激務だと言われる看護師の仕事。
その理由とされる仕事内容や事例などについて、まとめました。
激務で辞めたいと感じる時の対処法についても考えてみたいと思います。
看護師の仕事は激務!その理由と具体的な内容とは?
夜勤勤務がある
本来眠るべき時間に起きて仕事をすることは、人間の体にさまざまな悪影響を及ぼします。疲れが取れにくくなったり、睡眠障害を招いたりする可能性があります。また循環器への負担やホルモンバランスの乱れ、発がんなどのリスクも懸念されています。
生活面においても、不規則になる、睡眠時間を十分に確保できない場合がある、日中に行われることの多い行事に参加ができないなどの弊害が生じます。
このように精神的、身体的負担の大きい勤務であるにも関わらず、その負担を最小限するための対策が十分に講じられていないのが現状です。その具体的な例を挙げてみましょう。
- 日勤勤務後に深夜勤務などという過酷な勤務がある。
- 二交代制でありながら仮眠が一切取れない場合がある。
- 仮眠する設備すら整えられていない施設もある。
- 急患や急変が続いて休憩すら取れない夜勤の日がある。
- 夜勤前や夜勤明けに勉強会などの参加を強制されることがある。
日勤勤務後の深夜勤務を廃止したという病院も増えてはいるようですが、やむなく継続している病院も少なくないようです。日勤勤務が残業で長引いてしまうと、その後の深夜勤務はさらに過酷なものとなります。ぜひ、積極的に改善して欲しいと感じますね。
重労働が多い
寝たきりの患者さんの移動や入浴介助、おむつ交換や体位変換など、看護師の仕事は重労働が多い仕事です。男性看護師の協力を得る、複数で行うなどの対策が推奨されてはいますが、人手不足と多忙な業務により、一人で行わざるを得ない状況が多いようです。腰を痛めて、腰痛と戦いながら業務をこなし続けている看護師さんも少なくありません。
病院によっては介護士がいて、看護補助という形で負担を補ってくれるケースもあります。ただ十分な対策がなされているとはいえないのが現状です。
人手不足の現場が多い
多くの現場において人手不足は深刻な状況です。人手不足が看護師の仕事に与える影響について考えてみましょう。
- 残業が増える。
- 休みが取りにくくなる。
- 新人に対して十分な指導や監督ができない。
- 精神的に余裕がなくなり、ミスを誘発しやすくなる。
- 行き届いた看護ができなくなり、患者さんに迷惑をかける。
- 予定通りに進行できないことが増え、他の部署にも迷惑をかける。
- ストレスでイライラする人が増え、全体の雰囲気が悪くなる。
このような状況を放置することにより辞める人が増え、さらに深刻な人手不足を招くという悪循環に陥るケースも少なくないようです。
ミスが許されない
どんな仕事でもミスは許されるものではありませんが、ミスが人の命を奪うことに直結する仕事は、そう多くはないのではないでしょうか。看護師の仕事は、その可能性が高い仕事です。
しかも先に述べたような過酷な勤務状況において、疲労や眠気などと戦いながら、常に集中力を保ち続けることを要求されます。これこそまさに「激務」といわれる一番の理由でしょう。
人間の極限の状態に関わる
看護師が接する患者さんたちの中には次のような方もいらっしゃるでしょう。
- 余命宣告を受けた方
- 事故や病気で後遺症が残り、これまでの生活が一変してしまった方
- 家族を失った方
- 災害ですべてを失った方
- 認知症を患い自分の家族すらも判別できなくなった方
- 精神疾患を患った方
このような方々に接することで、自分自身の無力さに悩んだり落ち込んだり、感情移入して精神的に参ってしまったりするケースもあるようです。仕事熱心で患者さんの立場に立った考え方ができる看護師ほど、そのような状況に陥りやすいとも言えます。
行える仕事の範囲が広い
特に小規模なクリニックなどにおいてみられる傾向です。看護師は看護師以外の職種の仕事、例えば
- 受付業務
- 検査業務
- リハビリ
- 薬剤師の業務
- 看護助手の業務
- 医師の業務
