お花見遠足は、主に桜のお花見をメインとした「春の園外保育」です。
入園&進級したばかりの園児たちが、桜吹雪が舞う中を並んで歩く様子は大変ほほえましく、すれちがう人みんなが優しい笑顔を向けてくれます。
初めて一人担任を任された保育士や、経験のない新任保育士にとっては、春の園外保育は緊張感があります。
お花見遠足が楽しみな反面、心配なこともいっぱいありますね。
今回は、園によってさまざまなスタイルがある「お花見遠足」の詳細と、初めてのお花見遠足に不安がある保育士に役立つ情報をお伝えします。
お花見遠足というイベントについて知りたい!どんな遠足なのか、目的や狙いを調査
お花見遠足は「桜が咲く時期」に行われます。
子どもたちが「桜を見て楽しむこと」を目的とした春の遠足です。
地方によってお花見をする時期がずれるので、早い地域では3月、多くの地域では4月、北国の保育園では5月のゴールデンウィークを過ぎてからお花見遠足に出かけます。
お花見遠足は園によって考え方が異なる
お花見遠足をイベントとして扱うか、日常保育のひとつとして扱うか、園によって考え方が異なります。
同じような内容でも「お花見遠足」とは言わず、「4月の園外保育」として扱い、必ずしもお花見をメインにしない園もあります。
お花見遠足はどこでするの?園によって行き先が違う
みなさんの地域では「お花見」といえばどちらに出かけるでしょうか?
全国にはたくさんの「桜の名所」がありますが、同じ地域の保育園がすべて同じ所に行くとは限りません。
「お花見遠足の行き先」として選ぶ場所は園によってちがうのです。
お花見遠足の行き先は?
お花見遠足ではどのような場所に行くのでしょうか。
ここでは、行き先の候補となる場所を紹介していきます。
地域では有名な桜の名所・観光地
いわゆる「桜の名所」で、地元の人はもちろん県内ではよく知られている観光地!
休日は花見客であふれ、平日でも多くの人が訪れます。
露店もたくさん出ていて、昼も夜もにぎわっているお花見スポットのひとつです。
地元の人が行く桜がたくさんある公園
地域の人々に愛されている「お花見ができる公園」は各地にたくさんありますね。
桜の木だけではなく、大型遊具や噴水などがあったり、子どもが自由に走り回れるようなグラウンドがある公園もあります。
保育園では「お花見以外の季節」にも園外保育で出かけることが多く、園から歩いて30~40分程度の気軽に行ける公園です。
近所の桜がある小さい公園
園から徒歩15分以内の公園は、遠足というよりは「散歩の延長」に近い形で保育園ではよく利用しています。
お花見シーズンになると「お弁当やおやつ」を持って、いつものお散歩とはちがう形で公園に出かけます。
未満児でも行ける距離にあるので、シートを敷いてお花見を楽しむことができます。
お花見遠足に向いている所の4つの条件
お花見遠足の行き先として「向いている所」と「あまり向いていない所」があります。
経験の少ない保育士が行き先を検討する時は、子どもの遠足であることにポイントをおいて、下記のような場所をチョイスしたいですね!
1.場所全体を見渡しやすい
引率する保育士にとって「子どもが行動するエリアが見渡しやすい所」は、ひとりひとりの様子を把握しやすいので助かりますね。
子どもの姿が見えなくなるような死角が多い所は、安全な行き先とは言えず「お花見遠足」に向いていません。
また、子どもも「保育士の姿」が見えなければ、不安な気持ちになりますね。
2.トイレが近くにあり分かりやすい
トイレが遠くにあると、子どもに付き添って戻るまでに時間がかかります。
その間、保育士が手薄になるので安全管理が充分にできなくなります。
トイレに付き添いながら、遊んでいる子どもの様子も同時に見ることができるような所は、お花見遠足に向いています。
3.雨を避ける場所がある
お花見をしている時、雨が降ってくることもあります。
天気が急変した時のために、雨宿りができるような場所があるといいですね。
雨を避けられる所がないと、お花見遠足の行き先には向いていません。
4.園児が遊べる大型遊具がある
お花見がメインの遠足なので「大型遊具が絶対必要」というわけではありませんが、現地での滞在時間がたっぷりある場合、午前中はお花見、昼食後は「大型遊具がある場所」に移動して遊ぶようにすると子どもたちも喜びますよ!
「保育士には「お花見遠足の下見を行うこと」をオススメします!
事前にさまざまなチェックをしておくことで、トラブルを防ぐことができますよ。
保護者から「行き先の状況」を質問されることもあるので、下見は必ず行きたいカモ!」
お花見遠足ではどんなことをするのか?園によってちがうことは何か?
