介護職は人と人とが関わる仕事です。
またチームでの活動が基本となるので、利用者や家族にとどまらず、職場の人間関係にも気を使わなくてはなりません。
「介護職は人間関係が面倒」
「どうすれば上手く付き合っていけるのか分からなくなった」
といった声も多く見受けられます。
そこで今回は介護職の人間関係を好転させるのに役立つ対処方法について紹介していきます。
どれも心がけ1つ、すぐに実践できるものばかりです。
「利用者や職場の人と上手く付き合っていきたい!」と考えている人はぜひ参考にしてみてください。
介護士の人間関係事情
介護士は様々な人と直接的に関わるのが仕事といっても良いでしょう。
それだけに人間関係に悩まされているケースがとても多いです。
まずは介護士の人間関係事情からみていきましょう。
介護員同士が合わない
同じ職場で働く、いわばチームである介護員同士の人間関係が大きな悩みになりやすいのはどこも同じことと言えるでしょう。
年齢、価値観の違いなど『人としての性質の観点』から軋轢が生じることがほとんどです。
もちろん中には介護の仕方など『仕事の方針』に食い違いが起こって摩擦が起こることもあります。
ほとんどの介護施設は小規模で運営されているため、人事異動がほとんどなく、同じスタッフで仕事を続けていくことになるので、介護員同士が合わないとストレスを抱えたまま仕事を続けることに不安を感じることもありますよね。
一方で「仕事がきつくても介護員同士の仲が良いから頑張れる!」という意見も多いです。
人間関係事情において、介護員同士の合う・合わないは最重要ポイントと言えるでしょう。
看護職員とモメる
介護職員と看護職員は役割が異なります。
仕事内容は近い部分がありますが、役割が違うので考え方や方向性にズレが生じることもしばしば。
どちらも必要な人材であり、お互いのやり方・できることを尊重し合えれば良好な関係を作りやすくなるでしょう。
とはいえ人間性の不一致でモメるケースも多々あるので、リーダーや管理者に相談することも視野に入れる必要があるかもしれません。
看護職員と上手く付き合い、連携が取れれば仕事の質や効率も大きく変化していくでしょう。
利用者との関係性がよくならない
利用者に対して「上手く行かない」と感じるのは介護現場でよくある話です。
- 言うことを聞いてくれない
- ハラスメントがある
- サービスの範囲外のことを要求してくる
などなど挙げればキリがありません。
「自分が無能だから」
「介護では茶飯事だから」
と抱え込み、ストレスを感じている人も多いですよね。
利用者のことで悩んでいるなら、自分1人だけで抱え込まず、同僚や上司など周りの人たちに相談するようにしましょう。
ストレス発散や解決の糸口が見える可能性があるだけでなく、他職員との情報共有としても役立つため、誰かに相談するのはとても大事なことです。
利用者の家族と仲良くなれない
特に訪問介護でよくあるのが「利用者の家族と上手く付き合えない」ケースです。
介護者との関係だけでも大変なのに、家族とも付き合いが生じるため、ここが上手く行かないと精神的・肉体的に大変ですよね。
訪問介護は1人で出向くことも多いため、味方となる人が近くにおらず心細いですし、利用者の家族が強いストレスになりがち。
暴言や暴力といったハラスメントが起こったとき、自分1人に向くのもキツイ部分です。
また家族が介護サービスの範囲を理解しておらず「きちんと世話をしてくれていない!」と文句をつける場合も珍しくありません。
基本の対処はコミュニケーションを重ねることですが、それでも上手く行かないことはあります。
1人で悩むのではなく、情報共有の意味も込めて、職場の人たちに相談して解決を目指しましょう。
人間関係の悪化を招く原因
人間関係を悪くしてしまう原因は個人の問題だけではありません。
ここからは施設のあり方によって生じる人間関係悪化の原因についてみていきましょう。
入居施設での問題5つ
入居型の施設で人間関係を悪くしてしまう問題として次の5つが挙げられます。
- 長く勤めている『お局様』に気に入られるかが大きい
- 職員の入れ替わりが多い(業界全体で離職率が高い)
- 次々と入れ替わる新人に疲れる
- 女性が多い職場がほとんどで、周りに合わせるのが大変
- 単純に忙しくて体力的にも気持ち的にも余裕が無い
介護施設は良くも悪くも閉じた職場なので、人間関係に気を使わないといけない側面が強いです。
利用者だけでなく職員との付き合いも重要。
その付き合い自体がストレスに感じられることも珍しくありません。
在宅系事業所での問題5つ
在宅系・訪問系の事業所では次の5つの問題が取り上げられることが多いです。
