勤続五年という大きな節目を越えた、看護師六年目。
怖いものなしの中堅看護師とも思える六年目ですが、ここで看護師を辞める、もしくは転職を考える方もいるようです。
今回は看護師六年目での辞めたくなる理由や転職事情について、まとめていきたいと思います。
この記事を読むことで、あなたが今転職すべきかどうかがわかるようになるので、ぜひご参考にしてくださいね。
看護師六年目で辞めたくなる理由
すっかり頼りにされる存在に成長し、だいたいのことには落ち着いて対処できるようになる六年目では、現状を変えたいと思って転職・退職を考える傾向があるようです。
詳しく理由をみていきましょう。
1.スキルアップ・キャリアアップを目指したい
六年目ともなると、自分のやりたい看護や学びたいことがはっきりしてきます。
看護師に加えてさらなる資格を取得するために、現在の職場を離れるケースがあります。
具体的には助産師・保健師などさまざまな資格がありますが、ここでは専門看護師と認定看護師を例に挙げてみます。
専門看護師は”実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること”、認定看護師は”看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)”が資格取得のための第一条件になっています。
さらに専門看護師では”看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること”、認定看護師では”認定看護師教育機関(課程)修了(6か月・615時間以上)”が求められ、この条件を満たしてはじめて認定審査を受けることができます。
参考:公益社団法人 日本看護協会
つまり、どちらの資格も”5年以上の実務経験”が必要とされているのです。
看護学校を卒業後、大学院などに進学せずそのまま就職した場合、まさに看護師六年目から審査を受けることができるようになるわけです。
いったん現役を退いて大学院に入ったり、実務経験を積むために病院・施設を変えたりすることを本気で考え始める時期にあたるといえます。
2.結婚・妊娠・出産・育児によるもの
看護師六年目というと、30歳前後の方が多いですね。
家庭に専念したいという気持ちから、看護師を辞めたいと思う方が出てきます。
特に近年は、保育所に入れず自分が子供の世話をするしかない、不妊治療をはじめたいのでハードで不規則な看護師を続けていくことが難しいという声も聞かれます。
看護師を続けるとしても、身体の負担やスケジュールの拘束を減らすため、夜勤や土日の勤務がない職場、パートタイムで働ける職場に転職を考える方も多いようです。
3.業務内容と待遇が見合わない
六年目ともなると、任されない仕事なんてほとんど無いのでは?というくらい、いろいろな業務を任されます。
それに応じて責任も重くなりますし、夜勤のようなスタッフ数が少ない時間帯では、自分が一番経験者なんてことも起こり得ます。
しかしながら、看護師の給与は上がりにくいと言われており、重責と給与が見合っていないと感じている方も少なくありません。
貯蓄をしたい年齢になってきますし、より待遇の良い職場へ転職したいという気持ちが湧きおこっても不思議ではありません。
4.人間関係の悪化によるもの
いろいろな業務を任され立場も上になり、チームリーダーを任されたりすることもあります。
ただし、チームリーダーを任されてはみたものの、リーダーになったゆえの悩みも新たに出てきます。
- 「自分では的確に指示出しをしているつもりなのに、思ったような仕事を部下はしてくれない…」
- 「自分の指示も聞いてくれているようで、聞いていない…。」
- 「メンバーへのフォローもしっかりしているのに部下から頼られている感じが全くない…」
- 「チームのみんなに全然慕われていない…」
リーダーとしてまだまだ未熟なのは自分でもわかっていても、チームを立て直す力も無く、いつしかチームはバラバラに…。
人間関係は悪化し、どんよりした職場環境にも嫌気が差し、心身ともに疲弊していき、ついには退職への道を選ぶようになるのです。
5.職場全体に対して我慢の限界
日常の業務をまんべんなくこなし、リーダー業務などでスタッフの上に立つ機会も増える六年目では、見通しがよくなったからこそ今までの不満が一気に噴出し、転職・退職したいと考える可能性があります。
不満の原因になるのは先ほど挙げた待遇面や重すぎる責任から、職場内の人間関係、職場そのものの問題(看護方針や経営方針、設備など)まで多岐に渡ります。
六年目の看護師の給料事情
六年目の看護師はどれくらいの給料をもらっているのかを調査してみました。
月給や平均年収のデータを確かなデータを用いながら詳しく解説していきます。
【事例】六年目看護師の月給・年収データ
大学・短大・2年制の看護学校、4年制の看護学校を卒業してから働き始めて六年目の看護師の年齢は、26歳~29歳ということになります。
そこで厚生労働省が公表している『令和2年賃金構造基本統計調査』の25歳~29歳の区分の「給与額」「年収」を見てみましょう。
区分 | 年齢 |
勤続 年数 |
給与額 (超過労働分む) |
