30歳頃になるとエンジニアとして働く人の多くが、その後のキャリア選択の壁に突き当たることになります。
スペシャリストとしてエンジニアの道を進むのか、あるいは組織の経営幹部であるマネージャーを目指すのかで悩むのです。
キャリアの選択を考える際には
「サーバントリーダーの登場」
「ヒューマンキャピタル型からヒューマンリソース型への転換」
「コンピテンシーに基づく人事評価の導入」
など、企業マネジメントの従来の認識を覆す新しい形態への進化をしっかりと認識してください。
エンジニアが次に目指すキャリアにより求められる能力はそれぞれ異なります!
以前からのゼネラリスト・スペシャリストという分類形式自体が、近年では意味がなくなりつつあるようです。
エンジニアに求められる能力は、将来目指すキャリアによりそれぞれ異なります。30歳前後のできるだけ早い時期に、ある程度の方向性を決めておくことをおすすめします。
また、プロフェッショナルは新たなモデルやロジックを、自分の専門や知識を活かして作り上げます。
プロは自分のブランドで勝負をしますので、会社ではなくその人自身に仕事の依頼が来るのです。
ゼネラリスト・スペシャリストという分類はプロにとって意味はありません。
自分の専門領域の範囲内で仕事をする専門家とは異なり、プロは自分の知識や経験を応用して領域外の仕事に活用するのです。
将来マネージャーを目指そうとする人は、プロであることが必要不可欠
今後、マネージャーにはプロデュースの能力が必要とされます。人をまとめて動かすことはもちろんですが、さらに様々な人たちの個々のノウハウや強みや専門を活用して、大きな力へと転換するトータルプロデュースの能力が重視されるのです。
具体的にいえば自分自身の専門性を領域外にも適用できる人がプロフェッショナルですから、まずはプロであることがよいマネージャーになるための前提条件となります。
プロの条件はコンピテンシーレベル「4」以上であることです!
仕事で大きな成果を上げる人に特有の行動特性として、コンピテンシーがあげられます。
コンピテンシーは人事担当者に必須のアイテムとして、多くの企業で社員の評価に活用されています。
5段階のレベルがコンピテンシーには設定されていますが、レベル3以下とレベル4以上ではその内容に大きな違いがあります。
レベル1の人は自分の能力を、上司や周囲からの指図により活用します。
「いわれたらやる」
「追い込まれたらやる」
という人であり、周囲からの働きかけがなければ積極的な行動はしません。
レベル2になると自分から行動を起こすようになりますが、あくまでも条件反射的な行動に限られます。
レベル3の人はまずはいったん考えて、その後自分自身の判断や意図に基づいて行動を起こします。
現状を分析した上で、最善だと判断した行動を始めるのです。
ただしレベル3の人の行動は、あくまでも周囲の状況に従ったものになります。
一方のレベル4以上の人は、その行動により周囲の状況を変容させます。
コンピテンシーレベルが4以上の人が、いわゆるプロフェッショナルです。
状況を阻害する要因を分析して、状況そのものを変えようとします。
独自のアプローチや工夫による方法を検討するのが、レベル4以上の人の特徴です。さらにレベル5の人の場合には周囲の状況を変化させるのではなく、これまでとは別の常識による新しい世界を実現しようとします。
パラダイムの転換を図るのがレベル5の人の特徴であり、レベル4やレベル5の人は起業家としての資質を備えています。
セルフマネーメント能力の高さが、コンピテンシーレベル4以上の人に共通する特徴になります。
さらにプランに独自の工夫を加えることも、レベル4以上の人のセルフマネージメントスタイルだといえるでしょう。
従来からのプランに従うのではなく、自分自身が置かれた状況を改善するために独自のプランを作成します。
実際にそれを実行して結果を確認し、結果をフィードバックしてプランを改善するのです。
リーダーには新しい資質が求められています!