- 1人で利用者・家族と向き合わなければならず、問題を抱え込みやすい
- 利用者の無茶な要望にストレスを感じる
- 直行直帰などで職場の人と接する機会が少なく、相談やコミュニケーションが取れない
- 情報共有しづらいためチームとしての対策を立てにくい
- 苦情が多いと介護職員だけでなく、現場に立ち会えない責任者にもプレッシャーがかかる
在宅系はニーズが高い一方で難しい側面が多く、事業のあり方自体がストレスを生みやすいとも言えます。
定期的に相談会やカンファレンス、勉強会を行っている事業所なら比較的対策を取りやすいですが、人的にも時間的にも余裕が無いところがほとんどなので、なかなか改善までに至らないのが現状です。
人間関係の悩みを好転させる方法
問題点が浮き彫りになったところで、ここからは介護の人間関係を良くする・好転させる方法についてみていきましょう。
これらを実践し、人間関係を良くすることができればストレスが減りますし、場合によってはチームのあり方、サービスの内容が改善され、介護そのものの質が高まることが期待できます。
嫌われる行動をしていないか、振り返ろう
ときには大した理由もなく、なんとなく嫌われることもあります。
しかし多くの場合、嫌われるには理由があるものです。
まずは「自分が嫌われるような行動を取っていないか?」と冷静に振り返ってみましょう。
嫌われる行動の代表例として次の7つが挙げられます。
- 言い訳や不平不満、愚痴が多い
- 自分の話ばかりして人の話を聞かない
- 自分の非を認めない
- 職員や利用者など周りの悪口が多い
- 笑顔が少ない、不機嫌なことが多い
- 人のことを見下した言い方をする
- 無責任な言動や行動
体力的・精神的に余裕が無いとついついやってしまいがちですが、これらは他人からの評価を下げる行動です。
逆に周囲の人達から好かれる人を思い浮かべてみてください。
人の話をちゃんと聞き、いつでもポジティブで謙虚。
ときには愚痴を言うけれど、人のことを見下したりバカにしたりしない。
そんな人は好かれるものです。
まずは自分が普段からどんな行動をしているのか、じっくりと振り返ることが大事ですね。
自分の長所を活かそう
パッと長所が思いつかなくても、考えようによってはいくらでも「作れる」ものです。
一見すると短所に思えるような部分も、見方を変えれば長所になる…これを『リフレーミング』と言います。
例えば次の3つ。
- 話題を振るのが下手→自分から話題を振るのは苦手だけれど、人の話に耳を傾けることはできる
- 神経質で心配性→細かいことに気がつく、悪いケースを想定した行動ができる
- 口が悪い、思ったことをすぐに言ってしまう→本音で話せる
短所を長所に変えて考えられるようになれば、人との付き合い方にも変化が出てくるように思えますよね。
信頼できる人に相談する
悩みがあるときは信頼できる人に相談するのが一番です。
不平不満や愚痴は本人が知らないうちに職場に広まってしまい、身動きが取れなくなることも。
自分1人で抱え込むといずれ限界が来ます。
信頼できる人がいるなら相談してみましょう。
良い人間関係を保つ4つのポイント
ここからは良い人間関係を作る・保つためのポイントを紹介していきます。
「何をどう始めたら良いのか分からない…」という人は参考にしてみてください。
1.お局様はあえて頼る
お局様が周りから好かれている・好かれていないに関わらず、現場で強いのは事実です。
それなら上手く付き合える方向で考えるのが建設的でしょう。
自分を押し殺してまで必要以上にゴマをすったり、無理に付き合ったり、持ち上げたり…といったことはしなくても良いですが、歩み寄る姿勢を持つだけで随分と違ってくるものです。
またお局様は仕事歴が長く経験豊富。
「相談してみたら、意外と解決のために動いてくれた!」というケースも珍しくありません。
お局様になると周囲が遠慮して、頼られる機会が減り、なんとなく寂しい気持ちになることも多いです。
だからこそ頼られると張り切ってくれることもあります。
合わないお局様に無理に頼る必要はありませんが、きちんと挨拶を心がけ、分からないことや悩みがあったらガンガン聞き、最後にきちんとお礼をすればきっと力になってくれるでしょう。
2.共感の姿勢を示す
私達人間の大半は「自分の話をしたい」ものです。
誰だって人生の主人公は自分自身なのですから、自分の話をしっかりと聞いてくれる人は大好き。
「聞き上手は話し上手」という言葉があるように、自分のことは置いておき、きちんと相手の話を聞くだけで、勝手に「あの人とは話しやすい!」と評価されます。
そこでポイントになるのが『共感』です。
「そうだね。大変だったね」
「頑張っているね」
