保育士の引き継ぎは退職時期によって影響の大きさが違う!引き継ぎが困難な時でも辞める保育士がやるべきこと

担任の先生が年度途中で辞めると保護者は不安になる!退職日までに保育士ができることは何か?

保育士が退職をする時、後任者に必要な情報を伝えるのが「引き継ぎ」です。

引き継ぎがうまくできるかどうかは、退職時期によって違ってきます。

年間を通して忙しい保育士は、いつでも「充分な引き継ぎ」ができるとは限りません。

どうすれば、時間に余裕のない中で、大事な情報を確実に伝えることができるのでしょうか。

今回は、保育士の退職時期が「引き継ぎ」にどんな影響をもたらすのかを考え、短時間でできる合理的で分かりやすい「引き継ぎの方法」をご紹介します。

目次

引き継ぎはどんな時に必要か?

退職の際の引き継ぎが必要かどうかは、一人担任か複数担任かで違ってきます。

特に下記のような場合には丁寧に引き継ぎをする必要があります。

  • 一人担任の場合
  • 後任の保育士が決まっている場合
  • 主任や他の保育士がカバーする場合
  • 引き継ぎは最小限でいい場合もある

一つずつ詳しく紹介していきます。

1.一人担任の場合

クラスを一人で担任している保育士の場合、自分でなければ分からないことも多いので、引き継ぎには充分な準備をする必要があります。

後任になる保育士にとって、前の担任の後を引き継ぐのはそれだけでも大きな重圧です。

せめて、引き継ぎだけでもスムーズにできるように、辞める保育士は心配りをすることが大事です。

2.後任の保育士が決まっている場合

後任が同僚保育士の場合は、言いたいことを直接伝えられるので安心できますね。

後任が新採用の場合は、引き継ぎ期間があるかどうかで伝えられることも限られてきます。

保育士が退職する前に、後任保育士との引き継ぎ期間を設けてもらえれば、実際に顔を見ながら話をすることができます。

ですが、辞める保育士と入れ替わりになる場合は、どんな人が後任なのか分からないまま引き渡すことになります。

そういった場合は後で詳しく解説しますが、簡潔で分かりやすくまとめたノートなどを準備することで少しでも引き継ぎをする人の負担を減らすよう配慮することが必要です。

主任や他の保育士がカバーする場合

後任がまだ決まっていない時は、主任や同僚が代わりに入ることがあります。

いずれも通常の業務とかけもちすることになるので、かなりの負担になることが予想されます。

後任が決まった時に引き継ぎをするのも、主任か同僚が代わりに行うことになります。

引き継ぎは最小限でいい場合もある

二人またはそれ以上の複数担任の場合は、普段から情報を共有しているので、特に引き継ぎをしなくてもいいケースも多いです。

後任保育士には同僚が必要なことを伝えてくれるので、辞める保育士が引き継ぎをする必要性もあまりないのです。

保育士は「自分が何かしておくことはないか」を同僚に確認し、最後まで気遣いを忘れないようにしましょう。

どんなことを引き継ぐのか?後任の保育士に伝えておきたいこと!

退職予定の保育士は伝えたいことを必ず整理してから、引き継ぎの準備にとりかかりましょう。

思いついたことから始めると、大事なことを後で忘れることもあります。

下記は保育園での一般的な引き継ぎ事項です。

子どものこと

子どもたちの情報が沢山あれば、後任保育士も保育がやりやすくなるかもしれません。

特に必要なのは下記のような情報です。

  • 子どもの特徴(性格、行動、アレルギーなど健康に関すること)
  • 子どもの傾向(得意不得意、好きなもの、苦手なものなど)
  • エピソード(家族に関すること、その子の個性がわかるエピソードなど)

保護者のこと

後任保育士が保護者の情報を事前に知っておけば、対応に失敗する可能性が低くなります。

特に下記のような情報は、保護者との関わりに役立ちます。

  • 保護者の特徴(性格、職業、夫婦の状況、祖父母との関係など)
  • 保護者の傾向(どんな親か、子どもとの関わり方、育児への関心度など)
  • エピソード(園に対して苦情を言ったことがあるか、親として困ったエピソードはあるか)

