薬剤師が「講師」に転職した際の年収はどのくらい?講師になるメリット・デメリットや向き不向きを知ろう

薬剤師の講師

薬剤師の就職・転職には、様々な選択肢が存在します。

調剤薬局やドラッグストアー、病院、また公務員や、企業薬剤師として生きて行く方も多いでしょう。

このように薬剤師国家試験に合格したステータスは、様々な働き方に活かすことが可能です。

中には、薬剤師としての業務や医療現場とは異なるシーンで活躍を繰り広げるケースも珍しくはありません。

ここでは、薬剤師国家試験にパスした知識や経験を、後輩たちの合格サポートに役立たせることができる「講師」という選択肢についてをお話しします。

より自分らしいスタイルを見つけ出すためのヒントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

薬剤師には「予備校講師」という選択肢もある!

薬剤師国家試験の受験資格には「薬科大学卒業」であることが必須なのですが、当然すべての受験生が合格できるわけではありません。

たとえば、2021年薬剤師国家試験の合格率は71.58%です。

したがって残り3割弱の方々は薬学部を卒業しながら、国家試験をパスできなかったという事ですね。

参照:厚生労働省:薬剤師国家試験の合格発表を行いました

不合格者の多くは、翌年に行われる薬剤師国家試験への再挑戦を目指して、苦手な範囲の強化や受験勉強を続けます。

ところが、薬学部が4年制から6年制へと移行した事や、私立大学での薬学系学科が増加した事などの影響を受け、国家試験のハードルは年々高くなっているとも言われているのだとか…。

翌年の国家試験へ再度挑むとなれば、不合格者たちはより万全の体制を整えておくことが望ましいでしょう。

そこで近年、需要の高まりを見せているのが、今回お話しする「薬剤師予備校」の存在です。

「薬剤師予備校」の職場について

薬剤師が講師として活躍できるのは、薬剤師のための予備校です。

薬剤師予備校では、国家試験をパスできなかった方や、薬剤師を目指し再受験を志す社会人の方、またケースによっては現役薬学生(薬学部5、6回生)による国試対策のサポートが行われています。

「薬剤師予備校」の仕事内容

需要の高まりを受け、昨今では大小様々な規模の薬剤師予備校が数多く登場しています。

生徒へのサポート内容や講義のスタイルなどは各予備校ごとに特色があるため、仕事内容・職場環境などについてを一概に紹介することは難しいのですが、基本的には以下のような業務内容となるでしょう。

  • 国家試験への対策を目的とした講義
  • 6年制への移行後に追加された実務科目に関する講義
  • 生徒からの相談・質問への対応
  • 国家試験の傾向分析
  • 講義で使用するプリントや、テスト(問題・解答)の作成

