介護現場で働く人の多くは、何らかの研修を経て仕事をしています。しかし研修で得た知識を仕事に活かそうとしても、なかなか上手くいかない…と感じたことはありませんか?
今回は、そんな現場のギャップに悩む介護士のために、先輩介護職員が実践している方法をいくつか紹介します。
教科書には載っていない方法かもしれませんが、経験の中で生まれてきたまさに「応用編」です。今の仕事がよりスムーズにこなせるように、ぜひ参考にしてみてください。
介護士さんが業務をする上で困るのはどんな時?
介護士のお仕事は、基本的に正解がありません。なぜなら、常に人と関わるお仕事であり、人はそれぞれ性格も感じ方も異なるからです。
故に、どんなベテランの介護職員であっても難しく感じることもあるでしょうし、スムーズにいかない業務も職員によって異なります。
ただ、いろいろな業務の中で介護職員が悩むポイントには、共通点も存在します。実はこの共通点で考えると、悩みの種類は以下の2つに絞ることができるのです。
- 利用者への対応やコミュニケーション
- 力を必要とする作業
アセスメントのコツ
アセスメントとは…
簡単にいうと「情報収集」のことです。
ケアマネージャーが作成したケアプランを基に、ヘルパーステーションでは提供するケア内容をまとめた「訪問介護計画書」を作成します。この段階において欠かせないのが、実際の暮らしのようすをまとめていく作業である「アセスメント」です。
この作業において、多くの介護職員が困るのが、以下のような点ではないでしょうか。
- 限られた時間で、利用者のどこをポイントとして見たら良いのか?
- その情報をどう計画に活かしていけばよいのか?
利用者のどこを見て、どう対応していけばいいのか。これが他の業務でも同様、介護職員が仕事をする中で一番困難に感じる部分となるのです。
アセスメントは、利用者のお宅に訪問してお話を伺います。アセスメントにおいて、話を聞き取る際には利用者の仕草、視線など「言葉以外で表現される気持ち」がポイントです。
初対面の人に自分の希望を理路整然と話すことは、どんな人でも難しいもの。気を遣って本音が話せない場合もあります。
利用者やその家族と会話をする中で、以下のような様子が見えたときは「本音」とは違うことを表現している可能性があるので、注意が必要です。
- 表情がさえない
- 視線が合わない
このような表情を感じ取った場合は、別の提案をするなどして、気持ちを確認する必要があるでしょう。実際の利用者の思いと話の内容にズレがないかの確認は、必要なケアの見極めに重要です。
良い介護計画書を作成するコツ
利用者やその家族から聞き取った内容で訪問介護計画を立案するときは、「これだけは外せない」という必要最低限のシンプルな計画内容にすることがコツとして挙げられます。
実際にケアを受けると、利用者やその家族の中で、以下の内容がケア前よりも明確になってきます。
- もっと介護して欲しいこと
- 自分でもできること
そこで初めて、介護計画に加えたり変更したりして、利用者のニーズに寄り添ったケアの提供が可能となります。
利用者の体調や家族のケア体制に急な変化が出てきた時にも、介護計画に余裕があれば対応が容易になります。
利用者に何かを伝えるときのコツ
高齢の方とのコミュニケーションは難しいもの。何かをする時の意思疎通がなかなかできず、業務がスムーズに進まないという方は多いのではないでしょうか。
高齢の方と話しをする時に意識するといいポイントは、3つあります。
利用者への声かけの仕方のコツ
- ゆっくり
- 具体的に
- 短く
もう少しわかりやすく、具体例をあげてみていきましょう。
体調を確認するとき
- 「体調はどうですか?」
- 「頭とかお腹、今痛くない?」
高齢の方は、自分の状況や気持ちを表現することが苦手なケースが多いです。なので質問の仕方も、自由に答えられるより「はい、いいえ」だけで答えられる方がお互い楽な場合があります。
水分を勧めるとき
- 「何か飲みますか?」
- 「お茶入れましたので、どうぞ」
声かけは「今、すぐそば、あるいは目の前にあるもの」について言うと伝わりやすくなります。目の前にお茶を持っていき「お飲みになりますか?」と尋ねれば、ご利用者も「いる、いらない」が判断しやすくなります。
トイレを促すとき
- 「トイレどうですか」
- 「これからご飯だから先にトイレ済ませませんか?」
利用者に何かしてほしい時は「なぜ今、それをする必要があるのか?」を簡潔に伝えましょう。
何かを伝えるときは順序立てて話しましょう
利用者はすぐには状況の変化を受け入れらない場合があります。なので、以下のような流れでお話しすると、うまくいくことが多いのです。
- これから何が起こって
- そのためにこうすることが必要
- だから今、一緒に行動しましょう
※参照:高齢者の心理と生活「IATSS 公益財団法人国際交通安全学会」
食事のコツ
楽しくお食事してほしいけど、なかなか口を開けてもらえなくて、いつも時間が掛かってしまう…。こういった食事介助に関する悩みも多いのではないでしょうか?
