年少さんは、赤ちゃんっぽさが抜けて幼児らしくなっていく時期。
未満児(3歳未満)クラスを卒業し、一日の流れが変わることで「もう一番小さいクラスではないのだ」という自覚が生まれますね。
また、大きいクラスの子どもたちと行動を共にすることが多くなるので、大好きなお兄さん&お姉さんに対する憧れも強くなります。
そんな年少児は、どんなスケジュールで一日を過ごしているのでしょうか。
そして、担任保育士はどのように関わり、どんなことに配慮して保育をしているのでしょうか。
年少とは?何歳なの?
保育園や幼稚園の年少クラスには何歳の子が入るのかわからない親御さんもいるはずです。
ここでは、年少さんの子が何歳なのか、そもそも「年少」「年中」「年長」はどういう意味なのか、入園年度と生年月日別の対応表とあわせて紹介していきます。
年少さんは「4月1日時点で3歳の子」
年少さんは、4月1日の時点で満3歳の子どものことを言います。
まず年齢の計算についてですが、文部科学省によると「年齢計算ニ関スル法律」と「民法第143条」の考え方では、『人は誕生日の前日が終了する時(午後12時)に年を一つとる』、とされているようです。
4月1日生まれの子は、前日である3月31日の終了時(午後12時)に歳を重ねることとされます。
ゆえに早生まれ扱いになってひとつ上の学年に入ることになります。
年少さん、年中さん、年長さんの意味
幼稚園や保育園でこのような言葉を使ってクラス分けします。
「年少」「年中」「年長」それぞれの意味は以下のとおりです。
年少さん | 4月1日の時点で3歳、次の誕生日で4歳になる子。 |
---|---|
年中さん | 4月1日の時点で4歳、次の誕生日で5歳になる子。 |
年長さん | 4月1日の時点で5歳、次の誕生日で6歳になる子。 |
入園年度・生年月日別のクラス対応表
以下の表は子どもの生年月日別に入園年度と・クラスの対応表です。
※入園年度ごとにタブを押して切り替えてみてください。
2021年入園
2022年入園
2023年入園
2024年入園
2025年入園
学年 | 生年月日 |
---|---|
年少(3歳児クラス) | 2017年4月2日~2018年4月1日生まれ |
年中(4歳児クラス) | 2016年4月2日~2017年4月1日生まれ |
年長(5歳児クラス) | 2015年4月2日~2016年4月1日生まれ |
学年 | 生年月日 |
---|---|
年少(3歳児クラス) | 2018年4月2日~2019年4月1日生まれ |
年中(4歳児クラス) | 2017年4月2日~2018年4月1日生まれ |
年長(5歳児クラス) | 2016年4月2日~2017年4月1日生まれ |
学年 | 生年月日 |
---|---|
年少(3歳児クラス) | 2019年4月2日~2020年4月1日生まれ |
年中(4歳児クラス) | 2018年4月2日~2019年4月1日生まれ |
年長(5歳児クラス) | 2017年4月2日~2018年4月1日生まれ |
学年 | 生年月日 |
---|---|
年少(3歳児クラス) | 2020年4月2日~2021年4月1日生まれ |
年中(4歳児クラス) | 2019年4月2日~2020年4月1日生まれ |
年長(5歳児クラス) | 2018年4月2日~2019年4月1日生まれ |
学年 | 生年月日 |
---|---|
年少(3歳児クラス) | 2021年4月2日~2022年4月1日生まれ |
年中(4歳児クラス) | 2020年4月2日~2021年4月1日生まれ |
年長(5歳児クラス) | 2019年4月2日~2020年4月1日生まれ |
まだお子さんが入園前の方は、この表を参考にしてみてください。
年少クラスの子の特徴・行動4つ
国が定める配置基準として「園児20人に対して、保育者1人」となる年少クラス。
まだまだクラスの中でも、食事をひとりで食べられる、食べられないなどの個人差も大きいです。
園児ひとりひとりのペースで寄り添ってあげることが大事なのですが、そのためには年少さんの特徴について把握する必要があります。
そこでここでは、年少さんの4つの特徴について詳しく解説していきたいと思います。
1.運動能力や行動力が高まる
これまでおぼつかなかった、跳ねる、歩く、走る、登るなどが、体幹の強化によってより逞しくなってきます。
また、ボールを投げる、ケンケンパなどの体を大きく使った動きも容易にこなす様になります。
土踏まずが完成するこどもも現れます。
平均的に見ると大きく成長する頃ですが、個人差のばらつきが大きいので、大きな遊具に登るなどの際は、注意してサポートする必要があります。
