採用選考の基本的な考え方
採用選考に当たっては
- 応募者の基本的人権を尊重すること
- 応募者の適性・能力のみを基準として行うこと
の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。
公正な採用選考を行う基本は
・応募者に広く門戸を開くこと
言いかえれば、雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できる原則を確立すること・本人のもつ適性・能力以外のことを採用の条件にしないこと
つまり、応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うことです。就職の機会均等ということは、誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べることですが、このためには、雇用する側が公正な採用選考を行うことが必要です。
そんなことで、実際に出身地とは違う都道府県での就職・転職活動で感じたことを聞いてみました。
採用の時、出身地で有利・不利を受けたと感じたことはありますか?
[d_box type=”clip” color=”red”]福岡から東京へ/地方から転職活動をするのは金銭面で大変です
福岡
東京
33歳/女性/営業
出身地で有利・不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
私は、福岡県出身です。大学卒業後地元の福岡で働いていたのですが、待遇に不満があり、その当時友人も多かった東京での転職を希望していました。転職活動をするまで、金銭面のことは考えたことがなかったのですが、初めて見て驚きました。
転職活動において、最終面接以外は、交通費が実費なのです。会社によっては電話面接やスカイプでの面接にしていただけるところもありましたが、「東京まできてください」と言われることが多かったです。
金銭的に限界があるので、転職の希望が強い会社以外は、面接を断ることになりました。もし、東京に住んでいたらもっと沢山面接が受けられ、転職の機会も多かったのにと地方出身のことを不利に感じました。結局、友人の家に二週間住ませてもらい、その間にできるだけ多くの会社の面接に行き、希望の会社に入ることができました。
東京から広島へ/カープファンを装って好感度ゲット
東京
広島
36歳/女性/ホテル フロント
出身地で有利・不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
夫の仕事の都合で東京から広島に引越したとき、私の仕事がなかなか決まらなくて焦りました。住んでいたのは広島県のなかでも開けていないエリアで、レストランなどの接客業を探していましたが面接に行くと東京の人?と最初から嫌な顔をされることもありました。なんとか広島に溶け込まなくてはと策を考えました。
しばらくすると家の近くのホテルでフロントの求人がありました。予想通り面接では都会の人がこんなところで働けるのかといったような質問をされました。野球に興味はなかったのですがカープファンですとアピールしたところ支配人に気に入ってもらうことができ、無事採用されました。
野球について、カープについて勉強し職場でもカープ女子を貫いたので東京の人という差別は受けずにすみました。同僚にカープ選手の来る焼き肉屋に連れて行ってもらったり、休日には試合を見に行ったりしてすっかり職場に溶け込むことができました。郷に入れば郷に従えとはこのことだと感じました。
沖縄から大阪へ/沖縄県民のイメージが不利になったなと思った出来事
沖縄
大阪
30歳/女性/営業
出身地で不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
私は、就職で営業職を受けました。その時の面接は、印象的で忘れられません。少し厳しそうな50代男性面接官が、私の出身地にあまりいいイメージをもっていなかったようです。
私の出身地を沖縄県だと伝えると、時間に対しての考え方や、時間に遅れたことはあるか、時間に遅れたらどうするかなど、懇々と聞かれたのです。少し嫌な気持ちになりましたが、ひとつひとつの質問に答えました。
それから就職することができた私は、以前沖縄県出身の社員がいて、その社員が遅刻をよくしていたと知りました。それで、沖縄県民はやはりルーズだというイメージをもたれているようです。私自身を見るのではなく、沖縄県民の印象だけで判断されたのは、残念で不利だなぁと感じました。
新潟から神奈川へ/地方差別はある
新潟
神奈川
30歳/女性/事務
出身地で不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
まず面接のときに、出身地を言うとなんで田舎からでてきたのか聞かれます。どんなにいい答えを言っても、でも地元に戻ること考えてない?と聞かれてしまいます。
あえて先に地元に戻る意思はなく、ずっとここで働き続けたいと言っても、でも妊娠したら帰るでしょ?などとすごく不利になるような言い方をされてしまいます。
また、田舎からきたばかりだと車が運転できないとかんちがいされることが多いです。車かなりつかうけど、首都高とか大丈夫?のれる?とばかにされるような感じでいわれることがあります。田舎だって高速道路はありますし、運転が得意といっても、でも首都高はなあと言われてしまったりします。
あと、電話をよくとる仕事の面接では、なまりが大丈夫か心配されました。今話してて大丈夫かどうか判断してくださいと思いましたが、わざと言われたような感じがしました。
北海道から東京(北海道)へ/本当にそんな能力が必要なのかと感じた
北海道
東京
24歳/男性/一般事務
出身地で不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