食事はただ栄養を補給するだけでなく、生活に彩りを添えるものです。そんな「食べる」ことに不自由のある方への介助を行う際のワンポイントを解説します。
「食べる」という動作の再確認
- 食べ物を口に運ぶ
- 咀嚼する
- 飲み込む
「食事」は、多くの動きが複雑に組み合わさって行われます。まず介護職員は、利用者がそれらのどの段階に不自由があるのかを、きちんと認識する必要があります。
この時、ひとりで判断せず、他のスタッフや看護士ときちんと連携してケアすることがとても重要です。
まずは利用者の身体を食べる体制に
介護職員がやってしまいがちな間違い
「いただきます」と同時に、いきなり食べ物をのせたスプーンを利用者の口に運ぶ。
これでは利用者はびっくりしてしまいます。食事の時は、まず利用者の身体を「ごはんを食べる」という動作ができる状態にしてあげなければなりません。
「いただきます」の後、次のような順で食事を行うと、おいしく食べてもらえるでしょう。
- スプーンで軽く唇などを刺激する
- 汁物やお茶で口の中を湿らせ、唾液を出やすくする
- お食事開始
また、口があまり開かない方に対しては、食前に歯ブラシを使って口腔内や歯肉に刺激をあたえると良いでしょう。唾液が出て、頬の筋肉が緩むのでお食事しやすくなります。
【口コミ情報】現役介護士さんの知恵「食事介助のコツ」
「いただきます」と同時にスムーズな食事ができることは理想的です。しかし介護を必要としている利用者の中には、それがうまくいかない方も多くいます。
そのため、食事介助に悩まされる介護職員も少なくはありません。「食前に刺激を与える」「動作の確認をする」といった行為は、経験を積んだ現役介護士さんも、いろいろな方法で工夫をしているようです。
今起きたばかり・・・ご飯食べて大丈夫?な時にお試しあれ(35歳・女性)
食事の前に、常温よりも冷たい水やお茶を飲んでもらうだけです。2~3口でOKです。夏場は冷蔵庫で冷やして、冬場は食事よりも冷えていれば温めの温度で大丈夫です。
そのコツの根拠や、習得するまでの経緯を教えてください。
唾液はいつも口の中にありますが、絶え間なくゴックンしている訳ではないですよね。ゴクンと飲み込む動作は「嚥下反射」とよばれる動きなんですが、この嚥下反射は刺激がハッキリしている程 起こりやすいものです。熱い・冷たい・辛い・甘い・多い・・・これらの情報がないから唾液は口の中にあっても、ある程度の量が溜まるまでは無いものとして体は無視し続けるんです。
なので、なかなかゴックンできない 又はこの人ボーっとしてるけどちゃんとゴックンしてくれるかなと不安な時は、まずは冷たい水を飲んでもらって嚥下反射を誘発してから食べ始めるとリスクが軽減されます。冷たい水なら覚醒度も上がりますしね。
熱いお茶はやけどしないか心配だし、年をとると味覚が鈍くなるのでかなり強い甘味でないと分からないけど糖尿とかが心配、辛い物は体に悪そうだし・・・という事で、冷ためのお茶か水がいいかなという結論になりました。
温度差がハッキリしていればいいので、氷水でなくても口の中より低い温度であればOKです。冬に冷水を飲ませるのは気の毒ですしね。
誤嚥防止についての対処方法と予防(37歳・男性)
喉の運動を見ながら、食事介助するコツである。タイミングが食事介助にみられるので、喉がごっくんとなってから、スプーンで次の食事を運んであげる。お年寄りの方によっては、しゃべれない方も見えるため重要なコツと言える。相手が確実に飲み込んだことを確認するため、喉を見るのである。
そのコツの根拠や、習得するまでの経緯を教えてください。
先輩に教えてもらいました。長い事介助経験があると、その時に応じて困るときがあるので、経験がものをいう。
食事に時間がかかったりするときに、時間がかかるが誤嚥防止するためには、大切なことである。名が年月をかけてタイミングのコツがわかってくるので、このコツは読んでおいてほしいです。