2.チャレンジ精神が旺盛になる
新しく見る、新しく聞くなどの経験に敏感になり触れてみたい、歌いたいなど、これまでしなかった事を始めようという意欲が見えてきます。
危険がある場合を除き、ハサミ、絵筆、ストライダーなどのアイテムは、こどもの出来る範囲に合わせ徐々に触れる機会を作ってあげると良いでしょう。
お絵描きなどは、手先の発育にも効果的です。同じ形の大きさ違い、のような書き分けも可能になってきます。
3.自我が芽生えてくる
この頃は、
「なんでも自分でやりたい」
「自分にもできるはずだ」
という気持ちが大きくなり、色々な事に挑戦していく傾向にあります。
それゆえ、保育士さんに言われた指示を、「うん、わかった!」と素直に聞けずに反抗してしまう場面も出てくることも…。
こどもの気持ちを汲みつつ、伝え方を変えてみるなどの工夫をすると、スムーズに聞き入れてくれる事もあります。
4.言語能力が高くなる
これまで3語文であったのが、4語文5語文とどんどん成長します。
話せる言葉の数が増えるので、自分の気持ちを伝える、要求をする、などのコミュニケーションの幅が増えます。
また、チャレンジ精神との向上も相まって、なぜなぜ期にも突入します。
クラスの中では、お話が得意な子、まだお喋りが拙い子と、まばらになるので気配りが大切です。
年少児クラスの一日の流れ
生活習慣がほぼ自立した年少児は、年中さんや年長さんと同じような一日の流れで園生活を送ります。
ですが、個人への介助や見守りはまだまだ必要であり、集団の中のひとりとして無理をさせないよう配慮することが大切です。
年少児クラス・スケジュール例
まずは、年少児クラスの1日のスケジュールから見ていきましょう。
7:00 | 登園、自由遊び |
---|---|
8:30 | お片づけ、体操など |
9:00 | 排泄、手洗い |
9:30 | 朝の会(おやつ) |
10:00 | 設定保育、自由遊び |
11:30 | 昼食 |
12:30 | 自由遊び |
13:00 | お昼寝 |
15:00 | おやつ、自由遊び |
17:00 | 順次降園 |
年少児もまた未満児(3歳未満の子ども)と同じように「月齢による個人差」が大きいのが特徴。
同じ年少児でも「3歳になったばかりの子」と「もうすぐ4歳になる子」に同じレベルを期待することはできないことも。
未満児の担任保育士は常に「個人差」を意識することが大事です。
年少児クラス・担任保育士が一日に行う仕事内容
大まかなスケジュールは年中さんと同じですが、ひとつひとつに時間がかかるのが年少児です。
子どもとじっくり向き合い「待つこと」は担任保育士の大切な仕事。
丁寧に接していくことがポイントです。
では、朝の出勤時からの仕事内容を具体的に見ていくことにしましょう。
出勤
未満児クラスとは別に、年少・年中・年長の担任保育士で出勤のシフトが組まれます。
自分が担任する子どもだけではなく、他のクラスの親子と接する機会が多くなりますね。
他のクラスであっても「受け入れ」は同じように行います。
体調や連絡事項など、大切なことは必ず担任保育士に報告することを忘れずに!
お互い協力しながら、聞き漏らしや連絡ミスがないように心がけます。
自由遊び
登園した子どもはホールや保育室で自由遊びを楽しみます。
好きな遊びを選び、友だちや保育士と関わりながら1~2時間遊びます。
季節によっては外遊びをすることも!
室内外に関わらず、保育士は安全管理に努めるようにします。
保育士もシフトに合わせて次々と出勤し、子どもたちと一緒に遊びながら、さりげなく健康チェックを行います。
会話の中で「朝ごはん食べた?」など質問して、園児の生活状況を把握します。
保育士にとって、朝の自由遊びは子どもの情報を集める貴重な時間です。
体操など
お片づけをした後、音楽に合わせて体操をします。
一年中同じ体操を行う保育園もあれば、季節ごとに体操を変える保育園もあり、園によって取り組み方は違います。
また、体操の他にも軽い運動をすることもあり、保育園の個性が出る時間です。
年少児は排泄がほぼ自立していますが、今こそ保育士の配慮が必要な時期です。
未満児から進級した子はトイレが変わるので、慣れるまで介助や見守りが必要。
使い方を丁寧に伝えていくことが担任保育士の努めなのです。
手洗い
未満児の時と手洗い場が違うので、「正しい洗い方」や「使い方のルール」を伝えていきます。
年少児は「手洗い」がいつの間にか「水遊び」に発展する可能性もあります!保育士が他のことに気をとられている間に、床が水浸しになっていることもあるので要注意!