などなど…

またこれらに加え、私立系大学からの依頼を受けて大学内で講義を行ったり、生徒の就活・採用のフォローを行うケースも存在します。

上記で触れた通り、各予備校ごとに特色やスタイルは異なるので、より具体的なイメージをつかむためには気になる予備校をピンポイントでチェックしてみると良いでしょう。

「薬剤師予備校」の年収

薬剤師予備校で活躍する講師の雇用形態は様々で、正規の従業員として在籍しているのか、あるいはアルバイトなのかで収入に差が生じるでしょう。

多くの場合、正社員として働く講師の初任給は28万円ほどが一般的で、年収では約350万円から400万円ほどからのスタートが相場です。

入社したての時期については、講師デビューする前に研修期間を設ける予備校も多く、その期間では収入が異なる事もあるでしょう。

ケースにもよりますが、実力が収入に反映される事も少なくはない様子です。

人気の高い講師になれば、大幅な年収がアップが期待できるカモしれません。

キャリアアップすれば、時給3000円~4000円も可能

またキャリアアップとして、その後予備校講師の教育に携わったり、教室長や管理者として運営面への道へシフトしていく方が多いでしょう。

職場が若手中心に見受けられるのも、こうしたキャリアアップの形が背景にあることが理由です。

一方パートとして働く場合は、時給3000円台が目立ちます。

多いと4000円に達する場合もあるので、調剤薬局やドラッグストアーなど他のアルバイト先と比較してかなり優遇されている事が伺えます。

美容師専門学校の講師として活躍するケースもあり

薬剤師国家試験合格のステータスを活かして、美容師専門学校の講師として活躍する方も存在します。

美容師専門学校では主に学科授業を受け持ち、具体的には

  1. 衛生管理
  2. 美容保健
  3. 物理化学

の3科目へ携わることになるでしょう。

美容師専門学校での業務内容も、上記(『「薬剤師予備校」の仕事内容』)で紹介した薬剤師予備校での内容とあまり変わりありません。

ここでの生徒は国家試験合格ではなく「美容師となること」を目指しているので、異なるのは生徒たちの目的部分のみと考えて良いでしょう。

「講師」として活躍する薬剤師のメリット・デメリット

ここまで薬剤師予備校で活躍する講師の仕事についてを紹介してきました。

以下では、講師として働き続けることで得られる利点や欠点についてをお話しします。

薬剤師が講師として働くメリット

メリットには以下の5つが挙げられます。

  1. 模擬試験や国家試験で生徒が良い結果を達成できた際には、大きな喜びややりがいを実感できる
  2. 生徒はもちろん、現場で活躍する講師も若手が多いため、活気や若さに満ちた雰囲気の中で働くことができる
  3. 翌年3月の国試を目指して新メンバーでコースが始まるので、毎年新たな環境で働くことができる
  4. 今後も薬剤師予備校の需要は伸びていくと予測されているので、将来的な収入アップが期待できる
  5. アルバイト・パートなど、ある程度プライベートや事情を考慮した働き方も可能

講師として生徒へ教える仕事なので、やはりメリットには生徒が目標を達成できた際の「やりがい」や「達成感」が挙げられます。

自身が行った講義やサポートの結果が「合格」という具体的な形で現れる喜びは、他の職業ではなかなか得られるものではないでしょう。

また、収入面でのメリットも見逃せません。

薬学生を取り巻く環境の変化から国家試験のハードルが上がり、比例するように薬剤師予備校の需要は伸び続けています。

今後もこの傾向は継続すると予測されているので、高収入を目指したいという方には狙い目となる選択肢なのではないでしょうか。

薬剤師が講師として働くデメリット

反対にデメリットとして挙げられるのは次の5点です。

  1. 実力があれば高収入も期待できるが、初任給はあまり高くない
  2. スキルやキャリアが「講師」へと偏りがち…薬剤師としての転職から遠のいてしまう
  3. 夜間や土日出勤、残業が多く、プライベートとの両立が困難になりがち
  4. コミュ力重視な職場・業務内容なので、対人スキルに自身がない場合はストレスが溜まりやすい
  5. 医療現場に携わる事ができないので、最新の医療知識に触れるシーンがない

上記(『薬剤師が講師として働くメリット』)では高収入が期待できると紹介しましたが、その反面、初任給はあまり高くなく、実力が認められなかった場合は収入アップにつながる可能性も低いでしょう。