お年寄りの命を最優先事項にするコツであるので介護に重要です。
車いすでの外出時のコツ
車椅子での公園やスーパーへの外出は、ひとりで出歩くのが難しい高齢者にとっては大きな楽しみとなります。しかし出かけて間もないのに以下のようなことを言われて困った経験はありませんか?
- 腰が痛い
- 疲れた
- 戻りたい
介護職にとっては身近な車椅子ですが、それに乗って長時間外を移動したことがある方は殆どいないのが現状です。そんな方が車椅子に乗って外に出ると、多くのことに気付かされるでしょう。
最近は道路のバリアフリー化も進み、平坦に見える道。実はここに注意点があるのです。
車いすは自動車のように路面の凹凸を吸収するバネの仕組みがありません。そのため、わずかな路面の段差も直接、お尻や腰に響いてしまうのです。
ある利用者は「マンホールの上を通る時が一番つらい」といいます。介助者側からは「え?あの程度で?」と思うでしょう。しかし本人にとっては切実な問題ですし、褥瘡(じょくそう)にも繋がりかねません。
最近増えてきた石畳を模したような歩道も要注意です。おしゃれでキレイですが、車いすにはなかなかの難所となります。
車椅子移動を快適にする工夫
- 介助者が凹凸の可能性がある場所を避けて通行する
- 低反発の車いす用マットを使用する
- 同じ箇所に体重が掛からないように姿勢を直す
- バスタオルを背中などに当てる
- 休憩時間をこまめに取る
このように、利用者が快適に散歩を楽しめるような対策が必要です。
利用者で変わる対応、他にも現場使える介護のコツ
人それぞれ性格も違えば、得意不得意も異なります。もちろん利用者も例外ではありません。
介護を必要とする利用者は性格だけでなく、症状もそれぞれ異なります。そんな利用者への対応にも、現役介護士の方はさまざまな工夫をしています。
【口コミ情報】現役介護士さんの知恵「姿勢調整のコツ」
座るときに体幹の筋力低下や麻痺の問題で姿勢が保てずにすぐに前に倒れてしまう方に対して、膝をのばしても痛みがないことを条件に、車椅子・椅子座位で長座位(膝を伸ばした座り方)の姿勢になるように下腿の下に台やクッションを設置すると、前に倒れるのを防ぐことが出来ます。
注意点としては、腰が前にずって来てしまい浅座りになることがあるので、座位姿勢をよく観察しながらその方にあった姿勢を調整していくことです。
そのコツの根拠や習得までの経緯について教えてください。
以前勤務していた神経難病病棟で担当していた患者様がご自身でご飯が食べたいのに体幹筋力や筋肉緊張が低下し、座位を保つことが難しくてとても困っていました。
なんとか自分でご飯が食べられるようにとクッションでポジショニングをしたりと色々試しましたがうまくいかず、リクライニング車椅子を使用し姿勢調整をしたところ安定したという経緯がありました。
【口コミ情報】現役介護士さんの知恵「長時間寝ている方の褥瘡対策」
寝ている時間の長い高齢者の褥瘡を防ぐためのコツ(27歳・女性)
高齢になってくるとそれに比例して、眠っていなくても横になる時間が増えてきます。本人の意識がはっきりしていたり、逆に認知症で頑固になっている場合、毎日寝やすい向きで同じ体勢で寝ることが増えてくると思います。
そうすると褥瘡のリスクが高くなってしまうため、体を横に向けて、背中部分に支えとして布団や毛布を縦長に丸めて置くという方法です。
もちろん自分で寝返りが打てない方用の方法です。
そのコツの根拠や習得までの経緯について教えてください。
娘さんに介護されている方で、いつも右側を下にして寝てしまうため、右足首に軽い褥瘡ができてしまった。
本人は認知症のため、理屈で説明してもわからず、反対向きだと違和感があり怒り出してしまうため、しばらくのうちは本人が寝てからそっと反対に向け、上の盛り土を試してもらった。
段々に体が慣れてきて違和感が減ってきたら日中も交互に持ち土を行うようにしたところ、すんなり受け入れてもらえ、褥瘡になることが少なくなりました。