保育園の方針もさまざまで、お花見遠足の内容も下記のように「スケジュール」と「お弁当の有無」に相違点があるようです。
お花見遠足には「スケジュール」のちがいがある
お花見遠足は「現地に何時間滞在するか」で予定が変わってきます。
「全日」の場合と、「半日」の場合に分けて、スケジュールの例を挙げてみました。
- 現地到着、トイレ、おやつ
- お花見、自由に遊ぶ
- 昼食
- 自由に遊ぶ
- トイレ
- 園に帰る(午後2時頃)
- 現地到着、トイレ、おやつ
- お花見、自由に遊ぶ
- トイレ
- 園に帰る(昼食は園で食べる)
お花見遠足には「お弁当の有無」にちがいがある
お花見遠足「全日」の場合は昼食が必要になるので、お弁当か給食かどちらかを準備することになります。
お弁当の場合は保護者が準備します。
当日は園児が各自リュックサックにお弁当を入れて、自分で現地まで運びます。
保護者手作りのお弁当を子どもはとても喜びます。
給食の場合はお弁当箱につめて、他の職員が現地に届けてくれます。
子どもたちはお花見をしながら、お弁当給食のランチタイムとなります。
お花見遠足のお弁当に関する保育士の悩み
園外保育の経験が少ない保育士は、保護者からの相談に困ることもありますね。
お花見遠足の前は「お弁当」に関する保護者の質問が多くなります。
どんな相談があったのか、現役の保育士に聞いてみましょう。
お花見遠足に持っていくお弁当はどんなものがいいの?
保護者は「自分の考えたお弁当」で大丈夫なのか、保育士に確認したい方もいるはず。
遠足のお弁当を作ることが初めての保護者は、他の人はどうなのかをとても気にします。
保育士は「どんなお弁当にしようと思っていますか?」と聞き返してみましょう。
保護者がイメージする「お弁当の内容」に対して、保育士は「それで大丈夫ですよ」と太鼓判を押します。
保護者には「初めてのお弁当作り」がプレッシャーになる人もいます。
保育士に相談するのは頼れる人がいないからです。
保育士は「良いアドバイスをしなければ」と気負うのではなく、保護者の気持ちを楽にする一言を心がけましょう。
お花見遠足で「天候の急変」した場合の保育士の対応方法3つ
春は天気が変わりやすい季節。
出かける時は晴れていても、遊んでいるうちに空模様が変わってくることも少なくありません。
保育士は「天候の急変」にオロオロせず、次の3つのケースでどうするかを落ちついて判断することが大切です。
1.「急に雨が降ってきた!」場合の対応方法
3~4月は気温があまり高くないので、雨にぬれると子どもの体が冷えてしまいます。
保育士は急いで「雨を避けられる場所」に移動し、すぐ止まなければ園に戻ることを検討します。
判断に迷うことがあれば保育園に連絡を入れて、園長や主任の指示を聞きましょう。
2.「気温が下がってきた!」場合の対応方法
桜は満開でも暖かいとは限りません。
現地に着いてから寒さを感じることもあるので、保育士は対策を考える必要があります。
保護者には「子どもに重ね着をさせること」をお願いし、気温の変化に合わせて脱ぎ着ができるようにします。
保育士は「園の着替え」や「タオルなど」も準備し、子どもの寒さ対策にも使います。
3.「風が強くなった!」場合の対応方法
風が強いのも「春の天気」の特徴です。強風が吹いてきたら、雨が降ってくる可能性もあるので、子どもたちは荷物を持って「風雨を避けられる場所」に移動します。
風が強いと「体感気温」も低くなるので、寒くないか子どもたちに何度も確認しましょう。
強風が続くようであれば、園に戻ることを検討します。
天候が急変したら、保育士はまず子どもたちを安全な場所に移動させることが最優先です。
現地の下見をしておくと慌てずに済むので、やはり事前のチェックはとても大事だというのがわかりますね。
お花見遠足のまとめ
お花見遠足から帰ってきた子どもたちが、「楽しかった」「すごくきれいだった」と笑顔でうれしそうに話すひとときは、初めてのイベントで緊張していた保育士にとってホッと一息つく瞬間です。
無事に終わった安心感で、ようやく肩の力が抜けていきますね。
保育士がイベントに「緊張感」をもつことは、実はとても大事なことです。
緊張感とは「責任感」でもあるので、どんなにキャリアを積んでいる保育士でも「緊張感のない人」は信頼できません。
お花見遠足をはじめとした園外保育には、保育士が「緊張感」をもっていることが何よりの「安全対策」になるのです。