と相手に共感した相槌を意識すると、話をした本人は気持ちよくなります。
共感することで
「ただ聞いているのではなく、ちゃんと耳を傾けてくれている」
「自分の話を肯定してくれている」
と感じます。
ずっと話を聞いていると「私も話したいのに…」という気持ちが湧いてくるかもしれませんが、それはそこまで重要ではありません。
もちろん業務上で必要な話…例えば利用者Aさんからハラスメントを受けた!といった内容は積極的に共有していくべきですが、プライベートな話題なら、振られない限り自分からする必要はほとんどありません。
聞かれたら答えるくらいでちょうどよいものです。
大事なのは『共感を全面にした聞く姿勢』。
どうしても自分の話をしたくなったら、仕事とは関係の無い親友や家族にするのが吉ですね。
3.噂話や悪口には参加しない
噂場話や悪口は職場のフリートークにつきものです。
しかしこれに参加すると、思わぬ形で広まり、なぜか自分までも悪者に…ということも起こりえます。
「そうなんですね」
「大変ですね」
程度で軽く受け流し、あまり積極的に関わらないようにするのがベターです。
噂話や悪口に対して「あなたはどう?」と意見を求められても「私はよく分からないです」「自分はそういうことに疎いので」といった具合にさらっとかわすようにしましょう。
4.プライベートの話はほどほどに
先程も軽く触れましたが、基本的に「自分の話を聞いてくれる人」が大好きです。
しかし仲良くなるには多少プライベートなことを打ち明けたほうが効果的なこともあります。
なぜなら職場では見えない人物像を知ることで安心できるからです。
とはいえ必要以上にプライベートなことを開示すると、それが大きく広がり、思わぬトラブルに発展することも。
特に自慢話ととらわれかねないこと…例えばパートナーの仕事やお金に関することなどは避けるのが無難です。
心理学から考える、人間関係構築法
心理学は人間関係を良好にするための様々な手法を生み出しています。
しかも嬉しいことに、テクニックの大半はちょっとした心がけで実践できるものばかり。
これを活用しない手はありません。
ここからは心理学で確立された、良い人間関係を築き上げるためのおすすめテクニックを紹介していきます。
1.課題の分離を図る
最も有名な心理学の一派『アドラー心理学』の有効なテクニックとして『課題の分離』というものがあります。
この課題の分離によって、人間関係の悩みの9割を解消できる!と言われているほどです。
今起こっている問題は「自分が解決すべきか」「自分以外の誰かが解決すべきか」を考えることが大事だというテクニックです。
これだけでは少しわかりにくいので1つの例を紹介しましょう。
課題の分離の例
なかなか仕事に積極的でない同僚がいるとします。
あなたは同僚に対してどう思うでしょうか?
「どうすれば仕事に熱心に取り組んでくれるかな?」
「注意するなりしたほうが良いかな?」
こういうふうに考えるかもしれません。
しかし『課題の分離』では…
と考えます。
仕事に対するモチベーションやペースは人それぞれ、本人次第。
「もっと仕事を頑張ったら?」
「ちゃんとやってよ」
と掛け合うのは、同僚に命令し、無理に動かそうという意思の表れとなります。
同僚からすれば土足でドカドカと自分の課題に踏み込んでくるようなものです。
アドバイスをするのは相手のことを思っているから、と良かれと思って言うこともあるでしょう。
ところがアドバイスは受け取り方によって
「私を頑張らせることであなたが楽になれるからでしょう?」
と捉えられる可能性だってありますよね。
他人がどう考え、どう捉えるか…は絶対に分からないものです。
自分でコントロールできない他人の領域には目をつぶり
「これは他人の課題であって、自分の課題ではない」
と割り切ったほうが人間関係に疲れない!という理論になります。
「私がアドバイスしなかったから同僚の介護サービスの質が低下している…」といった事態が引き起こされることもあるでしょう。
ですがそれは『同僚の課題』であって『自分の課題』ではありません。
もしあなたがチームリーダーなど管理する立場にあるなら、あなたはチームの面倒を見なくてはならないため『自分の課題』として、同僚に働きかける必要が出てきます。
「課題の分離」を意識することで、自分が何をするべきなのか、他人と自分の境界線はどこか…を決められるようになり、自分のことだけに集中できるシンプルな人生を作れます。
人によっては「なんだか薄情だ」と感じられるかもしれませんが、実際に世界中で支持されているテクニックです。
2.信頼関係をつくる(ラポール形成)
