ということは、落ちているお金を拾う可能性って結構ありそうですね
お金や財布を拾ったとき、どう対処すれば良いのか分からなくて困ったことはありませんか?
「少額ならもらっても良いのかな?」
「どこかに届け出さなきゃいけないの?」
と疑問に思うことも少なからずあるでしょう。
しかし、適切な対処をとらなければ、罪に問われる可能性もあるので注意が必要なんです。
そこで、今回はお金や財布を拾ったときに正しい対処ができるよう、対処方法や注意点などをまとめました。
この記事を読むことで、財布やお金を拾ったとき慌てることなく対応できるようになるので、ぜひ参考にしてください。
目次
実は、財布を落とす人は意外と多い事実
ソフトバンク コマース&サービス株式会社が2018年3月に、20~40代の500名を対象に実施した「落とし物に関する調査」で、非常に興味深い結果がでました。
1位:財布(48.2%)
2位:傘(42.8%)
3位:鍵(28.4%)
4位:アクセサリー(26.8%)
5位:スマホ・携帯電話(26.4%)
6位:定期券(17.6%)
7位:その他(11.8%)
8位:カードケース(11.0%)
9位:メガネ(7.8%)
10位:腕時計(6.4%)
11位:鞄(5.6%)
12位:パソコン(0.8%)
出典:BCN RETAIL
30歳までに多くの人が財布を落とした経験があるんだよ。
1位:1回 54.8%
2位:2回 22.6%
3位:3回 6.8%
4位:4回 2.3%
5位:5回 5.6%
6位:0回 7.9%
出典:BCN RETAIL
落とした人がこれだけいれば、一方でお金や財布を拾う人もいるってことですよね。
ここでは、お金や財布を拾ったときにどう対処するのが正しいのか、これから説明していくよ!
ネコババ行為はバレる?もしバレたらどうなる?
ネコババ行為をしてもバレるのかは統計データが公表されていないため、正直なところ不明です。
ただし、法律的には落とし物を拾ったら場合、落とした人に返すか警察署に届け出る必要があります。
遺失物法 第4条
拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。 ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。
そして、落とし物を警察に届け出ずにネコババしてしまうと「遺失物等横領罪」や「窃盗罪」に該当する可能性があります。
ネコババすると、「遺失物横領罪」や「窃盗罪」に該当する可能性がある
拾ったお金や財布を自分のものにすると、「遺失物等横領罪(いしつぶつとうおうりょうざい)」や「窃盗罪」という罪に問われてしまいます。
第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第三十六章 窃盗及び強盗の罪
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪については10年以下の懲役か50万円以下の罰金」だからね。
落とし物は届けるようにします!
例えば、落とし物を拾うケースでよくあるものとして、次の3つが挙げられます。
- 財布を拾ったが近くに交番がなく、数日保管していた
- 電車に財布やカバンの置き忘れがあり、後日警察に届けようと自宅に置いていた
- 少額のお金が落ちていたのでそのままもらった
いずれにせよ、他人の所有物をそのまま自分のものにする、いわゆる「ネコババ」はリスクが高いことを覚えておきましょう。
シチュエーション別、拾い主の取るべき対応方法
でも、実際、落とし物を拾ったら、とにかく警察に届ければいいんですか?
