入園式は、子どもが「園児」として保育園生活をスタートさせる記念すべき日!
保護者にとっても「子どもを預けて仕事をする新生活」が始まります。
初めは新入園児も保護者も不安でいっぱい!
緊張がほぐれるような和やかな雰囲気の「楽しい入園式」に参加することで、これからの毎日を楽しみに安心して保育園に通うことができればうれしいですね。
今回は、入園式とはどういうものか基本的な情報と、「楽しい入園式」にするための工夫をご紹介します。
また、入園式だからこそ保育士が特に意識しなければいけないことも併せてお伝えします。
保育園の入園式について知っておきたいこと
入園式とは、新しい園児が保育園に入園したことをお祝いする大切なイベントです。
保育園では、在園児と職員が「新しい仲間が増えたこと」を喜び、お祝いの時間を設けます。
入園式が行われるのはいつ?
多くの保育園では、年度始めの4月1日に行われますが、当日が日祝日の場合は4月上旬に実施します。
4月ではなく年度途中で入園した場合、入園式は基本的に行われません。
入園式を開催しない保育園もある
保育園によっては入園式を開催しないところもあります。
特に3歳以下の子は、初登園のときは「ママがいい(泣)!」「おうちに帰りたい(泣)!」と泣きじゃくってしまうことが多く、入園式どころではありません。
初めての場所に馴染むために、慣らし保育として初登園時から数日間は午前中のみ在園し、1~2週間かけて徐々に在園時間を延ばして保育園に慣れさせる必要があります。
また、子どもたちが保育園に入園してくる時期は、家庭の事情や市区町村の受け入れ体制によりバラバラになりがちです。
年度途中で入園する子どもも数多くいるので、入園式を開催しない保育園もままあります。
入園式の目的や狙い
入園式は、子どもたちが長い時間過ごす保育園を紹介する場です。
「どんな先生がいるのかな?」
「こういう子どもたちがいるんだよ」
「遊びや楽しいことをみんなでいっぱいしようね」
と挨拶も兼ねて、子どもたちや保護者に伝える役割があります。
子どもたちの不安を極力取り除いてあげて、今後の園生活に期待を持ってくれるようにするのが目的と言えるでしょう。
- 入園生活に期待を持ってもらう
- 新しい先生やお友達の存在を知ってもらう
- どんな施設なのかを知ってもらい、不安感をなくしてあげる
在園児にとっては次のようなねらいがあります。
- お兄さん・お姉さんとしての自覚を持ってもらう
- 新入園児に対して優しく接する心をもってもらう
新しい仲間を迎え入れて環境が変わることは、子どもたちに多少なりとも不安や緊張感が生まれます。
だからこそ「保育園って楽しいところなんだ!」と子どもたちに思ってもらえるような入園式にする必要があるのです。
入園式には誰が参加する?
入園式の主な参加者は下記の通りです。
園によっては関係者が増えることもあります。
「新入園児」は年齢にかかわらず全員参加する
新年度から入園する園児は、0歳児から年長児まで全てが入園式に参加します。
3歳以上の子どもはひとりでイスに座りますが、未満児は保護者や担任保育士に抱っこされて参加することが多いです。
ただし「0~1歳の新入園児」については、子どもの状態に合わせて参加するので、保育室に移った方がいいと保護者や保育士が判断すればその場を離れることもあります。
「保護者」は自由参加の園が多い
保護者は基本的に「自由参加」ではありますが、母親または父親のどちらかが参加するケースが圧倒的に多く、両親そろっての参加も年々増えています。
保護者は仕事を休んで入園式に参加しますが、中にはどうしても休みがとれない人もいるので、代わりに祖父母が参加することもあります。
「在園児」は祝う立場で参加する
主に年長児が「在園児代表」として入園式に参加します。
園によっては年中児や年少児が参加することもあり、在園児の人数や入園式の規模によって参加するクラスが違います。
在園児は新入園児を歓迎する立場なので、お祝いのメッセージや出しものをすることもあります。
「職員」は全員が参加する
職員は保育士だけではなく、給食の調理員や事務職員など保育園に関わる全ての職員が参加します。
園長より職員の紹介もあるので、新入園児と保護者は「どんな職員がいるのか」を入園式で知ることができます。
園によっては、「来賓」や「保護者代表」が出席することもありますね。
保育士以外の職員については、最初から最後までその場にいなくても、職員紹介の時だけ参加するパターンもありますよね。
入園式のプログラムの内容は?どんな流れで行われるの?