行事予定、一日の流れなど

辞める保育士は今後予定している行事について説明し、どんな業務があるのか伝えておきます。

また、一日の流れも順を追って伝えましょう。

保育士以外の職員との連携についても、詳しく説明しておくと業務がスムーズです。

クラスのルールや習慣など

保育士が年度途中で辞める場合は、クラスで決められているルールや習慣を後任保育士に伝えておく必要があります。

今まで行っていたことが急に変わると子どもたちが戸惑うことに配慮します。

ただ、ルールや習慣をそのまま続けるかは後任保育士の判断によりますので、あくまでも参考としてサラリと伝えるようにしましょう。

業務連絡

退職を予定している保育士は、自分が把握している情報は全て後任保育士に伝えるようにします。

特に下記のような情報は確実に引き継ぐようにしましょう。

  • 子どもや保護者の予定(早退や欠席の予定、通院や入院の予定、保護者の出産予定など)
  • 保護者に個別の連絡をしなければならないこと

また、辞める保育士は自分に割り当てられている仕事(壁面装飾や行事の司会など)を、後任に引き継ぐことも忘れないようにしたいですね!

退職時期によって「引き継ぎしやすい時期」と「引き継ぎが難しい時期」がある

保育士が退職する時期を大まかに分けてみると、「年度末」と「年度途中」の2つのパターンに分けられます。

順調に引き継ぎができるのはどちらなのか、理由も含めて考えてみましょう。

最も引き継ぎしやすい時期は「年度末」

「年度末」に辞める保育士は早めに退職の申し出をするので、退職日までは余裕があり引き継ぎの時間を充分に確保することができます。

気持ちにもゆとりがあるので、引き継ぎ事項を何度も確認して「伝え忘れ」を防ぐことができるメリットがあります。

年度末は職員の異動があるだけでなく、子どもの進級による「クラス替え」もあり、保育園全体が新年度の準備モードとなります。

保育士たちは退職予定の有無にかかわらず、年度末には後任者と引き継ぎを行います。

職員全体の意識が新年度に向かっているので、「辞める保育士との引き継ぎ」にも積極的な姿勢で取り組みます。

「年度途中」の退職は充分な引き継ぎをするのが難しいことも

「年度途中」に保育士が退職することは、上司や同僚にとって突然の出来事です。

年度末の場合は「誰かが辞めるかもしれない」と心の準備をしていますが、年度途中ではあまり考えません。

辞める保育士と後任者は、日常業務に支障のないよう慌ただしく「引き継ぎ」を行います。

退職時期によっては後任者が忙しくなるので、充分な引き継ぎをする時間もなく、表面的に申し送りをするだけで終わってしまいます。

引き継ぎが難しいのは具体的にどんなケースがあるのか、次のコーナーで紹介しますね。

保育士の年度途中での退職「引き継ぎが困難なケース」とは?

退職する保育士が引き継ぎをしたくても、なかなかうまくいかないことがあります。

特に下記のような問題は保育園でもよくあるケースで、上司や同僚を悩ませています。

【行事が多い時期の退職】引き継ぎの時間を確保するのが困難

運動会や発表会など大きな行事が続く時期は、どの保育士も準備に追われ残業をすることも多いですね。

わずかな時間も惜しんで準備作業をしているので、休憩も満足にとれないことも多く、後任者は時間的にも精神的にも「引き継ぎ」をする余裕がありません。

辞める保育士の退職日に、大急ぎで申し送りをする「引き継ぎ」とは言えないような業務連絡だけで済ませてしまうことも多いのです。

【体調不良による急な退職】引き継ぎをする余裕がない

保育士が年度途中に体調不良で「急な退職」をする場合は、充分な引き継ぎができないことも多いですね。

辞める保育士自身に気力や体力が残っていないので、引き継ぎができるだけの余裕がないのです。

保育士は最後に挨拶をするだけで、実質的な引き継ぎは何一つできないまま退職してしまうケースもよくあります。

【後任者が決まらないケース】そもそも引き継ぎができない

退職する保育士の後任者が決まらないと、引き継ぎを行うのが不可能になります。

園が新しい保育士を募集しても、

「条件に合わない」
「応募者がいない」

などの理由で適任者が見つからないことも。

特に「年度途中」は人材が不足しており、後任者が決まるまで時間がかかる傾向があります。

「引き継ぎが難しいケース」でも保育士にできること

退職する保育士と後任者が、実際に子どもたちを見ながらじっくりと情報を伝えることが「望ましい引き継ぎ」ですが、退職時期が年度途中の場合はうまくいかないことも多いようです。

