看護師の就職先と言えば?多くの方が一番に思いつくのは”病院”でしょう。
しかし、看護師を目指しながらも、病院では働けそうにない・働きたくないと思っている看護学生さんもいます。
加えて、病院に就職したものの、すぐに辞めたくなってしまった新人看護師さんもいることでしょう。
本記事ではそんな方々のため、新卒看護師の病院以外の就職先や、病院以外を選択するメリット・デメリットをまとめみました。
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病院は無理!?看護学生・新卒看護師の本音
看護師免許を取得後、初めての就職先に適しているのは”病院”だとよく言われますよね。
※暗に総合病院を示していると考えられますので、ここでは”病院=総合病院”として話を進めます。
その理由は、学生時代に学んできたことをフルに発揮でき、臨床でさらなる教育を受け、経験を積み、看護師としての基礎を築くことができるからです。
将来的に病院以外で働きたいと考えていても、「最初は病院から」と考える方も少なくないでしょう。
病院で働くことへの悩みや不安の声
ところが、病院で働くことに不安があったり、拒否反応を示してしまう看護学生さん・新卒看護師さんの声も聞こえてきます。
以下のような悩みや不安を抱えている方が多いのです。
- 看護師にはなりたいけど、体力的についていけるか心配
- 看護実習を通して、自分は看護師に不向きだと感じてしまったが、今更退学してすべてやり直すのも…
- ここまで看護の勉強をしてきたけど、病院では働きたくない
- 病院で働くのは嫌だけど、看護師が嫌なわけではない
- 病院に就職してみたものの、やっぱり合わなかった
人間誰しも、向き・不向きはあるもの。
看護師の就職先だってそうです。
どうにも病院が合わない人もいるでしょう。
そんな場合は、どこに就職したらよいのでしょうか?
病院以外の就職先候補おすすめ9選
”看護師経験のある方”
”新卒はお断り”
このような応募条件がない限り、基本的にはどこへでも就職可能です。
ここでは、病院以外で考えられるおすすめの就職先候補を紹介していきます。
1.クリニックや診療所
クリニック・診療所では、基本的に院長の医師が一人で来院患者の診療を行います。
そのため、看護師の主な仕事は医師の診療補助作業になります。
具体的な作業内容は、
- 受付や電話対応
- 診療前の問診
- バイタルの測定
- 検査の説明
- 治療の補助
- 採血
- 注射
- 点滴の対応
- 心電図の測定
- レントゲン画像の現像
- 器具の消毒作業
- 備品の在庫管理
- 清掃
- その他雑務
まで幅広いです。
クリニックや診療所はこんな方におすすめ
診療所やクリニックで働くのが向いているのは以下のような方です。
- 規則的正しい生活をしたい人
- 命に関わる重い状況を避けたい人
- プライベートを大事にしたい人
日勤だけの職場が多く、病棟と比較して患者の病状も軽いため、肉体的、精神的な負担を極力かけたくないという方に向いています。
プライベートを大事にできるメリットがあります。
さらなる詳細情報は「診療所・クリニックの業務内容やメリット・デメリット、転職先を決めるためのポイント」で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
2.介護施設や介護サービス関係の事業所
主に医薬系の知識を活かし、入居者の健康や衛生状態の管理に携わるのが、介護業界での看護師の役割です。
日ごろのケアはヘルパーらが行うので、看護師は原則関与しません。
業務の具体例は
- バイタルのチェック
- 投薬の確認
- 軽度なケガの治療
- 人工肛門のケア
などです。
加えて医師の指導の下で、点滴やカテーテルの操作なども行います。
介護施設や介護サービスはこんな方におすすめ
医薬系の専門知識と技術をもち、介護の現場で活躍したい人におすすめです。
医療と介護の両面から利用者にアプローチするので、健康を守りながらホスピピタリティや施設でのQOL向上に取り組めます。
介護施設が終の住処となる方も多いため、人生の最終盤をサポートしたい人にも向いているでしょう。
3.保健所や保健センター
公務員となる保健所の看護師は広域的な業務を取り行うことが多く、保健センターでは地域に根付いた保健サービスを行います。
保健センターでは健康相談や指導、母子へのサービス、感染症対策など幅広い仕事をするのが特徴です。
どちらも保健師の資格があると採用に有利とされています。
保健所や保健センターはこんな方におすすめ
保健所や保健センターは該当エリアの広域的な業務から、地域に根付いた保健サービスを提供するために幅広い知識が必要になります。
健康相談や窓口としての役割があるので、地域の住民とのコミュニケーションをしっかりと取れる人におすすめです。
勤務形態としては日中業務が中心で夜勤が無いので、ワークライフバランスを考えて働けるのもメリット。
また保健師の資格を持っているならは採用率があがるので、持っているならば転職先として選ぶのも良いでしょう。
4.産業看護師(企業勤務)
産業看護師は医療機関ではなく、一般企業の医務室などに勤務する看護師のことです。
求人もあまり出ないので知名度は高くないですが、1,000人を超えるような規模の企業だと産業看護師を社内に常駐させている場合が多いです。
勤務中に突然具合が悪くなったり、不意にケガをしたりした社員に処置を施します。