【口コミ情報】現役介護士さんの知恵「アルツハイマー症の方への対応」
認知症の中でも一番多いアルツハイマー症の方への接し方について(32歳・男性)
入浴や更衣、排泄介助等の生活援助を拒否されてしまった場合、無理矢理行うと余計興奮してしまい、余計介助させてくれないので、最初は他愛ない話をし、相手の世界に入り話を合わせながら、徐々にこちらのペースに持って行く。
このとき注意しないければならないことは、相手が変なことを言ってもダメとか言って拒否してはいけません。
そのコツの根拠や習得までの経緯について教えてください。
アルツハイマーの方は、自分の世界と言うものを持っており、そのなかに他人が入ってくることを極端に嫌がります。
なので、その方がどのような世界で、どう考えているのかを理解する必要があるので、相手がどんな独語を話しているのかを聞いて、その話にさりげなく入り話を合わせてあげると、相手は警戒せずこの人は、仲間だと勝手に思ってくれるのです。
そうすると、信頼関係が生まれ介助をさせてくれるようになります。
このコツは、海外認知症研修に参加した際に、アルツハイマー専門の方に質問した際、教えて頂きました。
話で解りましたが、最初は中々相手の世界には入り込むって事が出来ませんでしたが、最初は挨拶をする等の簡単なことから徐々に初めていくと、相手も少しづつ心を開いてくれ相手の世界が解ってきました。
少し解ってきてから、徐々にその方の世界に入り込んでいったら上手くいきました。
力を必要とする介助のコツ
「楽=手を抜いている」というわけではありません。
介護職は力仕事できついとよく言われます。腰痛で離職せざるを得ないという人も珍しくはありません。
しかし、その一方で何年も介護業界で働き続けているベテラン介護職員も多くいます。
そういった経験豊富なのに腰痛知らずという人のケアは、やはり理にかなっていて動きに無駄がありません。利用者も介護を受けていて穏やかな表情をしています。
逆に腰を痛めやすい人のケアは力任せだったり、身体の使い方そのものが悪かったりすることもあります。
力が必要となる業務は、以下2点を注意することで、作業がとてもスムーズになるでしょう。
- 力を入れる部位
- 力を入れない方法
これに関しては、現役介護士さんの介護のコツについての口コミの中に、とても分かりやすい例があります。
力を入れる部位がポイント
結論からいうと、力仕事をするときに重要となるポイントが以下2点です。
- 小指は使えているか
- 脇は締まっているか
まずは、口コミをみてみましょう。以下で紹介するのは、移乗介助に関する現役介護士さんコツです。
この方法は他の多くの業務でも同じことがいえ、「身体に負担を掛けない力の入れ方」という点でとても重要になりますので、ぜひ参考にしてください。
移乗介助時、力の入りやすい握りかた(32歳・女性)
患者様をベッドから車椅子へ移動する際、ただ患者様のズボンをつかんで移動させるのではなく、小指もきちんと持って行うと、力が入りやすく、移乗も簡単にできます。
何も気にせずにズボンをつかむと、普通は小指は何もつかんでいないことが多いですが、小指もつかむことを意識するだけでだいぶん変わります。
そのコツの根拠や習得までの経緯について教えてください。
わたしは身長が低く、背丈の大きな人の移乗介助にはどうしても力が足りず、難しく感じていました。無理矢理していると、腰も痛くなりました。
そのことを先輩に相談すると、患者様のズボンをつかむとき、小指も使っているか聞かれ、その時に初めて小指は何も持っていない状態だということを知りました。
それからは小指を使って移乗をしていますが、きちんと力も入りますし、力不足だと思うことが少なくなりました。
これは空手をしている人も実践しているようで、こうすることにより服が手から離れづらくなるそうです。是非、一度実践してみてください。
この現役介護士さんのコツを見て、はっとされた方も多いのではないでしょうか?
