介護職は対人関係においてストレスを感じやすい職業だと言われています。
利用者から理不尽な要求や暴言などを受けても、自分の感情をを押し殺して仕事をしなければならない場面が多く、そのようなことを続けていれば、肉体的だけでなく、精神的なダメージも大きいです。
そのような時、マインドフルネスという方法があるのをご存知でしょうか?
マインドフルネスは自分が思った気持ちを客観視し受け入れることで、心を落ち着かせる方法です。
この方法を習得すれば、介護の仕事がとても楽になりますよ。
ここでは、介護職がストレスを感じる瞬間をピックアップし、ストレスを軽減する方法について、マインドフルネスの方法から読み解いていきたいと思います。
介護職がストレスを感じる瞬間とは?
まずは介護職がストレスを感じていることをピックアップし、次の2つの原因を考えてみました。
コミュニケーションが欠かせない仕事
介護職が仕事をする上で、利用者とのコミュニケーションは欠かせないものになります。利用者だけでなく職員との連携も大切なので、常に人とのコミュニケーションが欠かせない仕事です。
利用者とのコミュニケーションでは、要介護度が高い高齢者や認知症高齢者への対話が難しく、非常に大きな神経をつかうため、精神的な負荷が大きくかかります。
人手不足で多忙な環境
介護業界は万年人手不足と言われており、新人として採用されても仕事が長続きしないことが多いです。そのため、長年働いているスタッフに責任の負荷がのしかかります。
人手不足が原因で、思ったように休憩時間がとれない、夜勤業務が多くなったなど、勤務体系にも余裕がなくなります。そのため、利用者に適切なコミュニケーションが出来なかったことが自己嫌悪となって、精神的にストレスを抱えてしまいます。
利用者とのコミュニケーションがストレス?!その原因は?
介護職は対人関係のお仕事です。介護職は感情への負荷が大きい“感情労働”であると言われています。
介護職が関わる人達は高齢者や身体の不自由な方ばかりなので、普段から何らかの不安を抱えて生活をされている方もいます。他では発散しきれない感情をぶつけられたり、認知症などの病気が原因で暴言などを言われたりします。
相手は病気だから・不安だから仕方ない…と相手の気持ちに配慮し、自分の感情を押し殺して相手の要求に応じることが仕事の一つとなってしまいます。
そのようなことを続けてしまうと、自分の感情を押し殺しすぎてしまい、精神的に消耗し、燃え尽き症候群などのストレスが原因の病になってしまいます。
また、積もり積もった感情が爆発し、利用者への暴言虐待などの悲しい事件が起きてしまうこともあるのです。
そのため、介護職として働く場合は、自分の感情を上手にコントロールできるかが大切なのです。
ストレスを溜めない!マインドフルネスとは?
介護士ストレスを溜めないように仕事ができたら楽になれると思いませんか?相手から強い暴言などを受けたとしても、ぐっと耐え続けるのはキツイですよね。
しかし、そのような感情を上手にコントロールできる“マインドフルネス”というものがあるのです。
マインドフルネスとは“心が満たされている”という意味があり、全身全霊の意識を向けるという“瞑想法”です。
細心の脳医学では“ストレスの軽減”“自律神経の回復”“集中力の上昇”が期待され、アメリカの有名企業や政府機関の研修でも取り入れられています。
学校の現場で取り入れた結果、いじめが減少したなどの報告が上がっており、今注目されている技法です。
マインドフルネスの効果
私たちの日常は、心休まる瞬間が無いことが多いのではないでしょうか?人は大きなストレスにさらされると、がんじがらめになり、心を閉ざしてしまうことも。そのような状態が続けば、ストレス状態が続いてしまいます。
マインドフルネスはそのような状態から抜け出し、しなやかなゆたかな心を養います。精神状態を回復していく効果があるため、ストレスに振り回され、不安な感情を取り除くことで、精神的に安定した気持ちをもつことができるのです。
マインドフルネスの呼吸法
マインドフルネスの呼吸法というものがありますのでご紹介します。
まず椅子に座り、姿勢を正し、身体の力を抜きながら、天井にピンと吊るされている感覚で背筋を伸ばします。
この体制で簡単に手軽にできる呼吸法なのです。
気を付けたいポイントとして、余計な邪念は外して、ただ呼吸に集中することが大切です。
まずは普段行っている呼吸を繰り返してください。鼻から空気が入っている感じ、吐き出すのを感じ取り、呼吸に神経を集中させます。
- 3秒かけて鼻か口からすーっと呼吸して新鮮な空気を取り入れます。
- 2秒間息を止めてみます。
- 空気を5秒かけて吐き出します。
この呼吸法を5~10分繰り返すだけで、気持ちが楽になります。
呼吸法から得られるメリット
呼吸法を行っている時、基本的には無意識に行う必要がありますが、ふいに意識が呼吸と違うところに行くことがあります。“なんだか身体が痛い”“違う考え事をした”などです。
そのように意識が向いた自分を責めるのではなく、認めてあげます。その繰り返しを行うことで、自分が考えていることを客観視することができ、頭の中で整理することができるようになるのです。
そのため、怒りの感情のままに行動したり、余計なストレスを感じることがなくなるのです。
マインドフルネスの呼吸法は繰り返し行うことで心の整理がつく鍛錬を磨くことができます。苦しいなと思ったときは積極的に行う様にしてみましょう。
マインドフルネスを実践し感情をコントロールしよう
介護をしているとき、利用者から暴言を吐かれたりする場面に遭遇してしまいますよね。その時どうしているでしょうか?辛い・苦しいと思うことを素直にぶつけられなくて我慢してしまったり、つい言い返してしまうこともあるかもしれません。
マインドフルネスの考え方としては、いまここにある気持ちを受け入れることです。嫌なことを言われて我慢しよう、耐えようという気持ちで、自分の感情を否定してしまうと、いつか爆発してしまいます。
まずは“嫌だ”と思ったら、心の中で、“今私はこの人が嫌だと思った”と心に唱えてください。自分が感じた感情を認めるのです。自分の心が“嫌だ”で埋め尽くされることがないように、その感情に気付くことで、自分を客観視することができるのです。
人対人の仕事だからこそ我慢しないで
ここでは、マインドフルネスの考え方に基づいた介護についてご紹介しました。介護のお仕事は人対人のお仕事です。“仕事だから”“プロだから”といっても、介護職の人は人間として、怒りや悲しみの感情が存在します。利用者から感情をぶつけられたり、暴言などを受けても、ひたすら耐えて尽くすことが正しいというやり方では、介護職の仕事を崩壊させてしまいます。
介護職の皆さんはプロ意識を持っている人ばかりです。人の感情に左右される、“感情労働”だからこそ、このマインドフルネスの考え方を実践し、広めていくことが大切です。
また、介護職の仕事以外でも、家族・恋人・友達・子育てなどの対人関係においても、マインドフルネスの考え方は効果的です。興味をもち、実践みてはいかがでしょうか。