50代のベテランITエンジニアが企業にとって厄介な存在になっているケースがあります。
本来なら頼りになる存在であるベテランが、むしろ仕事の邪魔になっていたり、若手から迷惑に思われている場合があるのです。これは不幸なことです。
50代のエンジニアはIT革命の初期を経験してきており、現在のITの基盤となっている知識や経験は有効活用されるべきものです。
ここでは、50代のITエンジニアが直面している問題や若手との対立などについてお話しします。
かつてのマイコン世代が50代に
かつてマイコン世代と呼ばれた人たちが50代に差し掛かっています。
マイコン、国産パソコン、MS-DOS、Windowsといったコンピュータの変化を経てIT革命を通り抜けてきた人たちは、今はベテランとなってマネジメント職などにキャリアアップしていることも多いです。
50代といえば、現場を退いて役員など経営に携わるか、コンサルタントとして企業や組織の顧問となりさまざまな提案をする立場になっている人が多いです。
また常に現場にいることを望み最新の技術や業界動向を常に取り入れて第一線で専門職として働き続けている人もいます。
こうして活躍する50代がいる一方で、うまくキャリアアップができずくすぶっている50代エンジニアもいます。
新しい技術を受け入れられず、考え方が古く、組織内での厄介者になっているケースです。
企業というものは最新の動向を見極め、新しい物は取り入れて生産性をアップさせたり業績をあげなければなりません。
そのときに古いやり方に固執するベテランが厄介者扱いされやすいのです。
悪い意味での職人気質が老害などと呼ばれる
昔はこれで成功したからとか苦労して身につけた技術だからとかで、自分が今までやってきた古いやり方や考え方に固執し続けることはメリットがありません。
頑固で昔ながらのやり方にこだわる、悪い意味での職人気質です。
自分のやり方を変えないだけならまだしも、周囲が新しいことを取り入れようとするのにむやみに反対し、若手社員や企業そのものの成長の妨げになるケースもあります。
ITエンジニアとしては本来ならば過去の知識や技術の上に新しい技術をどんどん取り入れるべきです。
過去にあぐらをかくことをせず、常に時流に乗り続けることこそエンジニアとして、社会人として重要です。
それができないのであれば、企業にとってはマイナスでしかありません。
企業としては過去の立役者を大事にしなければならず、その存在を無視できないところがあります。
こうしたベテランが大きな顔をしていると、影で老害などと呼ばれるのです。
若手エンジニアにとって悪い壁となる50代とは
人間の成長には壁を乗り越えることも必要です。壁となる存在は決して悪いものばかりではありません。
ですが中には人の成長を阻害しマイナスの影響しか与えない壁も存在します。
一部の老害と呼ばれる50代エンジニアはそれにあてはまることがあります。
古いやり方に固執する50代が上にいるために
「古いやり方の仕事しかできず新しい技術が習得できない」
「上流工程を経験できない」
と苦しむ若手は少なくありません。
この場合50代は成長のために乗り越えるべき壁というよりは、単に成長を邪魔するだけの存在になっています。
若手エンジニアの多くは35歳くらいを一つの区切りと考えています。
気力体力があり無理も可能なこの年齢までに、さまざまな仕事を経験してスキルアップをはかっておきたいという考えです。
そのために若い内に古いやり方に閉じこめられてしまうのは若手エンジニアにとって非常に困ることなのです。
こうした50代がいる職場に愛想をつかし、転職にチャレンジする若手も少なくありません。
さまざまな経験を積み最新の技術に触れることのできない職場でいたずらに勤続年数を増やしていては、将来が不安だという考えからです。
そもそも今は待遇に不満があっての転職ではなく、キャリアアップのために高度な仕事への転職・新しい分野への転職も多く、IT業界ではその傾向が強いです。
かつてのような年功序列による出世システムが崩れどんな会社もいつ無くなるか分からないという状況では、不満のある会社で下積みをする意味は薄くなっています。
悪い意味での職人気質の50代にとって、こうした若手の考え方は受け入れがたいものかもしれません。
まずは文句を言わずに下積みをとか、3年は我慢するべきといった考え方が頭にあるためです。
そのためにますます若い世代との断絶がひどくなります。
ベテランと若手双方の歩み寄りのためには
若い内にいろいろな経験を積み新しい技術にも触れたい若手と、古いやり方を周りに押しつけ新しい技術に反対する50代が対立するのは当然です。
ですがこの状態は誰にも良い結果をもたらしません。
互いの歩み寄りが大切です。
50代前後で自分は老害になってるかも?と思ったら、仕事への意識を変えましょう。
情報技術は新しいものが登場し続けているので時流に乗り常に最新技術を取り入れることが必要なことを受け入れましょう。
過去に習得した技術は無駄ではありませんが、そのままでは現在では非力な事が多いです。
何歳になっても立ち止まらずに新しい技術を取り入れることがエンジニアとしては大切です。
その上で若手にはさまざまな経験を積ませることが必要と心得ましょう。
下積みが大切だからといって古くさい同じことばかりやらせるのは今の時代にそぐいません。
若手側としても歩み寄りが必要です。
最新の技術も昔からの技術の積み重ねの上にできたものであり、その知識を学ぶことも大切です。
そしてリアルタイムでその知識や技術を身につけてきたベテランから学ぶことで、自分の知識のベースが深まります。
ベテランに上手く頼り学ぶ姿勢を見せることで、自分の知識が深まりますし、ベテランとしても悪い気はしません。
ベテランと若手が相乗効果をもたらす可能性
50代のベテランITエンジニアでも、柔軟な思考を持ち、常に新しい技術を学び身につけ、若手からの尊敬を集めながら現場で働き続けている人がいます。
その反面、古いやり方に固執しそれを周りに押しつけ、老害などと呼ばれるベテランもいます。
ですが老害と呼ばれるような人も、かつては最新技術を使いこなしてきたのですから、そこは認めなくてはなりません。本来なら今でも最新技術を学ぶだけの能力はあるのに、周りとのすれ違いから過去に固執しているケースもあります。
若手とベテラン双方が歩み寄ることができれば、ベテランエンジニアもこだわりを捨てられるかもしれません。
最新技術を学んで使いこなしたり、あるいは新しいことを身につける能力は衰えていたとしても若手のフォローをしたり成長の助けとなることは可能です。
歩み寄りの姿勢を大切にして、互いに良い効果を与え合えれば理想です。