企業によっては、合格率などのノルマが達成できない講師へ契約解除を言い渡すケースもあるとのことです。

くわえて「先生」として人前に立つ仕事でもあるので、コミュニケーション能力の有無が非常に問われやすい側面もあるでしょう。

講師に向いた人材であればメリットの多い選択肢ですが、そうでなければストレスの溜まりやすい職業であることも否めません。

さらに、調剤や服薬指導など薬剤師としての業務や、医療現場そのものから遠ざかってしまうポイントも欠点として挙げられます。

もしも講師を辞めて他の職種へ転職したいと考えた時、実務経験や知識・技術のなさが足を引っ張ってしまうのでは…と懸念している方も珍しくはない様子です。

したがって、

「講師という仕事をずっと継続させるつもりはない」
「将来的には、薬局や医療機関へ戻って薬剤師として働きたい」

と考えているのであれば、講師としてのキャリアを長引かせず早めに退職・転職する必要があるでしょう。

薬剤師が「講師」を目指す方法

薬剤師予備校での講師を目指す場合、方法は以下の2つに分かれます。

  1. 予備校の公式サイトから、あるいは電話からの直接申し込み
  2. 転職エージェントを通しての申し込み

この他にも知人やコネを使っての就職・転職もある様子ですが、特別なパイプを持っていない場合は上記2つのいずれかから挑戦することになるでしょう。

すでに目当ての予備校が存在する場合は、企業の公式サイトをこまめに確認して採用情報を入手してください。

自力での情報収集に自信が持てない場合には、転職エージェントの活用もオススメです。

講師の求人・採用は、国試が行われる3月を目指して進めるケースが目立ちます。

したがって予備校講師への転職を目指すのであれば、国試を控えた12月頃からチェックを始めると、求人との遭遇率もより高くなるでしょう。

講師に必要な3つの必須スキル

では、講師に必要なスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、その3つの必須スキルについて解説していきます。

1.薬剤師国家試験合格者

とうぜんですが、薬剤師予備校の講師は薬剤師国家試験へのサポートを行うのが仕事なので、薬剤師の国試をパスしていることが大前提となります。

実際に講師の採用情報をチェックすると、ほとんどの案件で「薬剤師国家試験合格者」であることが条件として掲げられています。

ケースによっては国家試験をパスしていない講師も活躍していますが、あくまでも少数派で、やはり合格者であるに越したことはありません。

2.高いコミュニケーション能力

加えて、人前に出て講義をしたり、個性の異なる生徒一人ひとりへの対応やサポートを進めたり…といった業務には、講師が持つ度胸の有無や、コミュニケーション能力の高さが問われます。

人前に出ることに関してはある程度の慣れで対応できますが、コミュニケーション能力の高さは個人個人の持つ資質に大きく左右される要素です。

ですから自分のタイプをしっかりと見極めておく必要があります。

3.強い責任感

また「国家試験合格」は、生徒のその後の人生を左右する重要なターニングポイントでもあります。

重責を担うことに楽しみを見いだせる方が講師になるべきです。

生徒の人生の岐路に携わる仕事であると自覚して、強い責任感を持って勤め上げられる人物であることが重要です。

「講師」に向いている薬剤師は、こんな人

ここまでにお話しした内容をまとめると、薬剤師予備校の講師は以下のようなタイプにオススメしたい選択肢だと言えます。

  • これまにで学んだことを活かして、後輩たちの国家試験対策をサポートしたい
  • 講師としてのスキルを伸ばして、高収入を目指したい
  • やりがいや達成感を感じられる働き方がしたい
  • 今後は薬剤師の業務や医療現場から離れて、講師としてのキャリアを構築したい
  • 将来的に、薬剤師として薬局や医療機関へ戻ることは考えていない
  • 薬剤師国家資格の合格者である
  • コミュニケーション能力に自信がある
  • 人前に出ることや、目立つこと、大勢の前で話すことに抵抗がない

数ある薬剤師の活躍シーンの中でも、講師はとくに特殊でニッチな職種です。

くわえて一度講師として働きはじめるということは、その間薬剤師としてのキャリアがストップしてしまう…というデメリットもはらんでいます。

しかしその反面、昨今での需要の高まりや、収入、生徒の国家試験合格に携わる…というやりがいなど、他の働き方にはない利点も多く存在していました。

「講師になりたいなあ…」とお考えなのであれば、ぜひご自身のタイプや能力、今後のキャリアプランなどをしっかりと考慮した上で、後悔のない転職に結び付けてください。

「講師」に向いていない薬剤師は、こんな人

一方で、薬剤師予備校の講師に向いていない人は以下のような性質のある人です。

  • 人に教えるのが苦手な人
  • 高い時給だけに興味のある人
  • 今さら勉強をしたくない人
  • 営業活動ができない人
  • 若年者が苦手な人
  • すぐ感情的になる人

「講師になりたいなあ…」とお考えなのであれば、ぜひご自身の得意・不得意や能力、今後のキャリアプランなどをしっかりと考慮した上で、後悔のない転職に結び付けてください。

まとめ

以上薬剤師が「講師」に転職した場合の年収やメリット・デメリットなどについて紹介しました。

「前から気になっていた講師の仕事に就きたい」

という方は、ぜひこの記事を参考にして講師の道にチャレンジしてみるのもいいかもしれませんね!