おやつの時間
年少児の午前のおやつについては保育園の方針によります。
年中さんや年長さんと同じく「おやつは午後のみ」の保育園も多いです。
設定保育
年齢や発達に応じた保育計画に基づいて設定保育をします。
内容は主に下記のような活動です。
- 絵画や製作など造形に関するもの
- 歌や楽器演奏など音楽に関するもの
- 運動に関するもの
- 踊りや劇遊びなど表現に関するもの
- 飼育や観察など自然物に関するもの
- その他、上記以外の活動
設定保育は、外遊び、水遊び、プール遊び、泥んこ遊び、雪遊びなどを取り入れることもあります。
保育士も一緒に遊び、自由遊びと同様に昼食の時間まで遊びます。
園内での保育に加え、下記のような場所で園外保育を行うこともあります。
歩いて行くこともあれば、バスに乗って出かけることもあります。
- 少し遠い場所にある大きな公園
- 海や山など自然が豊かな場所
- 日常の散歩
- 畑や果樹園など
自由遊び
設定保育が終わり次第、昼食の時間まで自由遊びを楽しみます。
担任保育士は子どもの様子を見ながら、昼食の準備をします。
使い慣れていない年少さんはトイレを汚してしまうことも多いのです。
年中さんや年長さんが不快な思いをしないように、チェックを忘れないようにしたいですね。
昼食、片づけ、お掃除
保育士の介助がなくても自分で昼食の準備ができるよう、ひとりひとりに声をかけます。
励ましもクラス全体に対して行うだけでなく、子どもに合った言葉を選んで個人的に声をかけたいですね。
年少児にとって「きれいに食べ終わること」はまだまだ難しい年齢。
飲みものをこぼすなどのハプニングには冷静に対処していきます。
「自分でやる」という気持ちもあるので、ふきんを多めに用意してテーブルに置いておくなど配慮します。
「好き嫌い」や「食が進まない」など食事が苦手な子どももいます。
量を減らすなどの工夫をしたり、本人の意欲がUPするような励ましを行い、それぞれに合った対処をしていきます。
食事の後には、食器・食べ残しなどの片づけ、テーブルの片づけ、掃除、拭き掃除、布団を敷くなどの仕事を保育士が行います。
一人担任の場合は、全てを単独で短時間のうちにやってしまいます。
子どもたちに目を配りながら、手際良くお昼寝準備を済ませてしまうスピード感には脱帽しますね!
お昼寝
年少さんはお昼寝の前後に「着脱」を頑張っています。
着づらい服でなければ自分で脱ぎ着をすることはできるので、たとえ時間がかかっても保育士は最後まで見守ります。
終わったら「上手にできたね」とほめることを忘れずに!
お昼寝前の絵本タイムは年少さんも大好き!いろんな絵本に親しむことができるよう、保育士は吟味して取り入れましょう。
年齢に合ったものはもちろんですが、未満児の時に親しんだ絵本を時々読むと、子どもたちは大喜び!
同じものを繰り返すことも楽しいですね。
お昼寝中に行う仕事
職員会議の他、3歳以上児の担任だけで行うミーティングもあります。
話し合いが特にない日は、本日行った保育の片づけを行うと共に、明日の保育の準備をします。連絡ノートへの記入もお昼寝中に済ませます。
行事を控えていると衣装や小道具などの準備で忙しくなります。
3歳以上になると準備するものが多くなり、造りが複雑になってくるので手間もかかります。
担任保育士は自分のクラス分をひとりでこなすので、お昼寝の時間だけで仕上げるのは困難!日程が迫ると、残業をする日も多くなります。
自我がはっきりしてくるので「恥ずかしい」という気持ちも強くなってくる時期です。
保育士は静かに手早く対応し、他の子どもに気づかれないような配慮が時には必要になります。
おやつ
子どもたちが食べる様子を見守りながら、体調に異変がないかチェックします。
終了後はテーブルを片づけ、必要があれば掃き掃除や拭き掃除を行います。
自由遊び、降園
カバンの中を最終チェック!汚れ物などの他に「その日持ち帰るもの」を忘れていないか確かめます。
担任保育士が早番の場合は特に入念にチェック!