入園式の所要時間は30分程度のところが多いのではないでしょうか。
長くても1時間前後です。
それ以上時間がかかると新入園児の集中力が切れ、飽きてしまうので園では簡単で時間のかからないプログラムを工夫します。
下記は多くの保育園で行われている「入園式の流れ・タイムスケジュール」です。
時刻 | 入園式の内容 |
---|---|
9:00 | 園長先生の挨拶 |
9:05 | 新入園児の紹介 |
9:10 | 職員・先生の紹介 |
9:20 | 在園児・保育士による出しもの |
9:25 | 新入園児にプレゼントを贈る |
9:30 | 入園式終了。その後は集合写真やクラス別の撮影 |
それぞれ各プログラムの詳細を具体的に紹介したいと思います。
入園式プログラム1「園長先生の挨拶」
園長先生が「新入園児&保護者」に向けてメッセージを伝えます。
「保育園に来てくれてありがとう」という感謝の気持ちをこめて話します。
入園式プログラム2「新入園児紹介」
園長先生または司会の保育士が「新入園児の名前」を呼び、呼ばれた本人は手をあげて返事をします。
自分で名前を言ってもらうこともあり、在園児と職員は拍手をして入園を祝います。
入園式プログラム3「職員の紹介」「担任保育士の発表」
園長先生が保育園の全職員を順番に紹介します。
紹介された保育士が簡単な自己紹介をすることもあります。
職員の紹介をしながら、各クラスの担任保育士も同時に発表します。
入園式プログラム4「在園児の出しもの」「保育士の出しもの」
入園式では、新入園児を楽しませるための「出しもの」が行われます。
多くの保育園では「在園児の出しもの」と「保育士の出しもの」があり、前もって準備したものを披露します。
入園式プログラム5「新入園児にプレゼントを贈る」
入園を記念して「新入園児へのプレゼント」があります。
手作りのものが多く、在園児または保育士が作ってメッセージを入れることもあります。
心に残る入園式にするために!保育士が行うべき演出の配慮とは?
新入園児が「なんだかここは楽しい所だな」と感じてくれれば、入園式の演出は大成功!
大人に合わせた堅苦しいものではなく「子どもが喜ぶ入園式」にしたいですね。
1.玄関やホールの飾りつけは子どもが喜びそうなものにする
子どもが親しみやすい装飾があると、新入園児は不安がなくなり楽しい気分になってきます。
保育士は「子どもが喜びそうなもの」を工夫して作りましょう。
入園式の前後には、「ステージの装飾」や「玄関にある看板」を背景にして記念写真を撮る親子も多いので、保育園らしく可愛い看板や装飾を準備したいですね!
2.出しものは分かりやすく単純で短時間なもの
入園式の出しものは、年齢の低い子どもが参加していることに配慮しましょう。
・手間がかからず短時間で終わるもの
が、入園式の出しものを考えるポイントです。
在園児の出しものは「歌のプレゼント」が多い
入園式におゆうぎや劇を披露する園もありますが、年度末の忙しい時期に練習や準備をしなければならないのがネック!
「歌+お祝いのメッセージ」は手軽に取り組めるので、入園式の出しものにはピッタリです!
保育士の出しものは「小さな子どもが分かる内容」にする
保育園の新入園児は「3歳未満の子ども」が多いので、保育士の出しものは「単純明快なもの」が向いています。
たとえば、保育士が動物のお面を付けて「簡単な手遊び」を歌うだけでも、新入園児は親しみを感じてとても喜びますよ!
入園式だから「凝った出しもの」をしなければと気負う必要ありません。
大事なのは新入園児が楽しいかどうかです。
保育士が「こんな簡単なものでいいのか」と思うようなものでも、子どもが喜べば最高の出しものになりますよ!
保護者とのトラブルを防ぐために「入園式」で保育士が気をつけたい2つのこと
子どもの担任がどんな先生なのか、保護者は入園式当日にしっかり観察しています。
保育士の見ためや態度から受ける印象で「信頼できる先生なのか」を判断するのです。
入園式で受けたイメージが良くないと、保護者は保育士の言動を何でもネガティブに受けとってしまうので、時にはトラブルに発展することもあります。
1.保護者対応はとにかく丁寧に!入園式での第一印象が大事
子どもが入園したばかりの保護者は、緊張と不安で気持ちに余裕がありません。
保育士の何気ない表情や口調が気になり、
「そっけない」
「きつい」
「冷たい」
と感じてしまうこともあるのです。
最初に良くない印象を受けてしまうと、保護者の気持ちはネガティブな状態が続き「ずっと誤解したまま」になることもあります。
入園式での「第一印象」がトラブルの原因になることを防ぐためには、保育士が「笑顔を絶やさず、ていねいに接すること」を強く意識することが大切!