定期的に行われる健康診断も大切な業務です。
産業看護師はこんな方におすすめ
現代は企業内におけるメンタルヘルス(心の健康)が重要視されている時代です。
産業看護師は日頃の健康相談と合わせて、メンタルヘルスの相談も受ける機会が非常に多くなっています。
体と心、どちらの問題にも対処したいと思っている看護師に向いているでしょう。
また、多くの健康管理データを扱いますから事務的作業の比重が多く、こうした働き方に馴染む方には産業看護師はおすすめと言えます。
5.保育園(保育園看護師)
保育園看護師とは保育園内で勤務する看護師で、園児の健康管理を行うことがメインの仕事です。
保育園は0歳から入園できますが、小さな子は体調も不安定になりやすく、国の方針で看護師を置くことが義務付け(もしくは推奨)されています。
園児への衛生指導、近年増えているアレルギーのある子への配慮など、小児科的な仕事内容となっているのが特徴です。
保育園看護師はこんな方におすすめ
保育園看護師は保育園内という場所柄、日々小さな子に対応することになる仕事です。
そのため、子どもが好きという看護師には非常におすすめできる仕事となっています。
もしくは小児科勤務志望の人、よりよい労働環境を求めて小児科から転職する人にも、保育園看護師は魅力的な選択肢となるでしょう。
どんどん需要が増えている仕事なので、必要とされ、やりがいも感じる可能性が高い仕事と言えます。
6.治験医療機関(CRC)
基礎的な知識・技術を用いた一般的な看護業務が中心です。
参加希望者や被験者のバイタルチェックや医師への連絡など、治験実施のサポートが求められます。
心電図などの検査類や採血も、職場によっては任せられる業務となります。
専門的な業務は医師や治験コーディネーターが行いますので、看護師はその他の、医療知識が必要な部分を担います。
治験医療機関(CRC)はこんな方におすすめ
新薬開発や医療の進化に貢献がしたい人におすすめです。
もちろん、治験コーディーネーターへのステップアップを考えているなら、最適な職場と言えます。
現在、新薬開発は各製薬会社が注力し、競争が激しくなっているため成長している業界なので、求人募集数は多めです。
その上で専門スキルが必要とされないケースが多く、まだキャリアが浅い方の転職や、ブランクありでの復職を考えている看護師にも選択肢となります。
7.訪問看護
自宅で生活している方を訪問し、医療的ケアを実施するのが仕事です。
他の分野のスタッフとも連携し、自宅療養から最期の時まで包括的にサポートする上で大切な役割を担います。
健康状態の確認の他、療養指導や軽い医療的処置など、基本的な看護業務が中心です。
加えて要介護者やその家族の悩みを聞いて、解決策をアドバイスするような相談役としての役目もあります。
必要なケアサービスの紹介や、入退院時の支援なども状況によっては必要です。
訪問看護はこんな方におすすめ
地域医療の発展を目指したい方や、一般家庭に行き届いた医療的サービスを提供したい方におすすめです。
利用者はもちろん、その家族や他のスタッフからも頼りにされるのが訪問看護師。
責任も重いですが、その分、やりがいを大切にしたい方は要検討の職場です。
自宅で最期を迎える方も多いため、終末期看護の分野に挑みたい方にも適しています。
8.献血、検診ルーム看護師
献血や検診ルームでの看護師の業務は、主に単純作業なものが多いのが特徴です。
献血、採血、健康診断における各種の検査をおこなうのがメインの仕事であり、夜勤がないという点が大きなポイント。
単純作業や事務的な仕事が多めとなるのですが、病院内のような大きな症状を持っている人を扱わないので、プレッシャーが低いのもメリットとなっています。
献血、検診ルーム看護師はこんな方におすすめ
献血や検診ルームでの仕事は比較的単純作業や事務的な作業が多めとなっているので、忍耐力を持っている人の方が適しています。
また夜勤の形式がないので、夜に働くのが苦手な看護師さんにも向いている仕事です。
ただし、看護スキルに関してはそこまで高いものを求められないものの、実務的なスキルは身に付きにくいので注意は必要と言えます。
9.医療機器メーカー(クリニカルスペシャリスト)
医療機器メーカーで働く看護師のことをクリニカルスペシャリストと言いますが、こちらは病院に勤めている医者や看護師、患者、医療機器メーカーの従業員に対して専門的な情報を提供するのが主な仕事です。
一般企業に勤める形式となっているので、こちらも夜勤が病院の看護師よりも少ないです。
また、営業をすることも多いのでかなり仕事内容が違ってきます。
医療機器メーカーはこんな方におすすめ
クリニカルスペシャリストは情報を提供することが必要となるので、高度な情報を常に学び続ける姿勢がある人に向いています。
営業やコミュニケーションをする機会が多い仕事なので、これらのスキルに強みのある方に向いている仕事となっています。
一般企業で働くことになるので土日祝日は休みになり夜勤が基本的にないので、安定した働き方を望んている人にもおすすめです。
給料は減少するもののバリバリ働きたくない人に最適
上記は残業や夜勤が少ないので、「あまりバリバリ働きたくない…」という方にもおすすめです。
それ以外にも、看護師免許取得後すぐに就職できるわけではありませんが、さらに高度なの専門教育を受けることで、看護学校教師や看護研究者を目指すこともできます(看護師としての臨床経験が必要な場合があるので確認が必要)。
それぞれの給与体系は?
