看護師の職業病の定番といえば、”腰痛”です。程度は個人差があれど、「腰にくるな~」「なんだか腰が痛いなぁ」と思ったことがない看護師さんは、まず存在しないのではないでしょうか?コルセットをつけて業務にあたっている看護師さんも少なくありませんね。今回は看護師と腰痛について、まとめていきたいと思います。
看護師に腰痛もちが多い理由
原因はその業務内容にあります。特に腰に負担がかかると言われているのは、患者さんの移乗(車椅子、トイレ、ストレッチャーなど)、清潔の援助(入浴・シャワー介助、清拭、洗髪、手足浴など)、体位変換、排泄の介助(ベッド上排泄・おむつ交換・陰部洗浄など)、処置中の患者さんの身体を支えることなどです。
さらに、自然と中腰の姿勢をとってしまう作業がたくさんあります。検温や採血、尿道留置カテーテルやドレーン類の管理・観察、患者さんに靴を履かせるなどなど。こうやって列挙してみると、看護業務のほとんどで腰に負担をかけていることがわかります!ゾッとしますね。
腰痛の予防法と対処法
看護師として働くということは、常に腰痛の危険があるということがわかりました。腰痛にならないためにはどうしたらよいのでしょうか?
効果的ですぐ取り入れることができるのが、ボディメカニクスです。学生時代に習いましたね。
ボディメカニクス(ぼでぃめかにくす)とは、神経系や骨格系、筋系などの力学的相互関係を取り入れた技術のことである。医療や介護分野においてはボディメカニクスを取り入れることで無駄な力を使わず、看護者や介護者の負担を軽減する手法が導入されている。
筆者は看護師になり、慢性の腰痛もちになってしまって、ボディメカニクスの大切さが身に染みました。ぜひ復習して、日々の業務に取り入れましょう!
他には、意識して姿勢を正す、面倒だからと無理な動きをしない、腹筋や背筋を鍛える、勤務前にストレッチをする、腰痛予防としてコルセットを装着するなどが予防策になります。
では腰痛になってしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか?いくつか対処法を挙げていきます。
勤務中はコルセットを装着する、勤務中にもストレッチをしたり姿勢に気を付けたりする、整体や鍼灸に通う、湿布や鎮痛薬を使用する、整形外科を受診するなど。
痛みがひどい、しびれや違和感がある、下肢の動きにくさを感じるなどの場合は、ヘルニアや脊柱管狭窄症などになっている可能性があります。早めに整形外科を受診しましょう。
腰痛がひどい場合は転職するべき?
痛みを抱えたまま仕事をするというのは、とても辛いものです。特に看護業務は腰に負担がかかる動きや立ち仕事が多いので、本当にしんどいです。
そんな場合は、身体への負担が少ない部署への異動を希望したり、違う職場に転職するのもありです。自立している患者さんが多くてケアが少ない病棟、外来やクリニック、夜勤がない職場、デスクワークが多い健診関係施設などで働くと、少し楽になると考えられます。
筆者は就職後から徐々に腰痛がひどくなり、看護師四年目の時点では長時間勤務の終盤でまともに歩けなくなるほど悪化しました。当時は整形外科病棟勤務だったのですが、自分の歩行介助をしてもらいたい!患者さんの歩行器を使いたい!と何度思ったかわかりません。それほどに辛かったです。
スポーツ選手ではありませんが、「選手(看護師)生命が終わったな…」とすら感じ、意を決してデスクワーク中心の職場に転職しました。お給料はだいぶ減ってしまいましたが身体はかなり楽になり、転職は大正解だったと思いました。
腰痛にはならないのがベストです。ボディメカニクスをはじめとする予防策とりましょう!若いうちから腰痛を予防するクセを付けておいた方が良いですよ。
腰痛もちになってしまったら、それ以上悪化させないよう、コルセットを装着したり、無理な動きをしないよう気を付けましょうね!腰は本当に大事ですよ!!
看護師として数年勤務後、結婚を機に引退。転職経験も数回あります。現在は海外を拠点に生活しています。[/box_h]