新人看護師のときは、幾年もの経験を積んだ先輩たちがとても輝いて見えたものです。
「看護師を何年も続けられてすごいな」
「ある程度の経験年数に達すれば、辞めたくなることもなくなるのかな」
なんて思いませんでしたか?
ところが、いわゆる中堅看護師の退職も決して少なくはありません。今回の記事では、中堅看護師の退職理由について考えていきます。
いつからが中堅看護師?
中堅看護師の定義はさまざまです。研究者や各職場によって違いますが、だいたい4~15年前後、年齢にすると20歳代後半から40歳くらいまでの看護師が該当するといわれています。
具体的には新人教育を完了し自分で一通りの業務がこなせるようになり、職場の係や委員会活動・新人教育・リーダー業務などを任されるようになる頃から、副師長や主任への昇格が打診されるようになる頃でしょうか。
中堅看護師は、看護師人生の中にある”山と山の間”のような時期だと言えます。大きな山を越えて安定してきたけれど、これから更にもう一山越えなくてはいけない、そんな時期なのです。
中堅看護師の退職理由
中堅看護師に多い退職理由をいくつか挙げてみます。
結婚や妊娠・出産
中堅看護師と呼ばれる時期は、おおよそ20歳代後半から40歳くらいまでといわれています。まさに結婚や妊娠・出産の適齢期です。
結婚の場合は、専業主婦になったり、不規則でない仕事に変えたり、遠方へ引っ越すなどで退職せざるを得ないケースがあります。
産休・育休を機に退職する場合は、子供を預かってくれる場所がない、次の子を妊娠した、長期間離れてみて職場を冷静に見ることができ退職を決意するに至った、などが理由になるようです。
高度な仕事を任されることによるプレッシャー
中堅看護師になると、心身のケアが難しい重症者や退院調整に問題があるような患者さんを割り振られる機会が増えます。また通常の看護業務だけでなく、新人教育やリーダー業務も入ってくるようになります。
多岐にわたる看護業務ですが、誰しも得意・不得意があるものです。いくら経験年数が増えても教育やリーダー業務が不得意だとか、退院調整やターミナルケアが苦手だとか、そう言う人は少なくありません。仕事ですからそれでも頑張るわけですが、無理をしすぎて精神的にまいってしまうケースもあります。
中堅ならではの人間関係のストレス
新人の頃にはなかった人間関係のストレスが、中堅看護師に襲い掛かります。新人(若手)と上司(ベテラン)の板挟みになり、心身共に疲れ切ってしまう人もいます。
ここでずっと働いていて良いの?と疑問に感じる
中堅看護師になると、目の前の業務を遂行することに必死だった新人のときよりも周りがよく見えるようになります。
「ここではこれ以上、自分の看護を高めることはできない」
「もっと専門的な勉強をしたい」
と、キャリアアップのために職場を替えることを考える人が出始めます。
さらに、一通りの看護業務をすでに経験し尽くし、刺激がないと感じる人もいます。マンネリ化を打破するために転職を考える人もいるようです。
職場の待遇への不満
「仕事量は増え、責任も重くなるのに、給与や待遇が見合うものではない」「この病院には未来がない」と職場への不満を感じるようになり、退職もしくは転職を決意することになるようです。
中堅看護師の転職
積み重ねた経験と看護技術を持つ中堅看護師は、新たな職場でも即戦力になると期待されています。年齢的にもまだ若いので、なんら問題はありません。
そんな中堅看護師を雇用したいと思う病院・施設は多く、中途採用枠を設けているところもあります。看護師としての再就職には困らないでしょう。
また、病院・施設以外の看護職の求人(自治体・保健関連など)でも、看護師経験を重視してくれるでしょう。そういった職場では、病院の業務とはまた違ったお仕事ができるのではと思います。
雰囲気の良い職場・働きやすい職場は、そう簡単に見つかるものではないかもしれません。
けれど、たった一度の人生です。もし今の仕事に不満があるのであれば、この先もいきいきと働くために転職を考えるのも”あり”かもしれませんね。
看護師として数年勤務後、結婚を機に引退。転職経験も数回あります。現在は海外を拠点に生活しています。[/box_h]