最近ではリーダーに求められる資質が進化しつつあり、マネージメントの形態に大きな変化が生じています。
エンジニアからマネージャーを目指す人や、さらに将来経営幹部であるCIOや起業家を目指す人は、この点をしっかりと意識してください。
従来のリーダーはチーム全体の指導者であり、プロジェクトの中心としてメンバーに指示を与えます。
その他のメンバーはリーダーの指示で動くコマとなり、リーダーとは主従関係になるのです。
リーダーはチーム全体を動かして、プロジェクトに関する全ての責任を背負うことになります。
サーバントリーダーと呼ばれるタイプが、これからの時代に必要とされる進化したリーダー像である
サーバントリーダーは、従来からのリーダーとは行動が異なります。
チームのメンバーには個人目標が設定され、それぞれが個人としての目標を達成することがチーム全体のメリットにつながります。
それではサーバントリーダーは、チームの中においてどのような役割を果たすのでしょうか?
サーバントリーダーのサーバントは、日本語に翻訳すると召使のことです。
召使というとチームの中で最も役に立たない人の役割を連想するかもしれませんが、実際にはチームの中で最も優れた人がこれを担当することになります。
具体的には知力・体力・パワー・知識・情報・ネットワーク・ノウハウなどの様々な資源を持った人がサーバントリーダーになり、チームのメンバーがそれぞれの目標を達成するために、全面的にその資源を提供するのです。
組織は従来のヒューマンリソース型からヒューマンキャピタル型へと変化しています!
従来の企業組織はヒューマンリソース型であることが一般的だったのですが、サーバントリーダーが出現したことによりヒューマンキャピタル型へと変化しています。
メンバーをリソース(資源)と捉えるのがヒューマンリソース型ですが、一方でメンバーをキャピタル(資本)と捉えるのがヒューマンキャピタル型になります。
ヒューマンキャピタル型ではチームメンバーのそれぞれが目標の達成に取り組んでいる際に、リーダーは自分の資源を誰にどのような割合で提供するのがベストなのか、ポートフォリオ形式で検討します。
つまりメンバーに対して投資を行い、組織全体で最大限の利益が得られるポートフォリオを構築するのがリーダーの仕事なのです。
ヒューマンキャピタル型の組織におけるリーダーは、自然にサーバントリーダーとしての役割を果たすことになります。
サーバントリーダーを目指すのがキャリアアップへの近道です!
ここまでの話の内容は、IT業界においてもそのまま当てはまることになります。
IT業界にとっては中国の台頭が大きな課題となっており、マネージメントを担当するサーバントリーダーの登場や組織のヒューマンキャピタル型への転換は、これに対抗するための必然的な変革だといえるでしょう。
「従来のIT企業にはSEや外注のプログラマーなどがいて、さらに仕事全体の配分を彼らをまとめるマネージャーが考えることが一般的でした。
しかしこのような形態の組織では人件費が安い中国に対抗することは難しく、今後生き残っていくことは困難になります。
中国から押し寄せる価格低下の波と戦える勝ち組企業には、複数のサーバントリーダーによるマネージメント手法が必要不可欠なのです。」
あなたが現在ITエンジニアとして働いているのであれば、優秀な技術者をマネージメントするサーバントリーダーが社内に何人いるのか確認してみてください。
社内にサーバントリーダーが皆無なのであれば、あなた自身がサーバントリーダを目指すという選択肢もあります。
サーバントリーダーを目指すのが、キャリアアップへの近道になります。
サーバントリーダーとして組織のマネージメントで一定の成果をあげれば、将来の転職の際に高く評価されるでしょう。
現状に従属しないことがコンピテンシーを高めます!
サーバントリーダーを目指すことが、厳しい競争に勝ち残るための条件となります。
それではサーバントリーダーに必要とされるコンピテンシーレベルを高めるには、具体的にはどのようにすればよいのでしょうか。
「まずは今までの仕事のやり方に従うのではなく、今の状況そのものを変化させるというポリシーが必要になります。
現状に従属しないというポリシーを持って、社内においても顧客に対しても自分の考えをどんどん提案してアピールしましょう。」
ただし実際には周囲からのプレッシャーや反対意見が多く、こうした姿勢を貫き通すことは厳しいといえるかもしれません。
「サーバントリーダーにはチーム内のメンバーの誰よりも豊富な、知識やネットワークやノウハウが要求されます。
さらにレベル4以上のコンピテンシーが必要であり、コンピテンシーレベル4以上の習得には環境に従属しないという強い意思を、徹底的に貫き通すことが求められるのです。」
アライアンス型の起業家を目指しましょう!