病院以外で働いた場合、給料は低いのか気になるところですよね。
職場ごとの収入を下の表にまとめました。
給料の目安がわかれば、就職先の検討材料になるので、ぜひ把握しておきましょう。
病院以外の就職先を選ぶメリット・デメリット
では、病院以外の就職先を選んだ場合、どんなメリット・デメリットが考えられるでしょうか?
病院以外の就職先を選ぶ2つのメリット
1.病院勤務と比較して、身体的・精神的な負担が少ない職場がある
前項目で挙げた”病院以外の就職先”は、夜勤なしで日勤のみ・平日勤務のみ・残業が少ない職場が多いです。
主な業務がデスクワークであるところも、直接人命に関わることがないところもあります。
2.看護師免許が無駄にならない
学校に通って、辛い実習を乗り越えて、国家試験をパスしてせっかく取得した資格です。
活かせるところで働けると良いですよね。
病院以外の就職先を選ぶ4つのデメリット
1.将来、転職の選択肢が少なくなる
転職しようと思ったときに、困る可能性があります。
病院勤務から病院以外に転職することは、さほど難しいことではないと考えられています。
しかし、その逆は困難です。やはり最初に病院勤務をしておくと、看護師としての基礎が作られるのでしょう。
さらに、臨床経験が必須となる求人もあるかもしれません。
なお、ずっと最初の職場(病院以外)で働き続ける場合や、看護に関係ない職場へ転職する場合は問題になりません。
2.同期が少なく、教育制度も整っていない場合が多い
総合病院のように看護師数が多く、毎年複数の新人看護師を迎え入れる職場は、教育制度が整っているところが多いです。
しかし小規模の職場では、そうはいかない可能性があります。
悩みを打ち明けられる同期がいないと、心細いかもしれません。
3.学んできた看護技術を活かせないかもしれない
技術は使わないと忘れます。転職するときに苦労するかもしれません。
4.病院勤務の看護師と比べると給与が少ない可能性がある
病院勤務は夜勤手当や残業手当がもらえますが、病院以外では夜勤・残業がないところが多いです。
手当の分、給与に差が出ます。
病院以外の職場は基本的には新卒におすすめできない
新卒で病院以外の職場に勤めるのはオススメできない理由を言うと「臨床経験がない看護師はどこへ行っても通用しにくい」ということです。
→これは最低限、身につけないといけないスキルなのです。
もちろん、末期であれば血管は脆弱になっており下手をすると化膿もしてしまう。
そういう局面では…
→未然に防ぐには医師の指示を聞くだけでなく自分で考える力、カルテを読み取る力が必要
→処方薬などから、どのような事に注意をしないといけないのかを想像しないといけない
こうした力は日常の臨床を経験すると身につくので、いきなり病院以外に勤務するとこれらのスキルや経験値が向上しない、という事態になりかねないのです。
病院以外は求人倍率が高いので入念な準備が必要
確かに介護施設、訪問看護の求人はたくさんあります。
給料も病院とほぼ変わらず(残業・賞与分は減りますが)高収入が約束され、拘束時間も病院と比べれば短いとなると、人気が高いのもうなずけますよね。
病院よりも募集人員数が少ないため競争が激しく、求人倍率は常に高いのが現実です。
そのため、就職活動する段階で準備は抜かりなく行うことが要求されます。
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まとめ
新卒看護師の就職先は、病院に限らないということがわかりました。
病院以外の看護職を極めるのも良いですね!
収入面や将来の転職のことまで考えたうえで、自分のライフスタイルに合った就職先を選んでくださいね。