年間賞与・ その他特別給与額 |
年収 |
---|---|---|---|---|---|
20~24歳 | 23.5 | 1.5 | 27万9,300円 | 42万9,200円 | 378万0,800円 |
25~29歳 | 27.4 | 4.0 | 32万0,200円 | 78万5,000円 | 462万7,400円 |
30~34歳 | 32.6 | 6.3 | 34万5,400円 | 84万4,800円 | 498万9,600円 |
35~39歳 | 37.5 | 6.9 | 35万3,160円 | 84万5,800円 | 508万3,720円 |
▼「企業規模計(1,000人以上)」に勤務する看護職員の給与
区分 | 年齢 |
勤続 年数 |
給与額 (超過労働分む) |
年間賞与・ その他特別給与額 |
年収 |
---|---|---|---|---|---|
20~24歳 | 23.4 | 1.4 | 28万400円 | 46万5,200円 | 383万円 |
25~29歳 | 27.4 | 4.1 | 34万1,300円 | 85万5,100円 | 495万700円 |
30~34歳 | 32.6 | 7.4 | 37万1,900円 | 101万8,300円 | 548万1,100円 |
35~39歳 | 37.5 | 7.2 | 34万9,200円 | 97万4,400円 | 516万4,800円 |
他業種に勤めている同年代の給料よりも高い水準なのではないでしょうか。
看護師の給料は比較的高いのがわかります。
▼関連記事
【看護師のお給料の裏事情】年代別の年収・月給、ボーナス額を徹底調査
六年目看護師の平均月収・平均年収
前項の給与データをならすと、平均月収と平均年収は以下のようになります。
・平均年収:478万9,050円
上記は正確なデータではないので、多少の増減はあるかと思いますが、一応の目安としてご参考にしてください。
給与面で不満の看護師は、そこまで多くはないはずですが、6年目の看護師は幅広い業務を抱えて責任も重くなると考えると、給料が少ないと感じる人も出てくるかもしれませんね。
看護師を六年目で辞めたら退職金はもらえるの?
退職金は実は法律などで決めれているものではないので、退職をすれば必ずもらえるというものではありません。
まず、勤務先が退職金制度を導入していることが必要です。
看護師の退職金支給は平成25年の調査では50%程度にとどまっており、平成30年には約87%と大幅に上がっていますが、まだもらえない職場があることには注意が必要です。
勤続年数別で見ると看護師の退職金は0~3年ほどだと支給されないのが一般的で、3年を超えたあたりから50万円程度もらえるようになります。
6年目の場合には、100~150万円くらいが相場です。
【転職事情】六年目で辞めたら転職は難しいの?
一般的に年齢を重ねた後の転職は難しいと言われていますが、看護師においてはその限りではありません。
看護業界は常に人手不足であり、経験を積んだ即戦力の人材にはむしろ多くのニーズがあります。
また看護のスペシャリストである専門看護師や認定看護師になるには実務経験が通算5年以上、専門分野で3年以上という条件があるため、キャリアアップを考えるにはちょうど良い時期とも言えます。
転職や再就職に困ることはないから自信を持とう!
看護師歴は五年を突破しており、再就職に困ることはあまりないと考えられます。
即戦力として多くの病院・施設に重宝されるでしょう。
もし、あなたが転職したいと考えているならタイミングとしては悪くありません。
出産や育児でブランクがあるとしても、まる5年の看護師経験はポイントアップになります。
再就職時は自信をもって、自分をアピールしていきましょう。
看護師六年目では、自分の中に「五年以上も続けてきた!」という固い自信ができてきます。
その自信を持って働き続けるのも良し、キリの良いところで家庭に入ってみるも良し、思い切って新たな道に進んでみるもの良いですね。
六年目の看護師が転職成功を目指す上でやるべき5つのこと
転職成功を目指すために絶対にやるべきことは以下の5つです。
- 転職候補先の情報を入念に行う
- 外せない希望条件と妥協できる条件を洗い出す
- 条件に合う求人にはできるだけ多く応募する
- 転職先が決定するまで退職しない
- 転職サイトを必ず利用する
看護師として基本的な技術と知識がしっかりと身についた六年目で、さらに飛躍しようと転職する場合は下準備が重要です。
これをやるかやらないかで転職の差が付きますから、しっかりと準備に手間と時間をかけましょう。
1.転職候補先の情報を入念に行う
自分の興味ある分野や条件が整っている転職先を見つけましょう。
求人を見つけることは難しくありませんが、求人だけの情報では少ないので、あらゆる角度から情報を収集しておきましょう。
例えばクリニックや病院の運営方針や実績、さらに口コミも患者目線や働いた人の声など集めます。
できるだけ多方面から集めて、本当に働きやすいか、自分のやりがいが達成できるかなどを吟味しましょう。
2.外せない希望条件と妥協できる条件を洗い出す
転職にあたり、六年目ともなると希望や条件がでてきます。