それでも、保育士にできることはゼロではありません。

下記のように「自分ができる最善の引き継ぎ」をしていけば、気持ちは伝わるのではないでしょうか。

「物の置き場所」をわかりやすくしておく

保育室には物をごちゃごちゃ置かないよう、スッキリと片づけて後任者に譲り渡すようにしましょう。

道具や教材などの置き場所を伝えていくのも「引き継ぎ」です。

辞める保育士が一人担任の場合、何がどこにあるかは自分でなければわかりません。

「物の置き場所」を何かに書いておくと、後で後任者や同僚が探さなくてもいいので助かりますよ。

後任者が見やすいように「書類の整理」をする

部屋をきれいに掃除しても、デスクが整理されていないことがあります。

特に書類については

  • 処分するもの
  • 後任者に残すもの
  • 私物

に分けて整理しましょう。

ファイルに入れてわかりやすい場所に置いておけば、後任者も手にとりやすく、すぐに見ることができて便利です。

書類の整理は「情報の整理」にもつながり、後任者への大事な「引き継ぎ」になりますよ。

引き継ぎノートを作る

引き継ぎ事項をノートにまとめておくと、いつでも簡単に見ることができるので、後任保育士も便利に使うことができます。

ポイントは分かりやすくまとめること。

カテゴリー別にインデックスを付けると見やすくなりますよ。

引き継ぎ専用ファイルを作る

後任者に引き継ぐ書類がある場合は、専用ファイルにまとめておくと便利に使えますね。

引き継ぎ事項をワードで作成して、ファイルに入れておけばノートの代わりにもなります。

書くのが苦手な人や、文字に自信がない人には特にオススメです。

付せんを活用して引き継ぎ事項を伝える

ノートやファイルなどを作る時間がない場合は、付せんに引き継ぎ事項を書いて台帳やスケジュール表に貼っておくこともできます。

剥がれにくいタイプの付せんを使うと便利ですよ。

子どもの情報をまとめた「引き継ぎ表」を作る

退職時の引き継ぎでは、保育士が専用のノートを準備することもありますね。

ただ、文章を書くのが苦手な人は、どのように表現したらいいか悩むことも多いので、余計に時間がかかり負担が大きいのです。

特に「年度途中で辞める保育士」は退職日までに時間がなく、引き継ぎノートにじっくり取り組む余裕はありません。

パソコンを使って「引き継ぎ表」を作る

引き継ぎノートは無理でも、パソコンを利用して作った「引き継ぎ表」なら多くの時間をかけなくても済みます。

入力する言葉も短く、文章力が気になる保育士でも気軽にできるのがメリット。

沢山ある子どもの情報をひとつの「引き継ぎ表」にまとめてしまうので、後任者も見やすいのです。

情報が一目でわかる「引き継ぎ表」の作り方

こちらでは、「引き継ぎ表」を作る手順や注意点をお伝えするとともに、子どもの情報を整理する「カテゴリー例」をご紹介します。

エクセルにまとめた「引き継ぎ表」は修正がしやすく、後任者にデータを残すこともできます。

見る人はページをめくらなくても一度に全部の情報を把握できるようになって便利です。

後任者にわかりやすい「引き継ぎ表」にするには何を入力すればいいのか?

退職する保育士は、主に下記のような内容を「引き継ぎ表」に入れていきましょう。

1.「子どもの名前」を入力する。「ふりがな」も忘れずに

引き継ぎ表の左側には「園児名」を上から順に入れていきます。

子どもの名前は読みづらいものが多いので、ふりがなは忘れずに必ず書きましょう。

2.後任者に伝えたい情報を「カテゴリー別」に分ける

沢山ある情報をカテゴリー別に分類すると、内容を入力しやすくなります。

各カテゴリーは引き継ぎ表の上段に、左から順に入れていきます。

カテゴリーが多すぎると引き継ぎ表が見づらくなるので、7~10個ぐらいを目安にカテゴリーを分けると、後任者にも見やすいですね。

3.子どもの情報はなるべく簡潔に書くようにする

園児名とカテゴリーを入力したら、情報をひとつずつ入力していきます。

保育士は子どもの情報を

「特に気になること」
「引き続き配慮が必要なこと」

に絞って書くようにしましょう。

情報を選別せずに全て書くと表全体が文字でいっぱいになり、「必ず見てほしい情報」に後任者が気づかないこともあります。

ポイントは「見る人に分かりやすく簡潔にまとめること」です。

せっかくがんばって「引き継ぎ表」を作っても、相手にとって見づらいものであれば意味がありません。

子どもの情報が伝わりやすくなるカテゴリー分類方法

保育士が退職する時は日々が慌ただしく、引き継ぎ表を作ろうと思っても「カテゴリー」がすぐに浮かんでこないこともありますね。

そんな時は下記の「カテゴリー例」と「記入例」を参考にして、取り組んでみてはいかがでしょうか。

1.家庭での愛称

家庭でどう呼ばれているか「愛称」を書いておくと、後任者が子どもと親しくなるための情報として役に立ちます。(例 のんちゃん、うーたん)