保護者に伝えたいことがある時は、忘れずに連絡ノートに書いて持たせます。
年少児の担任保育士が注意すること4つ
1.園生活のルールを易しい言葉で伝える
決まりごとを理解し守ることができるようになってくるので、園生活のルールを年少児が解る言葉を選んで伝えていきます。
何故そういうルールがあるのかについても理解できるよう、保育士は表現の仕方を工夫することがポイントです。
絵本や紙芝居、DVDなど視聴覚教材があれば、更に解りやすくなるでしょう。
2.友だち同士の人間関係
友だちが気になり、一緒に過ごしたいという欲求が高まる時期。
ですが、自分の気持ちを伝える言葉が見つからずにイライラしたり、相手の意図が分からず不快に感じたり、お互いの気持ちが通じないことも多くあります。
トラブルがあった場合、保育者はフラットな立場でそれぞれの気持ちを聴くようにしましょう。
相手の気持ちが分かれば納得できることも多いのです。
おもちゃを奪ったり、相手を叩いてしまった場合も、保育士が「謝らせること」だけに意識が偏ると、子どもは「先生は自分の気持ちを聴いてくれない」と不信感を持つこともあるので要注意!
3.年少児に合った教材を吟味する
ボキャブラリーが豊富になり、言葉の意味を理解できるようになった年少児。
沢山の絵本に触れることで「想像力の育ち」にもつながりますね。
年齢の枠だけにとらわれず、自分が担任する子どもたちに合ったもの、タイムリーに彼らが喜びそうなものを選びましょう。
興味の幅がぐんと広がる時期です。沢山の素材に触れ、いろんな遊び方を経験させたいですね!
年少さんの頃に様々な教材を知っておくと、大きいクラスになった時、素材を自由に扱って自分のイマジネーションを活かすことができるようになります。
4.保育士は自分の言葉遣いに気をつける
年少児は模倣するのが大好き!身近にいる大人の口調や口癖を真似て、ごっこ遊びをしていることも多いのです。
保育士が何気なく言った言葉を、そっくりな口調で友だちと話していることもありますね!
自分の言葉遣いについて冷静に振り返り、見直す習慣を作りましょう。
家族や友人に「自分の口調や話し方」について聞いてみることも大事。
客観的な視点も必要ですね。
業務を効率的に進めるために…年少さんの子どもたちに5つことを手伝ってもらおう
1.「お片づけ、整とん」を手伝ってもらう
お片づけや整とんの機会は沢山ありますが、何を手伝ってもらうかは検討が必要です。
保育園では沢山の子どもが走り回っているので、家庭で行うお手伝いとは状況が違います。
危険やトラブルがないよう、手伝う本人の安全を守りながら「お片づけや整とん」を手伝ってもらいます。
2.「みんなへの配布物」を配ってもらう
クラス全員に何かを配る場面では、保育士の代わりにやってもらうことが「お手伝い」になります。
製作の際に折り紙を配ってもらうとテンションUP!はりきってやってくれますよ。
積極的にアピールする子どもだけではなく「やりたいけど言えない子ども」もいるので、全員がお手伝いできるよう配慮が必要です。
3.「拭き掃除」を手伝ってもらう
子ども専用の小さな雑巾を準備し、保育士と一緒に拭き掃除をします。
雑巾を絞るのがまだ難しいので、水洗いは保育士が行うようにします。
「子どもがすること」と「保育士がすること」の境界線を示し、ルールを守ってお手伝いができるようにしたいですね。
4.「植物への水やり」を手伝ってもらう
植物への水やりは、外遊び中にもできる「お手伝い」なので年少児にも向いています。
年少児は当番を決めなくても、「やりたい子がやる」というスタイルで充分です。
但し「水のやり過ぎ」はよくあるので、必ず状況を把握して水の適量を伝えるようにしましょう。
5.「他の保育士への伝言」を手伝ってもらう
年中・年長の担任保育士への伝言を依頼しましょう。
内容はもちろん簡単なもの!
「○○終わりました」
「○○お願いします」
など一言で済むような、重要度の低いものにします。
他の保育士が混乱しないよう、前もって「伝言のお手伝いをすること」を当事者間で共有しておきましょう。
担任以外の先生にほめられると、子どもたちのやる気と満足感はますます高まりますね!
まとめ
いろんな場面でまだまだ手がかかり、目が離せないことも多い年少児!
担任の保育士にとっては、ドタバタと忙しい一日があっという間に過ぎていきますね!
心身の成長が著しい年少児は、毎日が成長!毎日が進化!
保育士はキラキラした笑顔から沢山の喜びをもらい、仕事の原動力にしているのです。