とは法律に基づき借金を圧縮できる制度です。中には自己破産といって、借金を免責できる種類もありますよ。債務整理をする際、通常弁護士や司法書士などの専門家に手続や交渉を依頼することが多いです。弁護士や司法書士を知らないという人もいるでしょうが、社会福祉協議会に相談すると法テラスを紹介してくれますよ。
住宅の確保ができていない方
住宅がない場合には生活福祉貸付制度を利用できないので注意。ただし現在住まいがない場合でも、住宅の確保が見込まれる場合には申請だけはできます。では住宅を持っていない場合どうすればいいでしょうか?
実は住宅を確保できていない人のために、別の公的支援制度があります。それは生活困窮者住宅確保給付金。もし住まいを確保することが先決であれば、生活困窮者住宅確保給付金の申請から始めることをおすすめします。
生活福祉資金貸付制度の注意点!
生活福祉資金貸付制度はカードローンの利用ができないような低所得者にとって、公的なセーフティネットといえます。しかしこちらの制度を利用するためには、いくつか注意すべきポイントがあります。
以下で主な注意点を列挙しますので、申請前に確認しておきましょう。
レシート、明細書などは保管しておく
所得の低い世帯の項目で少し紹介しましたが生活福祉資金貸付制度の利用条件として、低所得世帯であることが含まれます。所得の低さを判定する場合、収入から生活に必要な定期的支出を差し引いたものを基準とします。生活に必要な定期的支出とは家賃や食費、医療費、光熱費などのいわゆる生活費が含まれます。
どの程度の支出があるのかを証明するためにも、レシートや明細書は捨てずに残しておきましょう。レシートなどがないと支出額が判断できません。社会福祉協議会によっては、ギャンブルなどの遊興費に使っているのではないかと判断され、審査が厳しくなります。
借金があっても利用できるが借換えの利用はできない
多重債務者の紹介にて生活福祉資金貸付制度は借金を抱えている場合でも、申込みでき融資も受けられるということは紹介しました。ただし注意しなければならないのは、借金の借換えを目的とした貸付は認められていない点。
そのほかにも生活福祉資金貸付制度で融資した結果、その返済で家計のやりくりが難しくなると判断された場合でも融資は断られます。まとまった借金を抱えていればいるほど、利用は厳しくなりますね。一例として東京都の基準を見ると、借金が多額で返済の滞っている場合には申込対象外になります。
まとめ
所得の問題でカードローンが利用できないと、もはや生活できないと諦めがちですよね。しかし上で紹介したように生活福祉資金貸付制度という公的制度があり、こちらを利用できるチャンスはまだあります。生活福祉資金貸付制度の場合、カードローンと比較すると低金利、保証人をつければ無利息で借入れできるのは魅力的。
ただしあくまでも貸付なので、いずれは返済しなければなりません。多重債務者など債務超過している場合には、利用は難しいです。生活福祉資金貸付制度の利用はできなくても債務整理などほかの解決策を提示してくれますよ。お金に困っているのであれば、社会福祉協議会にまずは相談することです。