私は大学生のとき、就活は東京の企業をいくつか受けていました。その中で、面接を受けた際、これまでずっと北海道で暮らしてきたことを話すと、「うちで働くなら、東京だけでなくこの東京圏の地名や地形、道路などについて、知っていないとやっていけない。それは、今までここで生活してきた人しか会得できない。付け焼刃なら意味がない。」と言われました。
圧迫面接なのだろうと思い、その時は、それでも努力すると伝えましたが、後々考えると、それなら出身地が北海道であることや、これまでずっと北海道の学校に通っていることは履歴書で分かっているはずなので、書類選考の段階で落してほしかった、と感じました。結局、地元で就職先を見つけましたが、田舎者は無理して東京に出るものではないのだなと感じました。いい経験になりました。
岡山から香川へ/瀬戸大橋を渡る通勤は難しい
岡山
香川
29歳/女性/企画開発
出身地で不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
岡山県に実家があり、そこから希望していた会社までは電車で30分程度でした。その会社は、香川県の高松市にあり、通勤手段は瀬戸大橋を走るマリンライナーという電車を考えていました。
しかし、瀬戸大橋を渡るという通勤手段は採用側からすると、とても嫌がられる通勤方法でした。理由は、瀬戸大橋を走る電車はしょっちゅう遅延や運休があるからです。風が強いと電車が遅れたり、最悪の場合止まってしまいます。以前にもその会社では瀬戸大橋を電車で渡り通勤していた人がいたそうですが、天気に左右されて大変そうだったようです。なので、その人が退職して以来は瀬戸大橋を電車で渡り通勤する人は採用していないと言われてしまいました。
私は実家から通える職場が良かったので、諦めて他の会社を受け直すことにしました。出身地を離れるのは寂しいという思いと、実家から通い少しでも貯金をしたいという思いから希望条件は変えずに就活を続けました。
愛知から東京へ/不利は実際少しある
愛知
東京
32歳/女性/事務
出身地で不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
一応表向きはそんなにないことになってはいるものの、採用の最終面接を東京でやる為、地方出身者の方が負担が大きかったです。
私自身は地方出身者とは言っても、もともと家庭が転勤族だったので面接時にはもう既に東京に住んでおり問題はなかったのですが、面接が地方出身者と東京出身者で別日にもうけられていたので明らかな落差を感じました。(地方出身だと地元の企業に内定した場合そちらを優先させる傾向があり、そこを考慮して少し優劣ができます…と説明して貰いましたが)面接時の話題、地理への融通の質問が東京都ならではのものが多く、地方出身のメンバーは黙ってしまっていたのを覚えています。
面接資料が出身地によってポストイットで色分けされており、東京組と地方組に分けられていたのも印象的でした。それを見てしまうと口でなんと説明を受けても「やはり地方出身に不利な部分はあるな…」と感じましたね。方言や訛りの「ある」「なし」もかなりのハンデになっていました。
大阪から京都へ/採用時に感じた出身地での不利
大阪
京都
34歳/女性/学習塾経営
出身地で不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
私が出身地で採用の不利や誤解を感じたことは、20代半ばの頃でした。当時、私は転職活動を行っており、以前から興味があった教育業界で勤務したいと転職活動を行っていました。
ある学習塾の面接に伺った際に私の出身地を見て、少し苦笑いをしながら「学力が低い地域出身だけれど勉強を教えられるの?」と言われました。確かに私の出身地は大阪府の中でも学力が低く生活保護を受けている世帯も多い地域であります。
しかし、地域と私自身の学力は全く関係なく、両親にしっかり勉学を学ばせてもらえたと思っていたので、「4年大学も単位をしっかり取って卒業しました。また資格として簿記や秘書の資格もあります。」と地域と学力は関係ないことを伝えました。無事、その学習塾から内定をいただき塾長として経営業務に勤めました。
学力と出身地は関係ないことを証明するためにも、生徒の学力や受験、生徒数、講師の質向上に努めました。結果、入社1年で生徒数は京都のエリアで1位に伸ばし、3年間の勤務で志望校合格実績や定期テスト平均点向上の面でエリアのMVPを受賞しました。
結婚を機に、学習塾の仕事を退職しましたが、出身地による採用の不平等を感じる経験でした。今でも衝撃は覚えていますが、自分の力で出身地は業務上に関係無いことを証明できたと思っています。このような不平等を感じる方が一人でも減る国になって欲しいと思います。
埼玉から東京へ/勤務場所による不利について
埼玉
東京
42歳/女性/販売業
出身地で不利を受けたと感じた体験談を聞かせてください
採用の時に出身地で不利を受けたと感じた事は、配属先についてです。私が働く会社は、都内をメインに販売を展開しているので、私の住む埼玉県には店舗がありません。その為、配属先が店舗の形態などではなく、自宅から通える場所を優先されてしまうので、配属先は条件が悪いケースがほとんどです。
条件とは、店舗の規模が小さいので人出が少なく勤務時間が長くなる事や、赤字店舗で業績を上げ難いので、賞与が低くなるなどがあります。 都内に引っ越す事も考えましたが、妻方の家で同居をしていて、家族から引越しを反対され現状で対応するしかありませんでした。
都内在住の同僚から話を聞くと、都内から神奈川にかけて業績の良い店舗が多いので、都内に住んでいると有利だねと言われました。採用の段階で不利な条件があった訳ではありませんが、働く中で出身地による不利な部分を感じています。
自宅から通勤時間がかかり過ぎても、自分にとってかなり不利になるので会社の選択は仕方ない事だと思っています。