エンジニアのキャリアはコンピテンシー・レベルに応じて、マネージャーや経営幹部(CIO)、あるいは起業などの様々な選択肢が検討対象になります。
ただしITエンジニアの将来の起業については、アライアンスの模索が欠かせません。
少なくとも3つのスキルが、企業経営においては必要とされます。
まずはモノづくりのスキルが必要です。これはエンジニアには欠かせない才能ですが、ただモノづくりが好きなだけでは不十分だといえるでしょう。
起業はビジネスであり、成功のためには会社の成長が必須となります。
会社を成長させるためには、いわゆるお金儲けの才能が欠かせません。
つまりモノでお金を儲けるための仕組みである、ビジネスモデルを作ることが必要とされるのです。
例えば大企業ソニーの創成期には、モノづくりの天才である井深大と、お金儲けの天才である盛田昭夫の2つの才能がそろっていました。
ITエンジニアはモノづくりは得意でも、ビジネスモデルを作ることは苦手な人が多いようです。
これはIT系の人に限らず、日本人全体に共通する特徴だといえるでしょう。
次にストップさせるスキルが必要です。モノづくりやお金儲けが得意な人は、ストップが苦手な傾向があります。
近年ではCEO・CIO・CXOなど、企業内で様々な役職を設けることが一般化しているのですが、これは経営の機能を特定の1人に集約させるのではなく、できるだけ分散することを目的としています。
モノづくりが得意な人はモノを作ることに、またお金儲けが得意な人はお金儲けに夢中になりがちです。
近年増加している社外取締役制度は、やりすぎをストップさせるための役職だといえるでしょう。
独立した立場でビジネスモデルを構築し、外部からの冷静な判断でストップをかけるのです。
さらにアライアンスを組むスキルが必要とされます。現代においては1人で企業を経営することは難しく、ワンマン社長の多くが経営に行き詰まっているのです。
起業を検討する人は、まずは自分は何が得意なのかをしっかりと見極めて、さらに自分に不足するものを補ってくれるパートナーを見つけることが必要になります。
起業家や経営幹部として成功するかどうかは、アライアンスの相手となる共同経営者の力量に大きく左右されることになります。
コンピテンシー・レベル3の人は要注意です!
多くの企業においてコンピテンシーレベルの調査をしたところ、起業を検討するレベルに達している人材は少ないという結果になりました。
調査対象となった人のコンピテンシーは、その多くが2レベルでした。
ただし一般的なビジネスにおいては、2レベルで問題はないでしょう。
普段の行動の大半が2レベルでも、その行動の一部に3レベルや4レベルが混じっていればそれでOKなのです。
日本の企業においてはコンピテンシーレベル2やレベル3の人が多く、一方でレベル4やレベル5の人は限られています。
調和が求められる日本企業ではコンピテンシーレベル4やレベル5の人は、
「勝手な事をするな」
「目立つことをするな」
「組織から外れるな」
と周囲から批判されるため、外資系企業への移籍や独立・起業を検討する人が多いのです。
日本企業において優秀だとされる人材の大半は、コンピテンシーレベル3となっています。
このレベルの人にとって、現在の日本企業は安住できる場所だといえるでしょう。
ただし今後については、そうともいえないようです。競争が激化する社会ではレベル1の人やレベル2の人は
「自分は安い仕事でも構わない」
「仕事以外にやりがいを見つけよう」
と考えて、システム化された仕事に組み込まれていくことになります。
一方でレベル4やレベル5の人は新たな行動を起こし、自分の居場所を自分自身で作っていくことになります。
問題となるのはコンピテンシーレベル3の人です。
レベル3の人は給料やプライドは中途半端に高いのですが、新しいものを生み出す能力に欠けています。
そのためシステム化された仕事に組み込まれることも、あるいは自分の居場所を自分自身で作っていくことも、いずれも難しくなります。
結果的に企業の余剰人員となり、リストラ候補となる可能性が高いのです。
コンピテンシーレベルを高める環境で働きましょう!
