「現在介護現場で仕事しているけど、いつまで続けられるか心配…。」
「思い切って福祉業界に転職したい!それなりの年齢だけど大丈夫?」
等と心配する声は多いです。
その一方で、介護福祉は何歳になっても元気に活躍している方が多い業界でもあります。
特別養護老人ホームやグループホーム、ショートステイなど24時間365日営業している体制の施設であれば、当然ながら夜勤があります。
正社員であれば月3~5回程度夜勤に入っているところが殆どと思います。
年齢を重ねた介護職員が退職を考える理由として、この夜勤が影響していることが少なくありません。
しかし、夜勤を伴わない事業形態であるデイサービスやホームヘルパー、ケアマネジャーなどの施設では高年齢でも元気に活躍している職員が多いようです。
そこで今回は、何歳になっても介護業界で働くためのポイントについて解説していきます。
介護業界の定年は何歳?
高年齢でも活躍している介護業界ですが、やはり体力も必要な職種と言えますよね。
一般的に、定年は今のところ60歳とされています。となると、60歳以上では働くことができないのでしょうか。
そこで、介護業界ではいったい何歳まで働けるのか、お話ししましょう。
高年齢者雇用安定法って?
介護業界であっても、一般的な定年は企業のように60歳までとしている事業所が多いです。
しかし、厚生年金の支給開始が段階的に65歳に引き上げになったことから、定年を迎えた後でも65歳までの希望者全員を継続雇用制度の対象者とする、高年齢雇用安定法が改正されました。
高年齢雇用安定法によって、60歳で解雇や退職ではなく定年を迎えた場合は、65歳までは継続雇用してもらうことが可能です。
そのため介護業界でも、本人が希望するのであれば、最低雇用期間は65歳まで可能ということになります。
とはいえ、介護業界は体力や気力が続く限り、65歳を超えても働き続けている方の多い職種です。
国としての定年は60歳、継続雇用で65歳、その後は事業所と自分次第といった形になりますね。
定年退職の年齢を65歳に引き上げるメリット・デメリットは?
定年退職を65歳まで引き上げることで、高年齢労働者にとっても雇用主にとってもメリット・デメリットがそれぞれ存在します。
次の表に簡単にまとめたので、確認しておきましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
労働者 |
・年金受給までの生活を確保できる ・自分のスキルを活かせる・体や頭を使うことで健康を維持できる ・社会との関りを持てる |
・65歳未満で年金をもらいながら働くと、年金が少なくなる ・60歳からは賃金が下がることが多い |
雇用主 |
・スキルのある働き手を確保できる ・若者にスキルを受け継いでもらえる・安定した労働者の確保 |
・人件費の関係で若い労働者を雇えなくなる可能性がある ・労働者の平均年齢が上がってしまうことも |
労働者としては、年金受給開始まで自分のスキルを活かしながら働けるのは安心ですね。
雇用主としても、スキルを持つ人材の確保や、若い人材を育てる高年齢労働者の存在は大きいでしょう。
いつまでも頼られる存在に!高年齢職員ならではの強みとは?
「自分はもう歳だから…」と卑下する必要はありません。様々な人生を歩み、趣味を楽しみ、社会経験を積んできた高年齢の方だからこそのスキルがあり、施設側もそれを期待して雇用を継続しています。
中には70歳を超えても活躍している方もいます。そこで、高年齢職員がいることによって、利用者や施設、若手職員に対してのメリットを見ていきましょう。
利用者に対するメリット
高年齢職員は、すでに介護や支援サービスなどの技術能力が身についているため、利用者の生活の質を上げることにも貢献できるでしょう。
また、会話がしやすいなどコミュニケーション能力が長けているといった点もメリットとして大きいです。
年齢が近いからこそ、利用者の気持ちに気がついたり、気に掛けることができるといったように利用者に寄り添うことができるため、利用者の家族にも信頼されやすい傾向にあります。
これは、若手職員には難しいスキルなので、高年齢職員ならではではないでしょうか。
施設に対するメリット
長く務める職員がいない、すぐにやめてしまうといった施設にどんな印象を持つでしょうか。
労働者としては、「ブラックなんじゃないの?」などといった、憶測が浮かぶといった方も多いでしょう。
高年齢職員が長く働いてくれればくれるほど、施設の雇用形態や職場環境がいいという印象を与えてくれます。
また、介護業界は人手不足と言われる業種です。
スキルを持つ高年齢職員がいることによって、安定して人材不足を補うこともできます。
若手職員に対するメリット
若手社員の中には、人手不足で忙しいため、先輩職員がきちんと仕事を教えてくれる時間が取れず、わからないことばかりで仕事をするのがつらく退職してしまったといった声もよくあります。
高いスキルを持った高年齢職員がきちんと仕事を教えることができたら、若手職員のスキルの向上にもなり、退職といった事態を防げることもあります。
もちろん、若手職員にとって教えてもらったスキルは、今後の財産になるでしょう。
そして、高年齢職員は若手職員にとって利用者との橋渡しや、仕事の相談に乗ってくれるなど、精神面や身体的な面でも助けになってくれます。
定年退職後も介護業界で働きたい。どんな働き方がある?