などの一部を行うことができますし、実際に行うクリニックが多いようです。しかし、点滴や採血などの看護師本来の仕事を代わりに行ってくれる職種はほとんどありません。このような事情により、看護師の負担が増えてしまうケースもあるようです。
人間関係のトラブルがストレスにつながりやすい
どんな職場でも人間関係のトラブルは存在します。しかし、看護師の世界には、そのトラブルがストレスにつながりやすい要因があります。
例えば下記のような要因
- 女性中心の社会である。
- チームでの仕事が多い。
- 仕事柄、責任感が強く、はっきりとものを言うタイプの人が多い。
ストレスで円形脱毛症になったり、うつ病を患ったりする看護師も少なくないようです。仕事内容が過酷で精神的な余裕がない状態が続くことも影響しているのかもしれませんね。
激務を痛感して「辞めたい」と感じたら考えて欲しいこと
できれば激務を改善し同じ職場で仕事を続けられるのが理想です。しかし実際には改善が困難なケースが多く、中には劣悪な環境での仕事を強要される「ブラック病院」も存在します。
そのような環境で無理をして働き続けることで、あなた自身の心や体がボロボロになってしまうようでは本末転倒です。
総合病院の主任看護師として働いていた私の友人の看護師さんの体験談です。日々の激務をこなしつつ中間管理職としての責任やストレスをすべて抱え込んでいたという彼女。睡眠も十分にとれず病院に泊まり込む日も少なくなかったのだそう。ある日、なにげなく自分の胸に触れた瞬間、はっきりとわかるしこりを発見し、目の前が真っ暗になったのだそうです。すぐに受診し、数日後に乳がんだと診断されました。
この時彼女は、患者さんの体のことは隅から隅まで観察して常に注意を払っていたのに、自分のことにはまったく無関心だったことに気づかされと語っていました。いかに自分自身を大切にしていなかったかを思い知ったそうです。
幸い手術と抗がん剤治療により完治させることができ、今は日勤のみのクリニックで元気に働いています。これからは無理をせずに自分の体のことや家族のことを大事にして、人間らしい生活をおくっていくと決心したとも話していました。
責任感が強く、まじめで仕事熱心な人ほど、頑張りすぎてしまう傾向があります。現在の職場の激務が妥当なものであるのか、自分自身が仕事を続けることが可能な状態なのか、仕事に情熱を注ぐあまり大事なものを見失っていないかなどをよく考えてみる必要がありそうです。
激務のあまり「辞めたい」と感じた時の対処法
まずは辞めずに改善する方法を考えてみましょう。
- 上層部に掛け合い、人員の補充や業務改善を依頼する。
- パート業務や夜勤専従などに勤務形態を変更してもらう。
- 部署移動を申し出る。
それでも解決の糸口が見つからない場合は、転職を検討することも必要です。その際、下記のように自分が特に不満を感じている「激務の理由」を改善できる職場を探すことがポイントになります。
- 夜勤がつらい→日勤のみの病院を選ぶ
- 重労働がつらい→眼科や耳鼻科など重労働のない科を選ぶ
- ミスが許されない仕事が重圧→介護施設など医療処置のすくない職場を選ぶ
ただし、仕事が楽である職場は給料が少ない傾向があります。どのように折り合いをつけるのかが転職成功の鍵になるでしょう。
「激務」はあたりまえだという思い込みに捕らわれないで
看護師の仕事を選んだ以上、ある程度の過酷な勤務はやむを得ないのかもしれません。しかし残念ながら、中にはかなり劣悪な環境の職場も存在します。そのような職場の犠牲にならないよう、客観的な視点で現在の環境や自分自身を見つめなおすことが重要になります。
限界だと感じる方は、一刻も早く行動に移していただきたいですし、その判断すらできないほど追い詰められているという方は、誰かの助けを借りて欲しいと思います。幸い看護師の仕事は求人も多く、転職が比較的容易な職業でもあります。選択肢はたくさんあります。まずは自分自身を大事にすることから始めてみて欲しいと思います。
実際どんな感じ?現場の声
ひろ