ITエンジニアが自分の将来のキャリアを真剣に考えるのであれば、できるだけ早い時期にコンピテンシーレベルを4や5に高めることが必要になります。
今の職場で十分なコンピテンシーを発揮することが難しいのであれば、自分自身の市場価値を高めるために、転職を視野に入れたキャリアアップを検討してください。
まずはコンピテンシーレベルを確認することから始めてみましょう。
自分のワークスタイルを誰かに対して、自分自身の言葉で説明してみてください。
仕事の成果を言葉で説明することは意外に難しく、的確な表現ができないことが多いのではないでしょうか。
自分の能力に対する自信が、実は不確かなものであることに気付くはずです。
コンピテンシーレベルを高めるためには、仕事の現場における自分の視点を見出して、それを実践して成果につなげることが必要です。
地道な作業を繰り返し積み重ねることが、真のキャリアアップを実現することになります。
キャリアの現実的な選択肢はプロのマネージャーを目指すことです!
30歳前後の多くのITエンジニアにとって大きな問題となるのが、スペシャリストの道を選択するのか、あるいは企業の経営幹部としてマネージャーの道を選択するのかです。
マネージメント能力に欠けるエンジニアは、これからの転職活動を成功させることは難しい。
ゼネラリスト的な能力やマネージメント能力がなければ、たとえスペシャリストであっても転職活動をスムーズに成功させることは難しくなります。
また採用されたとしても、マネージメント能力を兼ね備えたスペシャリストとそうでない人とでは、その待遇や年収などに大きな違いが生じることになります。
まずは小さなプロジェクトへの参加から少しずつ大きなプロジェクトに関わっていくこと、さらに下流のスタッフとしての参加から少しずつポジションを拡大していくことが、ITエンジニアのキャリアアップを実現することになります。
プロジェクトの一部を自分がマネジメントすることから始めて、最終的にはプロジェクト全体を統括するマネージャーを目指すことが、ITエンジニアにとっての現実的な目標なのです。
年齢については30歳がひとつの区切りになります。
エンジニアとしてのキャリアを20代前半でスタートさせ、その後30前後で小規模なプロジェクトのリーダーを、35歳前後で大規模なプロジェクトのマネージャーを任命されれば、理想的なITエンジニアのキャリアだといえるでしょう。
競争力を兼ね備えたキャリアを形成するためにはどうすればよいのでしょうか?
ただし実際にはほとんどの業界において、プロジェクトのマネージャーを任せることができる人材は不足しています。
専門性の高いエンジニアの世界では職務領域が異なると全く別の知識や経験が必要とされるため、特にERP、SCM、CRMなど業務系パッケージの導入コンサルタント、金融系システム設計、Webシステム開発などの分野における人材の需要が高まっているのです。
特に金融系のシステムは難易度が高く、システムの開発には金融業務全般(銀行・証券など)に関する高度に専門的な知識が必要とされます。
またERP関連は一部では下火だとされているのですが、実際にはまだまだ人気となっているようです。
業界的にはEPR系の求人は下火だといわれていますが、実際にはこれからの導入を検討する企業が多く人材の需要も高まっています。
特に在庫管理・販売・物流・生産・財務・会計の分野におけるニーズが高いといえるでしょう。
ただし企業ではSAP系を希望する場合やOracle系を希望する場合があるため、導入業務を手掛けた経験の有無により転職の条件は大きく異なります。
会計系ファームのコンサルタントとして採用されるためには、SAP系かOracle系のいずれかの導入経験が必要になります。
年齢的には30歳前後が最適であり、特にSAPの導入経験を有する人は限られますので、2年程度の経験年数があれば有利だといえるでしょう。
エンジニアのキャリアをブラッシュアップするためには、コンサルタントとしての経験が役立つはずです。
「テクニカルなバックグランドと業務知識の両方が、コンサルタントには必要不可欠になります。
20代でSAPの導入をエンジニアとして手掛けた後で、30代でSAPのコンサルタントを経験し、その後業務知識や語学力を身に付ければ、35歳頃には競争力を兼ね備えた十分なキャリアを形成することができます。」
ただしコンサルタント業務は、若手エンジニアに人気の狭き門となっています。業務に関する知識を習得するために、その他の方法についても検討してみましょう。
最近ERPコンサルタントとして大手企業への転職を決めた人は、以前はエンジニアとして働いていました。
コンサルタントが企業を訪問して提案する際に常にエンジニアとして同行していたため、コンサルタントの業務プロセスを自然に学習することができたのです。
この経験がERPコンサルタントとしての転職を成功させるために、大いに役立ちました。
エンジニアとしての通常業務をコツコツとこなすだけでは、転職活動の成功は難しかったのかもしれません。
仕事量の多いエンジニアは通常の業務だけでも大変なのですが、さらに日ごろから視野を広く持って専門領域外の仕事にも意識的に取り組んでみてください。
浅くても構わないので幅広い知識を吸収することが、その後の転職活動にも活かされることになります。
ベースとなる専門知識はとても重要ですが、それだけでは競争力のあるキャリアとしては不十分であり、選択できる仕事の幅も狭くなります。
自分自身の知識や経験を拡大して、息の長いエンジニアとしての活動の可能性を広げましょう。
プロジェクト・マネージャー後のキャリアにおける選択肢は?
