在宅ワーク詐欺は現代の内職商法です
小さなお子さんがいて家を空けられない主婦の方でも、キャリアを断絶しないため、また家計の足しにするために、在宅ワーク(SOHO)に取り組みたい方は多いでしょう。
不況が続く現在ではインターネットを活用して仕事を探す人などが増えています。
また、会社勤めをしていても、給与が上がらないため副業に励む人も多いです。育児休業中の主婦の方にとっても、SOHOは副業となります。
そんな人を狙った詐欺が在宅ワーク詐欺です。在宅ワーク詐欺は現代における内職商法であり、インターネットの普及に伴ってその被害が増加しています。
在宅ワーク詐欺とはどのような詐欺なのか、具体的な事例などに基づいて確認してみましょう。
サイト作成料金などを請求されます
在宅ワーク詐欺は「在宅ワーク」「副業」などを探している主婦などをターゲットとしています。また、世間に対する知識の薄い学生などもターゲットになります。
まずは最初にサンプルとして数百字程度の記事を書かせて、少額の報酬を支払います。
その後「あなたの文章は素晴らしいのでサイトを作って宣伝をしましょう」などと提案して、サイト作成費として数万円の支払いを要求するのです。
これを信じてお金を入金した人には「あなたの文章への問い合わせでサーバーがパンクしそうですから、サーバーを増設しましょう」など提案して、数十万円の支払を要求します。
お金の支払を要求する際には「仕事を確実に獲得できるようにバックアップします」「仕事が獲得できなかった場合には返金します」などと説得しますし、またお金がないという人の場合には消費者金融などでお金を借りて入金することを指示するのです。
「お金を要求する」のがポイントです。名目は何でもいいのです。仕事を受けるほうから、仕事を頼むほうにお金が流れるのはおかしいのですが、おかしな流れがあるということは、すなわち詐欺だということです。
しかし実際にまとまったお金を入金するとその後は音信不通になって、仕事のバックアップやお金の返金などは一切行われないのです。
このような在宅ワーク詐欺が近年では増加しています。
インターネットには実際に被害にあったという人の体験談などが数多く掲載されていますので、在宅ワークを探しているという人はしっかり目を通しておくことをおすすめしたいと思います。
高額の教材費などを請求する場合もあります
またスキルアップのためと称して高額の教材を売りつけるケースなどもあります。
これは知識や技能を身につければ高額の報酬の仕事を紹介するといういわゆる内職詐欺の一種なのですが、「1日で数万円が稼げますよ」「時給に換算すれば3000円程度が稼げますよ」などと誘われるとついつい騙されてしまうのです。
高額な教材をクレジットで購入して真面目に勉強に取り組んでも、実際に仕事を紹介してもらえることはありません。
仕事の紹介を求めても「まだスキルが不足しています」「もうすぐ人気の案件を紹介することができます」などとごまかされてしまうのです。
また仕事を紹介してもらうことができてもほとんどの場合は架空の仕事であり、実際には支払った教材費の一部が返金されただけなのです。
最終的には音信不通になってそれで終了ということになります。
詐欺はなくならない
基本的に詐欺の構造は、騙す相手の欲に漬け込むということにあります。
在宅で仕事をしたいという希望は決して過大な欲求ではありませんが、そんなささやかな希望であっても、騙しのプロには狙い撃ちされます。
振り込め詐欺がなくならないのも、身内の不祥事をなんとか穏便に済ませたいという、人の欲に漬け込んだものだといえます。
先日は、「だまされた振り作戦」を利用した詐欺がありました。振り込め詐欺を仕掛けておいて、同じ一味が今度は警官を装い、「だまされた振り作戦」に協力してくださいと持ち掛けて見せ金としてのお金を詐取したのです。
これもまた、「悪い奴らを捕まえたい」であるとか、「世の役に立ちたい」というささやかな欲を狙ったものだと言えるでしょう。
動機はどうあれ、在宅ワークをしたいというのはすでになんらかの欲を伴っています。それをまず自覚しましょう。
楽をして簡単に稼げる仕事はありません
在宅ワーク詐欺に引っかかってしまう人の場合には、在宅ワークについて誤解していることが多いようです。
在宅ワークで高収入を獲得するためには高度で専門的なスキルが必要とされます。そのスキルも、実務を踏まえずに一朝一夕で身に着くものではありません。
在宅だから活用できるというスキルは、世にはあまりありません。多くの人は、実社会で身に着けたスキルを在宅ワークに活用しているのです。ライティングの仕事にしても、日ごろ文章を書く習慣のない方が、すぐに書けるようにはなりません。
また実際に在宅ワークをしている人の大半は低賃金で長時間働いていることが多いのです。在宅ワークは楽をして簡単に儲かる仕事ではありません。
甘い言葉に騙されないようにくれぐれも気をつけてください。
詐欺を見抜く判断材料を養おう
お金の持ち逃げというと立派な犯罪ですが、そこまでいかなくても、SOHOビジネスでは多少の粉飾はよくあります。
決して支払うつもりのない額を、上限として提示していたり、テストライティングについて出来が悪いから報酬を支払わないなどです。本当に出来が悪いなら仕方ないですが、タダで原稿だけ持っていかれればちょっとした損害です。
ヤフーオークションが大きく成長したのは、取引相手の信頼をスコア化したことに一因があります。常に誠実な取引をしていると、評価がどんどん高まり、より信頼が得られるようになります。こうした仕組みの中には、最初から人を騙して儲けようという詐欺集団は入り込みにくくなります。
在宅ワークも同様で、クラウドワークスなどの大手では、仕事を頼む側、受ける側それぞれの評価をスコア化しています。不誠実なクライアントは、過去をさかのぼっていきますと必ずその不誠実さが評価に現れてきます。そもそも、誠意を持った対応をしていれば、悪い評価はつかないはずだからです。
仕事を受ける側もまた、このようなビジネス社会では、誠実に業務をこなすことが強く求められます。