今日本では、2015年には、ベビーブーム世代が65~75歳になり、2025年には国民の3人に1人が65歳、5人に1人が75歳になる「2025年問題」を抱えています。
2025年には超高齢化社会を迎えることになり、ますます介護業界の人手不足は拍車をかけるでしょう。
そのため、介護業務の負担を減らす、自立支援を助けるなどといった介護ロボットの導入も注目を集めています。
介護職員の体力的な負担を減らすことで、労働環境の改善の可能性も期待されているからです。
そこで、今後定年退職後も介護業界で活躍するには、どんな働き方があるのかお話ししていきましょう。
現場での活躍
高年齢職員とはいえ、現場では利用者の入浴や食事の介助、機能訓練などといった介助業務が主になります。
しかし、日々の中でレクレーションを行ったり、利用者と会話を交わしコミュニケーションをとるのも立派な業務の一つです。
また、利用者だけではなくその家族との関りも強い職種です。
今後、介護ロボットの導入が進んだとしても、家族や利用者との関りは人間にしかできません。
雇用形態としても、正規雇用だけではなく委託や契約、パート、アルバイトといった体の負担を軽減した形での高年齢雇用が増えています。
現場をサポートする仕事で活躍
定年退職後、介護職をそのまま継続する方もいれば、違う職種だった方がセカンドキャリアとして介護職に就きたいという方もいます。
セカンドキャリアとして介護業界を目指した方は、ホームヘルパーの資格を持っているといった方は少ないのが現状です。
しかし、働きながらホームヘルパーの資格を取得できるシステムをとっている施設もあるので、キャリアを高めるのも夢ではありません。
そして介護業界は、現場だけが仕事ではありません。
介護職員の相談役や、送迎用の車の運転、洗濯などといったサポートする仕事も介護業界ではなくてはならないものです。
また前職を活かすように、経理業務を担当したり、元看護師であれば医務室を担当したりと様々な仕事が介護業界にあります。
サポートする力があってこそ、万全な介護ができるのです。
自分自身の健康管理が大事
年齢を重ねれば重ねるほど、自分自身の健康管理は非常に重要です。
全産業平均よりも11万円程度平均月収が低いなど、ただでさえ待遇が良いとは言えない業界ですから、定年後の老後生活を維持する為にも正社員で働いて備える必要があるわけですが、夜勤も伴う事が多いです。
60歳を超えて夜勤をこなすには、健康でなければ出来ません。夜勤には施設によって、
勤務時間16時間で夕方出勤し翌朝帰るパターン(夜勤明けの日が勤務扱い)
拘束時間や出勤時間は違えど大きく分けてこの2パターンがあり、それぞれにメリットデメリットを感じます。
どちらにせよ体内時計は狂いますしほぼワンオペ状態が多いですので、身体的・精神的負担は大きいでしょう。
そのためには、下記ポイントに注意しましょう。
介護は、介助する側も体を痛めることがあります。
腰が痛い、腕が痛いなどといったことは職業病とも言われ、介助者も半分あきらめているといったケースがほとんどでしょう。
しかし、ボディメカニクスを活用することによって、介助者の身体的負担を減らすことが可能です。
ボディメカニクスのポイントは、主に次の4つなので覚えておきましょう。
- 利用者の体を球体に近づける
- 利用者と介助者の距離を近づける
- 介助者の重心を低くし体をねじらない
- 水平に移動する
またボディメカニクスを活用することによって、利用者の不安や苦痛を軽減することもできます。
ただし、体格差がある場合は、複数人で介助するなど無理せず協力して介護することが大切です。
体力づくり、健康管理
介護職は、利用者の健康管理や生活の質の向上をはかる職種です。
しかし、介護職員も人間なので風邪をひくこともありますよね。
ただ、介護職員が相手にしているのは高齢者であるため、感染症や風邪によってはとても重大なことになる可能性があります。
また、身体的にも負担が大きいので、体に不調が現れることがよくあります。
そのため、次の3つに注意して健康面に気をつけましょう。
- 手洗いとうがいの徹底
- 腰痛予防
- ストレスの解消法を見つける
特に腰痛は、介護職を続けるのが難しくなる原因にもなります。
ストレッチやコリをほぐす、入浴をして血行をよくするなど日々気をつけて対応することが大切です。
対策は日常的に
ある程度年を重ねてからではなく、若年である内から根拠に基づいた介助方法で介護をすることで、職業病とも言える腰痛になるリスクを減らし、高齢になっても働ける体を維持する一助を果たします。
またこれは高齢になる前に腰痛を理由に他業界への人材流出を防ぐ事にも繋がっています。
ある程度年を重ねてからではなく、若年である内から根拠に基づいた介助方法で介護をすることで、職業病とも言える腰痛になるリスクを減らし、高齢になっても働ける体を維持する一助を果たします。
またこれは高齢になる前に腰痛を理由に他業界への人材流出を防ぐ事にも繋がっています。