プロジェクトマネージャーを経験した後のキャリアとしては、どのような選択肢が考えられるのでしょうか。
まずは現在の勤務先にとどまるのか、あるいは他社に転職するのか、いずれかの二者択一が求められます。
転職を経験しながらキャリアアップを目指すのもひとつの方法ですが、現在の勤務先に成長の可能性があれば技術のバックグラウンドを有する経営幹部を目指すという方法もあります。
近年耳にすることが多いCIOというポジションがこれに相当します。
ただし経営幹部として社長をサポートするためには技術面だけでなく、さらに経営に関するマネージメントが必要になります。
CIOは日本においては知名度が低く、企業からの需要はまだまだ少ないのですが、今後はニーズの高まりが期待されるポジションだといえるでしょう。
起業に残ってCIOを目指すかどうかについては、企業の将来性を含めて総合的に判断してください。
さらに自分自身の会社を始める起業という選択肢もありますが、エンジニアの場合には成功は難しいようです。
「技術に詳しいエンジニアの人は、思い切って自分自身の会社を始めたいと考えるかもしれません。
ただし企業には経営に関する知識や人脈が必要になりますし、さらに景気や社会情勢の変化などにも影響されますので、実際にはうまく行かないことが多いようです。
当社にも起業に失敗してその後の相談に来る人が増加しています。」
30歳から35歳は勝負の年齢になります!
将来35歳で大規模プロジェクトのマネージャーを任されることが目標であれば、そのために今は何をすればよいのでしょうか。
日々の仕事に追われる多忙なエンジニアの場合には、自分の将来のキャリア形成をゆっくりと考えること自体が難しいかもしれません。
普段からマネーメントのスキルを磨くことが、将来のためにも役立ちます。
プロジェクトに担当者レベルで参加する場合は、自分の職分となる仕事の範囲だけではなく、さらにプロジェクト全体を意識して仕事に取り組んでください。
自分がリーダーでなくてもプロジェクト全体の進行状況を常に頭に入れて、さらに理解しておくことが必要です。
スタッフとして自分の専門領域外の仕事をした経験は、将来マネージャーになった際に活かされることになります。
たとえば
「コスト超過」
「スケジュールの遅延」
「業務要件との隔たり」
など、人員や工期が不足してボトルネックにハマりそうなプロジェクトであれば、問題解決能力を磨くために大いに役立つでしょう。
プロジェクトの規模や内容はもちろんですが、さらに難易度の高さがプロジェクト・マネージャーを評価するための要因になります。
まずはリーダーのマネージメント手法をじっくりと観察して、最初は手探りでもかまいませんので、「自分がリーダーだったら…」という視点で常に対策をシミュレーションしてみてください。
これらの積み重ねは「調整能力」や「問題解決能力」を身に付けるためには欠かせないものであり、後にプロジェクト・マネージャーとしてメンバーを統括するためにも役立つはずです。
自分だけの職域に限定することなく、常にプロジェクト全体を見通していくことが、エンジニアとしてのキャリアを大きく広げることになります。
英語力を身に付けてライバルに差を付けましょう!