拾った落とし物は、ついつい警察に届ければいいと考えてしまいがちです。
しかし、実は状況に応じて落とし物の届け先は違います。
ここでは、落とし物を拾うシチュエーションとして次の2点を取り上げます。
- 路上
- 施設内
それぞれのシチュエーション別の対処方法を具体的にみていきましょう。
路上などで落とし物を拾ったら、警察に届けなくてはならない
前述の「ネコババ行為はバレる?もしバレたらどうなる?」で紹介したとおり「遺失物法 第4条」では、路上などで落とし物を拾ったら、速やかに警察に届けるよう定められています。
施設内で落とし物を拾ったら、その施設に届けること
スーパーやショッピングモールなど、施設内で拾得したものは、その施設に届けなければなりません。これは「遺失物法第4条第2項」に記載されています。
お店や交通施設など、拾った場所が道端ではなく施設内なら、その施設の人に落とし物を届ければいいんだ。
なお、路上と違い、施設内の落とし物の届け出期間は24時間以内と決まっています(遺失物法第34条第3項より)。拾って持ち主が不明ならすぐにお店側に連絡しましょう。
拾った人は、警察に届ければいいことがある
「わざわざ自分の時間を割いて、落とし物を届けるのは得にならない!」と考える方もいらっしゃるでしょうが、ちゃんとお礼がもらえます。
具体的には次の2つです。
- 報労金がもらえる
- 落とし主が3ヶ月経っても現れなければ、拾い主に所有権が発生する
ここからは各メリットについて紹介しましょう。
報労金がもらえる
「落とし物の1割がお礼としてもらえる」という話を耳にしたことがある人は多いでしょう。
5%~20%の間でどうするかは当事者間で話合うことになる。基本的に警察は介入できないことになっています。
勘違いされがちなのが、報労金は好意ではなく、義務だということ。つまり法的に、落とし主は拾い主に対して必ず報労金を支払わなくてはなりません。
路上なら警察(1週間以内)、施設内ならその施設の人(24時間以内)に届けたほうがいいんだよ。
実は、落とし物の報労金について知らない人は意外と多い
意外なルールに感じるのは、実は報労金の認知度がそこまで高くない実情があります。
内閣府の調査によれば、実に約55%の人は報労金の金額の割合を知らない、または報労金自体を知らないということが分かったのです。
- 報労金の制度、金額の割合共に知っている:45.0%
- 報労金の制度は知っていたが、金額の割合については知らない:41.7%
- 報労金の制度があることを知らなかった:12.5%
落とし主が3ヶ月経っても現れなければ、拾い主に所有権が発生する
3ヶ月以上経過しても落とし主が現れない、判明しなかった場合は、所有権が拾い主に移ります。
なお、所有権が落とし主から拾い主に移った場合、2ヶ月以内に受け取らないと引き取る権利を消失します。
拾ったお金や財布が自分のものになり、これはなかなかのメリットといえるでしょう。
拾った人のものになるなんてこと…あるんですか?
ただし、落とし主が判明したときに報労金を貰う権利は残ります。
ただし、拾ったお金には税金がかかる
拾ったお金は「所得」にあたるため、税金がかかります。
会社の年末調整では処理できないため、会社勤めの人も確定申告を行わなくてはならず、これを怠ると脱税扱いになるので要注意!
なお特別控除枠として50万円が設定されており、一時所得が50万円以下なら申告は必要ですが、税金はかかりません。
50万円を超える場合は、一時所得から50万円を差し引き、残りの半分が課税対象となります。
報労金や拾ったお金は必ずしも受け取らなくてもいい
上記した「報労金がもらえる」で、落とし主は拾い主に報労金を支払う義務があることを説明しました。
しかし、必ずしも受け取る必要はありません。
また、落とし主が不明で、拾い主に権利が移る際も、権利を放棄することができます。
つまり落とし物に関するお金や物に関する受け取る権利を自由に選べるというわけです。
「届けたあとのことは知らないし、関係したくない」
といった人は権利を放棄しても全く問題ありません。
お金や財布を拾ったら、日時、場所は覚えておこう
100%善意でお金や財布を拾い、届けたとしても
「盗んだものではないのか?」
と疑われる可能性はゼロではありません。
これを避けるには、拾った日時と場所を明確にしておくことが重要です。
良いことをしているつもりなのに、疑われるのは心外でしょう。しかしトラブルを避けるための手段を覚えておくことに越したことはありませんよね。
まとめ
今回は財布やお金を拾ったときの対処方法を紹介しました。
最後のもう一度、対処方法をおさらいすると
- 道端で拾ったものは警察に、施設内で拾ったものは施設に届ける
- 拾ったままだと罪に問われる可能性がある
- 報労金や権利の取得など、届けることでメリットを享受できる
の3つが挙げられます。
「お金を拾ったらどうすれば良いのかな」
「届けることでどんなメリットがあるんだろう?」
と気になっている方は、ぜひこの記事を参考に、正しい対処方法を実践してくださいね。落とし主はきっと喜んでくれるでしょう。
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