ただ全部を叶えようとすると転職も難しくなります。
また視野を広げるためにも、最初から条件を絞りすぎないことも大切です。
そこで改めて自分の希望について見直してみましょう。
希望や条件をピックアップすると、ここは絶対に外せないといった部分と、可能ならという部分が出てきます。
条件も優先順位をつけるようにすると、より効率的に自分の希望に合った職場が見つかります。
3.条件に合う求人にはできるだけ多く応募する
実際に自分の希望に合った求人があれば、応募は絶対にしておきます。
面接などで話していると違うとなることもありますが、その時に辞退すればいいので遠慮は不要です。
看護師の転職は多いですから、競争も激しいです。
できるだけ数多くの求人に応募しておき、自分の可能性を広げておくことが大切です。
ただ何でもかんでも応募するのではなく、あくまでも自分の希望に合っている、興味が持てる仕事であることは大前提です。
4.転職先が決定するまで退職しない
転職活動をしていると、いろいろなことに時間を取られます。
もともと看護師の仕事は忙しいですから、仕事をしながら転職活動をするのは負担に感じるかもしれません。
しかし、転職前提で今の仕事を辞めてしまうのは避けた方が良いでしょう。
スムーズに短期間で次の職場が決まるとは限りません。今の仕事は転職が決まるまでは続けることが、生活の基盤、精神的にも安定します。
できるだけ仕事を続けながら転職活動を続けましょう。
5.転職サイトを必ず利用する
仕事をしながら転職活動も行うとなると、自分一人ではできることが限られます。
せっかくの良い条件の求人があっても時期を逸する可能性もあります。
そんなことがないように転職サイトを利用することがおすすめです。
条件で絞って検索できますし、役立つコラムなども生かせて便利です。
また、担当のキャリアコンサルタントが付くので下記のようなことを代行してくれます。
- WEBには載っていない非公開求人を紹介してくれる
- 病院など転職候補先の職場環境や内部事情を担当から教えてもらえる
- 履歴書・職務経歴書の書き方や添削、面接対策をしてくれる
- 面接日時の日程調整といった面倒なこともサポートしてくれる
- 給料アップといった聞きにくい条件交渉も代わりに行ってくれる
時間に無駄なく求人を探せて、転職サポートも受けられますから、手間も省けて忙しい看護師にはぴったりのサービスなんです。
自分の実績に応じて求人を紹介してくれたり応募できたりしますから、的外れな求人に時間を割くことがありません。
六年目の看護師におすすめの転職サイト3選
このように六年目の看護師は経験、ニーズ共にバランスの取れた年代であり、幅広い転職先を考えることができます。
そんな人におすすめの転職サイトを紹介しましょう。
1.レバウェル看護
求人数は15万件以上と、他のライバルサイトに比べても非常に多くの件数を誇っているため、自分に合った求人を見つける手助けになるでしょう。
また医療機関の情報も豊富に持っているので、退職金の有無といった細かな情報も聞くことができます。
プロの担当アドバイザーによるサポートは業界のアンケート調査でも上位の評価で、LINEで気軽にやり取りできるのも魅力です。
レバウェル看護公式サイト:https://kango-oshigoto.jp/
2.マイナビ看護師
転職業界最大手のマイナビが運営する看護師向け転職サイトで、多くの転職支援をしてきた実績が生かされた安定感のあるサイトです。
転職のノウハウなどをまとめたWEBコンテンツの充実が評判で、他にも直接転職の相談に乗ってもらえる相談会や転職セミナーが積極的に開催されているのが特徴です。
大手の強みとして、全般的に求人の質が高い点も魅力と言えるでしょう。
マイナビ看護師公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
3.ナースではたらこ
「バイトル」や「はたらこねっと」などでも知られる東証一部上場企業のディップ株式会社が運営していることから、実績と信頼性の高さは抜群。
利用者との対面面接を重視するなど、親身になってもらえるアドバイザーを豊富に揃えているところが強みの一つで、希望通りではないミスマッチを事前に防ぎやすくなっています。
求人が掲載されていない勤務先でも希望すればアドバイザーに確認してもらえる逆指名制度が評判で、顧客満足度調査でも毎年高い評価を得ています。
ナースではたらこ公式サイト:https://iryo-de-hatarako.net/
まとめ
以上、六年目の看護師が仕事を辞めたいと思う理由や給与事情、上手に転職するコツについて紹介しました。
最後にもう一度、看護師六年目に起きがちなことや転職する際のポイントをまとめると、
- できない仕事が少なくなる分、上の立場での新たな悩みが出てくる
- 即戦力として多くの病院・施設から重宝されるため転職しやすい
- 転職サイトを利用すれば的外れな転職先に就くことを避けられる
という3点が挙げられます。
「今の職場に色々と限界を感じている…。転職したい!」
という方は、このページを参考にしながら転職活動に向けて動き始めてみてはいかがでしょうか。