せっかくご縁のあったアルバイト先です。誰しもが「できるだけ円満に長く続けていきたい」と思うでしょう。厄介なトラブルを自ら望む方など、存在しないはずです。
ところが、時には思いもよらないトラブルに巻き込まれてしまうケースもある様子。とくに近年多く取り沙汰されている“ブラックアルバイト”や“ブラックパート”の存在から、アルバイト先でのトラブルは年々増加傾向にある事が分かっています。
「私に限って、そんな事は起こらない!」とお考えであっても、ひょんな事からバイトトラブルに見舞われてしまうかもしれません。
もしも実際にトラブルに巻き込まれた場合、一人で悩まずどこかへ相談する事をオススメします。法的な知識を持ち合わせていない個人だけでストレスを溜め込む事のないよう、具体的な解決方法があるという事を覚えておいてください。
ここでは、起こりうる様々なバイトトラブルのパターンごとに、相談すべき機関を紹介します。
想定されるトラブルは「パワハラ」や「セクハラ」だけには留まりません。トラブルの内容が異なれば、相談先も違ってくるものです。ぜひ正しい相談先を把握し、スムーズなトラブル解消のヒントにお役立てください。
パワハラ、セクハラを受けた!
暴力行為や大きな声で怒鳴る、無視するなどの行為は、“パワハラ”に、また異性からの過剰なスキンシップなどは“セクハラ”にあたります。アルバイト先でこのような被害に見舞われた場合は、《労働局雇用均等室》へ相談しましょう。
雇用均等室とは、“雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保対策”、“職業生活と家庭生活の両立支援対策”、“パートタイム労働対策”などの施策を推進する公的機関のこと。日本全国の各都道府県労働局内に設けられています。
雇用均等室の主な業務
○男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法等の周知・徹底
○法律に基づく事業主に対する指導
○労働者、学生、事業主の方々からの法律、助成金制度、トラブル等に関する相談受付
○説明会、セミナー等の開催
○労働者と事業主との間の紛争解決援助
募集していた時の求人内容と違う!
もしも求人内容と異なる時給や仕事内容でお悩みであれば、《職業安定所(ハローワーク)》への相談を視野に入れてみましょう。もちろん、可能であれば直接上司と話し合いをしてみるという手段もあります。それでも問題解決の糸口が見えない、または、話しを受け入れてもらえない場合は、ハローワークでその旨を話してみましょう。
職業安定所(ハローワーク)と聞くと“仕事を探すところ”というイメージが強いかもしれませんが、その他、就職後や失業の際の相談など、あらゆるお仕事の悩みの相談に乗ってもらえます。
労働条件に不満がある!
「長時間の労働を強要される」、「休みをもらえない」、「残業した分の時給が賃金に含まれていない」
など、労働条件に対しての不満は、お住まいのエリアの《労働基準監督署》、あるいは《労働センター》へ相談してみましょう。
労働基準監督署とは、労働基準法をはじめ所管する法律に則って、労働条件確保や改善、安全衛生の指導などを行う国の機関です。
年金や保険について、不満がある!
年金や社会保険に関わるバイトトラブルの相談は、《日本年金機構》で受けてもらえます。
日本年金機構といえば、国民年金や厚生年金の運営を行う特殊法人。「バイトトラブルの相談窓口」と言われると違和感を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、じつは「社会保険に入れてもらえない」などの相談先としても役立ちます。
トラブってるんだけど、どこに相談したらいいのか分からない!
バイトトラブルのパターンは千差万別。ケースバイケースで、相談窓口も異なります。自分が抱えているトラブルがどのパターンに当てはまるのか分からなかったり、問題が入り組んでしまい相談窓口を一つに絞れない!という方もいらっしゃるはず。
そんな場合は、“自分のトラブルと一番近そうな相談窓口”に問い合わせてみましょう。「こちらへの問い合わせで良いのか分からないのですが…、」と、トラブルの内容を話せば、相談員が問題の内容に沿った問い合わせ先を案内してくれるはずです。
また、“弁護士が行っている無料相談を利用してみる”という手段もあります。限られた時間内ですが、法律家による専門的なアドバイスを無料で仰ぐことのできるサービスです。
弁護士の無料相談は地域によって内容が異なっているので、お住まいのエリアにどのようなサービスが存在するのかをチェックしてみてください。
いずれにせよ、これまで自分の中だけに溜め込んでいたストレスや我慢を、誰かに話すことはとても勇気のいることかもしれません。しかし、最初の一歩がトラブル解消へのスタートライン。ぜひ勇気を出して、誰かに相談してください。
楽しく働くために正しい知識と勇気を持とう
自分よりも人生経験の豊富なアルバイト先の上司に「お前が間違っている!」という態度や発言をされてしまうと、次第に「社会ってこういうものなのかも…」と納得してしまう若年アルバイターが少なくありません。また、冒頭でも触れた“ブラックアルバイト”や“ブラックパート”の被害に巻き込まれてしまう方の多くが、真面目で素直な性格の持ち主であるとも言われています。
しかし、中には使用人(雇っている側)がまちがっているケースも存在していることを知っておいてください。ただし、相手に屈することはありませんが、雇用側が間違っているからといってむやみに責めたり自己主張を行うことはしないように気をつけてください。正しい知識を得ることは、相手にケンカを売ることではありません。トラブルが起こる前やトラブルの芽が出てきたときに自分の身を守るために使いましょう。
もしもなんらかのトラブルに巻き込まれた場合、それを解消させる相談窓口があることも合わせて覚えていてくださいね。