わたしが新卒で入った時は、夜勤が多くて激務だと感じていました。3交替制だったのですが、深夜、準夜を合わせて14回という回数が普通でした。そして日勤は10回くらいかな?またその時は総合病院の中の産婦人科に勤務していたので、もしも超低出生体重児が生まれるとか多胎児が生まれるという時は、夜勤帯の看護師が少ない時に、急遽駆り出されることがあり、勤務でないときも出勤することもありました。その代休が取れるといいのですが、とれないこともありそのまま代休はうやむやに。
本当にこの激務で、自分の身体が持たないと思いましたね。意外とそういう人に限って、体だけは壊さず、頑張って働けるのですが、私はそんなタイプでしたね。
まみ
私が最初に勤めていた病院は、急性期の総合病院で、毎日のように手術や緊急搬送などがあり、とても忙しかったです。術後の患者さんのケアをしなが、他の患者さんのケアをし、不穏患者さんの対応、定期の処置、雑務などを行っていたら、あっと言う間に1日が終わってしまいました。休憩する時間がない日もありました。立ちっぱなしで、トイレにもいかない日もあったくらいです。
おまけに、定時では帰れたことがなく、毎日のように残業でした。仕事以外にも研修や勉強会、看護研究などもあり、休日に病院に行くことも度々あり、毎日職場に顔を出しているような感じでした。まとまった休みもなく、仕事場と家を往復する毎日でした。夏期休暇と冬期休暇だけはゆっくりできました。
りー
私は看護師5年目です。内科病棟に勤務しています。
この病棟には介護病棟?って思うくらい高齢者が多く、毎日オムツ交換や体位交換で疲れます。それだけではなく色々な検査も行っているので処置や検査出しが多いです。どこの病院もそうだと思いますが、夜勤は看護師の人数が少ないので特にオムツ交換は重労働ですね。多い時には1人で20人以上オムツ交換するときもあります。
高齢者が多いということは認知症の方も多いです。動いてはダメとストップをかけても理解できないので、転倒しないように気を配るのが大変です。足の筋力が弱まって歩行時にふらつく人には動いたらナースコールが鳴るセンサーを装着して転倒防止に努めます。なので、ナースコールは鳴る、オムツ交換に回れない、処置ができないなんてことは日常茶飯事です。
どんなに忙しくても仕事が終わるということは周囲のスタッフが助けてくれるということ。だから毎日頑張れます。
小春
私は二次救急で地域密着型の病院に勤めています。私の勤め先では休日年に120日で有給20日あります。科によっても全然違いますが、私の小児病棟は日勤はリーダーとスタッフ5から7人体制で夜勤は3人体制でシフトが組まれています。日勤では8時前に出勤して18時から19時には帰ります。夜勤は15時半に出勤し9時半には帰ります。休みもしっかりあるため、公私共に充実しています。
しかし、友人の職場の話を聞くと大学病院、地域の病院関係なく年休110日以下で7時半に出勤し21時や22時に帰るという人もかなりいます。また、夜勤も2人体制で仮眠時間はなく夕食の30分の休憩のみの病院もあるようです。さらに、日勤がリーダーとスタッフ2人体制で35人の患者をみている病院もあると聞きました。
sunflower
私は、大学病院の外科で働いています。私の病院は病棟によって残業時間は大きく違いますよ。ただ、外科はやっぱり仕事が多いです。
普通の清潔ケアもあれば術前準備やら何やら、手術のために入院するので入院経験ない方が多いですから。それに、術後の指導ですね。経腸栄養、ストマ管理の指導です。
最近は、高齢で80代の方も手術をする時代なので指導も時間がかかります。大体、全てを終えてやっと記録に入るのは18時くらい。急いで記録しても、後輩のレポートみたり、教育指導会議の用事やら、自分の委員会の用事をすると、20時21時は当たり前です。朝は7時半には出勤していて、大体昼休憩も30分入れるかなぐらいです。
確かに、他の病院よりは人数的には恵まれているんでしょうけど。ただ、周りにももっと仕事している方もいますし、時間の使い方も病棟全体でうまくやれば時間短縮できることありそうなんで、そろそろ激務を嘆きだけでなく、動き出そうかと思ってます。
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