私たちは普段から親指と人差し指をよく使います。そのため無意識に手に力を入れると、どうしても親指に近い指ほど力が入るようになります。
小指と薬指は、意識しなければ殆ど添えるだけのようなかたちです。
実はこれが全身に上手く力が入らず、身体の一部分に負担がかかる原因となっているのです。
それから、小指と人差し指から繋がっている腕の裏側の筋肉も動くから、胴体全体に均等に力が入るのカモ。
また、力仕事をする際にもう1つ重要な部分として「脇」があります。小指が筋肉を動かす役割をもつのに対し、脇は骨の構造に関係しており、作った力を逃がさない役割があります。
脇を開くことで、下半身や幹部で作った力が逃げやすくなってしまいます。そうすると、その逃がした力を補うために、違う部分に負担がかかることとなります。
力を使わない方法
介護を力任せにして、自身の身体に負担をかけている場合、利用者の身体にも同じくらい負担をかけてしまっているケースがあります。
よりスムーズな方法で移乗ができるのであれば、それに越したことはありません。
次の現役介護士さんが行っているコツは、持ち上げるだけが移乗ではないことが良くわかる一例です。
教科書に頼るより、実践で自分なりのコツを見つけましょう(53歳・女性)
下半身にマヒがある人の場合、車いすへの移乗の時はお年寄りの両足を自分の足の間に挟んで固定してから移乗すると安定感があってスムーズにいきます。
抱き上げる時は肩と足に手を入れて抱き上げるよりも、肩部分と股の間から手をまわして抱き起す方が安定します。
人間関係を築きにくいお年寄りの場合は、本人の確認をとってから「~ちゃん」と親しみをもって接するようにしています。
そのコツの根拠や習得までの経緯について教えてください。
マヒのある人の移乗は、足に踏ん張りがきかず車いすに足が引っかかってしまうことが多く、何度かヒヤッとする場面があり、スムーズにできる方法がこれでした。
ちゃんづけで呼ぶ方法は、どうしても施設に馴染めず孤立してしまう入所者をどうやって笑顔にできるかを考えていた時、呼び名の提案をしてみました。
本人の了解を得て、ちゃんづけで呼ぶようになると他の入所者さんも同じようにちゃんづけで呼ぶようになり、まわりに打ち解けて笑顔が増えた事を嬉しく思いました。
ただ誰にでもそれが通用するわけではないので、状況を見ながら本人の気持ちを確認することは大切だと思っています。
ほんの少し「どうしたらもう少しスムーズに仕事ができるのかな」と考えるだけで、介護側の業務負担の軽減はもちろんのこと、利用者側も安心して職員に身を預けることができるようになります。
【口コミ情報】現役介護士さんの知恵「少し楽になる介助のコツ」
一見大変に感じる業務も、少しの工夫でとても楽に、より正確にこなせるようになります。
上記以外でも、仕事をよりスムーズに行う方法はいろいろあるので、現役介護士さんの行っている介護のコツをぜひ参考にしてみてください。
トイレ誘導の際の手早い簡単リハビリパンツの交換テクニック(38歳・男性)
トイレ誘導時にリハビリパンツが汚染していたり、履き替えが必要な際に手早く履き替える方法として、ズボンを片方だけ脱いで頂き、片方の足はズボンを履いたままの状態で、そちらの足からパンツを履いて頂けばズボンを脱がなくてもパンツを履き替えることが出来ますよ。
そのコツの根拠や習得までの経緯について教えてください。
施設介護で大変な介助と言えば、食前や食後のトイレ誘導ですよね。トイレの前に順番待ちの行列が…なんて事もよくある話です。