エンジニアが35歳以上で転職を希望する際には、企業ではマネージャーとして能力を重視して採用を検討することになります。
マネージメント能力が高いと判断されれば転職活動を有利に進めることができますし、年収についても1割から2割程度のアップが期待できるでしょう。
さらに企業に評価されるスキルとしては、財務諸表を読む力や英語力があげられます。
特に転職活動を有利に進めるためには、英語力は欠かせないスキルです。
例えばエンジニアの場合には
「システムに設計に関するドキュメントを英語でまとめる」
「各種の会話や交渉を英語で行う」
といった能力があれば、外資系企業だけではなく日本企業への転職でも有利になります。
TOECIでは700点レベル、できれば800点レベルを目指しましょう。
5年後や10年後のキャリアを検討する際には、技術力やマネージメント力に加えて英語力があれば、選択の幅がさらに広がることになります。
実際にコンサルタントとしての経験がないにもかかわらず、英語力を活かしてERPコンサルタントへの転職に成功した人がいるのだそうです。
その人は現在自動車メーカーにおいて、生産管理のコンサルティングを手掛けています。
その人はもともとエンジニアとしてロンドンのIT系コンサルティング会社で働いていたのですが、日本に帰りたいので転職先を紹介してほしいと相談を受けました。
エンジニアとしての経験が豊富でさらに英語力のスキルた高いと感じたため、コンサルタントとしての転職をすすめたのです。
年齢は35歳でしたが、2回の面接ですんなりと転職が決まりました。
転職を希望する人はしっかりとした英語力を身に付けて、ライバルに差を付けましょう。
現代はコミュニケーション能力が重視される時代です!
専門を極めようとするスペシャリスト志向の強い人が、エンジニアの場合には多いようです。
ただし近年においては企業に求められるエンジニア像が大きく変化しつつあり、エンジニアとしてのキャリアを順調に積み重ねていくためには考え方そのものを転換することが必要になります。
これからはエンジニアにも、コミュニケーション能力が必要とされます。顧客との折衝などの機会が増えていますので、コミュニケーション能力の乏しい人はどのような分野でも不利になりますし、特にITコンサルタントにはコミュニケーション能力が欠かせません。
企業に人材を紹介する際には、まずは経験やスキルなどが一定以上であることが前提となります。
そのため技術力以外の部分が、採用を左右する重要なポイントになることが多いのです。
起業ではコミュニケーション能力を重視していますので、論理的に話せることや自分の職務経験をうまく説明できること、あるいは人に不快感を与えない接し方などが評価されることになります。
特にコンサルタントとしての転職を希望するのであれば、これらの能力は必須だといえるでしょう。
自分の経験を実際に話してもらうことで、コミュニケーション能力の有無を判断することができる
相談の際には本人のこれまでの経験などを話してもらいますが、コミュニケーション能力に優れた人は説明も上手です。
しっかりと大事なポイントを抑えて、余計なことを言わず要領よく話すことができます。
このような能力は面接の際にも活かされますので、採用の可能性は大きく高まります。
一方でコミュニケーション能力に欠ける人は話がまとまらず、だらだらと長いことが多いようです。
企業はコミュニケーション能力を細かくチェックしているということを、面接の際にはしっかりと意識しましょう。
プリセールスへの転職を検討するという選択肢もあります!
エンジニアといえばスペシャリストであり、専門性の高い職種というイメージが強いのですが、近年では従来からのエンジニアの枠組みが変化しつつあるようです。
例えば「企業内で働くよりも外で顧客と接する方が面白そうだ」と考えて、プリセールスに転職するエンジニアの人がいます。
プリセールスは技術営業と呼ばれる職種で、数多くの求人があります。
特にインターネット電話やインターネットプロトコルなどの、通信系の技術を持ったエンジニアの需要が増えています。
営業職の場合には基本給に能力給やインセンティブがプラスされますので、報酬の面においてもモチベーションが上がる人が多いようです。
エンジニアがスペシャリストであるという時代は、すでに過去の認識なのです。
現代の転職市場においてはエンジニアに対しても、コミュニケーション能力・マネージメント能力・英語力などの総合的な実力が求められることになります。