言うまでもなく「保育士の基本姿勢」ですが、入園式では特に「自分がどう見られるか」を考えることがトラブル対策になるのです。
2.保育士が誤解されやすい3つのポイントを常に意識する
保育士の「良くない第一印象」の原因とは何でしょうか。
入園式で保護者が気にするのは「保育士自身が気づいていない部分」であることも多いですね。
保育士は入園式を前に「自分が誤解されやすい部分」について改めて考えることが大切です。
1. 「表情」で誤解されていないかを意識する
目元の表情ももちろん大切ですが、意外に意識しないのが「口元」です。
真顔になると口角が下がってしまうこともあるので、入園式では特に意識することが必要です。
保育士の口が「への字」になっていると不満そうな表情になり、保護者は「何か不愉快なことでもあるのか」と気になります。
2. 「口調」「声のトーン」で誤解されていないかを意識する
自分の「口調」や「声のトーン」で、周囲から注意されたことのある保育士は特に気をつけましょう。
入園式では「優しい口調で穏やかに話すこと」を意識すること!最初の印象が肝心なのです。
3. 「態度」で誤解されていないかを意識する
保育士の何気ない態度でも、保護者は「横柄」だと受けとることがあります。
腕組みをしたり、足を組んだり、相手の方を向かないで話したり、目を合わせないなど、誤解につながる「火種」は沢山あります。
保護者は「保育士の態度」を入園式終了後もよく見ているので、最後まで油断しないように気をつけましょう。
「入園式で困っている保育士」へアドバイス
入園式の司会を保育士が担当する園では、「来年度は自分カモ!どうしよう!」と悩んでいる保育士がいるのではないでしょうか?
私も経験ありますが、初めて入園式の司会を任された時は、お誕生会の司会などとは違って、独特な緊張感があったのを覚えています。
新入園児や保護者の前で、スムーズに進行できるか心配で寝付けませんでした。
そこで、入園式の司会をする保育士の「不安や緊張感」を抑える対処法をご紹介します。
自分に合ったものが見つかれば、気持ちに余裕が出てくるはずです。
入園式の司会を担当する保育士が「気持ちを落ちつけて」本番に臨む3つの方法
入園式には「厳粛なムード」があるので、他の行事の司会とは「気楽さ」が違います。
司会そのものがあまり得意ではない保育士は、特にその雰囲気にのまれ、緊張でぎこちなくなることがあるかもしれません。
司会が苦手な保育士のために「緊張感対策」と「司会の裏技」をご紹介します。
1.緊張感対策「保護者と言葉を交わしてみる」
新しい園児や保護者に対して緊張感を感じる保育士は、式が始まる前に自分から挨拶してみることをオススメします。
「入園式の司会をする○○です。今日は宜しくお願いします。」と、事前に保護者と言葉を交わしていれば、保育士の緊張感もだんだん落ちついてきます。
2.司会の裏技「パペット(動かせる人形)を活用する」
保育士が司会をする時はパペットを相棒にすると非常に心強いですね。
パペットが登場すると新入園児は目を輝かせて夢中になり、入園式に飽きてしまった子どもの心を惹きつけます
パペットを効果的に登場させるタイミングは下記の通り!保育士は自分が演出しやすい方法でやってみましょう。
- 新入園児の名前を呼ぶ時
- 保育士の出しものをする前後
- 記念のプレゼントを渡す時
子どもとパペットが、握手やバイバイをする機会を作ると楽しくなりますよ!
保育士の出しものとパペットを関連づけて演出するのもいいですね。
パペットの世界がどんどん広がって、見ている子どもたちはワクワクします。
3.緊張感対策「他の保育士にフォローを頼んでおく」
パペットを使っている時や、プレゼントを渡す時など、他の保育士のサポートが必要になることがあります。
そんな時のために、信頼できる保育士にあらかじめフォローをお願いしておきましょう。
保育士の気持ちを察して、先回りして動いてくれる存在はとても頼りになりますね。
いつでも助けてくれる人がいると思うだけで、保育士の不安な気持ちも楽になりますよ!
司会の保育士が何も相談しないでいると、他の保育士は「ひとりでも大丈夫」と勘違いするかもしれません。
早いうちに「不安な気持ち」を同僚にうちあけておくと、何かと気にかけてもらえますよ!
入園式という「節目」に保育士は初心に戻ろう
入園式を楽しく過ごすことで、新入園児や保護者に「期待と安心感」をもってもらえるよう、保育士は細やかに気を配ることが必要です。
派手で手の込んだ演出や出しものも喜ばれますが、子どもと保護者を大切にする温かい雰囲気が伝わる入園式は、それだけで「信頼」につながります。
入園式という新たな出会いにあたって、保育士が「初心に戻ること」はとても大切なこと。
自分自身を客観的に見つめ直すことができる保育士は、新入園児や保護者を心から尊重し、新しい出会いを感謝することができます。
保育士の謙虚な気持ちが伝われば「温かい雰囲気」になり、保護者は安心して子どもを預けることができますね。