ラポールは信頼関係のことで、心理学の世界ではカウンセラーとクライアントの間の信頼関係を良好にするためのテクニック…として認識されています。
強い信頼関係が作られている状態=良好なラポールを形成できている、といった表現がされます。
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ラポール形成とは?利用者との信頼関係作りのポイント【介護・福祉の用語】
例えば配偶者との信頼関係、親と子、そして自分と職場の人たち…と私達の身の回りにはたくさんのラポールが存在して、これがコミュニケーションの大前提です。
ラポールを形成する方法はいくつかありますが、特に有効だとされるのは次の3つです。
1.ミラーリング
相手のしぐさや姿勢などを鏡写しのように真似するテクニックです。
実際に恋人や仲の良い友人と一緒にいて、気がついたら同じ姿勢を取っていた…といったことは経験したことがあるでしょう。
これを意図的に行うことをミラーリングといいます。
極端に真似をすると不快感を与えてしまうので、相手が気づかない程度に、さり気なく取り入れるのがポイント。
2.マッチング
ミラーリングと似ていますが、相手の声のボリューム、リズム、トーンなどを合わせるテクニックです。
例えば自分が楽しい気分のときに、テンションが低い人と話すと白けてしまいますが、同じくらいテンションを上げた人と話すと、もっと楽しい気分になりますよね。
真剣な悩みを相談しているのに、ヘラヘラと笑っていたら「馬鹿にしているのかな?」と思いますが、一緒に悩んでくれると心強く感じられるものです。
これを意図的に狙う手法がマッチングです。
まずは相手の様子を観察して、テンションに合わせる練習から始めてみましょう。
3.バックトラッキング
いわゆる『オウム返し』のことです。
相手の言ったことを繰り返すことで「ちゃんと話を聞いてくれているな」と安心します。
例えば
「〇〇さんに触られたの?それは嫌だったね」
「あらー」
パターンAとBのどちらのほうが『ちゃんと話を聞いている』ように感じますか?
Aですよね。
バックトラッキングの良いところは、基本がオウム返しで相手の言葉を使っているため、深く考える必要が無い=簡単に実践しやすい点にあります。
特に感情表現(楽しい、イライラする、悲しいなど)が出たときは、それを繰り返して共感すると効果的。
人の話をよく聞いていると感じさせることができれば、一気にラポールを形成できるでしょう。
3.相手の立場になって考える
相手の立場になって考えることを心理学で『共感的理解』と言います。
人と話していると「こう言っているけれど、本当はこうなのでは?」「なんでそういうことをしちゃったの?」と批判的な考えが浮かんでくることも。
ついつい「私だったらこうしていた」「こうするべきじゃなかった」と言ってしまいたくなる気持ちはわかりますが、それではいつまでたってもラポールは形成されません。
共感的理解を意識して「自分がどうか」ではなく「相手ならどうか」を考えることに集中すれば、自然と相手の気持ちに寄り添った受け答えができるようになります。
介護職員同士の人間関係は良好?
実際の介護現場の立場からの人間関係をご紹介しましょう。
その人たちが、私がイメージする派遣の人と違ってがっかりしています。
私自身も事務職の派遣をしましたが、介護業界の派遣はこんな人なの?と考えてしまいたくなります。
ほとんど経験がないのは良いのですが、社会人としての常識がない男性の方でした。
どういった仕事をしていても、基本的な社会人としての常識は必要ではないでしょうか。
仕事が始めてで経験がないのは特に問題ではありませんので、経験に応じで素直な気持ちで取り組むことができれば良いと思います。
希望として言えば、派遣の人は経験がある即戦力になって欲しいと考えています。
勤務先の違いなどはあると思いますが臨機応変に対応をして業務をこなして欲しいというのが現場で働く介護士の希望です。
私の勤務先では、介護士の派遣について問題点があると感じてしまいます。
もちろん介護士の派遣について否定をしているわけではありません。
いい人もいるのですべてではありませんのですが…。
まとめ
今回は介護現場での人間関係について紹介しました。
ポイントをまとめると次の3つになります。
- 人と人が密接に関わる仕事だからこそ人間関係がこじれやすい
- 同じ職員だけでなく利用者や家族との人間関係も大きい
- 心理学を応用するなど改善方法はたくさんある
「職場の人間関係がつらい」
「どうしたら良いのか分からない」
といった人は、ぜひ今回紹介したテクニックを活用してみて、よりよい人間関係を作り、気持ちよく働けるようにチャレンジしてみてくださいね。