家族はどんな人たちか、性格などを入力する必要はありません。

特筆すべき事実だけを伝えましょう。

記入例
  • 母は来年1月に出産予定
  • 両親は1年前に離婚
  • 母、年度始めに○○の件で苦情あり(別紙参照)

3.生活習慣

食事・排泄・着脱・睡眠などの基本的生活習慣において、特徴や配慮が必要な点を入力します。

記入例
  • 食べる量はいつも半分程度。体力には問題なし。
  • オマルを嫌がります。
  • お昼寝では寝つくまで1時間くらいかかります。

4.健康

持病の有無、アレルギーや体質、健康状態などを記入します。

特に、投薬が必要な子どもについては大事な情報なので、忘れないように配慮しましょう。

記入例
  • ぜんそく 季節の変わり目に発作が多い 投薬あり(食後)
  • ナッツ類のアレルギー(チョコに入っているのもNG)
  • 汗かき 着替え多めに必要

5.ことば・コミュニケーション

言葉の発達で気になることや、他者との関わりについて入力します。

記入例
  • 発音する時「サ行」が「タ行」になります。
  • 満3歳の段階で発語がありません(保護者が気になり受診予定です)
  • ひとりで遊ぶことが多いです。

6.好きなもの・好きな遊び

子どもが好きなものを知っていると「話のきっかけ」を作ることができるので、後任者にとって「お役立ち情報」になりますね。

記入例
  • 相撲が大好きで沢山の力士を知っています。
  • 虫が大好きでいつも図鑑を持ち歩いています。

7.苦手なこと、嫌いなもの

子どもが苦手なこと、避けたいもの、恐いもの、嫌いなものなどを書き込みます。

後任者が事前に情報を確認していれば、うっかり子どもに嫌な思いをさせずに済みますね。

記入例
  • 大きな音が苦手です。特に雷が鳴ると大泣きします。
  • アニメの恐いキャラクターが苦手です。名前が出ただけでも耳をふさいでいます。

8.連絡事項
子どもや保護者に関する大事な連絡事項です。

カテゴリーの最後に入力しておくと、後任者が忘れずに確認することができます。

記入例
  • 来月、家族旅行のため休む予定があります
  • 夏期のみお迎えが19時になります

引き継ぎ表のカテゴリーは、保育士が使いたいものだけを選んでも大丈夫です。

但し「業務連絡」は必ず入れるようにして、後任者や同僚にしっかり伝わるようにしましょう。

「引き継ぎ表」を作成する時に保育士が気をつけたいこと

保育士が子どもの情報を入れる時には、下記のことに配慮して入力しましょう。

子どもに関する情報は「客観的な視点」で書く

保育士の価値観によって子どもを評価し、それを情報として後任者に伝えるのは「引き継ぎ」とは言えません。

特に子どもの発達について書く時は、客観的な事実だけを伝えるようにしましょう。

「○○だと思います」
「まだ○○しかできません」

など、保育士の私見や感情が入った情報は「正しい情報」とは言えないのです。

情報が長くなりそうな時は詳細を別紙に書くようにする

入力する情報は簡潔にまとめるのが望ましく、細かい説明が必要な時は別紙に書いたり、台帳や記録を見るように案内してもいいですね。

「詳細は別紙参照」
「詳しくは台帳をご覧ください」

のように書くと、見る人にとって分かりやすいです。

最後まで保育士ができる限りの引き継ぎをしていこう

保育士の退職時期によって「引き継ぎ」には大きな影響を及ぼします。

特に「年度途中の退職」は、辞める保育士も後任者も気持ちに余裕がなく、引き継ぎの時間を確保することも難しいですね。

退職する保育士は、たとえ引き継ぎができないような状況でも、自分にできることは何か最後まで考えることが大切です。

引き継ぎは、保育士だけのためにあるのではなく、子どもたちのためにあるのです。

引き継ぎは辞める保育士の責任です。

限られた時間の中で努力をするのは、最後の大事な任務と言えますね。