そういう時に限ってリハビリパンツが汚れていて履き替えの介助が必要になると焦ってしまいます。ズボンを全部脱がずに履き替えが出来ると、思ったより早く介助が終わります。
もともとは他の職員がやってるのを見て最初は手品かと思いました。トイレが混んでいない時はゆっくり介助すればいいと思いますが、急いでいる時は有効な方法だと思いますよ。
着脱の仕方(27歳・女性)
私は高校の時に介護福祉士の試験を受けました。その際に教科書には着脱の際はもちろん脱健着患を意識するようにして、脱いだ着衣は丸めて体の下に入れると良いと習いました。
しかし、働いてみると脱健着患はもちろんですが、脱いだ着衣は体の下ではなく首から通すようにするととても患者の負担も少なくすんなり脱がすことができます。
そのコツの根拠や習得までの経緯について教えてください。
今の職場は人員が少なく1日に25人程の患者を2人で入浴しなければなりません。その際にいかにスムーズに表皮剥離などのインシデントを起こさないようにするか考えた際にやってみました。
ベットから首の隙間入れることで患者の負担は軽減されると思いやってみたところ、表皮剥離などはしたこともないです。そしたらわずかですが着脱が早くなりました。
もちろん頚椎損傷の方など首に異常がある方には負担になるのでやらないですがその他の患者にはオススメです。
シーツ交換をキレイ且つ迅速に行う方法(35歳・女性)
教科書にはシーツは三角折りにするとずれにくいとありますが、シーツの角と角を結ぶ方法だと更にずれにくく綺麗に張ることが出来ます。
失禁が多く防水シーツの交換が頻繁にある方に最適で、更に時短にもつながります。
そのコツの根拠や習得までの経緯について教えてください。
少ない時間の中でキレイ且つ迅速にシーツ交換を行うのは容易ではありません。週に1度の交換となると週の後半には崩れてしまうことが多々あります。
ですが、この方法ならしっかりと角を結んである為、簡単にピンと張ることが出来ますし、防水シーツのみをはがしても下のシーツまで大きく崩れてしまう事はありません。
やり方は、通常通り頭側のマットレスにシーツを織り込みます。そして、そのまま角と角をしっかり持って結ぶだけです。
シーツをピンと張りながら足側も同様に結び、あとは横のはみ出ているシーツをマットレスの下にしまいます。四隅全てを三角折りにするのは大変ですが、このやり方なら簡単に出来て、時間の短縮にもつながります。
本当に時短になるそうなので、是非やってみてほしいカモ。
少しの工夫で介護は変わる
実は、今回紹介したものはどれも、凄いことをしているというわけではありません。「ほんの少しの工夫」なのです。
資格を取得するときの勉強は、基本的な知識や技術が中心です。しかし現場に出れば、教科書通りに進むことのほうが珍しいのが現状です。
新人スタッフの中には「自分の技術では通用しない。仕事を続ける自信がない」と凹んでいる方も多いのではないでしょうか?
仕事で上手くいかず落ち込んだときは、今が介護士としてたくさんの知識や技術を吸収して成長する大きなチャンスなんだと考えてみてください。
基礎的な知識や技術があればこそ、応用するアイデアも生まれますし、それを実践する力も発揮できます。
教科書に載っていないような技術を駆使して、仕事の幅を広げたいのであれば、まずは基本となる介護技術、知識をきちんと身につける必要があるでしょう。